H27 愛知県(東海・北陸共通) 第2章 人体の働きと医薬品(PM問11-20)

副作用問題は標準レベル。出来なかった問題はしっかり復習を。

問 11 脳や神経系に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 脳における細胞同士の複雑かつ活発な働きのため、脳において、血液の循環量は心拍出量の約15%、酸素の消費量は全身の約20%、ブドウ糖の消費量は全身の約25%と多い。

b 脊髄には、心拍数を調節する心臓中枢、呼吸を調節する呼吸中枢がある。

c 延髄は脊椎の中にあり、脳と末梢の間で刺激を伝えるほか、末梢からの刺激の一部に対して脳を介さずに刺激を返す場合があり、これを末梢反射と呼ぶ。

d 末梢神経系は、随意運動、知覚等を担う自律神経系と、呼吸や血液の循環等のように生命や身体機能の維持のため無意識に働いている機能を担う体性神経系に分類される。

  a b c d
1 誤 誤 誤 正
2 誤 誤 正 誤
3 誤 正 誤 誤
4 正 誤 誤 誤
5 誤 誤 誤 誤

a 正しい。この試験では、数値を変えて正誤を問う問題は多くないが、この内容に関して数値を変えた出題が過去にある。それぞれ20%前後であるイメージは押さえておく。
b 誤り。これは延髄に関する内容
c 誤り。これは脊髄に関する内容。末梢からの刺激の一部に対して脳を介さずに刺激を返すのは脊髄反射と呼ばれる。中学・高校でも習ったことがあるでしょう。
d 誤り。「自律神経系」と「体性神経系」が逆になっている。

正答・・・4

問 12 医薬品の吸収に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a 全身作用を目的とする医薬品では、その有効成分が消化管等から吸収されて、循環血液中に移行することが不可欠である。

b 坐剤の有効成分は、直腸内壁の粘膜から吸収されるため、内服の場合よりも全身作用が速やかに現れる。

c 医薬品成分の消化管からの吸収量や吸収速度は、消化管内容物や他の医薬品の作用による影響を受けない。

d 含嗽薬(うがい薬)は、唾液や粘液によって食道へ流れてしまうため、咽頭粘膜からの吸収が原因で全身的な副作用が起こることはない。

1(a、b) 2(b、c) 3(c、d) 4(a、d)

医薬品の吸収に関する問題。

a 正しい。
b 正しい。直腸の粘膜下には静脈が豊富に分布して通っており、有効成分は容易に循環血液中に入るため、内服の場合よりも全身作用が速やかに現れる。
c 誤り。影響をうける。
d 誤り。

正答・・・1

問 13 医薬品の代謝及び排泄に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 循環血液中に存在する医薬品の有効成分の多くは、未変化体又は代謝物の形で腎臓から尿中に排泄される。

b 消化管で吸収された医薬品の有効成分は、血液中に移行し全身循環に入る前に、脾臓を通過するため、まず脾臓に存在する酵素の働きにより代謝を受けることになる。

c 医薬品の有効成分の血中濃度は、ある時点でピーク(最高血中濃度)に達し、その後は低下していくが、これは代謝・排泄の速度が吸収・分布の速度を上回るためである。

d 腎機能が低下した人では、正常の人よりも有効成分の尿中への排泄が遅れ、血中濃度が下がりにくく、医薬品の効き目が過剰に現れることがある。

    a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 誤 正 正
3 誤 正 誤 正
4 正 誤 正 誤
5 正 正 誤 正

 医薬品の代謝、排泄に関する問題。肝臓、腎臓の役割はしっかり把握しておく。

a 正しい。
b 誤り。×脾臓→〇肝臓
c 正しい。
d 正しい。

正答・・・2

問 14 医薬品の剤型及び適切な使用方法に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a カプセル剤は、容易に服用できるようにカプセルの原材料としてゼラチンが用いられており、水なしで服用する。

b 経口液剤は固形製剤に比べ、飲み込みやすいが、消化管からの吸収は遅い。

c 外用液剤は、軟膏剤やクリーム剤に比べて、患部が乾きやすいという特徴がある。

d 散剤を服用するときは、飛散を防ぐため、あらかじめ少量の水(又はぬるま湯)を口に含んだ上で服用したり、何回かに分けて少しずつ服用するなどの工夫をするとよい。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、d) 4(c、d)

様々な医薬品の剤型に関する問題。

a 誤り。常識的におかしいとわかるでしょう。なお、水なしで飲めるのは口腔内崩壊錠、チュアブル錠
b 誤り。経口液剤は、服用後、比較的速やかに消化管から吸収されるため、比較的速く吸収される。
c 正しい。
d 正しい。

正答・・・4

問 15 医薬品の副作用に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

1 医薬品の使用が原因で血液中の白血球(好中球)が減少し、細菌やウイルスの感染に対する抵抗力が弱くなり、進行すると重症の細菌感染を繰り返し、致命的となることもある。

2 偽アルドステロン症は体内にカリウムと水が貯留し、体からナトリウムが失われることによって生じる病態である。

3 副交感神経系を抑制する作用がある成分が配合された医薬品を使用すると、前立腺肥大等の基礎疾患がない人でも、排尿困難や尿閉等の症状が現れることがある。

4 医薬品により生じる肝機能障害は、有効成分又はその代謝物の直接的肝毒性が原因で起きる中毒性のものと、有効成分に対する抗原抗体反応が原因で起きるアレルギー性のものに大別される。

医薬品の副作用に関する問題。

1 正しい。
2 誤り。偽アルドステロン症は他の章も含め頻出知識。×ナトリウム→〇カリウム
体内に塩分(ナトリウム)と水が貯留し、体からカリウムが失われることによって生じる病態。症状としては、むくみ(浮腫)、血圧上昇、手足の脱力などがある。
一般用医薬品では、カンゾウを含んだ漢方薬の連用時に、特に注意が必要である。

3 正しい。副交感神経系を抑制する作用がある成分=抗コリン成分。
4 正しい。

正答・・・2

問 16 医薬品の使用によって引き起こされる皮膚粘膜眼症候群に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 最初に報告をした医師の名前にちなんでライエル症候群とも呼ばれる。

b 38℃以上の高熱を伴って、発疹 ・発赤、火傷様の水疱等の激しい症状が比較的短時間のうちに全身の皮膚、口、眼等の粘膜に現れる病態である。

c 発症機序の詳細が明確にされているため、発症を予測することが容易である。

d 一旦発症すると多臓器障害の合併症等により致命的な転帰をたどることがあり、皮膚症状が軽快した後も眼や呼吸器等に障害が残ったりする重篤な疾患である。

a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 誤
4 誤 正 誤 正
5 正 誤 正 正

重篤な副作用の一つである皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)に関する問題

以下は出題の手引きの記載内容の一部抜粋です。
「皮膚粘膜眼症候群は、38℃以上の高熱を伴って、発疹・発赤、火傷様の水疱等の激しい症状が比較的短時間のうちに全身の皮膚、口、眼等の粘膜に現れる病態。」
「スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)とも呼ばれる。」
「発生頻度は、人口100万人当たり年間1~6人と報告されている。」
「発症機序の詳細は不明であり、また、発症の可能性がある医薬品の種類も多いため、発症の予測は極めて困難」

a 誤り。ライエル症候群とも呼ばれるのは中毒性表皮壊死融解症(TEN)。
b 正しい。
c 誤り。発症機序の詳細は不明であり、発症の予測は困難
d 正しい。

正答・・・4

問 17 医薬品の副作用に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a 医薬品の副作用によって中枢神経系が影響を受け、物事に集中できない、落ち着きがなくなる、不眠、不安、震え(振戦)、興奮等の症状を生じることがある。

b 光線過敏症は、医薬品が触れた部分の皮膚にのみ生じ、全身へ広がって重篤化することはない。

c 医薬品の使用によって発症する不整脈は、代謝機能の低下によって発症リスクが高まることがある。

d 無菌性髄膜炎は、過去に比較的軽度の症状で回復した人であれば、原因となる医薬品を再度使用することで再び発症しても、急激に症状が進むおそれはない。

1(a、c) 2(b、c) 3(b、d) 4(a、d)


医薬品の副作用に関する問題。

a 正しい。
b 誤り。光線過敏症も良く出題されている。医薬品が触れた部分だけでなく、全身へ広がって重篤化する場合があ
る。ケトプロフェンも合わせて学習を。
医薬品が触れた皮膚の部分にのみ生じ、正常な皮膚との境界がはっきりしているのは「接触性皮膚炎」
c 正しい。
d 誤り。急激に症状が進行する場合がある

正答・・・1

問 18 呼吸器系に現れる副作用に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 間質性肺炎を発症すると、肺胞と毛細血管の間のガス交換効率が低下して血液に酸素を十分取り込むことができず、体内は低酸素状態となる。

b 間質性肺炎は、気管支又は肺胞が細菌に感染して炎症を生じたものであり、その症状は、かぜや気管支炎の症状との区別が容易である。

c 喘息は、内服薬のほか、坐薬や外用薬でも誘発されることがある。

d 医薬品の使用によって発症する喘息は、合併症を起こさない限り、原因となった医薬品の有効成分が体内から消失すれば症状は寛解する。

a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 誤 正 正
3 誤 正 誤 正
4 正 誤 正 誤
5 正 正 誤 正

呼吸器系に現れる副作用に関する問題。

2章では触れられていないが、小柴胡湯に関連した間質性肺炎の知識も重要。第5章で良く登場する。
小柴胡湯は、インターフェロン製剤で治療を受けている人では、間質性肺炎の副作用が現れるおそれが高まるため、使用を避ける必要がある。


a 正しい。
b 誤り。間質性肺炎は肺の中で肺胞と毛細血管を取り囲んで支持している組織(間質)が炎症を起こし病態。
c 正しい。いわゆるアスピリン喘息を考えれば良い。例えば消炎鎮痛の湿布で発症する場合がある。
d 正しい。知識がないと誤りと判断してしまいそうな文章だが、正しい内容である。

正答・・・2

問 19 目に現れる医薬品の副作用に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 眼球内の角膜と水晶体の間を満たしている眼房水が排出されにくくなると、眼圧が上昇して視覚障害を生じることがある。

b 眼圧の上昇に伴って、頭痛や吐きけ・嘔吐等の症状が現れることがある。

c 抗アドレナリン作用がある成分が配合された医薬品の使用によって眼圧が上昇し(急性緑内障発作)、眼痛や眼の充血に加え、急激な視力低下を来すことがある。

d 瞳の拡大(散瞳)を生じる可能性のある成分が配合された医薬品を使用した後は、乗物や機械類の運転操作は避ける必要がある。

    a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 誤
4 誤 正 誤 正
5 正 誤 正 正

目に現れる医薬品の副作用に関する問題。抗コリン薬による眼圧上昇の知識は頻出である。

a 正しい。
b 正しい。
c 誤り。×抗アドレナリン作用→〇抗コリン作用
d 正しい。

正答・・・2

問 20 消化器系に現れる医薬品の副作用に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 消化性潰瘍とは、医薬品の副作用によって腸管運動が麻痺して腸内容物の通過が妨げられた状態である。

b 消化性潰瘍は、自覚症状が乏しい場合があり、貧血症状(動悸や息切れ等)の検査時や突然の吐血・下血によって発見されることもある。

c 小児や高齢者のほか、普段から下痢傾向のある人は、医薬品の副作用によるイレウス様症状の発症のリスクが高いとされている。

d イレウス様症状では、腹痛などの症状のために水分や食物の摂取が抑制され、嘔吐がない場合でも脱水状態となることがある。

    a b c d
1 正 誤 誤 正
2 誤 誤 正 誤
3 誤 正 誤 正
4 正 誤 正 誤
5 誤 正 誤 誤

消化性潰瘍、イレウス様症状(腸閉塞様症状)に関する問題

a 誤り。これはイレウスに関する内容
b 正しい。
c 誤り。×下痢傾向→〇便秘傾向
d 正しい。

正答・・・3
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