十全大補湯・・・術後の体力低下・疲労感・貧血

医療用では、手術後や抗がん剤治療中等にも用いられる

十全大補湯は、気血双補剤とも呼ばれ、不足している「気」「血」を補い体力を回復させる漢方薬です。

構成生薬は10種類から成りますが、
「気」を補う四君子湯(人参、蒼朮or白朮、茯苓、甘草)、「血」を養う四物湯(地黄・当帰・芍薬・川きゅう)に、さらに気を補うため、「黄耆」「桂枝」が追加されたものとして理解しておくと良いでしょう。
(試験対策では、カンゾウ(甘草)を含んでいることがわかれば十分です。)
(日本での四君子湯は(人参、蒼朮or白朮、茯苓、甘草)に更に生姜、大棗の計6種類の生薬の構成で考えますが、中医学では上記4種類で考えます。中医学では生姜・大棗は食品に近い生薬ためカウントされなかった?等、諸説ありますが、はっきりしたことはわかりません。)

医療用医薬品としても、体力が衰弱している場合に広く用いられていますが、特に大きな手術後の体力回復目的や、抗がん剤治療中での体力維持等の目的で処方されているようです。

一般用医薬品でも、いくつか販売されていますが、補中益気湯に比べると存在感は高くありません。

なお、台湾では十全大浦湯をベースにした薬膳料理を食べることができますが、台湾の漢方薬街(迪化街:ディーホアジェ)には、家庭向けの十全大浦湯の薬膳料理用の生薬セットを購入することができます。


出題の手引き(令和4年改訂)の記載内容は以下のとおり。補中益気湯とは区別できるようにしましょう。

「体力虚弱なものの病後・術後の体力低下、疲労倦怠、食欲不振、ねあせ、手足の冷え貧血に適すとされるが、胃腸の弱い人では、胃部不快感の副作用が現れやすい等、不向きとされる。」

⇒「病後・術後の体力低下」「手足の冷え」「貧血」がキーワードになります。なお、胃部不快感の副作用は地黄が関係しています。

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