H26 福岡県(九州・沖縄)第2章 (問31-40) 人体の働きと医薬品
前半10問に比べて、後半は取り組みやすい。ほぼ頻出・標準レベルなので10問正答を狙いたい。
問31 以下の効果器の反応のうち、交感神経系が活発になったときの反応の組み合わせを下から一つ選びなさい。
ア 腸の運動低下
イ 肝臓のグリコーゲン分解
ウ 目の瞳孔収縮
エ 心臓の心拍数減少
1(ア、イ) 2(ア、エ) 3(イ、ウ) 4(ウ、エ)
自律神経系は必ず出題される分野
交感神経系は体が闘争や恐怖等の緊張状態に対応した態勢をとるように働き、副交感神経は体が食事や休憩等の安息状態となるように働く(手引きより)。これらを踏まえて各個人イメージしやすい方法で憶える。それ程難しいことではないでしょう。
正答・・・1
問32 薬の働く仕組みに関する以下の記述のうち、誤っているものを下から一つ選びなさい。
1 一般に、消化管からの吸収は、消化管が積極的に医薬品の成分を取り込む現象である。
2 咽頭の粘膜に適用する含嗽薬(うがい薬)等の場合は、その多くが唾液や粘液によって食道へ流れてしまうため、咽頭粘膜からの吸収が原因で全身的な副作用が起こることは少ない。
3 有効成分と血漿タンパク質との複合体は、腎臓で濾過されないため、有効成分が長く循環血液中 に留まることとなり、作用が持続する原因となる。
4 循環血液中に移行した有効成分は、血流によって全身の組織・器官へ運ばれて作用するが、多くの場合、標的となる細胞に存在する受容体、酵素、トランスポーターなどのタンパク質と結合し、 その機能を変化させることで薬効や副作用を現す。
1 誤り。一般に、消化管からの吸収は、消化管が積極的に医薬品成分を取り込むのではなく、濃度の高い方から低い方へ受動的に拡散していく現象。
正答・・・1
問33 薬の剤型とその特徴の関係について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。 (様式一部改変)
ア 外用液剤・・有効成分を霧状にする等して局所に吹き付ける剤型である。手指等では塗りにくい部位や、広範囲に適用する場合に適している。
イ 経口液剤 ・・有効成分の血中濃度が上昇しやすいため、習慣性や依存性がある成分が配合されているものの場合、本来の目的と異なる不適正な使用がなされることがある。
ウ チュアブル錠・・ 口の中で舐めたり噛み砕いたりして服用する剤型であり、水なしでも服用できる。
エ クリーム剤 ・・有効成分が適用部位に止まりやすいという特徴がある。一般的には、適用する部位の状態に応じて、適用部位を水から遮断したい場合に用いることが多い。
1(ア、イ) 2(ア、エ) 3(イ、ウ) 4(ウ、エ)
剤型(剤形)の違いに関する問題。これは余裕で正解したい。
ア 誤り。スプレー剤に関する内容。例えば「メンソレータムADかゆみ止めスプレー」は手の届かない背中にシュッと一吹きつけられる点が特徴になってる。
イ 正しい。経口液剤は、液状の剤型のうち、内服用の剤型を言う。依存性があるジヒドロコデイインリン酸塩や、コデインリン酸塩を含む咳止めシロップは、イッキ飲み等の不適切な使用に注意する必要がある。
ウ 正しい。正しい。チュアブル錠は 口の中でなめたり噛み砕いたりして服用する剤型で、水なしでも服用できる。chew(噛む)+able(できる)
エ 誤り。これは軟膏に関する説明。一般的には、適用する部位の状態に応じて、適用部位を水から遮断したい場合には軟膏剤、患部が乾燥していたり患部を水で洗い流したい場合等にはクリーム剤を用いることが多い(手引きより)
なお、実際には用途に、そう区別がつくものではないので、汎用性が高いとされる軟膏タイプの方が主流となる。
正答・・・3
問34 ショック(アナフィラキシー)等に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から 一つ選びなさい。
ア ショック(アナフィラキシー)は、一般に、顔や上半身の紅潮・熱感などの症状が現れるが、致命的な転帰をたどるおそれはない。
イ ショック(アナフィラキシー)は、発症後の進行が非常に速やかな(通常、2時間以内に急変する。)ことが特徴である。
ウ アナフィラキシー様症状は、ショック(アナフィラキシー)と類似の症状が現れ、その対応はショックと同様である。
エ ショック(アナフィラキシー)という呼称は、初めて使用した医薬品で起きる場合等を含み、その原因がアレルギーかどうかはっきりしない場合に用いられる。
ア イ ウ エ
1 正 正 誤 正
2 正 誤 正 誤
3 誤 正 正 誤
4 誤 正 誤 誤
5 誤 誤 正 正
頻出のアナフィラキシーに関する問題。アナフィラキシー様症状との違いも、難しくはないので押さえておく。
ア 誤り。アナフィラキシーは致命的な転機をたどることがあり、命に係わる副作用である。
イ 正しい。発症後の進行が非常に速やかなのはアナフィラキーの特徴である。
ウ 正しい。
エ 誤り。×アナフィラキシー→〇アナフィラキシー様症状
正答・・・3
問35 皮膚粘膜眼症候群及び中毒性表皮壊死融解症に関する以下の記述のうち、誤っているものを下から一つ選びなさい。
1 皮膚粘膜眼症候群は、38℃以上の高熱を伴って、発疹・発赤、火傷様の水疱等の激しい症状が、比較的短時間のうちに全身の皮膚、口、眼等の粘膜に現れる病態である。
2 中毒性表皮壊死融解症の症例の多くが皮膚粘膜眼症候群の進展型とみられる。
3 両眼に現れる急性結膜炎(結膜が炎症を起こし、充血、目やに、流涙、痒 かゆ み、腫れ等を生じる病態) は、皮膚や粘膜の変化とほぼ同時期又は半日~1日程度先行して生じることが知られているので、そのような症状が現れたときは、皮膚粘膜眼症候群又は中毒性表皮壊死融解症の前兆である可能性を疑うことが重要である。
4 皮膚粘膜眼症候群と中毒性表皮壊死融解症は、何れも原因医薬品の使用開始後1ヶ月以上経ってから発症することがほとんどである。
これはサービス問題。
4 誤り。皮膚粘膜眼症候群・中毒性表皮壊死融解症は、何れもいずれも原因医薬品の使用開始後2週間以内に発症することが多いが、1ヶ月以上経ってから起こることもある。
正答・・・4
問37 精神神経系に現れる副作用に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選 びなさい。
ア 心臓や血管に作用する医薬品により、頭痛やめまい、浮動感(体がふわふわと宙に浮いたような 感じ)、不安定感(体がぐらぐらする感じ)等が生じることがある。
イ 無菌性髄膜炎は、医薬品の副作用が原因の場合、全身性エリテマトーデス、混合性結合組織病、 関節リウマチ等の基礎疾患がある人で発症するリスクが高い。
ウ 精神神経症状は、医薬品の大量服用や長期連用、乳幼児への適用外の使用等の不適正な使用がなされた場合に限られ、通常の用法・用量では発生しない。
エ 無菌性髄膜炎は、多くの場合、発症は急性で、首筋のつっぱりを伴った激しい頭痛、発熱、吐きけ・嘔吐、意識混濁等の症状が現れる。
ア イ ウ エ
1 正 正 誤 正
2 正 誤 正 誤
3 誤 正 正 誤
4 誤 正 誤 誤
5 誤 誤 正 正
選択肢が甘いので難易度は低い。
ウ 誤り。通常の用法用量でも起こり得る。
正答・・・1
問38 消化器系に現れる副作用に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。
ア 医薬品の副作用による消化性潰瘍は、胃痛、空腹時のみぞおちの痛み等のはっきりとした自覚症状を常に生じる。
イ 腸管自体は閉塞していなくても、医薬品の作用によって腸管運動が麻痺して腸内容物の通過が妨げられると、激しい腹痛やガス排出(おなら)の停止、嘔吐、腹部膨満感を伴う著しい便秘が現れる。
ウ 浣腸剤や坐剤の使用によって現れる一過性の症状に、肛門部の熱感等の刺激、異物の注入による不快感、排便直後の立ちくらみなどがある。
エ 小児や高齢者のほか、普段から便秘傾向のある人は、イレウス様症状の発症のリスクが高い。
ア イ ウ エ
1 正 正 誤 誤
2 正 誤 正 正
3 正 誤 誤 正
4 誤 正 正 正
5 誤 誤 誤 誤
選択肢が甘いので難易度は低い
ア 誤り。自覚症状が乏しい場合もあり、貧血症状(動悸や息切れ等)の検査時や突然の吐血・下血によって発見されることもある(手引きより)
正答・・・4
問39 泌尿器系に現れる副作用に関する以下の記述のうち、正しいものの組み合わせを下から一つ選びな さい。
ア 医薬品の使用が原因となって腎障害を生じることがあり、尿量の減少、むくみ(浮腫)、倦怠感、 発疹、吐きけ・嘔吐、発熱、尿が濁る・赤みを帯びる(血尿)等の症状が現れたときは、原因と考えられる医薬品の使用を中止して、速やかに医師の診療を受ける必要がある。
イ 交感神経系の機能を抑制する作用がある成分が配合された医薬品を使用すると、膀胱の排尿筋の収縮が抑制され、尿が出にくい等の症状を生じ、これが進行すると、尿意があるのに尿が全く出 なくなったり(尿閉)、下腹部が膨満して激しい痛みを感じるようになる。
ウ 医薬品の使用が原因となって生じることがある排尿困難は、前立腺肥大等の基礎疾患がある場合に現れ、女性においては報告されていない。
エ 膀胱炎様症状として、尿の回数増加(頻尿)、排尿時の疼痛、残尿感等がある。
1(ア、イ) 2(ア、エ) 3(イ、ウ) 4(ウ、エ)
泌尿器系に現れる副作用に関する問題。
イ 誤り。×交感神経→〇副交感神経
ウ 誤り。前立腺肥大等の基礎疾患がない人でも現れることが知られており、男性に限らず女性においても報告されている。
正答・・・2
問40 医薬品の副作用に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。
ア 医薬品によっては、瞳の縮小(縮瞳)による異常な眩しさや目のかすみ等の副作用が現れることがある。
イ 以前、薬疹を経験したことがある人が、再度同種の医薬品を使用した場合でも、原因となる医薬品の使用を中止すれば、症状は次第に寛解するため、皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死融解症等 のより重篤なアレルギー反応を生じるおそれはない。
ウ 抗コリン作用がある成分が配合された医薬品では、眼圧の上昇に伴って、頭痛や吐きけ・嘔吐等 の症状が現れることもあり、高眼圧を長時間放置すると、視神経が損傷して不可逆的な視覚障害(視野欠損や失明)に至るおそれがある。
エ 接触性皮膚炎は、原因となる医薬品が接触してから発症するまでの時間は様々であるが、その医薬品が触れた皮膚の部分にのみ生じ、正常な皮膚との境界がはっきりしているのが特徴である。
ア イ ウ エ
1 正 正 誤 正
2 正 誤 正 誤
3 誤 正 正 誤
4 誤 正 誤 誤
5 誤 誤 正 正
H26九州地区の問題では、各章のラス問は、総合問題になっている。
確実な合格の為には、この程度の知識はクリアしておきたい。
ア 誤り。×瞳の縮小(縮瞳)→〇瞳の拡大(散瞳)。具体的には抗コリン作用があるピレンゼピン、ロートエキス、ブチルスコポラミン等の添付文書に注意記載がある。
イ 誤り。
ウ 正しい。
エ 正しい。なお「光線過敏症」については「医薬品が触れた部分だけでなく、全身へ広がって重篤化する場合がある」になるので、区別しておくこと。関連記事ケトプロフェン
正答・・・5
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