アセトアミノフェン(解熱鎮痛成分)

15歳未満でも服用可能な解熱鎮痛薬。総合感冒薬にも広く配合されている。
ヨーロッパでは主にパラセタモールの名称が使用されている。

アセトアミノフェンは世界的に知られた代表的な解熱鎮痛成分であり、15歳未満の小児でも使用できることから、販売現場でも大変重要な成分になります。
その歴史は古く、1800年代後半からその存在は知られていましたが、医薬品として広く使用されるようになったのは1950年代に入ってからだと言われます。

医療用・一般用ともに、解熱鎮痛薬として広く使用されていますが、中枢(脳)に直接働き、熱を下げたり、痛みを和らげると考えられており、末梢(ぶつけた、腫れたところ等)での抗炎症作用は強くないと言われています。

かつては、小児用の解熱鎮痛剤としてアスピリン等も用いられていたそうですが、その後ライ症候群(急性脳炎の一種)との関連性が報告され、それらは使用されなくなりました。そして現在、医療現場で小児用に処方される解熱鎮痛剤としては、安全性が高いとされるアセトアミノフェンがほぼ唯一の存在になっています。

医療用製品の代表名は「カロナール細粒・錠」「アンヒバ坐剤」等。小さいお子さんがいる方なら、聞いたことがある人も多いでしょう。なお、医療用「カロナール」のブランド名は、2024年1月に一般用医薬品にも転用されました。
 

そして、一般用医薬品でも同様で、15歳未満に使用できる解熱鎮痛薬とくればアセトアミノフェンになります。

 その為、小児から大人まで使えるファミリーユース向け総合感冒薬に配合される解熱鎮痛成分は、全てアセトアミノフェンが使用されていると思って差し支えありません。
エテンザミドサリチルアミドも同時に配合された、小児にも使える総合感冒薬もありますが、水痘(水ぼうそう)又はインフルエンザにかかっている15歳未満の小児に対しては使用を避ける必要があり、添付文書にも記載されます。イブプロフェンも感冒薬に含まれる解熱鎮痛成分として有名ですが、小児向けの製品には使用されていません。)


 問題作成のポイントは以下のとおり(手引きより抜粋)
 
①アルコールは、主として肝臓で代謝されるため、酒類(アルコール)をよく摂取する者では、その代謝機能が高まっていることが多い。その結果、アセトアミノフェンなどでは、通常よりも代謝されやすくなり、体内から医薬品が速く消失して十分な薬効が得られなくなることがある。
 ⇒これは第1章頻出です。ほぼ毎年出題されるつもりで覚えておきましょう。

②アセトアミノフェン、カフェイン、エテンザミドの組合せは、それぞれの頭文字から「ACE処方」と呼ばれる。

⇒1980年代の市販薬のCMでよく耳にしたフレーズですが、最近は殆ど聞かなくなりました。試験では時折出題されています。

③他の解熱鎮痛成分のような胃腸障害は少なく、空腹時に服用できる製品もあるが、食後の服用が推奨されている。

⇒空腹時にも服用できることは、例えば「タイレノールA」という製品の訴求ポイントになっており、プロスタグランジン産生にほぼ影響がないことも記載されています。(なお、タイレノールはアセトアミノフェン単剤製品ですが、15歳未満の適応はない)
  
 
④アルコールにより、アセトアミノフェンによる肝機能障害も起こりやすくなる。

⑤アスピリン喘息を誘発する恐れがある。
⇒喘息の人では、アスピリンやイブプロフェンと同様に、アスピリン喘息の恐れがある方には使用しないこととされています。
(但し、国際的にはアセトアミノフェンはアスピリン喘息の既往があっても安全性は高いと言われており、2023年10月の厚生労働省通知(医薬安発 1012 第2号)で医療用のアセトアミノフェンの添付文書は見直しが行われ、「アスピリン喘息の既往」については禁忌から削除されました。合わせて、アスピリン喘息既往者には1回あたりの用量が300㎎以下にするように記載されました。)


(ここからは余談)
イギリスでは、「アセトアミノフェン(acetaminophen)」のことを「パラセタモール(paracetamol)」と呼ぶことが一般的で、国際的に使用されている一般名です。パラセタモールの名称は、主にヨーロッパの他、香港もイギリスに統治されていた関係から「パラセタモール」の名称が使われています。
なお、海外ではアセトアミノフェン(パラセタモール)の大人1回当たりの服用量が500~1000㎎、1日最大4000㎎とされているものが一般的ですが、日本の市販薬では、1回300㎎、1日当たり900㎎になっているものが多く、服用量に大分差があります。


また、映画ではレオナルド・ディカプリオ主演の「ザ・ビーチ」にも、パラセタモールの名称で登場していました。

この映画は、タイの秘密の孤島に住む若者たちの間に繰り広げられるミステリアス・アドベンチャーで、「タイタニック号」ヒット後のディカプリオ主演作もあり話題になりましたが、この中で、ディカプリオが秘密の孤島から別の島に買い出しに出かける際、お使いを頼まれる場面があります。
ここで女性から「アスピリン○○錠、パラセタモール○○錠と・・・を買ってきて」といったセリフで登場します。

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