H27 東京都・千葉県・神奈川県・埼玉県 第2章 人体の働きと医薬品 (問31-40)

問31(脳)の数値知識は難しい。他は良く出題されている内容ばかり
問33(汗腺の神経伝達物質)は必ず押さえておく

問31 脳に関する次の記述について、( )の中に入れるべき字句の正しい組合せはどれか。 脳では、細胞同士が複雑かつ活発に働くため、脳におけるブドウ糖の消費量は全身の約 ( a )、酸素の消費量は全身の約( b )、血液の循環量は心拍出量の約( c ) を占める。

  a   b   c
1 25% 20% 50%
2 25% 60% 50%
3 25% 20% 15%
4 75% 60% 50%
5 75% 20% 15%

それ程出題されている内容ではないので迷った方も多いでしょう。手引きの記載は以下のとおり(ちょっと日本語としてわかりづらいが)

「脳における細胞同士の複雑かつ活発な働きのため、脳において、血液の循環量は心拍出量の約15%、酸素の消費量は全身の約20%、ブドウ糖の消費量は全身の約25%と多い。」

正答・・・3

問32 中枢神経系に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a 脊髄には、心拍数を調節する心臓中枢、呼吸を調節する呼吸中枢がある。

b 脳の血管は、末梢に比べて物質の透過に関する選択性が低く、タンパク質などの大分子や小分子でもイオン化した物質は血液中から脳の組織へ移行しやすい。

c 小児では、血液脳関門が未発達であるため、循環血液中に移行した医薬品の成分が脳の組織に達しやすい。

d 脊髄は、脊椎の中にあり、脳と末梢の間で刺激を伝えるほか、末梢からの刺激の一部に対して脳を介さずに刺激を返す場合があり、これを脊髄反射と呼ぶ。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)

中枢神経系に関する問題。

a 誤り。心臓中枢、呼吸中枢があるのは延髄
b 誤り。これは容易に気付きたい。血液脳関門に関する記述。、脳の血管は末梢に比べて物質の透過に関する選択性が高い。その為、タンパク質などの大分子や小分子でもイオン化した物質は血液中から脳の組織へ移行しにくい。
c 正しい。小児の血液脳関門は未発達である。
d 正しい。中学生の時に習い憶えている人も多いはず。

正答・・・5

問33 自律神経系に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 通常、交感神経系と副交感神経系は、互いに拮抗して働き、一方が活発になっているときには他方は活動を抑制して、効果を及ぼす各臓器・器官(効果器)を制御している。

b 概ね、交感神経系は体が闘争や恐怖等の緊張状態に対応した態勢をとるように働き、 副交感神経系は体が食事や休憩等の安息状態となるように働く。

c エクリン腺を支配する交感神経線維の末端では、例外的にアセチルコリンが神経伝達物質として放出される。

    a b c
1 正 正 正
2 誤 誤 正
3 誤 正 誤
4 正 誤 正
5 誤 誤 誤

自律神経系に関する問題。

a 正しい。
b 正しい。
c 正しい。汗腺における神経伝達物質については頻出なので、必ず押さえておく。
まず、通常神経伝達物質は、交感神経はノルアドレナリン、副交感神経はアセチルコリンである。ただし、汗腺を支配する交感神経線維の末端では、例外的にアセチルコリンが伝達物質として放出される。そのため全身に隈なく分布するエクリン線では、アセチルコリンが神経伝達物質になる。さらにもう一つ、局所(腋窩等)に分布するアポクリン汗腺を支配する交感神経線維の末端ではノルアドレナリンが神経伝達物質として放出されることも合わせて押さえておく。

正答・・・1

問34 医薬品の作用に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 医薬品の作用には、有効成分が消化管などから吸収されて循環血液中に移行し、全身を巡って薬効をもたらす全身作用と、特定の狭い身体部位において薬効をもたらす局所作用とがある。

b 循環血液中に移行した有効成分は、血流によって全身の組織・器官へ運ばれて作用するが、多くの場合、標的となる細胞に存在する受容体、酵素、トランスポーターなどのタンパク質と結合し、その機能を変化させることで薬効や副作用を現す。

c 皮膚に適用する医薬品(塗り薬、貼り薬等)は、通常、皮膚表面から循環血液中へ移行する有効成分の量が比較的少ないため、適用部位の面積(使用量)や使用回数、その 頻度などにかかわらず全身作用が現れることはない。

   a b c
1 正 正 誤
2 正 誤 誤
3 誤 正 正
4 誤 誤 誤
5 正 誤 正

 医薬品の作用に関する問題。

a 正しい。
b 正しい。
c 誤り。断定的な表現で、すぐに誤りと気付くでしょう。塗り薬、貼り薬で副作用が現れないとは断定できない。

正答・・・1

問35 医薬品の有効成分の吸収に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a 一般に、消化管からの吸収は、消化管が積極的に医薬品成分を取り込むのではなく、 濃度の高い方から低い方へ受動的に拡散していく現象である。

b 消化管内での有効成分の吸収量や吸収速度は、消化管内容物や他の医薬品の作用による影響を受けない。

c 肛門から挿入する坐剤は、直腸内で溶解し、薄い直腸内壁の粘膜から有効成分を吸収させるというものである。

d 口腔粘膜から吸収された医薬品の成分は、初めに肝臓で代謝を受けてから全身に分布 する。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)

医薬品の有効成分の吸収に関する問題。

a 正しい。いわゆる受動拡散の説明である。
b 誤り。
c 正しい。
d 誤り。口腔粘膜から吸収された成分は、肝臓を経由せずに心臓に到るため、吸収されて循環血液中に入った成分は、初めに肝臓で代謝を受けることなく全身に分布する。口腔粘膜からの吸収を利用した医薬品に、狭心症に用いるニトロ舌下錠や、ニコチンガムがある。

正答・・・2

問36 医薬品の代謝及び排泄に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 循環血液中に移行した医薬品の有効成分は、主として肝細胞の薬物代謝酵素によって代謝を受ける。

b 多くの医薬品の有効成分は、血液中で血漿タンパク質と結合して複合体を形成しており、その複合体は腎臓で濾過されないため、医薬品の有効成分が長く循環血液中に留まることとなり、作用が持続する原因となる。

c 循環血液中に移行した医薬品の有効成分は、体内を循環するうちに徐々に代謝を受けて、体外へ排泄されやすい脂溶性の物質に変化する。

    a b c
1 正 正 誤
2 誤 誤 正
3 正 誤 誤
4 正 誤 正
5 誤 正 誤

医薬品の代謝及び排泄に関する問題。

a 正しい。
b 正しい。
c 誤り。体外に排出されやすい水溶性の物質に変化する。

正答・・・1

問37 医薬品の作用に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 医薬品の使用量や使用間隔を定める場合、年齢や体格による個人差は考慮されていない。

b 薬効よりも毒性が強く現れる有効成分の血中濃度域を無効域という。

c 医薬品が摂取された後、その有効成分の血中濃度が上昇し、ある最小有効濃度(閾値) を超えたときに生体の反応としての薬効が現れる。

    a b c
1 正 正 誤
2 正 誤 誤
3 誤 誤 正
4 誤 誤 誤
5 誤 正 正

医薬品の作用に関する問題。

a 誤り。
b 誤り。毒性が現れる濃度域を、危険域、中毒域という。無効域はその有効成分の血中濃度が、最小有効濃度未満の濃度域と言う。
c 正しい。

正答・・・3

問38 医薬品の剤型に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 錠剤(内服)は、胃や腸で崩壊し、有効成分が溶出することが薬効発現の前提となるため、例外的な場合を除いて、口中で噛み砕いて服用してはならない。

b 経口液剤は、固形製剤に比べ、飲み込みやすいが、消化管からの吸収は比較的遅い点が特徴である。

c カプセル剤は、水なしで服用するとカプセルの原材料であるゼラチンが喉や食道に貼り付くことがある。

    a b c
1 正 正 正
2 誤 誤 誤
3 誤 正 誤
4 正 誤 誤
5 正 誤 正

 医薬品の剤型(剤形)に関する問題。

a 正しい。なお例外的な例にチュアブル錠がある。
b 誤り。経口製剤は、消化管からの吸収は比較的速い
c 正しい。

正答・・・5

問39 皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)及び中毒性表皮壊死融解症(TEN)に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a 皮膚粘膜眼症候群は、38℃以上の高熱を伴って、発疹・発赤、火傷様の水疱等の激しい症状が比較的短時間のうちに全身の皮膚、口、眼等の粘膜に現れる。

b 中毒性表皮壊死融解症は、広範囲の皮膚に発赤が生じ、全身の10%以上に火傷様の 水疱 、皮膚の剥離、びらん等が認められるが、発熱はない。

c 皮膚粘膜眼症候群及び中毒性表皮壊死融解症はいずれも、発症機序が解明されており、 発症を予測することは可能となっている。

d 皮膚粘膜眼症候群及び中毒性表皮壊死融解症のいずれも発生は非常にまれであるとは いえ、一旦発症すると多臓器障害の合併症等により致命的な転帰をたどることがある。

1(a、b) 2(a、d) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)

皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)及び中毒性表皮壊死融解症(TEN)に関する問題は、毎年出題されると思って学習を。
最初は難しく感じるかもしれないが、問われる内容は決まっており、正誤判断も割と容易な問題が多く、確実に得点にできるようにしたい。

a 正しい。
b 誤り。中毒性表皮壊死融解症は、一般に38℃以上の高熱を伴うとされる。
c 誤り。いずれも、作用機序は解明されていない。
d 正しい。

正答・・・2

問40 医薬品の副作用として現れる症状に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 黄疸とは、グロブリンが胆汁中へ排出されず血液中に滞留することにより生じる、皮膚や白眼が黄色くなる病態である。

b 偽アルドステロン症は、体内にカリウムと水が貯留し、体からナトリウムが失われることによって生じる病態である。

c 無菌性髄膜炎は、多くの場合、発症は急性で、首筋のつっぱりを伴った激しい頭痛、 発熱、吐きけ・嘔吐、意識混濁等の症状が現れる。

    a b c
1 誤 誤 誤
2 正 正 誤
3 誤 正 正
4 誤 誤 正
5 正 誤 誤

医薬品の副作用に関する問題。

a 誤り。黄疸はビリルビン(黄色色素)が胆汁中へ排出されず血液中に滞留することにより生じる。
b 誤り。偽アルドステロン症は頻出。ナトリウムとカリウムが逆。
c 正しい。

正答・・・4

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