R1 愛知県(東海・北陸地区共通)第2章 人体の働きと医薬品 (PM問1-10)

問1
消化器系に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 消化器系は、飲食物を消化して生命を維持していくため必要な栄養分として吸収し、その残滓を体外に排出する器官系である。

b 消化には、消化腺から分泌される消化液による化学的消化と、咀嚼(食物を噛み、口腔内で粉砕すること)や消化管の運動による機械的消化とがある。

c 小腸のうち十二指腸に続く部分の、概ね上部40%が空腸、残り約60%が回腸であり、明確な境目がある。

d 消化器系には、消化管と消化腺があり、消化管には、口腔、咽頭、食道、胃、小腸、大腸、肛門が含まれる。

  a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 誤 正 正
3 誤 正 誤 正
4 正 誤 正 誤
5 正 正 誤 正


消化器系に関する問題。小腸・大腸の長さに関する記事も参照を。

a 正しい。
b 正しい。
c 誤り。明確な境目はない。上部40%が空腸、残り約60%が回腸である点は正しい内容。
d 正しい。

正答・・・5


問2
胃に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

1 胃内壁の粘膜の表面には無数の微細な孔があり、胃腺につながって塩酸(胃酸)のほか、トリプシノーゲンを分泌している。

2 胃酸は、胃内を強酸性に保って内容物が腐敗や発酵を起こさないようにする役目も果たしている。

3 食道から送られてきた内容物は、胃の運動によって胃液と混和され、かゆ状となって小腸に送り出されるまで数時間、胃内に滞留する。

4 胃粘液に含まれる成分は、小腸におけるビタミンB12の吸収にも重要な役割を果たしている。


胃に関する問題。

1 誤り。×トリプシノーゲン→〇ペプシノーゲン。ペプシノーゲンは胃酸によってペプシンとなり、胃酸とともに胃液として働く。
2 正しい。
3 正しい。
4 正しい。

正答・・・1


問3
大腸に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a 大腸の腸内細菌は、血液凝固や骨へのカルシウム定着に必要なビタミンK等の物質も産生している。

b 大腸の内壁には輪状のひだがあり、その粘膜表面は絨毛(柔突起ともいう。)に覆われている。

c S状結腸に溜まった糞便が下行結腸へ送られてくると、その刺激に反応して便意が起こる。

d 腸の内容物は、大腸の運動によって腸管内を通過するに従って水分とナトリウム、カリウム、リン酸等の電解質の吸収が行われ、固形状の糞便となる。

1(a、b) 2(b、c) 3(c、d) 4(a、d)


大腸に関する問題。
大腸は、盲腸、虫垂、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸からなる管状の臓器で、内壁粘膜に 絨毛がないのが小腸との大きな違いとなる。

a 正しい。
b 誤り。
c 誤り。S状結腸に溜まった糞便が直腸へ送られてくると、その刺激に反応して便意が起こる。
d 正しい。

正答・・・4


問4
胆嚢及び肝臓に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a 腸内に放出された胆汁酸塩(コール酸、デオキシコール酸等の塩類)の大部分は、再吸収されずに排泄される。

b 胆汁に含まれる胆汁酸塩は、脂質の消化を容易にし、また、脂溶性ビタミンの吸収を助ける。

c 肝臓では、必須アミノ酸を生合成することができる。

d 肝臓は、消化管等から吸収された、又は体内で生成した、滞留すると生体に有害な物質を、肝細胞内の酵素系の働きで代謝して無毒化し、又は体外に排出されやすい形にする。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、d) 4(c、d)


胆嚢及び肝臓に関する問題。

a 誤り。胆汁酸塩の大部分は、小腸で再吸収されて肝臓に戻される(腸肝循環
b 正しい。
c 誤り。必須アミノ酸は体内で作られず、食品などから摂取する必要があるアミノ酸。なお、肝臓は脂溶性ビタミン(ビタミンA、D等)やビタミンB6やB12等の水溶性ビタミンの貯蔵臓器でもある点も押さえておきたい。
d 正しい。

正答・・・3


問5
呼吸器系に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 肺の内部で気管支が細かく枝分かれし、末端はブドウの房のような構造となっており、その球状の袋部分を肺胞という。

b 肺胞の壁は非常に薄くできており、周囲を毛細血管が網のように取り囲んでいる。

c 喉頭の大部分と気管から気管支までの粘膜は線毛上皮で覆われており、吸い込まれた粉塵、細菌等の異物は、気道粘膜から分泌される粘液にからめ取られ、線毛運動による粘液層の連続した流れによって気道内部から咽頭へ向けて排出され、唾液とともに嚥下される。

d 咽頭は、喉頭と気管の間にある軟骨に囲まれた円筒状の器官で、軟骨の突起した部分がいわゆる「のどぼとけ」である。

  a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 正
4 誤 正 正 正
5 正 正 正 正


呼吸器系に関する問題。

a 正しい。
b 正しい。
c 正しい。
d 誤り。×咽頭→〇喉頭。

正答・・・1


問6
循環器系に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

1 毛細血管は、動脈と静脈の間をつなぐように体中の組織に細かく張り巡らされている細い血管である。毛細血管の薄い血管壁を通して、酸素と栄養分が血液中から組織へ運び込まれ、それと交換に二酸化炭素や老廃物が組織から血液中へ取り込まれる。

2 血液は、血漿と血球からなり、酸素や栄養分を全身の組織に供給し、二酸化炭素や老廃物を排泄器官へ運ぶほか、ホルモンの運搬によって体内各所の器官・組織相互の連絡を図る役割もある。

3 単球は、白血球の約1/3を占め、細菌、ウイルス等の異物を認識したり、それらに対する抗体(免疫グロブリン)を産生する。

4 リンパ節の内部にはリンパ球やマクロファージ(貪食細胞)が密集していて、リンパ液で運ばれてきた細菌やウイルス等は、ここで免疫反応によって排除される。


循環器系に関する問題。

1 正しい。
2 正しい。
3 誤り。これはリンパ球に関する内容。。単球は、白血球の約5%と少ないが最も大きく、強い食作用を持つ。血管壁を通り抜けて組織の中に入り込むことができ、ではマクロファージ(貪食細胞)と呼ばれる。。白血球の出題ポイントに関する記事も参照を。
4 正しい。
↓血液像検査結果の例


正答・・・3


問7
脾臓及び腎臓に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

1 脾臓の主な働きは、脾臓内を流れる血液から古くなった赤血球を濾し取って処理することである。

2 脾臓にはリンパ球が増殖、密集する組織(リンパ組織)があり、血流中の細菌やウイルス等の異物に対する免疫応答に関与する。

3 副腎皮質ホルモンの一つであるアルドステロンは、体内に塩分と水を貯留し、カリウムの排泄を抑制する作用がある。

4 腎臓では、血液中の老廃物の除去のほか、水分及び電解質(特にナトリウム)の排出調節が行われており、血液の量と組成を維持して、血圧を一定範囲内に保つ上でも重要な役割を担っている。


脾臓及び腎臓に関する問題。

1 正しい。
2 正しい。
3 誤り。×カリウムの排泄を抑制→〇カリウムの排泄を促す。なお、「副腎皮質」では、アルドステロン等の副腎皮質ホルモンが産生・分泌される。「副腎髄質」ではアドレナリンとノルアドレナリンが産生・分泌される。
4 正しい。

正答・・・3


問8
感覚器官(目、鼻及び耳)に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a 角膜には光を受容する細胞(視細胞)が密集していて、個々の視細胞は神経線維につながり、それが束なって眼球の後方で視神経となる。

b 涙器は涙液を分泌する涙腺と、涙液を鼻腔に導出する涙道からなる。涙腺は上眼瞼の裏側にある分泌腺で、血漿から涙液を産生する。

c 聴覚器官である蝸牛と、平衡器官である前庭は、いずれの内部もリンパ液で満たされている。

d 鼻中隔の前部は粘膜が薄く、毛細血管をほとんど含まないので、鼻出血を起こしにくい。

1(a、b) 2(b、c) 3(c、d) 4(a、d)


感覚器官(目、鼻及び耳)に関する問題。

a 誤り。×角膜→〇網膜
b 正しい。
c 正しい。前庭・蝸牛の内部はリンパ液で満たされており、リンパ液の動きが平衡感覚として感知される。
d 誤り。毛細血管が豊富に分布し粘膜が薄いため、傷つきやすく鼻出血を起こしやすい。

正答・・・2


問9
骨格系及び外皮系に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

1 骨には、骨格筋の収縮を効果的に体躯の運動に転換する運動機能がある。

2 血漿は、骨髄で産生される造血幹細胞から分化し、体内に供給されている。

3 体温が上がり始めると、皮膚を通っている毛細血管に血液がより多く流れるように血管が開き、体外へより多くの熱を排出する。

4 ヒトの皮膚の表面には常に一定の微生物が付着しており、それら微生物の存在によって、皮膚の表面での病原菌の繁殖が抑えられ、また、病原菌の体内への侵入が妨げられている。


骨格系及び外皮系に関する問題。

1 正しい。
2 誤り。×血漿→〇赤血球、白血球、血小板
3 正しい。
4 正しい。

正答・・・2


問10
交感神経系が活発になっているとき、各臓器・器官(効果器)とその効果器に生じる主な反応との関係の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

(臓器・器官) (主な反応)
a 目 ― 瞳孔収縮
b 心臓 ― 心拍数減少
c 気管、気管支 ― 収縮
d 胃 ― 胃液分泌亢進

  a b c d
1 誤 誤 誤 正
2 誤 誤 正 誤
3 誤 正 誤 誤
4 正 誤 誤 誤
5 誤 誤 誤 誤


交感神経系に関する問題。
交感神経系=体が闘争や恐怖等の緊張状態に対応した態勢をとるように働く
副交感神経=体が食事や休憩等の安息状態となるように働く

a 誤り。
b 誤り。
c 誤り。
d 誤り。


正答・・・5

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