H28 愛知県(東海・北陸地区共通)第2章 人体の働きと医薬品(PM 問11-20)
問11 交感神経系及び副交感神経系に関する記述のうち、正しいものはどれか。
1 概ね、交感神経系は体が食事や休憩等の安息状態となるように働き、副交感神経系は体が闘争や恐怖等の緊張状態に対応した態勢をとるように働く。
2 交感神経の節後線維の末端から放出される神経伝達物質はアセチルコリンであり、副交感神経の節後線維の末端から放出される神経伝達物質はノルアドレナリンである。
3 交感神経系と副交感神経系は、互いに拮抗して働き、一方が活発になっているときには他方は活動を抑制して、効果を及ぼす各臓器・器官(効果器)を制御している。
4 気管及び気管支は、交感神経系が活発になると収縮し、副交感神経系が活発になると拡張する。
交感神経系及び副交感神経系に関する問題。
1 誤り。説明が逆。交感神経系は「体が闘争や恐怖等の緊張状態に対応した態勢」、副交感神経は「体が食事や休憩等の安息状態」
2 誤り。これも逆。交感神経の神経伝達物質はノルアドレナリン。副交感神経はアセチルコリン。
3 正しい。
4 誤り。交感神経と副交感神経が逆。
正答・・・3
問12 薬の代謝、排泄に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
a 循環血液中に存在する有効成分の多くは、腎機能が低下した人では、正常の人よりも有効成分の尿中への排泄が遅れるため、血中濃度が下がりやすい。
b 最近の研究により、小腸などの消化管粘膜や腎臓にも、かなり強い代謝活性があることが明らかにされている。
c 循環血液中に移行した有効成分は、主として肥満細胞の薬物代謝酵素の働きによって代謝を受ける。
d 循環血液中に移行した多くの有効成分は、血液中で血漿タンパク質と結合して複合体を形成しており、代謝や分布が制限されるため、血中濃度の低下は徐々に起こる。
1(a、b) 2(a、c) 3(b、d) 4(c、d)
薬の代謝、排泄に関する問題。
a 誤り。腎機能が低下していると、排泄が遅れ血中濃度が下がりにくい。その為、医薬品の効き目が過剰になったり、副作用が現れやすくなる恐れがある。
b 正しい。
c 誤り。×肥満細胞→〇肝細胞
d 正しい。
正答・・・3
問13 薬の吸収に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 消化管での吸収量や吸収速度は、消化管内容物や他の医薬品の作用によって影響を受ける。
b 一般に、消化管からの吸収は、消化管が積極的に医薬品の成分を取り込むのではなく、濃度が高い方から低い方へ受動的に拡散していく現象である。
c 内服薬である錠剤、カプセル剤は腸で有効成分が溶出するものが大部分である。
d 有効成分が皮膚から浸透して体内の組織で作用する医薬品の場合は、浸透する量は皮膚の状態、傷の有無やその程度などによって影響を受ける。
a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 正
4 誤 正 正 正
5 正 正 正 正
薬の吸収に関する問題。
a 正しい。
b 正しい。
c 誤り。内服薬では、有効成分が胃で溶出し、小腸で吸収されるのが大部分である。
d 正しい。
正答・・・2
問14 皮膚粘膜眼症候群に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
a 38℃以上の高熱を伴って、発疹 ・発赤、火傷様の水疱等の激しい症状が、全身の皮膚、口、眼等の粘膜に現れる病態である。
b 原因医薬品の使用開始後2週間以内に発症することが多いが、1ヶ月以上経ってから起こることもある。
c 発症の可能性がある医薬品の種類は多いが、発症機序の詳細が明確になっているため、発症の予測が容易である。
d ライエル症候群とも呼ばれる。
1(a、b) 2(a、c) 3(b、d) 4(c、d)
皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群) に関する問題。
a 正しい。
b 正しい。
c 誤り。発症機序の詳細は不明で、 発症の予測は極めて困難。
d 誤り。これは中毒性表皮壊死融解症(TEN)に関する内容。
正答・・・1
問15 医薬品の剤形に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a クリーム剤と軟膏剤では、一般的に、適用する部位の状態に応じて、適用部位を水から遮断したい場合にはクリーム剤を用い、患部が乾燥していたり患部を水で洗い流したい場合等には 軟膏剤を用いることが多い。
b シロップ剤は、粘りがあって容器に残りやすいので、残った部分を水ですすいで、すすぎ液も飲むなどの工夫が必要である。
c チュアブル錠は、口の中で舐めたり噛み砕いたりして服用する剤形であり、水なしでも服用できる。
d 錠剤は、内服用医薬品の剤形として最も広く用いられているが、一定の大きさがある固形製剤であるため、高齢者、乳幼児等の場合、飲み込みにくいことがある。
a b c d
1 誤 誤 正 正
2 正 誤 誤 正
3 正 正 誤 誤
4 正 正 正 誤
5 誤 正 正 正
医薬品の剤形に関する問題。
a 誤り。軟膏剤とクリーム剤の説明内容が逆になっている。
b 正しい。これは知らないと迷ったかもしれない。記述のとおりである。
c 正しい。チュアブル錠に関する内容。
d 正しい。
正答・・・5
問16 全身的に現れる医薬品の副作用に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
a ショック(アナフィラキシー)は、医薬品成分に対する遅延型のアレルギー反応である。
b 黄疸は、グロブリンが胆汁中へ排出されず血液中に滞留することにより生じる。
c 医薬品の使用が原因で血液中の血小板が減少し、鼻血、歯ぐきからの出血、手足の青あざ(紫斑)や口腔粘膜の血腫等の内出血等の症状が現れることがある。
d 偽アルドステロン症は、医薬品と食品との相互作用で起きることがある。
1(a、b) 2(b、c) 3(c、d) 4(a、d)
身的に現れる医薬品の副作用に関する問題。
a 誤り。ショック(アナフィラキシー)は、生体異物に対する即時型のアレルギー反応
b 誤り。×グロブリン→〇ビリルビン(黄色色素)
c 正しい。難しい内容だが、手引きの記載どおり。
d 正しい。カンゾウ(甘草)由来成分であるグリチルリチン酸を大量に摂取すると偽アルドステロン症になる恐れがある。カンゾウ(甘草)は、医薬品の成分の他に、甘味料として食品にも含まれる場合がある。
正答・・・3
問17 精神神経系に現れる医薬品の副作用に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 医薬品の副作用による精神神経症状には、不眠、不安、震え(振戦)、興奮、眠気、うつ等がある。
b 精神神経症状は、医薬品の大量服用や長期連用、乳幼児への適用外の使用等の不適正な使用がなされた場合に限り発生する。
c 無菌性髄膜炎は、過去に軽度の症状を経験した人の場合、再度、同じ医薬品を使用することにより再発し、急激に症状が進行する場合がある。
d 無菌性髄膜炎は、全身性エリテマトーデス、混合性結合組織病、関節リウマチ等の基礎疾患がある人で発症リスクが高い。
a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 誤
4 誤 正 誤 正
5 正 誤 正 正
精神神経系に現れる医薬品の副作用に関する問題。
a 正しい。
b 誤り。「限り」でおかしいと感じたでしょう。通常の用法・用量でも発生することがある。
c 正しい。なお、この試験で無菌性髄膜炎を起こす恐れのある成分が問われたら、イブプロフェンを選ぶ。
d 正しい。
正答・・・5
問18 皮膚に現れる医薬品の副作用に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
a 接触皮膚炎は、原因となる医薬品と接触してから発症するまでの時間は様々であるが、医薬品が触れた皮膚の部分にのみ生じ、正常な皮膚との境界がはっきりしているのが特徴である。
b 光線過敏症は、医薬品が触れた部分だけでなく、全身へ広がって重篤化する場合がある。
c 光線過敏症は、貼付剤では、それを剥がしてしまえば発症することはない。
d 薬疹は、医薬品の使用後1~2週間で起きることが多く、長期使用後に現れることはない。
1(a、b) 2(b、c) 3(c、d) 4(a、d)
接触皮膚炎及び光線過敏症に関する問題。第2章では良く出題されている分野。
光線過敏症については湿布に用いられる成分であるケトプロフェンに関しても学習を。
a 正しい。。接触皮膚炎は医薬品が触れた皮膚の部分のみ。光線過敏症は触れた部分だけではなく、全身へ広がって重症化する場合がある。
b 正しい。
c 誤り。貼付剤の場合は剥がした後でも発症することがある。
d 誤り。
正答・・・1
問19 呼吸器系に現れる医薬品の副作用に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
a 間質性肺炎を発症すると、肺胞と毛細血管の間のガス交換効率が低下して血液に酸素を十分取り込むことができず、体内は低酸素状態となる。
b 間質性肺炎の症状は、かぜや気管支炎の症状と簡単に区別できる。
c 間質性肺炎は、息切れ・息苦しさ等の呼吸困難、空咳 (痰の出ない咳 )、発熱等の症状を呈し、医薬品の使用開始から1~2週間程度で起きることが多い。
d 喘息は、坐薬や外用薬では誘発されない。
1(a、b) 2(a、c) 3(b、d) 4(c、d)
呼吸器系に現れる医薬品の副作用に関する問題。
a 正しい。
b 誤り。
c 正しい。
d 誤り。喘息は、坐薬や外用薬では誘発される場合もある。例えば、消炎鎮痛薬の湿布では、使用上の注意に喘息に関する注意が書かれている。
正答・・・2
問20 消化器系に現れる医薬品の副作用に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 腸内容物の通過が阻害された状態を消化性潰瘍という。
b 消化性潰瘍は、自覚症状が乏しい場合もあり、貧血症状(動悸や息切れ等)の検査時や突然 の吐血・下血によって発見されることもある。
c イレウス様症状が悪化すると、腸内容物の逆流による嘔吐が原因で脱水症状を呈する可能性がある。
d 消化器に対する医薬品の副作用によって、吐きけ・嘔吐、食欲不振、腹部(胃部)不快感、 腹部(胃部)膨満感、腹痛、口内炎、口腔内の荒れや刺激感などを生じることがある。
a b c d
1 誤 誤 正 正
2 正 誤 誤 正
3 正 正 誤 誤
4 正 正 正 誤
5 誤 正 正 正
消化器系に現れる医薬品の副作用に関する問題。
a 誤り。これはイレウスに関する内容。
b 正しい。
c 正しい。
d 正しい。
正答・・・5
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