R6 愛知県(東海・北陸地区共通)第2章 人体の働きと医薬品 (PM問1-10)
乳状脂粒(カイロミクロン)の出題は珍しい
問1
消化器系に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 胃粘液に含まれる成分は、小腸におけるビタミンB12の吸収にも重要な役割を果たしている。
b 舌の表面には、舌乳頭という無数の小さな突起があり、味覚を感知する部位である味蕾が分布している。
c 食道は喉もとから上腹部のみぞおち近くまで続く直径1~2cmの管状の器官で、消化液の分泌腺がある。
d 歯冠は、歯が口腔に露出している部分であり、表面はエナメル質で覆われ、体で最も硬い部分となっている。エナメル質の下には歯槽骨と呼ばれる硬い骨状の組織があり、神経や血管が通る歯髄を取り囲んでいる。
a b c d
1 正 正 誤 誤
2 誤 正 正 誤
3 誤 誤 正 正
4 誤 誤 誤 正
5 正 誤 誤 誤
消化器系に関する問題
a 正 関連記事:ビタミンB12
b 正
c 誤 食道には消化液の分泌腺はない。
d 誤 「歯槽骨」ではなく「象牙質」である。歯冠の表面はエナメル質で覆われ、体で最も硬い部分となっている。エナメル質の下には象牙質と呼ばれる硬い骨状の組織があり、神経や血管が通る歯髄を取り囲んでいる。
正解・・・1
問2
胃及び小腸に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
a 空腸で分泌される腸液(粘液)に、腸管粘膜上の消化酵素が加わり、消化液として働く。
b 食道から胃に内容物が送られてくると、その刺激に反応して胃壁の横紋筋が弛緩し、容積が拡がる。
c 脂質(トリグリセリド)は、消化酵素(リパーゼ)の作用によって分解を受けるが、小腸粘膜の上皮細胞で吸収されると脂質に再形成され、乳状脂粒(リポタンパク質の一種でカイロミクロンとも呼ばれる)となる。
d 胃内に滞留する時間は、炭水化物主体の食品の場合には比較的長く、脂質分の多い食品の場合には比較的短い。
1(a、b) 2(a、c) 3(b、d) 4(c、d)
胃及び小腸に関する問題
脂質に関連する乳状脂粒(カイロミクロン)の出題は稀で、内容も難しい。
a 正
b 誤 胃壁の「横紋筋」ではなく「平滑筋」が弛緩し、容積が拡がる(胃適応性弛緩)。
c 正
d 誤 「炭水化物」と「脂質」が逆になっている。滞留時間は、炭水化物主体の食品の場合には比較的短く、脂質分の多い食品の場合には比較的長い。
正解・・・2
問3
泌尿器系に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
a 腎臓には内分泌腺としての機能もあり、骨髄における赤血球の産生を促進するホルモンを分泌する。
b 尿は血液が濾過されて作られるため、健康な状態であれば細菌等の微生物は存在しない。
c 副腎皮質では、自律神経系に作用するアドレナリン(エピネフリン)とノルアドレナリン(ノルエピネフリン)が産生・分泌される。
d 左右の腎臓と膀胱は尿道でつながっており、腎臓から膀胱を経て尿管に至る尿の通り道を尿路という。
1(a、b) 2(b、c) 3(c、d) 4(a、d)
泌尿器系に関する問題
a 正
b 正
c 誤 「副腎皮質」ではなく「副腎髄質」に関する記述である。なお、副腎皮質では、アルドステロン等の副腎皮質ホルモンが産生・分泌される。
d 誤 なお、尿路、尿管、尿道のうち、「各」には「おのおの、それぞれ」という意味があるので、尿路が「各尿の道」のイメージで、一番広い範囲を表していると覚えると良いでしょう。
正解・・・1
問4
1~5のうち、肝臓の主な働きとして誤っているものはどれか。
1 ビタミンの貯蔵
2 胆汁の産生
3 アンモニアの代謝
4 必須アミノ酸の生合成
5 アルコールの代謝
肝臓に関する問題
必須アミノ酸とは、体内で作られないため、食品などから摂取する必要があるアミノ酸であり、肝臓では生合成することはできない。(肝臓では、必須アミノ酸以外のアミノ酸を生合成することができる。)
正解・・・4
問5
循環器系に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
a 心臓の内部は上部左右の心房、下部左右の心室の4つの空洞に分かれており、心室で血液を集めて心房に送り、心房から血液を拍出する。
b 赤血球は骨髄で産生されるが、赤血球の数が少なすぎたり、赤血球中のヘモグロビン量が欠乏すると、血液は酸素を十分に供給できず、疲労や血色不良などの貧血症状が現れる。
c 四肢を通る動脈では血流が重力の影響を受けやすいため、一定の間隔で存在する内腔に向かう薄い帆状のひだが発達しており、血液の逆流を防いでいる。
d 毛細血管は、動脈と静脈の間をつなぐように体中の組織に細かく張り巡らされている細い血管であり、毛細血管の薄い血管壁を通して、酸素と栄養分が血液中から組織へ運び込まれ、それと交換に二酸化炭素や老廃物が組織から血液中へ取り込まれる。
1(a、b) 2(a、c) 3(b、d) 4(c、d)
循環器系に関する問題
a 誤 後半が誤り。心臓は、「心房」で血液を集めて心室に送り、「心室」から血液を拍出する。
b 正
c 誤 「動脈」ではなく「静脈」に関する記述である。なお、逆流を防いでいる薄い帆状のひだは「静脈弁」とも言う。
d 正
正解・・・3
問6
白血球に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 種々の白血球が協働して、生体の免疫機能が発揮され、感染や炎症などが起きると全体の白血球数が増加するとともに、白血球の種類ごとの割合も変化する。
b 好中球は、白血球の約5%と少ないが最も大きく、強い食作用を持つ。血管壁を通り抜けて組織の中に入り込むことができ、組織の中ではマクロファージ(貪食細胞)と呼ばれる。
c リンパ球は、白血球の約1/3を占め、リンパ節、脾臓等のリンパ組織で増殖し、細菌、ウイルス等の異物を認識したり、それらに対する抗体を産生する。
d 単球は、最も数が多く、白血球の約60%を占めている。血管壁を通り抜けて組織の中に入り込むことができ、感染が起きた組織に遊走して集まり、細菌やウイルス等を食作用によって取り込んで分解する。
a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 誤 正 正
3 誤 正 誤 正
4 正 誤 正 誤
5 正 正 誤 正
白血球の細分類(好中球、リンパ球、単球の違い)は直前期までには整理しておきたい。
a 正
b 誤 これは「好中球」ではなく「単球」に関する記述である。
c 正
d 誤 これは「単球」ではなく「好中球」に関する記述である。
正解・・・4
問7
目に関する記述について、( )の中に入れるべき字句の正しい組み合わせはどれか。
なお、同じ記号の( )内には同じ字句が入る。
角膜に射し込んだ光は、( a )に焦点を結ぶが、主に( b )の厚みを変化させることによって、遠近の焦点調節が行われている。
( b )は、その周りを囲んでいる( c )の収縮・弛緩によって、近くの物を見るときには丸く厚みが増し、遠くの物を見るときには扁平になる。
a b c
1 結膜 水晶体 眼筋
2 結膜 水晶体 毛様体
3 結膜 硝子体 毛様体
4 網膜 水晶体 毛様体
5 網膜 硝子体 眼筋
目に関する問題
a 網膜
b 水晶体
c 毛様体
正解・・・4
問8
第1欄の記述は、皮膚に関するものである。第1欄の記述に該当する組織として正しいものは第2欄のどれか。
第1欄
線維芽細胞とその細胞で産生された線維性のタンパク質(コラーゲン、フィブリリン、エラスチン等)からなる結合組織の層で、皮膚の弾力と強さを与えている。
第2欄
1 表皮
2 真皮
3 皮下組織
4 皮下脂肪層
5 角質層
皮膚に関する問題
皮膚は、表皮、真皮、皮下組織の3層構造からなるが、今回は真皮の細かい知識が求められ対応しづらい。
正解・・・2
問9
骨格系及び筋組織に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 関節周囲を包む膜(滑膜)は軟骨の働きを助け、靱帯は骨を連結し、関節部を補強している。
b 骨格筋の疲労は、運動を続けることでエネルギー源として蓄えられている乳酸が減少し、酸素や栄養分の供給不足が起こるとともに、乳酸の代謝に伴って生成するグリコーゲンが蓄積して、筋組織の収縮性が高まる現象である。
c 骨にはリン等の無機質を蓄える機能や、骨格筋の収縮を効果的に体躯の運動に転換する機能がある。
d 心筋は、心臓壁にある筋層を構成する筋組織で、不随意筋であるが筋線維には骨格筋のような横縞模様があり、強い収縮力と持久力を兼ね備えている。
a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 誤 正 正
3 誤 正 誤 正
4 正 誤 正 誤
5 正 正 誤 正
骨格系及び筋組織に関する問題
a 正
b 誤 骨格筋の疲労は、運動を続けることでエネルギー源として蓄えられているグリコーゲンが減少し、酸素や栄養分の供給不足が起こるとともに、グリコーゲンの代謝に伴って生成する乳酸が蓄積して、筋組織の収縮性が低下する現象である。
c 正
d 正
正解・・・2
問10
交感神経系が活発になっているとき、各臓器・器官(効果器)とその効果器に生じる主な反応との関係の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
(効果器)(主な反応)
a 目 ― 瞳孔収縮
b 膀胱 ― 排尿筋の収縮
c 気管、気管支 ― 収縮
d 腸 ― 運動亢進
a b c d
1 誤 誤 誤 正
2 誤 誤 正 誤
3 誤 正 誤 誤
4 正 誤 誤 誤
5 誤 誤 誤 誤
脳や神経系の働きに関する問題
関連記事:末梢神経系(自律神経、体性神経系)で、交感神経・副交感神経系や、神経伝達物資の違いなどを確認を。
a 誤 「瞳孔収縮」ではなく「瞳孔散大」
b 誤 「排尿筋の収縮」ではなく「排尿筋の弛緩(→排尿抑制)」
c 誤 「収縮」ではなく「拡張」
d 誤 「運動亢進」ではなく「運動低下」
正解・・・5