R6 愛知県(東海・北陸地区共通)第3章 主な医薬品とその作用(問51-60)
殺虫成分(問59)は難問だが、昨年と同じような出題も多い
問51
歯痛・歯槽膿漏薬の配合成分とその配合目的との関係の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
(配合成分)(配合目的)
a カルバゾクロム - 炎症を起こした歯周組織からの出血を抑える
b フィトナジオン - 血液の凝固機能を正常に保つ
c ジブカイン塩酸塩 - 齲蝕を生じた部分における細菌の繁殖を抑える
d 銅クロロフィリンナトリウム - 炎症を起こした歯周組織の修復を促すほか、歯肉炎に伴う口臭を抑える
a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 誤
4 誤 正 誤 正
5 正 誤 正 正
歯痛・歯槽膿漏薬の配合成分に関する問題
a 正 カルバゾクロムは止血成分で炎症を起こした歯周組織からの出血を抑える作用を期待して用いられる。
b 正 フィトナジオン(ビタミンK1)は止血成分であり、血液の凝固機能を正常に保つ働きがある。
c 誤 ジブカイン塩酸塩は局所麻酔成分で、齲蝕により露出した歯髄を通っている知覚神経の伝達を遮断して痛みを鎮める目的で配合される。
d 正 銅クロロフィリンナトリウムは組織修復成分である。
正解・・・2
問52
口内炎及び口内炎用薬に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
a 口内炎は口腔の粘膜上皮に水疱や潰瘍ができて痛み、ときに口臭を伴う。
b シコンは、ムラサキ科のムラサキの葉を基原とする生薬で、患部からの細菌感染を防止することを期待して口内炎用薬に用いられる。
c 口腔内局所に適用される外用薬のため、ステロイド性抗炎症成分が配合されていても長期の連用は問題ない。
d アクリノールは、患部からの細菌感染を防止することを目的として配合される。
1(a、b) 2(b、c) 3(c、d) 4(a、d)
口内炎及び口内炎用薬に関する問題
シコン(紫根)については前年も同じ内容で出題されていた。
a 正
b 誤 基原が明らかに誤り。シコン(紫根)は、ムラサキ科のムラサキの根(×葉)を基原とする生薬で、組織修復促進、抗菌などの作用を期待して用いられる。なお、手引きにおいて「細菌感染を防止」は、殺菌消毒成分(クロルヘキシジン塩酸塩等)で使用されている表現だが、シコンには「抗菌」作用も期待されているので、正誤判断は難しい。
↓シコン(紫根)を含有した塗り薬(紫雲膏) なお、これは口内炎向けではありません。
c 誤 ステロイド性抗炎症成分は長期連用を避ける必要がある。
d 正 関連記事:アクリノール
正解・・・4
問53
ニコチン置換療法に使用される禁煙補助剤に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 咀嚼剤は、口腔内が酸性になるとニコチンの吸収が増加するため、コーヒーや炭酸飲料など口腔内を酸性にする食品を摂取した後、しばらくは使用を避けることとされている。
b 脳梗塞・脳出血等の急性期脳血管障害、重い心臓病等の基礎疾患がある人(3ヶ月以内の心筋梗塞発作がある人、重い狭心症や不整脈と診断された人)では、使用を避ける必要がある。
c 医薬品の販売等に従事する専門家においては、禁煙補助剤の使用により禁煙達成が困難なほどの重度の依存を生じている場合には、ニコチン依存症の治療を行う禁煙外来の受診を勧めることも考慮に入れるべきである。
d 咀嚼剤は、大量に使用しても禁煙達成が早まるものでなく、かえってニコチン過剰摂取による副作用のおそれがあるため、1度に2個以上の使用は避ける必要がある。
a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 正
4 誤 正 正 正
5 正 正 正 正
定番の禁煙補助剤(ニコチン置換療法)に関する問題。
ほぼ毎年出題される分野だが、出題されるポイントは、わりと固定化しているので必ず正答できるように。
a 誤 前年も問われていた内容。口腔内が酸性になると、ニコチンの「吸収が増加する」ではなく「吸収が低下する」である。(理由はニコチンは塩基性であるため、口腔内が酸性になるとイオン化して吸収が悪くなる)
b 正
c 正
d 正 なお、咀嚼剤については、ガムのように噛むと、ニコチンが唾液とともに飲み込まれてしまい、吐きけ・腹痛等の副作用が現れやすくなるため、ゆっくりと断続的に噛むことも押さえておく。
正解・・・4
問54
システインに関する記述について、( )の中に入れるべき字句の正しい組み合わせはどれか。なお、同じ記号の( )内には、同じ字句が入る。
システインは、髪や爪、肌などに存在する( a )の一種で、皮膚における( b )の生成を抑えるとともに、皮膚の新陳代謝を活発にして( b )の排出を促す働き、また、( c )においてアルコールを分解する酵素の働きを助け、アセトアルデヒドの代謝を促す働きがあるとされる。
a b c
1 ビタミン メラニン 肝臓
2 ビタミン ケラチン 腎臓
3 アミノ酸 メラニン 肝臓
4 アミノ酸 ケラチン 肝臓
5 ビタミン メラニン 腎臓
システインに関する問題。
システインはアミノ酸成分で、前年にも出題されています。
a アミノ酸
b メラニン
c 肝臓
↓しみ(肝斑)改善薬 システインが配合されている。
正解・・・3
問55
滋養強壮保健薬の配合成分に関する記述のうち、誤っているものはどれか。
1 ヘスペリジンは、軟骨組織の主成分で、軟骨成分を形成及び修復する働きがあるとされる。
2 ビタミンB6は、タンパク質の代謝に関与し、皮膚や粘膜の健康維持、神経機能の維持に重要な栄養素である。
3 インヨウカクは、強壮、血行促進、強精(性機能の亢進)等の作用を期待して用いられる。
4 カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素であり、筋肉の収縮、血液凝固、神経機能にも関与する。
滋養強壮保健薬の配合成分に関する問題
ヘスペリジンは昨年も出題されていた。
1 誤 ヘスペリジンではなく、コンドロイチン硫酸に関する記述である。ヘスペリジンはビタミン様物質のひとつで、ビタミンCの吸収を助ける等の作用があるとされ、滋養強壮保健薬のほか、かぜ薬等にも配合されている場合がある。
↓ヘスペリジンを配合したのど飴
2 正 なお、ビタミンB群は似たようなことが書いてあり覚えにくいが、試験対策としては、ビタミンB1(チアミン)は、「炭(たん)水化物(たん=単=1)からのエネルギー産生に不可欠な栄養素」「脚気症状の緩和」、ビタミンB2は「脂質(シシツ~=2)の代謝に関与し~」、ビタミンB6は「タンパク質(プロ(6)テイン)の代謝に関与し~」など、うまく語呂合わせして覚えても良い。
3 正
4 正
正解・・・1
問56
漢方の特徴・漢方薬使用における基本的な考え方に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 一般の生活者においては、「漢方薬は作用が穏やかで、副作用が少ない」などという認識がなされていることがあるが、間質性肺炎や肝機能障害のような重篤な副作用が起きることがある。
b 漢方薬を使用する場合、漢方独自の病態認識である「証」に基づいて用いることが、有効性及び安全性を確保するために重要であり、病態認識には虚実、陰陽、気血水、五臓などがある。
c 漢方処方は、処方全体としての適用性等、その性質からみて処方自体が一つの有効成分として独立したものという見方をすべきものである。
d 日本の漢方医学に基づく漢方薬は、現代中国で利用されている中医学に基づく中薬、韓国の韓医学に基づく韓方薬と考え方は同じで、区別されてはいない。
a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 正
4 誤 正 正 正
5 正 正 正 正
漢方の特徴・漢方薬使用における基本的な考え方に関する問題
a 正 なお、これに関連して小柴胡湯による間質性肺炎の緊急安全性情報(イエローレター)もセット学習しておきたい。(第5章頻出)
b 正
c 正
d 誤 現代中国で利用されている中医学に基づく薬剤は中薬と呼ばれるが、漢方薬とは明らかに別物である。なお、韓国の伝統医学(韓医学)で用いられている薬剤は韓方薬と呼ばれ、これも漢方薬とは区別されている。
正解・・・1
問57
漢方処方製剤と適用となる症状・体質との関係のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
(製剤)(適用となる症状・体質)
a 大柴胡湯 ― 体力虚弱で、元気がなく、胃腸の働きが衰えて、疲れやすいものの虚弱体質、疲労倦怠、病後・術後の衰弱、食欲不振、ねあせ、感冒
b 黄連解毒湯 ― 体力中等度以上で、のぼせぎみで顔色赤く、いらいらして落ち着かない傾向のあるものの鼻出血、不眠症、神経症、胃炎、二日酔い、血の道症、めまい、動悸、更年期障害、湿疹・皮膚炎、皮膚のかゆみ、口内炎
c 防風通聖散 ― 体力充実して、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの高血圧や肥満に伴う動悸・肩こり・のぼせ・むくみ・便秘、蓄膿症(副鼻腔炎)、湿疹・皮膚炎、ふきでもの(にきび)、肥満症
d 清上防風湯 ― 体力虚弱で、疲れやすくて手足などが冷えやすいものの胃腸虚弱、下痢、嘔吐、胃痛、腹痛、急・慢性胃炎
1(a、b) 2(b、c) 3(c、d) 4(a、d)
漢方処方製剤と適用となる症状・体質との関係に関する問題
a 誤 大柴胡湯ではなく、補中益気湯に関する記述である。大柴胡湯の特徴的なキーワード「常習便秘」「肥満症」等がないことから判断したい。
b 正 「のぼせぎみで顔色赤く」「鼻出血」「二日酔い」から黄連解毒湯と判断したい。
c 正 「腹部に皮下脂肪が多く」「肥満症」から容易に防風通聖散と判断したい。
d 誤 清上防風湯ではなく、人参湯(理中丸)に関する記述である。なお、清上防風湯のキーワードとしては、「赤ら顔」「にきび」「赤鼻(酒さ)」などで、「身体の上部を清める」といったイメージと結びつけると良い。
正解・・・2
問58
消毒薬の取扱い上の注意に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a アルカリ性の消毒薬が誤って目に入った場合は、直ちに中和剤を用いて中和することとされている。
b 日本薬局方に収載されているクレゾール石ケン液は、原液を水で希釈して用いられるが、刺激性が強いため、原液が直接皮膚に付着しないようにする必要がある。
c 次亜塩素酸ナトリウムは、アルカリ性の洗剤・洗浄剤と反応して有毒な塩素ガスが発生するため、混ざらないように注意する必要がある。
d ポリアルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩は、有機塩素系殺菌消毒成分であり、塩素臭や刺激性、金属腐食性が比較的抑えられており、プール等の大型設備の殺菌・消毒に用いられることが多い。
a b c d
1 正 誤 誤 正
2 誤 誤 正 誤
3 誤 正 誤 正
4 正 誤 正 誤
5 誤 正 誤 誤
消毒薬の取扱い上の注意に関する問題
a 誤 酸をアルカリで中和したり、アルカリを酸で中和するといった処置は、熱を発生して刺激をかえって強め、状態が悪化するおそれがあるため適切ではない。
b 正 関連記事:クレゾール石ケン液
c 誤 次亜塩素酸ナトリウムやサラシ粉などの塩素系殺菌消毒成分は、酸性の洗剤・洗浄剤と反応して有毒な塩素ガスが発生するため、混ざらないように注意する必要がある。
↓次亜塩素酸ナトリウムタイプの洗浄剤。「酸性タイプ」の洗浄剤とは混ぜない様にと注意書きな記載されている。
d 誤 ポリアルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩は、手引きにおいてクレゾール石ケン液と同様な殺菌消毒作用がある成分として記載されているが、出題は稀で対応は難しい。なお、有機塩素系殺菌消毒成分には、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、トリクロロイソシアヌル酸等がある。
正解・・・5
問59
衛生害虫と殺虫剤・忌避剤及びその配合成分に関する記述のうち、誤っているものはどれか。
1 ディートは、医薬品又は医薬部外品の忌避剤の有効成分として用いられ、最も効果的で、効果の持続性も高いとされている。
2 フェノトリンは、シラミの駆除を目的とする製品の場合、殺虫成分で唯一人体に直接用いられる。
3 ハエの防除の基本は、ウジの防除であり、ウジの防除法としては、通常、有機リン系殺虫成分が配合された殺虫剤が用いられる。
4 ツツガムシは、ヒトへの吸血によって皮膚に発疹や痒みを引き起こすほか、日本脳炎、マラリア、黄熱、デング熱等の重篤な病気を媒介する。
衛生害虫と殺虫剤・忌避剤及びその配合成分に関する問題
殺虫成分の出題ポイントも確認を。
1 正 「最も~」で誤りと判断しがちだが、手引きの記載どおりである。関連記事:ディート
2 正 ピレスロイド系のフェノトリンは昨年も出題されています。
3 正
4 誤 「ツツガムシ」ではなく「蚊(アカイエカ、シナハマダラカ等)」に関する記述である。ツツガムシは、ツツガムシ病リケッチアを媒介するダニの一種である。
正解・・・4
問60
一般用検査薬に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 検査に用いる検体は、血液、尿、糞便、鼻汁、唾液、涙液などである。
b 検査項目は、学術的な評価が確立しており、情報の提供により結果に対する適切な対応ができるものである。
c 検査薬は、対象とする生体物質を特異的に検出するように設計されているが、検体中の対象物質の濃度が極めて低い場合には、検出反応が起こらずに陰性の結果が出ることがある。
d 一般用検査薬は、一般の生活者が正しく用いて健康状態を把握し、速やかな受診につなげることで疾病を早期発見するためのものであり、遺伝性疾患の診断に関係するものもある。
a b c d
1 正 正 誤 誤
2 誤 正 正 誤
3 誤 誤 正 正
4 誤 誤 誤 正
5 正 誤 誤 誤
一般用検査薬に関する問題。
ここでは、医療機関で行う検査ではなく、あくまで「一般用検査薬」に関する出題であることに注意すること。
なお、前年は妊娠検査薬についてメインの出題だった。
a 誤 (一般用)検査に用いる検体は、尿、糞便、鼻汁、唾液、涙液など採取に際して侵襲(採血や穿刺等)のないものである。つまり「血液」は含まれない。
b 正 「学術的な評価が確立」が迷うところだが、正しい記述である。
c 正
d 誤 悪性腫瘍、心筋梗塞や遺伝性疾患など重大な疾患の診断に関係するものは一般用検査薬の対象外である。
正解・・・2