韓方茶(ハンバンチャ / 한방차)とは、韓国の伝統医学「韓方(ハンバン)」の理論に基づいて、健康維持や不調の改善(養生)を目的に作られたお茶とのことで、代表的なレシピとしては、十全大補茶(シプチョンデボチャ)や双和茶(サンファチャ)などがあります。
この韓方茶を飲む文化は、香港や広東地域でみられる「涼茶」に比べると、それほど深く根付いた感はありませんでしたが、ソウル市内では、この韓方茶を提供しているお店を見かけることがあります。
そこで、今回は韓国滞在中に訪れた、韓方茶のお店について紹介します。

まず、こちらは、南大門市場の路地裏「太刀魚横丁(カルチコルモッ)」の中にあった伝統的な茶屋(전통 찻집)です。(GoogleMAP上の店名はミンスク茶店 원조전통찻집(민속찻집) 土日は休み?)
GoogleMAP:https://maps.app.goo.gl/PKCNSLgaSXUo1ktZ6

こじんまりとしたお店で、1階にはテーブルが3つほどしかありませんが、実は2階、3階にも席があるので、1階が混雑している場合は、そちらで韓方茶を飲むことができます。なお、お客さんの殆どは高齢者でした。

そして、このお店では十全大補茶(シプチョンデボチャ / 십전대보차)がおすすめで、日本でも漢方薬をして知られている十全大補湯(십전대 보탕)に含まれている10種の生薬とほぼ同じような生薬が使用された韓方茶(ハンバンチャ)のようです。なお、この看板右上の文字も十全大補湯(십전대 보탕)と書かれています。

十全大補湯については、以前煎じ薬を実際に飲んだことがありますが、確かに同じような味わいがします。
但し、こちらの十全大補茶は、実際の煎じ薬に比べると、蜜も入っているか、かなり甘めの味に仕上げてあるので、漢方風味がきつくて、最後まで飲めないととうことはないです(ほかのお店では、漢方薬っぽくて飲み切るのが結構きついことがありました)。他に、ショウガ(生姜)の味が結構強めで、いかにも体を温めてくれるような味わいになっていました。

↑十全大補茶 8,000ウォン(≒880円) 浮かんでいるのはスライスされたナツメとクルミ。

↑他にも、ナツメ茶(デチュチャ 대추차)や、五味子茶(オミジャ 오미자といったメニューもあります。

なお、ナツメ(大棗)茶は、大棗をメインにした漢方茶ですが、体を温めて、冷え性を改善したり、鉄分が豊富で、不眠やイライラなどのストレスを和らげる効果もあるといわれています。HOTしか選択できないというのも、そのあたりが関係しているんでしょうか。

次に紹介するのは、こちらも南大門市場にあった韓方茶のお店(Sungnyemun Cafe 崇礼門伝統茶屋 숭례문 전통찻집)です。ここでは双和茶(サンファチャ/ 쌍화차)という漢方茶がおすすめとなっていました。
お店の中で、17種類の独自の生薬レシピで10時間生薬を煎じてつくっているそうです。
GoogleMAP:https://maps.app.goo.gl/gZ2HXUYqjpppeGXN6

この双和茶(サンファチャ)は、韓国で「風邪のひき始め」や「疲れがひどい」のときに良く飲まれるそうで、名前に含まれる「双(サン)」は「気(エネルギー)」と「血(血液・栄養)」の両方を意味し、「和(ファ)」は「それらを調和させて補う」という意味があるそうです。
なお、一般に双和茶には、芍薬、黄耆、桂皮、当帰、熟地黄、川芎、甘草、生姜、ナツメ(棗)といった補気・補血の働きがある生薬が使用され、あまり十全大補茶とは違いはない様ですが、(こちらのお店では未確認ですが)双和茶の方には人参は含まれず、普段は健常人の方の一時的な体の不調には双和茶の方が適しているのかもしれません。

双和茶(8,000ウォン) 
↑ナツメ茶(上)と五味子茶(下)の紹介

他にも、五味子茶(オミジャチャ)も飲むことができますが、こちらも、疲労回復のほか、美肌、咳止めに効果があるとされ、五味子には「甘味、酸味、苦味、辛味、塩味」の5つの味を持ちあわせた生薬といわれていますが、こちらは冷やして飲むのが通一般的で、特に酸味が感じられて若い人に良く好まれると聞きました。
ちなみに、この五味子は花粉症向けの漢方として知られる小青竜湯の構成生薬の一つとなっています。

なお、こちらのお店はオープンしてまだ1年も経っていないそうですが、若い女性店主は英語が堪能で、韓方医学に興味があって訪れたことを伝えると、韓方茶についていろいろ詳しく教えてくれました。若い外国人のお客さんもよく訪れているそうです。

↑こちらのお店は菓子類のメニューも取り揃えてあります。

今回は人気観光地で交通の便も良い「南大門市場」エリアの韓方茶のお店を訪れましたが、他にも、伝統韓屋のあるエリアや、ソウル薬令市 韓医薬博物館に隣接するカフェでも提供しています。
興味のある方は、韓方茶のお店に訪れて、一度試してみるのも良いでしょう。

現地取材日:2026年6月21日,22日(当時のレート:1円≒9.4ウォン)

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