H26新潟県(北関東・甲信越) 第2章 人体の働きと医薬品(問51-60)
アナフィラキシー,TEN,偽アルドステロン症は、しっかり学習を。
【問51】 中枢神経系に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 中枢神経系は脳と視床下部から構成される。
2 脳において、酸素の消費量は全身の約20%と多いが、ブドウ糖の消費量は全身の約5%と少ない。
3 血液中から脳の組織へ移行できる物質の種類は多く、脳の血管は末梢に比べて物質の透過に関する選択性が低い。
4 延髄には、心拍数を調節する心臓中枢がある。
中枢神経に関する問題。
1 誤り。中枢神経系は脳と脊髄から構成される。
2 誤り。脳において、血液の循環量は心拍出量の約15%、酸素の消費量は全身の約20%、ブドウ糖の消費量は全身の約25%と多い。
3 誤り。いわゆる血液脳関門の働きについて。脳の血管は末梢に比べて物質の透過に関する選択性が高く、タンパク質などの大分子や小分子でもイオン化した物質は血液中から脳の組織へ移行しにくい。
4 正しい。延髄には、心拍数を調節する心臓中枢、呼吸を調節する呼吸中枢等がある。
正答・・・4
【問52】 筋組織に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 筋組織は、その機能や形態によって、骨格筋、腱、心筋に分類される。
b 骨格筋は、筋線維を顕微鏡で観察すると横縞模様(横紋)が見えるので横紋筋とも呼ばれる。
c 意識的にコントロールできる筋組織を随意筋といい、骨格筋と心筋は随意筋である。
d 随意筋は体性神経系で支配されるのに対し、不随意筋は自律神経系に支配されている。
a b c d
1 正 正 誤 誤
2 誤 正 誤 正
3 誤 誤 正 正
4 正 誤 誤 誤
5 誤 正 正 誤
筋組織に関する問題。
a 誤り。筋組織は骨格筋、平滑筋、心筋に分類される。
b 正しい。
c 誤り。心筋は不随意筋
d 正しい。
正答・・・2
【問53】 効果器と副交感神経系がその効果器に作用して現れる反応に関する組み合わせのうち、 正しいものはどれか。
効果器 反応
1 皮膚 - 立毛筋収縮
2 末梢血管 - 収縮(血圧上昇)
3 汗腺 - 発汗亢進
4 肝臓 - グリコーゲンの合成
副交感神経系に関する問題。
正答・・・4
【問54】 薬の体内での働きに関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 循環血液中に移行した医薬品の有効成分は、主として肝細胞の薬物代謝酵素によって代謝を受ける。
b 医薬品の作用には、有効成分が消化管などから吸収されて循環血液中に移行し、全身を巡って薬効をもたらす全身作用と、特定の狭い身体部位において薬効をもたらす局所作用とがある。
c 医薬品が摂取された後、成分が吸収されるにつれてその血中濃度は上昇し、ある最小有効濃度(閾値)を超えたときに生体の反応としての薬効が現れる。
d 医薬品を十分な間隔をあけずに追加摂取して血中濃度を高くしても、ある濃度以上で、薬効は頭打ちになり、毒性が現れやすくなる。
a b c d
1 正 正 正 正
2 誤 正 誤 誤
3 誤 誤 正 正
4 正 誤 誤 正
5 正 誤 正 誤
薬の体内での働きに関する問題。
1正しい。
2正しい。
3正しい。
4正しい。
正答・・・1
【問55】 医薬品の代謝、排泄等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 腎機能が低下した人では、正常の人よりも有効成分の尿中への排泄が遅れるため、医薬品 の効き目が過剰に現れたり、副作用を生じやすくなったりする。
2 多くの有効成分は血液中で血 漿タンパク質と結合して複合体を形成しており、その結合 は速やかかつ可逆的である。
3 肝機能が低下した人では、正常な人に比べて全身循環に到達する有効成分の量がより少なくなるため、医薬品の効き目が現れにくくなり、副作用も生じにくくなる。
4 有効成分と血 漿タンパク質の複合体は腎臓で濾過されないため、有効成分が長く循環血 液中に留まることとなり、作用が持続する原因となる。
医薬品の代謝、排泄等に関する問題。
3が誤り。
2,4正しい。血漿タンパク質と複合体を形成している有効成分の分子は薬物代謝酵素の作用で代謝されず、またトランスポーターによって輸送されることもない。よって、代謝や分布が制限されるため、血中濃度の低下は徐々に起こる。いわゆる半減期の長い薬となる。
正答・・・3
【問56】 薬の吸収に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 内服薬は、有効成分が消化管から吸収された後、循環血液中に入って薬効をもたらす全身作用のものが多いが、消化管内で作用するものもある。
2 眼の粘膜に適用する点眼薬は、すぐに涙道に流れてしまい、全身作用をもたらすほど吸収されないため、ショック(アナフィラキシー)は起こらない。
3 坐剤は、肛門から挿入すると直腸内で溶け、有効成分が容易に循環血液中に入るため、内服の場合よりも全身作用が速やかに現れる。
4 有効成分が皮膚から浸透して体内の組織で作用する医薬品の場合は、浸透する量は皮膚の 状態、傷の有無や程度などによって影響を受ける。
薬の吸収に関する問題。
1 正しい。膨潤性下剤や生菌製剤等のように、有効成分が消化管内で作用するものもある
2 誤り。
3 正しい。
4 正しい。直腸の粘膜下には静脈が豊富に分布して通っており、有効成分は容易に循環血液中に入るため、内服の場合よりも全身作用が速やかに現れる。
正答・・・2
【問57】 薬の吸収に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 鼻腔の粘膜に医薬品を適用する場合は、その成分は循環血液中に入るが、一般用医薬品には全身作用を目的とした点鼻薬はない。
b 口腔粘膜から吸収されて循環血液中に入った成分は、初めに肝臓で代謝を受けてから全身に分布する。
c 口腔粘膜から吸収されて全身作用を現す医薬品がある。
d 内服薬の吸収は、主として大腸でなされる。
a b c d
1 正 正 誤 正
2 誤 正 誤 誤
3 誤 誤 正 正
4 正 誤 誤 正
5 正 誤 正 誤
薬の吸収に関する問題。
a 正しい。
b 誤り。口腔粘膜から吸収されて循環血液中に入った成分は、初めに肝臓で代謝を受けることなく全身に分布する。
c 正しい。例えば、抗狭心症薬のニトログリセリン(舌下錠、スプレー)や、禁煙補助薬のニコチン(咀嚼剤)がある。
d 誤り。主として小腸でおこなわれる。
正答・・・5
【問58】 副作用として現れるショック(アナフィラキシー)に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
a 以前にその医薬品の使用によって蕁麻疹等のアレルギーを起こしたことがある人では、起きるリスクが低い。
b 一般に、顔や上半身の紅潮・熱感、皮膚の痒み、顔面蒼白などの症状が現れる。
c 適切な対応が遅れるとチアノーゼや呼吸困難等を生じ、致命的な転帰をたどることがある。
d 生体異物に対する遅延型のアレルギー反応の一種である。
1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d)
ショック(アナフィラキシー)に関する問題。
a 誤り。当たり前だが、逆にリスクが高い。
b 正しい。
c 正しい。
d 誤り。×遅延型→即時型
正答・・・3
【問59】 中毒性表皮壊死融解症(TEN)に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わ せはどれか。
a 38℃以上の高熱を伴って広範囲の皮膚に発赤が生じ、全身の 10%以上に火傷様の水疱 、皮 膚の剥離、びらん等が認められ、かつ、口唇の発赤・びらん、眼の充血等の症状を伴う病態である。
b 症状が持続したり、または急激に悪化したりする場合には、原因と考えられる医薬品の使用を中止して、直ちに皮膚科の専門医を受診する必要がある。
c 原因医薬品の使用開始後2週間以内に発症することが多いが、1ヶ月以上経ってから起こることもある。
d 最初に報告をした医師の名前にちなんでシェーグレン症候群とも呼ばれる。
a b c d
1 正 正 正 誤
2 誤 正 誤 誤
3 誤 誤 正 正
4 正 誤 誤 誤
5 正 正 誤 正
中毒性表皮壊死融解症(TEN)に関する問題。皮膚粘膜眼症候群とセットで憶えておこう。
a 正しい。
b 正しい。
c 正しい。
d 誤り。シェーグレン症候群は唾液腺や涙腺等の体液の分泌腺に障害を引き起こす病気。
正答・・・1
【問60】 偽アルドステロン症に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 主な症状としては、筋肉痛、喉の渇き、手足の脱力、血圧上昇がみられる。
b 体内にカリウムが貯留し、体からナトリウムが失われたことに伴う症状である。
c 副腎皮質からのアルドステロン分泌が増加することにより生じる。
d 複数の医薬品や、医薬品と食品との間の相互作用によって起きることがある。
a b c d
1 正 正 誤 正
2 誤 正 誤 誤
3 誤 誤 正 誤
4 正 誤 誤 正
5 誤 誤 正 正
偽アルドステロン症に関する問題。
a 正しい。
b 誤り。カリウムとナトリウムが逆になっている。
c 誤り。「偽」からわかるとおり、副腎皮質からの抗利尿ホルモンのアルドステロン分泌が増加していないにもかかわらず、あたかも増加したような症状がでることから名付けられている。
d 正しい。
正答・・・4
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