なぜ漢方薬の服用時は「食前」や「食間」なのか?

殆どのOTC漢方薬の服用方法を見ると「食前」となっています。 また、医療用についても、ほぼ「食前または食間に経口投与する。」と書かれています。
通常、「食前」は食事前およそ30分、「食間」は食事前後2時間程度になりますが その理由としては、以下の2点が主に挙げられています。

①有効成分の吸収の良さ
②食物や、他の薬との相互作用の回避

①の長所としては、薬の吸収が速くなり、高い効果や即効性期待できる。 ②の長所としては、はっきりしていない他の薬や食事との相互作用を避けられる点があります。 (たまに「食直前」でもいいか?と聞かれることがありますが、上記理由を踏まえると、もっと余裕をもって早めに飲んだ方が理想的になるでしょう。)

ただし、漢方薬らしいファジーな点もあるので、この服用時の意味合いについては、他の医薬品とも対比させながら、販売者として色々知識は持っておいた方が良いでしょう。

通常、化学合成された医薬品では、化学構造式が明確なので、採血データを用い服用後の経時的血中濃度(≒効果)を調べるができます。その為、食後や空腹時のデータも収集・分析することで、吸収いおいて食事の影響を受けるかどうかを科学的に調べることができます。
一方で、漢方薬では、麻黄由来のエフェドリン等のごく一部を除いて、有効成分がはっきりせず、食事前後で、どれだけ吸収に影響を及ぼすかも明確ではなく、その影響度もはっきりしていません。この点は、購入者に敢えて伝えるべき知識ではないでしょうが、一応知っておいて損はないでしょう。

その為、医療現場では、専門医による本格的な漢方治療は別として、「空腹時が理想。忘れたら食後も可」というのが現実的なようです。また高齢者施設等も、服薬管理の問題により食後で服用している所もあるでしょう。
OTCでの漢方薬販売も、その点考慮に入れて、購入者の利便性に配慮した服用アドバイスが良いのではないでしょうか? もちろん胃腸が弱く、すきっ腹では飲みたくない場合は、食後での服用を薦めてあげることも必要かもしれません。

なお、現代漢方薬の元になっている、中国古典「傷寒論」や「金匱要略」等では、服用時の記載があるのは、ごく一部で、明確な方向性はないそうです。ただ現代中医学でも、吸収面の利点から「食前空腹時」がメインらしいですが。

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