H27 山形県(北海道・東北)第3章 主な医薬品とその作用(問51-60)
問57(衛生害虫)は広い知識が求められる。
問 51 歯槽膿漏薬に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 内服薬は、抗炎症成分、ビタミン成分等が配合されたもので、外用薬と併せて用いると効果的である。
b 外用薬には、歯肉溝での細菌の繁殖を抑えることを目的として、セチルピリジニウム塩化物等の殺菌消毒成分が配合されている場合がある。
c 内服薬には、歯周組織の炎症を和らげることを目的として、リゾチーム塩酸塩が用いられる場合がある。
d コラーゲン代謝を改善して炎症を起こした歯周組織の修復を助け、また、毛細血管を強化して炎症による腫れや出血を抑える効果を期待して、ビタミンEが配合されている場合がある。
a b c d
1 誤 正 誤 正
2 正 正 正 誤
3 正 誤 誤 正
4 誤 正 正 誤
5 正 誤 正 正
歯槽膿漏薬に関する問題。
a 正しい。
b 正しい。殺菌消毒成分としてはセチルピリジニウム塩化物や。クロルヘキシジングルコン酸塩などがある。
c 正しい。リゾチーム塩酸塩は抗炎症成分。
d 誤り。これは難しい。記述はビタミンCに関する内容。ビタミンEは歯周組織の血行を促す効果を期待して使用される。
正答・・・2
問 52 口内炎及び口内炎用薬に関する以下の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 口内炎の発生の仕組みは必ずしも解明されていないが、栄養摂取の偏り、ストレスや睡眠不足、唾液分泌の低下、口腔内の不衛生などが要因となって生じることが多いとされる。
2 口腔内に適用されるため、ステロイド性抗炎症成分が配合されている場合には、 長期連用を避ける必要がある。
3 医薬品の副作用として口内炎が生じることはない。
4 口内炎は、口腔粘膜に生じる炎症で、口腔の粘膜上皮に水疱や潰瘍ができて痛み、ときに口臭を伴う。
口内炎及び口内炎用薬に関する問題。
これはサービス問題。
2 誤り。医薬品の副作用として口内炎を生じる事は珍しくない。
正答・・・3
問 53 禁煙補助剤に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a ニコチンは交感神経系を興奮させる作用を有するので、鎮咳去痰薬などアドレナリン作動成分が配合された医薬品との併用により、その作用を増強させるおそれがある。
b 口腔内が酸性になるとニコチンの吸収が低下するため、コーヒーなど口腔内を酸性にする食品を摂取した後しばらくは使用を避ける必要がある。
c 禁煙補助剤を使用中又は使用直後の喫煙は、血中のニコチン濃度が急激に高まるおそれがあるため、避ける必要がある。
d 妊婦又は妊娠していると思われる女性、母乳を与える女性では、摂取されたニコチンにより胎児又は乳児に影響が生じるおそれがあるため、使用を避ける必要があ る。
a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 誤 正 誤
3 正 正 誤 正
4 誤 誤 誤 誤
5 正 正 正 正
禁煙補助剤に関する問題。
これはbの知識問題を知っていれば簡単だったでしょう。
a 正しい。
b 正しい。口腔内が酸性になるとニコチンの吸収が低下するため、コーヒーや炭酸飲料など口腔内を酸性にする食品を摂取した後しばらくは使用を避ける。
c 正しい。
d 正しい。
正答・・・5
問 54 滋養強壮保健薬に含まれるビタミン成分に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a ビタミンAは、夜間視力を維持したり、皮膚や粘膜の機能を正常に保つために重要な栄養素である。
b ビタミンDは、腸管でのカルシウム吸収及び尿細管でのカルシウム再吸収を促して、骨の形成を助ける栄養素である。
c ビタミンEは、タンパク質の代謝に関与し、皮膚や粘膜の健康維持、神経機能の維持に重要な栄養素である。
d ビタミンB1は、炭水化物からのエネルギー産生に不可欠な栄養素で、神経の正常な働きを維持する作用がある。
a b c d
1 正 正 誤 正
2 正 誤 正 誤
3 正 正 誤 誤
4 誤 正 正 正
5 誤 誤 誤 正
滋養強壮保健薬に含まれるビタミン成分に関する問題
a 正しい。ビタミンAと夜間視力に関する内容は必ず押さえておく。
b 正しい。ビタミンDと骨の組み合わせ知識は重要
c 誤り。これはビタミンB6に関する説明。ビタミンEは、体内の脂質を酸化から守り、細胞の活動を助ける栄養素であり、血流を
改善させる。特にビタミンEと血流改善の組み合わせ知識は重要。
d 正しい。炭水化物まで覚えるのは大変だがビタミンB1に関する内容。
正答・・・1
問 55 漢方処方製剤に関する以下の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 漢方処方製剤は、症状の原因となる体質の改善を主眼としているものが多く、比較的長期間(1ヶ月位)継続して服用されることがある。
2 漢方処方製剤の使用により、間質性肺炎のような重篤な副作用を起こすことはない。
3 漢方処方製剤の用法用量において適用年齢の下限が設けられていない場合であっても、生後3ヶ月未満の乳児には使用しない。
4 患者の「証」(体質及び症状)に合わない漢方処方製剤が選択された場合には、 効果が得られないばかりでなく、副作用を招きやすくなる。
漢方薬の服用に関する問題。
サービス問題でしょう。良く問われている内容ばかり。
1 正しい。
2 誤り。小柴胡湯による間質性肺炎の副作用に関する知識の有無が問われている。緊急安全性情報(平成8年3月)が発出されたこともある。
3 正しい。適用年齢の下限が設けられていなくても、生後3ヶ月未満の乳児には使用しない。
4 正しい。しばり表現に記事も参照を。
正答・・・2
問 56 感染症の防止と消毒薬に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 感染症は、病原性のある細菌、寄生虫やウイルスなどが体に侵入することによって起こる望ましくない反応である。
b 滅菌は、生存する微生物の数を減らすために行われる処置である。
c 消毒薬によっては、殺菌消毒効果が十分得られない微生物が存在し、さらに、生息条件が整えば、消毒薬の溶液中で生存、増殖する微生物もいる。
d 消毒薬が微生物を死滅させる仕組み及び効果は、殺菌消毒成分の種類、濃度、温度、時間、消毒対象物の汚染度、微生物の種類や状態などによって異なる。
a b c d
1 誤 誤 正 誤
2 正 誤 正 正
3 正 正 誤 誤
4 誤 正 正 正
5 正 誤 誤 正
感染症と消毒薬に関する問題。
a 正しい。常識的に読み取ればOK
b 誤り。過去問でも何度か問われている。知らないと間違いやすい。「殺菌・消毒」と「滅菌」の内容を区別して理解する。
手引きに「殺菌・消毒は生存する微生物の数を減らすために行われる処置であり、また滅菌は物質中のすべての微生物を殺滅又は除去することである。」と書かれている。
c 正しい。
d 正しい。
正答・・・2
問 57 衛生害虫の種類と防除等に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
a 市販されている医薬品によるシラミの駆除方法として、有機塩素系殺虫成分(DDT等)がある。
b ゴキブリの燻蒸処理を行う場合は、その卵に医薬品の成分が浸透し、殺虫効果を示すため、一度の燻蒸処理で十分な効果が得られる。
c ノミによる保健衛生上の害としては、主に吸血されたときの痒みであるが、元来、ペスト等の病原細菌を媒介する衛生害虫である。
d ツツガムシは、野外に生息し、目視での確認が困難であるため、ツツガムシが生息する可能性がある場所に立ち入る際には、専ら忌避剤による対応が図られる。
1(a、b) 2(a、d) 3(b、c) 4(c、d)
衛生害虫の種類と防除等に関する問題。
問われている内容は広く難問である。
a 誤り。フェノトリンは、殺虫成分で唯一人体に直接適用されるものである(シラミの駆除を目的とする製品の場合)。OTC医薬品として「スミスリンLシャンプー」がある。
b 誤り。ゴキブリの卵は医薬品の成分が浸透しない殻で覆われているため、殺虫効果を示さない。そのため3週間位後に、もう一度燻蒸処理を行い、孵化した幼虫を駆除する。
c 正しい。
d 正しい。
正答・・・4
問 58 第1欄の記述は衛生害虫の防除法の主な用法に関するものである。第1欄の記述に該当する剤型として正しいものは第2欄のどれか。
第1欄 空間噴射の殺虫剤のうち、容器中の医薬品を煙状又は霧状にして一度に全量放出させるものである。霧状にして放出するものは、煙状にするものに比べて、噴射された 粒子が微小であるため短時間で部屋の隅々まで行き渡るというメリットがある。 処理が完了するまでの間、部屋を締め切って退出する必要がある。処理後は換気を 十分に行い、ダニ等の死骸を取り除くために掃除機をかけることも重要である。
第2欄 1 スプレー剤 2 燻蒸剤 3 毒餌剤 4 蒸散剤 5 粉剤・粒剤
あまり出題されている内容ではないが、問57の関連問題を解いた後なら、それ程迷わないはず。
燻蒸剤には、煙状タイプと霧状タイプがある。製品としては「バルサン」や「虫コロリ」ブランド等がある。
正答・・・2
問 59 尿糖・尿タンパク検査に関する記述について、正しい組み合わせはどれか。
a 尿糖値に異常を生じる要因は、一般に高血糖と結びつけて捉えられることが多いが、腎性糖尿等のように高血糖を伴わない場合もある。
b 尿タンパク検査の場合、食後2~3時間を目安に採尿を行う。
c 正確な尿糖の検査のためには、出始めの尿ではなく中間尿を採取することが望ましい。
d 通常、尿は弱アルカリ性であるが、食事その他の影響で弱酸性~中性に傾くと、 尿糖・尿タンパクの正確な検査結果が得られなくなることがある。
1(a、b) 2(a、c) 3(b、d) 4(c、d)
尿糖・尿タンパク検査に関する問題
a 正しい。
b 誤り。尿タンパクの場合、原則として早朝尿(起床直後の尿)を使用する。
c 正しい。出始めの尿では、尿道や外陰部等に付着した細菌や分泌物が混入することがあるため、中間尿を採取して検査することが望ましい。
d 誤り。通常、尿は弱酸性だが、食事その他の影響で中性~弱アルカリ性に傾くと、正確な検査結果が得られなくなることがある。
正答・・・2
問 60 妊娠検査薬に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 一般的な妊娠検査薬の使用は、月経予定日が過ぎて概ね1週間目以降の検査が推奨されている。
b ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)の検出反応は、hCGと特異的に反応する抗体や酵素を用いた反応であるため、温度の影響は受けない。
c 経口避妊薬や更年期障害治療薬などのホルモン剤を使用している人では、妊娠していなくても検査結果が陽性となることがある。
d 妊娠検査薬は、妊娠の早期判定のためhCGの有無を調べるものであり、その結果をもって直ちに妊娠を判断することができる。
a b c d
1 誤 正 正 誤
2 誤 正 誤 正
3 正 誤 正 誤
4 正 正 誤 正
5 正 誤 誤 誤
妊娠検査薬に関する問題。
a 正しい。
b 誤り。「尿中hCGの検出反応は、hCGと特異的に反応する抗体や酵素を用いた反応であるため、温度の影響を受けることがある。検査薬が高温になる場所に放置されたり、冷蔵庫内に保管されていたりすると、設計どおりの検出感度を発揮できなくなるおそれがある。」(手引きより)
c 正しい。「経口避妊薬や更年期障害治療薬などのホルモン剤を使用している人では、妊娠していなくても尿中hCGが検出されることがある。閉経期に入っている人も、検査結果が陽性となることがある。」(手引きより)
d 誤り。妊娠の確定診断には、尿中のホルモン検査だけでなく、専門医による問診や超音波検査などの結果から総合的に妊娠の成立を見極める必要がある。
正答・・・3
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