ロートエキス(抗コリン成分・胃腸鎮痛鎮痙薬、止瀉薬)

市販薬では代表的な抗コリン成分。

ロートエキスは、ナス科植物のハシリドコロの根茎及び根からの抽出物であり、抗コリン作用をもつ生薬由来成分です。

抗コリン作用は、ロートエキス中に豊富に含むアルカロイド(アトロピン、スコポラミン、ヒヨスチアミン等のベラドンナアルカロイド)による働きによるものです。

医薬品としては、主に胃腸鎮痛鎮痙薬として用いられています。

消化管の運動は副交感神経系の刺激によって亢進し、胃液分泌の亢進にも働きますが、ロートエキスが抗コリン成分として、副交感神経の伝達物質であるアセチルコリンと受容体の反応を妨げることにより、副交感神経の働きを抑え、過敏な胃腸の運動を抑え、胃酸分泌も抑えてくれます。
軽度の局所麻酔作用も知られ、これらの働きにより、胃痛、腹痛、さしこみ等の症状を緩和します。(鎮痛鎮痙)

また、腸の蠕動運動に対する抑制作用し、腸管への水分分泌を抑制する働きもあり、タンニン酸ベルベリン等と組み合わせて、止瀉薬としても使用されています。

医療用では、現在使われる機会は少なくなっていますが、一般用医薬品では多数の製品に使われています。

胃腸のあらゆる症状に対応する総合胃腸薬には、抗コリン作用による鎮痛・鎮痙効果を期待して配合されており、ロート製薬の「パンシロン」ブランド、「第一三共胃腸薬」ブランド、「キャベジン」ブランド等、様々な製品に使用されています。

止瀉薬としては、「ストッパ下痢止めEX」(ライオン)があり、ロートエキスとタンニン酸ベルベリンが配合された製品で、外出先でも飲めるように、水なしで服用できる特徴があります。(↓ライオンオフィシャルムービー)


登録販売者試験では、頻出医薬品の一つです。手引きの内容(令和4年改訂版)では

①抗コリン成分の為、散瞳による目のかすみや異常な眩しさ、眠気、口渇、便秘、排尿困難等の副作用の可能性→乗物又は機械類の運転操作を避ける必要がある
②ロートエキスについては、吸収された成分の一部が母乳中に移行して乳児の脈が速くなる(頻脈)おそれ
③ロートエキスにより母乳が出にくくなることがある。
④排尿困難の症状がある人、心臓病又は緑内障の診断を受けた人には注意

等が出題されています。
特に、②は、正誤問題で、「頻脈」のところを「除脈」と誤った記述がされるケースが多々あります。
間違わないように注意しましょう。

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