H29 愛知県(東海・北陸地区共通)第5章 医薬品の適正使用・安全対策 (PM問51-60)
問57(給付の種類)は難しい。問52・53(副作用報告)も迷う。
問51
次のうち、「使用上の注意」において、緑内障の悪化や排尿困難又は便秘の副作用が現れやすいため、高齢者の場合は相談することとされている成分を含む医薬品はどれか。
1 マオウが配合された内服薬
2 カンゾウが配合された内服薬
3 グリセリンが配合された浣腸薬
4 メトキシフェナミン塩酸塩が配合された内服薬
5 スコポラミン臭化水素酸塩が配合された内服薬
緑内障の悪化や排尿困難又は便秘の副作用が現れやすい成分に関する問題。
「緑内障」とくれば、抗コリン成分をまず探しにいけば良い。この中で、抗コリン成分は、代表的な乗り物酔い防止薬の成分であるスコポラミン臭化水素酸塩。
マオウ(麻黄)はアドレナリン作動性成分と同様な注意が必要な生薬であり、高齢者に関わらず、排尿困難の方は「相談すること」になっているが、緑内障に関する注意はない。
また、カンゾウ(甘草)については、偽アルドステロン症に注意する。
メトキシフェナミン塩酸塩は気管支拡張成分だが、高齢者は心悸亢進、血圧上昇、糖代謝促進を起こしやすいため、相談することと記載されている。
正答・・・5
問52
医薬品の副作用報告に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 医薬品医療機器等法の規定に基づき、医薬品の副作用等によるものと疑われる健康被害の発生を知った場合において、保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するため必要があると認めるときに、その旨を厚生労働省(実務上は、医薬品医療機器等法第68条の13第3項の規定により、報告書を独立行政法人医薬品医療機器総合機構に提出)に報告しなければならないのは、医師、歯科医師、薬剤師のみである。
b 1979年に創設された副作用・感染症報告制度において、医薬品等との関連が否定できない感染症に関する症例情報の報告や研究論文等について、店舗販売業者に対して報告義務を課している。
c 既存の医薬品と明らかに異なる有効成分が配合された医薬品については、5年を超えない範囲で厚生労働大臣が承認時に定める一定期間、承認後の使用成績等を製造販売業者等が集積し、提出する制度(再審査制度)が適用される。
d 医薬品の市販後においても、常にその品質、有効性及び安全性に関する情報を収集し、また、医薬関係者に必要な情報を提供することが、医薬品の適切な使用を確保する観点からも、企業責任として重要なことである。
a b c d
1 正 正 誤 誤
2 誤 正 正 誤
3 誤 誤 正 正
4 誤 誤 誤 正
5 正 誤 誤 誤
医薬品の副作用報告に関する問題。
再審査制度の年数はあまり問われたことは無かった。
a 誤り。登録販売者や獣医師も報告義務の対象である。
b 誤り。×店舗販売業→〇製造販売業者等
c 誤り。再審査制度に関する内容。×5年を超えない範囲→〇10年を超えない範囲
d 正しい。
正答・・・4
問53
医薬品医療機器等法第68条の10第2項の規定に基づく医薬品の副作用等報告に関する記述について、正しいものはいくつあるか。
a 報告様式は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構のホームページや専門誌等から入手できる。
b 複数の専門家が医薬品の販売等に携わっている場合は、当該薬局又は医薬品の販売業において販売等された医薬品の副作用等によると疑われる健康被害の情報に直接接した専門家が報告書を提出する。
c 安全対策上必要があると認めるときは、医薬品の過量使用や誤用等によるものと思われる健康被害についても報告がなされる必要がある。
d 医薬部外品又は化粧品による健康被害についても、自発的な情報提供をするよう協力が要請されている。
1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
5 正しいものはない
医薬品等安全性情報報告制度に関する問題。
a 正しい。
b 正しい。これは迷ったかもしれない。複数の専門家が医薬品の販売等に携わっている場合は、当該薬局又は医薬品の販売業において販売等された医薬品の副作用等によると疑われる健康被害の情報に直接接した専門家1名から報告書が提出されれば十分とされている。
c 正しい。
d 正しい。
正答・・・4
問54
緊急安全性情報に関する記述について、( )の中に入れるべき字句の正しい組み合わせはどれか。
緊急安全性情報は、医薬品、医療機器又は再生医療等製品について緊急かつ重大な注意喚起や( a )に係る対策が必要な状況にある場合に、厚生労働省からの命令、指示等に基づいて作成され、報道発表、医薬品医療機器情報配信サービスによる配信、( b )から医療機関や薬局等への直接配布、ダイレクトメール等により情報伝達される、A4サイズの印刷物で、( c )とも呼ばれる。
a b c
1 副作用 販売業者 ブルーレター
2 使用方法 製造販売業者 ブルーレター
3 使用制限 製造販売業者 イエローレター
4 使用方法 販売業者 イエローレター
5 使用制限 販売業者 イエローレター
緊急安全性情報(イエローレター)に関する問題。これは頻出なので絶対落とせない。
併せて、安全性速報(ブルーレター)との違いも押さえておくように。
a 使用制限
b 製造販売業者
c イエローレター
正答・・・3
問55
医薬品の副作用情報等の評価及び措置に関する記述について、( )の中に入れるべき字句の正しい組み合わせはどれか。
各制度により集められた副作用情報については、( a )において専門委員の意見を聴きながら調査検討が行われ、その結果に基づき、( b )は、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、使用上の注意の改訂の指示等を通じた注意喚起のための情報提供や、効能・効果や用法・用量の一部変更、調査・実験の実施の指示、製造・販売の中止、製品の回収等の安全対策上必要な行政措置を講じている。
a b
1 厚生労働省 厚生労働大臣
2 独立行政法人医薬品医療機器総合機構 厚生労働大臣
3 消費者庁 独立行政法人医薬品医療機器総合機構
4 厚生労働省 独立行政法人医薬品医療機器総合機構
5 独立行政法人医薬品医療機器総合機構 独立行政法人医薬品医療機器総合機構
副作用情報の評価及び措置に関する問題。
a 独立行政法人医薬品医療機器総合機構
b 厚生労働大臣
正答・・・2
問56
医薬品副作用被害救済制度に関する記述のうち、正しいものはどれか。
1 要指導医薬品又は一般用医薬品の使用により副作用を生じた場合であって、その副作用による健康被害が救済給付の対象となると思われたときには、登録販売者は、健康被害を受けた購入者等に対して救済制度があることや、相談窓口等を紹介し、相談を促すなどの対応が期待されている。
2 添付文書や外部の容器又は外部の被包に記載されている用法・用量、使用上の注意に従わずに医薬品を使用した場合であっても、救済給付の対象となる。
3 医療機関での治療を要さずに寛解したような軽微な健康被害についても救済給付の対象となる。
4 救済給付業務に必要な費用のうち、給付費については、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法第19条の規定に基づき、製造業者が年度ごとに納付する拠出金が充てられる。
ここから医薬品副作用被害救済制度に関する問題が2問続く。
1 正しい。
2 誤り。
3 誤り。医療機関での治療を要さずに寛解したような軽度のものは給付対象に含まれない。
4 誤り。給付費、事務費のお金の出所は良く出題されているが、これは意地悪な文章。×製造業者→〇製造販売業者。手引きの記載内容は以下のとおり
「救済給付業務に必要な費用のうち、給付費については、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法第19条の規定に基づいて、製造販売業者から年度ごとに納付される拠出金が充てられるほか、事務費については、その2分の1相当額は国庫補助により賄われている。」
正答・・・1
問57
医薬品副作用被害救済制度の給付に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
a 医療手当は、請求に係る医療が行われた日の属する月の翌月の初日から5年以内に請求を行う必要がある。
b 医療費の給付は、医薬品の副作用による疾病の治療に要した費用を定額補償するものである。
c 遺族年金の給付は、給付期間に制限がある。
d 障害年金は、医薬品の副作用により一定程度の障害の状態にある20歳以上の人の生活補償等を目的として給付される。
1(a、b) 2(a、c) 3(b、d) 4(c、d)
医薬品副作用被害救済制度における給付の種類に関する問題。
給付の種類としては、医療費、医療手当、障害年金、障害児養育年金、遺族年金、遺族一時金及び葬祭料があるが、全て細かく憶えようとすると結構大変である。
他地域も含め、この分野の問題が難化しており、より幅広い知識が求められるようになってきている。
a 正しい。あまり問われていない細かい所だが、正しい内容である。なお、医療手当は医薬品の副作用による疾病の治療に伴う医療費以外の費用の負担に着目して給付されるもの(定額)
b 誤り。医療費については給付額は定額ではない。
c 正しい。遺族年金とは、生計維持者が医薬品の副作用により死亡した場合に、その遺族の生活の立て直し等を目的として給付されるもの(定額)。ただし、最高10年間を限度としている。
d 誤り。×20歳→〇18歳
正答・・・2
問58
医薬品の安全対策に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 一般用かぜ薬の使用上の注意においては、「まれに間質性肺炎の重篤な症状が起きることがあり、その症状は、かぜの諸症状と区別が難しいため、症状が悪化した場合には服用を中止して医師の診療を受ける」旨の注意喚起がなされている。
b インターフェロン製剤を使用している患者や慢性肝炎患者が小柴胡湯を使用することによる間質性肺炎の発症が報告されている。
c プソイドエフェドリン塩酸塩(PSE)は、鼻みず、鼻づまり等の症状の緩和を目的として、鼻炎用内服薬、鎮咳去痰薬、かぜ薬等に配合されていたが、出血性脳卒中の発生リスクとの関連性が高いことから塩酸フェニルプロパノールアミン(PPA)等への切り替えが行われた。
d アンプル剤は他の剤形(錠剤、散剤等)に比べて吸収が遅く、血中濃度がゆっくりと高値に達するため、通常用量でも副作用を生じやすいことが確認されたことから、1965年、厚生省(当時)より関係製薬企業に対し、アンプル入りかぜ薬製品の回収が要請された。
a b c d
1 誤 誤 正 正
2 正 誤 誤 正
3 正 正 誤 誤
4 正 正 正 誤
5 誤 正 正 正
医薬品の安全対策に関する問題。
どれも良く出題されてきた内容なので、容易に判断できるように。
a 正しい。
b 正しい。小柴胡湯に関しては、一般用医薬品も対象とした緊急安全性情報が出されたことも押さえておこう。
c 誤り。プソイドエフェドリン塩酸塩(PSE)と塩酸フェニルプロパノールアミン(PPA)が逆。
d 誤り。前半部分が誤り。アンプル剤は他の剤形(錠剤、散剤等)に比べて吸収が速く、血中濃度が急速に高値に達するため、副作用が生じやすかった。
正答・・・3
問59
医薬品PLセンターに関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 医薬品副作用被害救済制度の対象となるケースのうち、製品不良など、製薬企業に損害賠償責任がある場合には、「医薬品PLセンター」への相談が推奨される。
b 医薬品PLセンターは、独立行政法人医薬品医療機器総合機構において、平成7年7月の製造物責任法の施行と同時に開設された。
c 医薬品PLセンターは、消費者が、医薬品又は医薬部外品に関する苦情(健康被害以外の損害も含まれる)について製造販売元の企業と交渉するに当たって、公平・中立な立場で申立ての相談を受け付けている。
d 医薬品PLセンターは、裁判において迅速な解決に導くことを目的としている。
a b c d
1 誤 誤 誤 正
2 誤 誤 正 誤
3 誤 正 誤 誤
4 正 誤 誤 誤
5 誤 誤 誤 誤
医薬品PLセンターに関する問題も毎年出題されているが、今回の問題は難しい。
a 誤り。医薬品副作用被害救済制度の対象とならないケースが対象となる。他の記述は正しい。
b 誤り。×医薬品医療機器総合機構→〇日本製薬団体連合会。PL法施行と同時に開設されたことは正しい。
c 正しい。なお、医薬品又は医薬部外品に関する苦情を受け付けているが、化粧品・医療機器は対象外なのも合わせて押さえておく(良く問われている)。
d 誤り。公平・中立な立場で申立ての相談を受け付け、交渉の仲介や調整・あっせんを行い、裁判によらずに迅速な解決に導くことを目的としている。
正答・・・2
問60
医薬品の適正使用に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 医薬品の適正使用の重要性等についての啓発は、小中学生のうちから行うことが重要である。
b 登録販売者においては、適切なセルフメディケーションの普及定着、医薬品の適正使用の推進のため、こうした活動に積極的に参加、協力することが期待される。
c 青少年は、薬物乱用の危険性に関する認識や理解が必ずしも十分でなく、好奇心から身近に入手できる一般用医薬品などを興味本位で乱用することがある。
d 薬物乱用防止を一層推進するため、毎年6月20日~7月19日までの1ヶ月間、国、自治体、関係団体等により、「ダメ。ゼッタイ。」普及運動が実施されている。
a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 正
4 誤 正 正 正
5 正 正 正 正
医薬品の適正使用に関する問題。
10月17日~23日の1週間「薬と健康の週間」と、6月20日~7月19日の1か月「ダメ。ゼッタイ。」普及運動は押さえておく。
a 正しい。
b 正しい。
c 正しい。
d 正しい。
正答・・・5
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