R6 愛知県(東海・北陸地区共通)第2章 人体の働きと医薬品 (PM問11-20)

問11
薬の有効成分の吸収に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a 内服薬は、小腸で有効成分が溶出するものが大部分である。

b 内服薬の有効成分は、主に大腸で吸収される。

c 坐剤や舌下錠のように、内服以外の用法で使用される医薬品には、適用部位から有効成分を吸収させて、全身作用を発揮させることを目的とするものがある。

d 一般用医薬品の点鼻薬は、鼻腔粘膜への局所作用を目的として用いられているが、鼻腔粘膜の下には毛細血管が豊富なため、点鼻薬の成分は循環血液中に移行しやすく、初めに肝臓で代謝を受けることなく全身に分布するため、全身性の副作用を生じることがある。

1(a、b) 2(b、c) 3(c、d) 4(a、d)


薬の有効成分の吸収に関する問題

a 誤 内服薬は「小腸」ではなく「」で有効成分が溶出するものが大部分である。なお、溶出した有効成分は主に小腸で吸収される。この「溶出」と「吸収」の違いはしっかり区別しておくこと。
b 誤 内服薬の有効成分は「大腸」ではなく「小腸」で吸収される。
c 正
d 正

正解・・・3


問12
薬の代謝及び排泄に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 経口投与後、消化管で吸収された医薬品の有効成分は、消化管の毛細血管から血液中へ移行し、その血液は全身循環に入る前に門脈という血管を経由して膵臓を通過するため、吸収された有効成分は、まず膵臓に存在する酵素の働きにより代謝を受ける。

b 循環血液中に存在する医薬品の有効成分の多くは、未変化体又は代謝物の形で腎臓から尿中に排泄される。

c 医薬品の有効成分と血漿タンパク質の複合体は、腎臓で濾過されないため、有効成分が長く循環血液中に留まることとなり、作用が持続する原因となる。

d 腎機能が低下した人では、正常の人よりも有効成分の尿中への排泄が遅れ、血中濃度が下がりにくいため、医薬品の効き目が過剰に現れたり、副作用を生じやすくなったりする。

  a b c d
1 誤 誤 正 正
2 正 誤 誤 正
3 正 正 誤 誤
4 正 正 正 誤
5 誤 正 正 正


薬の代謝及び排泄に関する問題

a 誤 「膵臓」ではなく「肝臓」を通過する。なお、これは「肝初回通過効果(first-pass effect)」に関連した内容であることも理解しておくこと。

b 正
c 正
d 正

正解・・・5


問13
内服薬の剤形及び使用方法に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a チュアブル錠は、水なしで服用するとゼラチンが喉や食道に貼り付くことがあるため、必ず適切な量の水(又はぬるま湯)とともに服用する。

b 散剤、顆粒剤は、錠剤を飲み込むことが困難な人にとっては錠剤よりも服用しやすいが、口の中に広がって歯(入れ歯を含む。)の間に挟まったり、また、苦味や渋味を強く感じる場合がある。

c 経口液剤は、固形製剤よりも飲み込みやすく、また、既に有効成分が液中に溶けたり分散したりしているため、服用後、比較的速やかに消化管から吸収される。

d 口腔内崩壊錠は、口の中の唾液で速やかに溶ける工夫がなされているため、水なしで服用することができ、固形物を飲み込むことが困難な高齢者や乳幼児、水分摂取が制限されている場合でも、口の中で溶かした後に、唾液と一緒に容易に飲み込むことができる。

  a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 正
4 誤 正 正 正
5 正 正 正 正


内服薬の剤形及び使用方法に関する問題

a 誤 「チュアブル錠」ではなく「カプセル剤」に関する記述である。
b 正
c 正
d 正

正解・・・4


問14
外用薬の剤形及び使用方法に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

1 軟膏剤は、水性の基剤であり、患部が乾燥していてもじゅくじゅくと浸潤していても使用できる。

2 クリーム剤は、油性基剤に水分を加えたものであり、皮膚への刺激が強いため傷等への使用は避ける必要がある。

3 外用液剤は、軟膏剤やクリーム剤に比べて、患部が乾きやすいという特徴があり、また、適用部位に直接的な刺激感等を与える場合がある。

4 貼付剤は、皮膚に貼り付けて用いる剤形であり、適用部位に有効成分が一定時間留まるため、薬効の持続が期待できる反面、適用部位にかぶれなどを起こす場合がある。


外用薬の剤形及び使用方法に関する問題

1 誤 軟膏剤は、「水性」ではなく「油性」の基剤である。後半部分の記述は正しい。軟膏とクリーム剤の違いも参照を
2 正
3 正
4 正

正解・・・1


問15
医薬品の副作用に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 厚生労働省では「重篤副作用総合対策事業」の一環として、関係学会の専門家等の協力を得て、「重篤副作用疾患別対応マニュアル」を作成し、公表している。

b 一般用医薬品による副作用は、長期連用のほか、不適切な医薬品の併用や医薬品服用時のアルコール飲用等が原因で起きる場合がある。

c 医薬品医療機器等法第68条の10第2項の規定に基づき、登録販売者は、医薬品の副作用等を知った場合において、保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するため必要があると認めるときは、その旨を都道府県知事に報告しなければならないとされている。

d 医薬品は、十分注意して適正に使用された場合でも、副作用を生じることがある。副作用の早期発見・早期対応のためには、医薬品の販売等に従事する専門家が副作用の症状に関する十分な知識を身に付けることが重要である。

  a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 誤
4 誤 正 誤 正
5 正 誤 正 正


医薬品の副作用に関する問題

a 正 なお、「重篤副作用疾患別対応マニュアル」が対象とする重篤副作用疾患の中には、一般用医薬品によって発生する副作用も含まれている。(例:偽アルドステロン症など)
b 正
c 誤 「都道府県知事」ではなく「厚生労働大臣」に報告しなければならない。なお、これは第5章の「医薬品・医療機器等安全性情報報告制度」に関する内容と捉えて良く、医師や薬剤師等だけではなく、登録販売者も本制度に基づく報告を行う医薬関係者として位置づけられている
d 正

正解・・・2


問16
全身的に現れる副作用に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

1 ショック(アナフィラキシー)は、生体異物に対する即時型のアレルギー反応の一種であり、一旦発症すると病態は急速に悪化することが多く、適切な対応が遅れるとチアノーゼや呼吸困難等を生じ、死に至ることがある。

2 皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)は、発熱、発疹・発赤、火傷様の水疱等の症状が全身の皮膚、口、眼等の粘膜に現れる病態であるが、致命的な転帰をたどることはない。また、皮膚粘膜眼症候群の症例の多くが中毒性表皮壊死融解症(TEN)の進展型とみられる。

3 医薬品により生じる肝機能障害が疑われた時点で、原因と考えられる医薬品の使用を中止し、医師の診療を受けることが重要である。

4 偽アルドステロン症は、低身長、低体重など体表面積が小さい者や高齢者で生じやすく、原因医薬品の長期服用後に初めて発症する場合もある。また、複数の医薬品や、医薬品と食品との相互作用によって起きることがある。


全身的に現れる副作用に関する問題
重篤な副作用皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)及び中毒性表皮壊死融解症(TEN)の違いはしっかり押さえておく。

1 正
2 誤 後半が誤り。皮膚粘膜眼症候群及び中毒性表皮壊死融解症のいずれも、一旦発症すると多臓器障害の合併症等により致命的な転帰をたどることがあり、皮膚症状が軽快した後も障害が残ったりする重篤な疾患である。また、中毒性表皮壊死融解症の症例の多くが皮膚粘膜眼症候群の進展型とみられる。(中毒性表皮壊死融解症の方が重篤度が高い)
3 正
4 正 なお、偽アルドステロン症とは、副腎皮質からのアルドステロン分泌が増加していないにもかかわらず、増加したような状態になることから(なので「偽」がつく)、その名前がつけられている。

正解・・・2


問17
精神神経系に現れる副作用に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

1 眠気は比較的軽視されがちであるが、乗物や危険な機械類の運転操作中に眠気を生じると重大な事故につながる可能性が高いので、眠気を催すことが知られている医薬品を使用した後は、そのような作業に従事しないよう十分注意することが必要である。

2 精神神経症状は、医薬品の大量服用や長期連用、乳幼児への適用外の使用等の不適正な使用がなされた場合に発生することがあるが、通常の用法・用量で発生することはない。

3 無菌性髄膜炎は、医薬品の副作用が原因の場合、早期に原因医薬品の使用を中止すれば、速やかに回復し、予後は比較的良好であることがほとんどであるが、重篤な中枢神経系の後遺症が残った例も報告されている。

4 心臓や血管に作用する医薬品により、頭痛やめまい、浮動感、不安定感等が生じることがあり、これらの症状が現れた場合は、原因と考えられる医薬品の使用を中止し、症状によっては医師の診療を受けるなどの対応が必要である。


精神神経系に現れる副作用に関する問題

1 正
2 誤 後半部分が誤り。(薬の副作用による)精神神経症状は、通常の用法・用量でも発生することがある
3 正 なお、無菌性髄膜炎は髄膜炎のうち、髄液に細菌が検出されないものをいう。大部分はウイルスが原因と考えられている。主な症状は、急性で、首筋のつっぱりを伴った激しい頭痛、発熱、吐きけ・嘔吐、意識混濁等である。
4 正

正解・・・2


問18
消化器系に現れる副作用に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 腸管自体は閉塞していなくても、医薬品の作用によって腸管運動が麻痺して腸内容物の通過が妨げられると、激しい腹痛やガス排出(おなら)の停止、嘔吐、腹部膨満感を伴う著しい便秘などの症状が現れる。

b 医薬品の使用が原因と考えられるイレウス様症状(腸閉塞様症状)が悪化すると、腸内容物の逆流による嘔吐が原因で脱水症状を呈したり、腸内細菌の異常増殖によって全身状態の衰弱が急激に進行する可能性がある。

c 消化性潰瘍になると、胃のもたれ、食欲低下、胸やけ、吐きけ、胃痛、空腹時にみぞおちが痛くなる、消化管出血に伴って糞便が黒くなるなどの症状が現れる。自覚症状が乏しい場合もあり、貧血症状(動悸や息切れ等)の検査時や突然の吐血・下血によって発見されることもある。

d 浣腸剤や坐剤の使用によって現れる一過性の症状に、肛門部の熱感等の刺激、異物の注入による不快感、排便直後の立ちくらみなどがある。

  a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 正
4 誤 正 正 正
5 正 正 正 正


消化器系に現れる副作用に関する問題
(医薬品の副作用による)イレウス様症状は、医薬品の作用によって腸管運動が麻痺して腸内容物の通過が妨げられた状態で、激しい腹痛やガス排出の停止、嘔吐、腹部膨満感を伴う著しい便秘が現れる。
なお、副作用としてイレウスに関する記載ある成分として、止瀉薬のロペラミド塩酸塩がある。

a 正 イレウス様症状に関する記述である。
b 正
c 正
d 正

正解・・・5


問19
呼吸器系及び循環器系に現れる副作用に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 間質性肺炎は、症状が一過性に現れ、自然と回復することもあるが、悪化すると肺線維症(肺が線維化を起こして硬くなる状態)に移行することがある。

b 息切れ、疲れやすい、足のむくみ、急な体重の増加、咳とピンク色の痰などを認めた場合は、うっ血性心不全の可能性を疑い、早期に医師の診療を受ける必要がある。

c アスピリンなどの非ステロイド性抗炎症成分を含む内服薬の使用後、短時間(1時間以内)のうちに鼻水・鼻づまりが現れ、続いて咳、喘鳴及び呼吸困難を生じ、時間とともに悪化することがあるが、坐薬や外用薬の使用では、これらの症状が誘発されることはない。

d 副作用として現れる不整脈は、代謝機能の低下によって発症リスクが高まることがあるので、腎機能や肝機能の低下、併用薬との相互作用等に留意するべきである。

  a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 誤 正 正
3 誤 正 誤 正
4 正 誤 正 誤
5 正 正 誤 正


呼吸器系及び循環器系に現れる副作用に関する問題

a 正 
b 正
c 誤 医薬品が原因となる喘息(いわゆるアスピリン喘息)は、内服薬のほか、坐薬や外用薬でも誘発されることがある
d 正

正解・・・5


問20
感覚器系及び皮膚に現れる副作用に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

1 抗コリン作用がある成分が配合された医薬品によって眼圧が低下し、眼痛や眼の充血に加え、急激な視力低下を来すことがある。

2 医薬品によっては、瞳の拡大(散瞳)による異常な眩しさや目のかすみ等の副作用が現れることがあるので、散瞳を生じる可能性のある成分が配合された医薬品を使用した後は、乗物や機械類の運転操作は避けなければならない。

3 接触皮膚炎は医薬品が触れた皮膚の部分にのみ生じ、正常な皮膚との境界がはっきりしているのが特徴である。アレルギー性皮膚炎の場合は、発症部位は医薬品の接触部位に限定されない。

4 薬疹は、医薬品によって引き起こされるアレルギー反応の一種で、発疹・発赤等の皮膚症状を呈する場合をいう。あらゆる医薬品で起きる可能性があり、同じ医薬品でも生じる発疹の型は人によって様々である。


感覚器系及び皮膚に現れる副作用に関する問題

1 誤 「眼圧が低下」ではなく「眼圧が上昇」である。抗コリン作用がある成分によって眼圧が上昇することがある(急性緑内障発作)。なお、特に眼房水の出口である隅角が狭くなっている閉塞隅角緑内障では厳重な注意が必要である点も覚えておくこと。
2 正
3 正
4 正

正解・・・1

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