H30 千葉県(東京・神奈川・埼玉共通) 第2章 人体の働きと医薬品 問21-30

特別難しい問題はない

問21 消化器系に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a 歯冠の表面はエナメル質で覆われ、エナメル質の下には象牙質と呼ばれる組織がある。

b 口腔内は、唾液によってpHがほぼ中性に保たれ、酸による歯の齲蝕を防いでいる。

c 嚥下された飲食物は、食道の運動によって胃に送られるのではなく、重力によって胃に送られる。

d 胆嚢は、胆汁を産生し、濃縮して蓄える器官であり、回腸に内容物が入ってくると収縮して腸管内に胆汁を送り込む。

1(a、b) 2(a、d) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)


消化器系に関する問題。

a 正しい。
b 正しい。
c 誤り。重力によって胃に落ち込むのでなく、食道の運動によって胃に送られる。
d 誤り。×回腸⇒〇十二指腸

正答・・・1


問22 消化器系に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a 胃は上腹部にある中空の臓器で、中身が空の状態では扁平に縮んでいる。

b ペプシノーゲンは、胃酸によって主に炭水化物を消化する酵素であるペプシンとなり、胃酸とともに胃液として働く。

c 胃液による消化作用から胃自体を保護するため、胃の粘膜表皮を覆う細胞から粘液が分泌されている。

d 炭水化物主体の食品は、脂質分の多い食品に比べて胃内での滞留時間が長い。

1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、c) 5(b、d)


消化器系に関する問題。

a 正しい。
b 誤り。ペプシノーゲンは胃酸により、タンパク質を消化する酵素であるペプシンとなり、胃酸とともに胃液として働く。
c 正しい。
d 誤り。胃の滞留時間は、炭水化物主体の食品は比較的短く、脂質分の多い食品は比較的長い。

正答・・・2


問23 消化器系に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 大腸の粘膜上皮細胞は、腸内細菌が食物繊維を分解して生じる栄養分を、その活動に利用している。

b 通常、糞便は直腸に滞留している。

c 大腸では、水分とナトリウム、カリウム、リン酸等の電解質の吸収が行われる。

d 肛門は、直腸粘膜が皮膚へと連なる体外への開口部であり、直腸粘膜と皮膚の境目になる部分には歯状線と呼ばれるギザギザの線がある。

  a b c d
1 誤 正 誤 誤
2 正 誤 正 正
3 誤 正 正 正
4 誤 誤 誤 正
5 正 誤 正 誤


消化器系に関する問題。

a 正しい。
b 誤り。×直腸⇒〇下行結腸・S状結腸。通常、糞便は下行結腸、S状結腸に滞留し、直腸は空になっている。S状結腸に溜まった糞便が直腸へ送られてくると、その刺激に反応して便意が起こる。
c 正しい。
d 正しい。

正答・・・2


問24 呼吸器系に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a 喉頭から肺へ向かう気道が左右の肺へ分岐するまでの部分を気管支という。

b 吸い込まれた粉塵等の異物は、気道粘膜から分泌される粘液にからめ取られ、線毛運動による粘液層の連続した流れによって気道内部から咽頭へ向けて排出される。

c 肺胞と毛細血管を取り囲んで支持している組織を間質という。

d 肺胞は、異物や細菌が侵入してきたときのために粘液層や線毛によって保護されている。

1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、c) 5(c、d)


呼吸器系に関する問題。

a 誤り。これは「気管」に関する内容。気管から肺の中で複数に枝分かれする部分を気管支という。
b 正しい。
c 正しい。
d 誤り。

正答・・・4


問25 循環器系に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a 心臓の心室には、血液を取り込む側と送り出す側にそれぞれ弁があり、心臓の動き (拍動)と協調して交互に開閉する。

b 血液の粘稠性は、主として血漿の水分量や血中脂質量で決まり、赤血球の量はほとんど影響を与えない。

c リンパ液の流れは主に骨格筋の収縮によるものであり、流速は血流に比べて緩やかで ある。

d リンパ管は、互いに合流して次第に太くなり、最終的に鎖骨の下にある動脈につながるが、途中にリンパ節と呼ばれる結節がある。

1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、d) 5(c、d)


循環器系に関する問題。

a 正しい。
b 誤り。血液の粘稠性は、主として血漿の水分量や赤血球の量で決まり、血中脂質量はほとんど影響を与えないとされる。(昨年も同じ設問があり)
c 正しい。
d 誤り。×動脈⇒〇静脈

正答・・・2


問26 血液に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 血液全体の約40%を占める赤血球は、銅と結合したタンパク質であるヘモグロビンを含み、脾臓で産生される。

b 白血球の約60%を占める好中球は、感染が起きた組織に遊走して集まり、細菌やウイルス等を食作用によって取り込んで分解する。

c 白血球の約1/3を占める単球は、リンパ節、脾臓等のリンパ組織で増殖し、細菌、ウイルス等の異物を認識したり、それらに対する抗体を産生する。

  a b c
1 誤 正 誤
2 正 正 誤
3 誤 誤 正
4 正 誤 正
5 誤 正 正


血液に関する問題。
白血球に関する出題ポイントも参照を。

a 誤り。×銅⇒〇鉄。×脾臓⇒〇骨髄
b 正しい。
c 誤り。これはリンパ球に関する内容。単球は、白血球の約5%と少ないが最も大きく、強い食作用を持つ。マクロファージ(貪食細胞) とも呼ばれる。
↓血液像検査結果の例

正答・・・1


問27 泌尿器系に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a 副腎皮質では、自律神経系に作用するアドレナリンとノルアドレナリンが主に産生・ 分泌される。

b 尿細管では、肝臓でアミノ酸が分解されて生成する尿素などの血液中の老廃物が濾過され、原尿として腎小体に入る。

c 腎小体は、糸球体とその外側を包み込む袋状のボウマン嚢から成る。

d 女性は尿道が短いため、細菌などが侵入したとき膀胱まで感染を生じやすい。

1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、d) 5(c、d)


泌尿器系に関する問題。
副腎は左右の腎臓の上部にそれぞれ附属し、皮質と髄質の2層構造からなる。その違いはしっかり押さえておきたい。

a 誤り。なお、「副腎皮質」では、アルドステロン等の副腎皮質ホルモンが産生・分泌される。「副腎髄質」ではアドレナリンとノルアドレナリンが産生・分泌される。
b 誤り。尿細管と腎小体が逆になっている。
c 正しい。
d 正しい。

正答・・・5


問28 感覚器官(目、鼻及び耳)に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 水晶体は、その周りを囲んでいる毛様体の収縮・弛緩によって、近くの物を見るときには扁平になり、遠くの物を見るときには丸く厚みが増す。

b 鼻中隔の前部は、毛細血管が豊富に分布していることに加えて粘膜が薄いため、傷つきやすく鼻出血を起こしやすい。

c 聴覚器官である蝸牛と平衡器官である前庭は、いずれも内部がリンパ液で満たされている。

d 耳垢は、内耳にある耳垢腺や皮脂腺からの分泌物に、 埃や内耳上皮の老廃物などが混じったものである。

  a b c d
1 誤 誤 誤 正
2 正 正 誤 正
3 誤 正 正 誤
4 正 誤 正 誤
5 誤 正 正 正


感覚器官(目、鼻及び耳)に関する問題。

a 誤り。水晶体は、近くの物を見るときには丸く厚みが増し、遠くの物を見るときには扁平になる。 
b 正しい。
c 正しい。前庭・蝸牛の内部はリンパ液で満たされており、リンパ液の動きが平衡感覚として感知される。
d 誤り。耳垢腺や皮脂腺は「外耳道」にある。
耳の構造は憶えるポイントが多いので、図でイメージできるように。


正答・・・3


問29 外皮系に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a 体温が下がり始めると、皮膚を通っている毛細血管に血液がより多く流れるように血管が拡張し、体外への放熱を抑える。

b 皮膚は、表皮、真皮、皮下組織の3層構造からなり、表皮は最も外側にある角質層と生きた表皮細胞の層に分けられる。

c メラニン色素は、表皮の最下層にあるメラニン産生細胞(メラノサイト)で産生され、 太陽光に含まれる紫外線から皮膚組織を防護する役割がある。

d 精神的緊張による発汗は、全身の皮膚に生じる。

1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、c) 5(c、d)


外皮系に関する問題。

a 誤り。体温が下がり始めると血管は収縮して、放熱を抑える。 一方で、体温が上がり始めると、皮膚を通っている毛細血管に血液がより多く流れるように血管が開き、体外へより多くの熱を排出する。
b 正しい。
c 正しい。
d 誤り。手引きでは「精神的緊張による発汗は手のひらや足底、脇の下の皮膚に限って起こる」と書かれている。なお、体温調節のための発汗は全身の皮膚に生じる。

正答・・・4


問30 骨格系及び筋組織に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 骨は生きた組織であるが、身体の成長が停止した後では、骨形成は起こらず、骨吸収だけが進行する。

b 骨組織を構成する無機質は、炭酸カルシウムやリン酸カルシウム等の石灰質からなる。

c 筋組織は、筋細胞と結合組織からできているのに対して、腱は結合組織のみでできている。

d 骨格筋は、横紋筋とも呼ばれ、収縮力が強く、自分の意識どおりに動かすことができる随意筋である。

  a b c d
1 誤 正 誤 正
2 正 誤 誤 正
3 正 誤 誤 誤
4 誤 誤 正 誤
5 誤 正 正 正


格系及び筋組織に関する問題。

a 誤り。成長が停止した後も一生を通じて破壊(骨吸収)と修復(骨形成)が行われている。
b 正しい。
c 正しい。
d 正しい。

正答・・・5

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