R4 千葉県(東京・神奈川・埼玉共通) 第1章 医薬品に共通する特性と基本的な知識(問11-20)
過去問対策で十分対応できる問題です。
問11
高齢者と医薬品に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 「医療用医薬品の添付文書等の記載要領の留意事項」(平成29年6月8日付け薬生安発0608第1号厚生労働省医薬・生活衛生局安全対策課長通知別添)において、おおよその目安として70歳以上を「高齢者」としている。
b 高齢者は、若年時と比べて医薬品の副作用を生じるリスクが高くなるが、基礎体力や生理機能の衰えの度合いは個人差が大きく、年齢のみから一概にどの程度リスクが増大しているかを判断することは難しい。
c 一般用医薬品の販売等に際しては、実際にその医薬品を使用する高齢者の個々の状況に即して、適切に情報提供や相談対応がなされることが重要である。
a b c
1 正 正 正
2 正 正 誤
3 誤 誤 正
4 誤 正 正
5 誤 誤 誤
高齢者と医薬品に関する問題。
「医療用医薬品の添付文書等の記載要領の留意事項」では、目安として65歳以上を「高齢者」としている。
a 誤り。×70歳⇒〇65歳
b 正しい。
c 正しい。
正解・・・4
問12
医療機関で治療を受けている人等が一般用医薬品を使用する場合に、医薬品の販売等に従事する専門家として留意すべきことに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 生活習慣病等の慢性疾患を持つ人において、疾患の種類や程度によっては、一般用医薬品を使用することでその症状が悪化したり、治療が妨げられることもある。
2 過去に医療機関で治療を受けていた(今は治療を受けていない)という場合には、どのような疾患について、いつ頃かかっていたのか(いつ頃治癒したのか)を踏まえ、購入者等が一般用医薬品の使用の可否を適切に判断することができるよう情報提供がなされることが重要である。
3 医療機関・薬局で交付された薬剤を使用している人については、登録販売者において一般用医薬品との併用の可否を判断することは困難なことが多く、その薬剤を処方した医師若しくは歯科医師又は調剤を行った薬剤師に相談するよう説明する必要がある。
4 医療機関での治療を特に受けていない場合であれば、一般用医薬品の使用について注意する必要はない。
5 一般用医薬品の購入者等に対して、医療機関で治療を受ける際には、使用している一般用医薬品の情報を医療機関の医師や薬局の薬剤師等に伝えるよう説明することも重要である。
医療機関で治療を受けている人への一般用医薬品の販売に関する問題。
これは、サービス問題でしょう。
1 正しい。
2 正しい。
3 正しい。
4 誤り。医療機関での治療は特に受けていない場合であっても、医薬品の種類や配合成分等によっては、特定の症状がある人が使用するとその症状を悪化させるおそれがある等、注意が必要なものがある。
5 正しい。
正解・・・4
問13
プラセボ効果(偽薬効果)に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 医薬品を使用したときにもたらされる反応や変化には、薬理作用によるもののほか、プラセボ効果によるものも含まれる。
b プラセボ効果は、医薬品を使用したこと自体による楽観的な結果への期待(暗示効果)や、条件付けによる生体反応、時間経過による自然発生的な変化(自然緩解など)等が関与して生じると考えられている。
c 医薬品は、薬理作用のほか、プラセボ効果を目的として使用されるべきである。
d プラセボ効果によってもたらされる反応や変化には、不都合なもの(副作用)はない。
a b c d
1 正 誤 正 誤
2 正 正 誤 誤
3 誤 誤 正 誤
4 誤 正 正 正
5 正 正 誤 正
ほぼ毎年出題されているプラセボ(偽薬効果)に関する問題。
医薬品を使用したとき、結果的又は偶発的に薬理作用によらない作用を生じることをプラセボ効果(偽薬効果)という。プラセボ効果は、医薬品を使用したことによる楽観的な結果期待(暗示効果)や、条件付けによる生体反応、時間経過による自然発生的な変化(自然緩解など)等が関与していると考えられている。
a 正しい。
b 正しい。
c 誤り。プラセボ効果は、不確実であり、それを目的として医薬品が使用されるべきではない。
d 誤り。もたらされる反応や変化にも、望ましいもの(効果)と不都合なもの(副作用)とがある。
正解・・・2
問14
医薬品の品質に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 医薬品に配合されている成分には、高温や多湿によって品質の劣化(変質・変敗)を起こしやすいものが多いが、光(紫外線)による劣化を起こすものはない。
b 外箱等に表示されている「使用期限」は、開封の有無にかかわらず製品の品質が保持される期限である。
c 品質が承認等された基準に適合しない医薬品や、その全部又は一部が変質・変敗した物質から成っている医薬品は、販売が禁止されている。
d 医薬品は、適切な保管・陳列がなされなければ、効き目が低下したり、人体に好ましくない作用をもたらす物質を生じることがある。
1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、c) 5(c、d)
医薬品の品質に関する問題。
a 誤り。光(紫外線)によって劣化するものもある。
b 誤り。表示されている「使用期限」は、未開封状態で保管された場合に品質が保持される期限である。(出題されないが)例えば、子供向けのかぜ薬シロップの場合、開封後は冷蔵保存で2-3か月が期限の目安とされる。
c 正しい。
d 正しい。
正解・・・5
問15
一般用医薬品承認審査合理化等検討会中間報告書「セルフメディケーションにおける一般用医薬品のあり方について」(平成14年11月)において、一般用医薬品の役割とされている次の事項の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 重度な疾病に伴う症状の改善
b 生活習慣病等の疾病に伴う症状発現の予防(科学的・合理的に効果が期待できるものに限る。)
c 健康の維持・増進
d 生活の質(QOL)の改善・向上
a b c d
1 正 誤 正 誤
2 正 正 誤 正
3 誤 誤 正 正
4 誤 正 正 正
5 誤 正 誤 正
「セルフメディケーションにおける一般用医薬品のあり方について」に関する問題。
「一般用医薬品」の役割としては、以下の6つがある。
(1) 軽度な疾病に伴う症状の改善
(2) 生活習慣病x等の疾病に伴う症状発現の予防(科学的・合理的に効果が期待できるものに限る。)
(3) 生活の質(QOL)の改善・向上
(4) 健康状態の自己検査
(5) 健康の維持・増進
(6) その他保健衛生
a 誤り。×重度⇒〇軽度
b 正しい。
c 正しい。
d 正しい。
正解・・・4
問16
一般用医薬品の選択及びセルフメディケーションに関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 一般用医薬品にも、使用すればドーピングに該当する成分を含んだものがあるため、スポーツ競技者から相談があった場合は、専門知識を有する薬剤師などへの確認が必要である。
b 一般用医薬品の販売等に従事する専門家においては、購入者等に対して常に科学的な根拠に基づいた正確な情報提供を行い、セルフメディケーションを適切に支援していくことが期待されている。
c 一般用医薬品で対処可能な範囲は、医薬品を使用する人によって変わってくるものであるため、乳幼児や妊婦等では、通常の成人の場合に比べ、対処可能な範囲が限られてくる。
a b c
1 正 正 正
2 正 正 誤
3 誤 誤 正
4 誤 正 正
5 誤 正 誤
一般用医薬品の選択及びセルフメディケーションに関する問題。
a 正しい。なお、ドーピングに関する内容は令和4年の手引き改訂で追加されました。
b 正しい。
c 正しい。
正解・・・1
問17
一般用医薬品の販売時のコミュニケーションにおいて、医薬品の販売等に従事する専門家として留意すべき事項に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 購入者側に情報提供を受けようとする意識が乏しく、コミュニケーションが成立しがたい場合であっても、購入者側から医薬品の使用状況に係る情報をできる限り引き出し、可能な情報提供を行っていくためのコミュニケーション技術を身につけるべきである。
b 購入者等が医薬品を使用する状況は随時変化する可能性があるため、販売数量は一時期に使用する必要量とする等、販売時のコミュニケーションの機会が継続的に確保されるよう配慮することが重要である。
c 購入者等があらかじめ購入する医薬品を決めている場合は、購入者等の個々の状況把握に努める必要はない。
d 購入者等の状況を把握するため購入者等に尋ねる場合は、一般用医薬品の使用状況のみを簡潔に確認するよう努める必要がある。
1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、c) 5(c、d)
一般用医薬品の販売時におけるコミュニケーション及び留意事項に関する問題。
医薬品の販売等に従事する専門家が購入者等から確認しておきたい基本的なポイントは以下のような事項がある。
① 何のためにその医薬品を購入しようとしているか(購入者等側のニーズ、購入の動機)
② その医薬品を使用するのは情報提供を受けている当人か、又はその家族等が想定されるか
③ その医薬品を使用する人として、小児や高齢者、妊婦等が想定されるか
④ その医薬品を使用する人が医療機関で治療を受けていないか
⑤ その医薬品を使用する人が過去にアレルギーや医薬品による副作用等の経験があるか
⑥ その医薬品を使用する人が相互作用や飲み合わせで問題を生じるおそれのある他の医薬品の使用や食品を摂取をしていないか
a 正しい。
b 正しい。
c 誤り。宣伝広告や販売価格等に基づいて漠然と選択していることもあり、購入者等の個々の状況把握に努める。
d 誤り。
正解・・・1
問18
サリドマイド及びサリドマイド訴訟に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a サリドマイド訴訟は、サリドマイド製剤を妊娠している女性が使用したことにより、出生児に四肢欠損、耳の障害等の先天異常(サリドマイド胎芽症)が発生したことに対する損害賠償訴訟である。
b 日本では、サリドマイド製剤の催奇形性について海外から警告が発せられた後、直ちに出荷停止、販売停止及び回収措置がとられた。
c 催眠鎮静成分であるサリドマイドには、血管新生を妨げる作用もある。
d サリドマイド製剤は、一般用医薬品として販売されていたことはない。
1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)
長年4問出題されることが主流だった薬害関連は、前年に引き続き今回も3問でした。
まずはサリドマイド訴訟に関する問題。
これは、催眠鎮静剤等として販売されたサリドマイド製剤を妊娠している女性が使用し、出生児に四肢欠損等の先天異常が発生したことに対する損害賠償訴訟である。
a 正しい。
b 誤り。日本では1961年12月に西ドイツ企業から勧告が届いており、翌年もその企業から警告が発せられていたにもかかわらず、出荷停止は1962年5月まで行われず、販売停止及び回収措置は同年9月であるなど、対応の遅さが問題視された。
c 正しい。
d 誤り。サリドマイド、キノホルム製剤は一般用医薬品としても販売されていた。
正解・・・2
問19
スモン訴訟に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a スモン訴訟は、整腸剤として販売されていたキノホルム製剤を使用したことにより、亜急性脊髄視神経症に罹患したことに対する損害賠償訴訟である。
b スモン患者に対する施策や救済制度として、治療研究施設の整備、治療法の開発調査研究の推進、施術費および医療費の自己負担分の公費負担、世帯厚生資金貸付による生活資金の貸付、重症患者に対する介護事業が講じられている。
c スモン訴訟は、現在も全面的な和解は成立していない。
d スモン訴訟を一つの契機として、医薬品の副作用による健康被害の迅速な救済を図るため、医薬品副作用被害救済制度が創設された。
a b c d
1 正 正 誤 誤
2 正 正 誤 正
3 誤 誤 正 正
4 誤 正 正 正
5 正 誤 正 誤
次はスモン訴訟に関する問題。
整腸剤として販売されていたキノホルム製剤を使用したことにより、亜急性脊髄視神経症(スモン)に罹患したことに対する損害賠償訴訟である。
a 正しい。
b 正しい。
c 誤り。1971年5月に国及び製薬企業を被告として提訴された。被告である国は、和解による解決が望ましいとの基本方針に立って、各地の地裁及び高裁において和解が勧められ、1979年9月に全面和解が成立した。
d 正しい。
正解・・・2
問20
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)訴訟に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a HIV訴訟は、国及び製薬企業を被告とし、大阪地裁、東京地裁で提訴され、両地裁で和解が成立した。
b HIV訴訟の和解を踏まえ、国は、薬害の再発を防止するための様々な取り組みを推進したが、その後、サリドマイド訴訟、スモン訴訟が相次いで起こった。
c HIV感染者に対する恒久対策のほか、緊急に必要とされる医薬品を迅速に供給するための「緊急輸入」制度の創設等を内容とする改正薬事法が成立し、施行された。
a b c
1 誤 正 正
2 正 誤 正
3 正 正 誤
4 誤 誤 正
5 誤 誤 誤
HIV訴訟に関する問題。
これは、血友病患者が、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)が混入した原料血漿から製造された血液凝固因子製剤の投与を受けたことにより、HIVに感染したことに対する損害賠償訴訟。
a 正しい。大阪地裁、東京地裁は、1995年10月、1996年3月にそれぞれ和解勧告を行い、1996年3月に両地裁で和解が成立した。
b 誤り。時系列が不適切。サリドマイド訴訟、スモン訴訟の後に、HIV訴訟が起こっている。
c 正しい。
正解・・・2