H27 山形県(北海道・東北)第2章 人体の働きと医薬品(問71-80)
副作用に関しては頻出の基礎的内容ばかりで簡単。10問正答も十分可能。
問71 外皮系に関する以下の記述について、正しいものの組み合わせはどれか。
a ヒトの皮膚の表面には常に一定の微生物が付着しており、それら微生物の存在によって、皮膚の表面での病原菌の繁殖が促進される。
b メラニン色素は、表皮の最下層にあるメラニン産生細胞(メラノサイト)で産生され、太陽光に含まれる紫外線から皮膚組織を防護する役割がある。
c 体温が下がり始めると血管は拡張して、放熱を抑える。
d 皮脂の分泌が低下すると皮膚が乾燥し、皮膚炎や湿疹を起こすことがある。
1(a、b) 2(a、c) 3(b、d) 4(c、d)
外皮系に関する問題。
a 誤り。前半部分は正しいが、後半に誤りがある。一定の微生物が皮膚に付着しているが、それによって皮膚の表面での病原菌の繁殖が抑えられる。
b 正しい。メラニン色素は、表皮の最下層にあるメラニン産生細胞(メラノサイト)で産生され、太陽光に含まれる紫外線から皮膚組織を防護する。
c 誤り。体温が下がり始めると血管は収縮し、放熱を抑える。夏よりも冬場の方が血圧が高めになりやすいと聞いたことがある人も多いはず。
d 正しい。
正答・・・3
問 72 医薬品の吸収に関する以下の記述について、正しいものの組み合わせはどれか。
a 一般に、消化管からの吸収は、消化管が積極的に医薬品成分を取り込むのではなく、濃度の高い方から低い方へ受動的に拡散して吸収される。
b 坐剤は、内服の場合よりも全身作用がゆっくり現れる。
c 点眼剤は、鼻涙管を通って鼻粘膜から吸収されることがあるため、眼以外の部位に到達して副作用を起こすことがある。
d 有効成分が皮膚から浸透して体内の組織で作用する医薬品は、皮膚の状態、傷の有無やその程度によって、浸透する量に影響を受けない。
1(a、b) 2(a、c) 3(b、d) 4(c、d)
医薬品の吸収に関する問題。
a 正しい。ちょっと難しい内容だが、押さえておきましょう。
b 誤り。これは重要な知識。直腸の粘膜下には静脈が豊富に分布しており、有効成分は容易に循環血液中に入るため、坐薬は内服の場合よりも全身作用が速やかに現れる。
c 正しい。
d 誤り。これはわかるでしょう。影響をうける。
正答・・・2
問 73 医薬品の代謝や排泄に関する以下の記述について、正しい組み合わせはどれか。
a 肝臓の機能が低下した人では、正常な人に比べて医薬品の効き目が過剰に現れることがある。
b 多くの医薬品の有効成分は、血液中で血漿タンパク質と結合して複合体を形成し、複合体を形成している有効成分の分子は、薬物代謝酵素の作用で代謝される。
c 医薬品の成分によっては、未変化体又は代謝物として、腎臓から尿中へ、肝臓か ら胆汁中へ、又は肺から呼気中へ排出される。
d 血漿タンパク質と医薬品の有効成分との複合体は、腎臓で濾過され、尿中に排泄される。
1(a、b) 2(a、c) 3(b、d) 4(c、d)
医薬品の代謝や排泄に関する問題。
医薬品販売に携わるには重要な知識なのでしっかり理解しておきたい。
a 正しい。薬の代謝が遅れることになり、効き目が過剰に現れることがある。
b 誤り。手引きの記載内容は以下の通り。「複合体を形成している有効成分の分子には薬物代謝酵素の作用で代謝されない。またトランスポーターによって輸送されることもない。したがって、代謝や分布が制限されるため、血中濃度の低下は徐々に起こる。」
c 正しい。
d 誤り。血漿タンパクとの複合体は腎臓で濾過されないため、有効成分が長く循環血液中に留まることとなり、作用が持続する原因となる。
正答・・・2
問74 医薬品の剤型に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 錠剤(内服)を水なしで服用すると、喉や食道に張り付いてしまうことがあり、喉や食道の粘膜を傷めるおそれがある。
b 顆粒剤は粒の表面がコーティングされているものもあるので、噛み砕かずに水などで服用する。
c カプセル剤は、カプセルの原材料として広く用いられるゼラチンがブタなどのタンパク質を主成分としているため、ゼラチンに対してアレルギーを持つ人は使用を避けるなどの注意を必要とする。
d チュアブル錠は、口の中で舐めたり噛み砕いたりして服用する剤型のため、水なしでも服用できる。
a b c d
1 正 正 正 正
2 正 正 誤 正
3 誤 誤 正 誤
4 誤 正 正 誤
5 誤 誤 誤 正
医薬品の剤型に関する問題。
チュアブル錠さえ知っていれば簡単。
a 正しい。常識的に考えれば良い。
b 正しい。
c 正しい。
d 正しい。チュアブル錠の記事もご参考に。
正答・・・1
問75 外用局所に適用する剤型に関する以下の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 液剤は、軟膏剤とクリーム剤に比べて、患部が乾きやすいという特徴があり、 適用部位に直接的な刺激感等を与える場合がある。
2 テープ剤は、適用部位に有効成分が一定時間留まるため、薬効の持続が期待できるが、適用部位にかぶれなどを起こす場合もある。
3 クリーム剤は、有効成分が適用部位に止まりやすいという特徴があり、軟膏剤と比べて適用部位を水から遮断したい場合に用いることが多い。
4 スプレー剤は、手指等では塗りにくい部位や、広範囲に適用する場合に適している。
外用薬の剤型に剤型に関する問題。
1 正しい。
2 正しい。
3 誤り。これは軟膏に関する説明。クリーム剤は患部を水で洗い流したい場合等に用いることが多い。軟膏とクリーム剤の違いの記事もご参考ください。
4 正しい。
正答・・・3
問 76 医薬品が原因となるショック(アナフィラキシー)に関する以下の記述について、誤っているものはどれか。
1 アナフィラキシーの症状は、発症後の進行が非常に速やかな(通常、2時間以内に急変する。)ことが特徴である。
2 医薬品の場合、以前にその医薬品によって蕁麻疹等のアレルギーを起こした人は、耐性を生じるため起きる可能性は低い。
3 アナフィラキシーは、適切な対応が遅れるとチアノーゼや呼吸困難が生じることがある。
4 アナフィラキシー様症状という呼称は、初めて使用した医薬品で起きる場合等を含み、その原因がアレルギーかどうかはっきりしない場合に用いられる。
頻出の「アナフィラキシー」に関する内容。手引きを読むと、ちょっと難しい印象を受けるかもしれないが、問われるポイントは限られているので、落さないようにしたい。
1 正しい。
2 誤り。可能性が高い。
3 正しい。
4 正しい。
正答・・・2
問 77 消化器系に現れる副作用に関する以下の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
a 消化性潰瘍は、腸内容物の通過が阻害された状態をいう。
b 消化性潰瘍は、自覚症状が乏しい場合もあり、貧血症状(動悸や息切れ等)の 検査時や突然の吐血・下血により発見されることもある。
c イレウスは、消化管の出血を伴って糞便が黒くなるなどの症状が現れる。
d イレウスは、小児や高齢者のほか、普段から便秘傾向のある人で、発症のリスクが高いとされている。
1(a、b) 2(a、c) 3(b、d) 4(c、d)
消化器系に現れる副作用に関する問題。
消化性潰瘍・イレウスは、理解しやすい内容なので落とさないように。
a 誤り。腸内容物の通過が阻害された状態はイレウス。消化性潰瘍は、手引きでは「医薬品の副作用により胃や十二指腸の粘膜組織が傷害されて、その一部が粘膜筋板を超えて欠損する状態」と記載されている。
b 正しい。
c 誤り。これは消化性潰瘍に関する説明
d 正しい。
正答・・・3
問 78 泌尿器系に現れる副作用に関する以下の記述について、正しい組み合わせはどれか。
a 腎障害では、尿量の減少、ほとんど尿が出ない、逆に一時的に尿が増える等の症状を生じる。
b 排尿困難は、前立腺肥大等の基礎疾患がない場合にも現れることがある。
c 尿閉は、交感神経系の機能を抑制する成分が配合された医薬品の使用により、 膀胱の排尿筋の収縮が抑制されることで生じることがある。
d 膀胱炎様症状として、頻尿、排尿時の疼痛、残尿感等が現れる。
a b c d
1 誤 誤 誤 正
2 誤 正 正 誤
3 正 誤 正 誤
4 正 誤 誤 誤
5 正 正 誤 正
泌尿器系に現れる副作用に関する問題。
a 正しい。
b 正しい。
c 誤り。これは絶対に知っておかなければならない知識。尿閉は抗コリン作用(副交感神経の機能を抑える)のある薬剤で注意すべき副作用の一つ。
d 正しい。
正答・・・5
問 79 眼に現れる副作用に関する以下の記述について、正しいものの組み合わせはどれか。
a 眼球内の角膜と水晶体の間を満たしている眼房水が排出されにくくなると、眼圧が低下して視覚障害を生じる。
b 抗コリン作用がある成分が配合された医薬品の使用によって眼圧が上昇し、眼痛や眼の充血に加え、急激な視力の低下を起こすことがある。
c 眼圧の上昇に伴って、頭痛や吐きけ・嘔吐等の症状が現れることもある。
d 縮瞳を生じる可能性がある成分が配合されている医薬品を使用した後は、異常な眩しさや目のかすみ等の副作用が現れることがあるため、乗物や機械類の運転を避けなければならない。
1(a、c) 2(a、d) 3(b、c) 4(b、d)
眼に現れる副作用に関する問題。
眼圧上昇と、抗コリン薬との関連についてはしっかり理解しておきたい。
a 誤り。×眼圧が低下→〇眼圧が上昇
b 正しい。
c 正しい。
d ×縮瞳→〇散瞳。散瞳の注意がある医薬品としては、例えばブチルスコポラミン(ブスコパンA錠)があります。一度添付文書を確認してみると良いでしょう。
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正答・・・3
問 80 皮膚に現れる副作用に関する以下の記述について、正しいものの組み合わせはどれか。
a 光線過敏症の症状は、医薬品が触れた部分だけでなく、全身へ広がって重篤化する場合がある。
b アレルギー性皮膚炎の症状は、医薬品が触れた皮膚の部分のみに生じ、正常な皮膚との境界がはっきりしている。
c 薬疹の症状は、皮膚以外に、眼の充血や口唇・口腔粘膜に異常が見られることもある。
d 痒み等の症状に対しては、重篤な症状への移行を防止するため、一般の生活者は、自己判断で別の医薬品を用いて対症療法を行うことが望ましい。
1(a、b) 2(a、c) 3(b、d) 4(c、d)
皮膚に現れる副作用に関する問題。
光線過敏症と接触性皮膚炎に関しては、違いを理解しておきたい。
a 正しい。光線過敏症は、貼付剤ではケトプロフェンが注意すべき医薬品として知られる。貼付剤では剥がした後でも発症する場合がある。
b 誤り。境界がはっきりしているのは接触性皮膚炎。アレルギー性皮膚炎の場合は、発症部位は医薬品の接触部位に限定されない。
c 正しい。
d 誤り。これは常識的に考えればわかるでしょう。
正答・・・2
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