R1 千葉県(東京・神奈川・埼玉共通) 第2章 人体の働きと医薬品(問21-30)
幅広い知識が求められている。問27(眼筋の数)は初めて?
問21
消化器系に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 消化管は、口腔から肛門まで続く管で、平均的な成人で全長約9mある。
b 肝臓は、大きい臓器であり横隔膜の直上に位置し、胆汁を産生する。
c 咽頭は、口腔から食道に通じる食物路と、呼吸器の気道が交わるところである。
d 歯冠の表面はエナメル質で覆われ、エナメル質の下に象牙質と呼ばれる硬い骨状の組織があり、神経や血管が通る歯髄を取り囲んでいる。
a b c d
1 正 正 誤 正
2 正 誤 正 誤
3 誤 正 正 誤
4 正 誤 正 正
5 誤 正 誤 正
消化器系に関する問題。細かい知識まで憶えていないと迷う。
a 正しい。これは試験対策として憶えておく。消化管は、口腔から肛門まで続く管で、平均的な成人で全長約9mある。
b 誤り。肝臓は横隔膜の直下に位置する。
c 正しい。
d 正しい。
正答・・・4
問22
消化器系に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 胃液による消化作用から胃自体を保護するため、胃の粘膜表皮を覆う細胞から粘液が分泌されているが、胃液分泌と粘液分泌のバランスが崩れると、胃液により胃の内壁が損傷を受けることがある。
b 胃粘液に含まれる成分は、小腸におけるビタミンB12の吸収に重要な役割を果たしている。
c 胃腺から分泌されるペプシノーゲンは、胃酸によって、ペプトンとなる。
d 炭水化物主体の食品は、脂質分の多い食品に比べて胃内での滞留時間が長い。
1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、c) 5(b、d)
消化器系に関する問題。このレベルは容易に判断できるように。
a 正しい。
b 正しい。ビタミンB12の記事も参照を。胃癌等で胃切除をした患者さんでは、ビタミンB12を内服する場合がある。
c 誤り。×ペプトン⇒○ペプシン。ペプシノーゲンは胃酸によりタンパク質を消化する酵素であるペプシンとなり、胃酸とともに胃液として働く。
d 誤り。昨年も問われた内容。胃の滞留時間は、炭水化物主体の食品は比較的短く、脂質分の多い食品は比較的長い。
正答・・・1
問23
消化器系に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a S状結腸に溜まった糞便が下行結腸へ送られてくると、その刺激に反応して便意が起こる。
b 通常、糞便の成分の大半は食物の残滓で、そのほか、はがれ落ちた腸壁上皮細胞の残骸や腸内細菌の死骸が含まれる。
c 肛門周囲は、動脈が細かい網目状に通っていて、それらの血管が鬱血すると痔の原因となる。
d 大腸の腸内細菌は、血液凝固や骨へのカルシウム定着に必要なビタミンKを産生している。
a b c d
1 誤 誤 誤 正
2 正 正 正 正
3 誤 正 正 誤
4 正 誤 誤 正
5 誤 正 誤 誤
消化器系に関する問題。
全部知らなくても、比較的出題されているa,bが判断できれば正答できる。
a 誤り。通常、糞便は下行結腸、S状結腸に滞留し、直腸は空になっている。S状結腸に溜まった糞便が直腸へ送られてくると、その刺激に反応して便意が起こる。
b 誤り。糞便の大部分は水分で、食物の残滓は約5%程度しか含まれない。
c 誤り。×動脈⇒○静脈
d 正しい。大腸とビタミンKに関する内容はあまり問われていないので迷ったかも。
正答・・・1
問24
呼吸器系に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 肺自体に、肺を動かす筋組織があり、自力で膨らんだり縮んだりして呼吸運動が行われている。
b 鼻腔の入り口(鼻孔)にある鼻毛は、空気中の塵、埃等を吸い込まないようにするフィルターの役目を果たしている。
c 喉頭はリンパ組織が集まってできており、気道に侵入してくる細菌、ウイルス等に対する免疫反応が行われる。
d 喉頭から肺へ向かう気道が左右の肺へ分岐するまでの部分を気管といい、そこから肺の中で複数に枝分かれする部分を気管支という。
1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)
呼吸器系に関する問題。
a 誤り。良く出題されているポイント。肺自体には肺を動かす筋組織がなく、自力で膨らんだり縮んだりせず、横隔膜や肋間筋によって拡張・収縮している。
b 正しい。
c 誤り。×喉頭⇒○扁桃
d 正しい。
正答・・・4
問25
循環器系に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 血液の循環によって、体内で発生した温熱が体表、肺、四肢の末端等に分配され、全身の温度をある程度均等に保つのに役立っている。
b 静脈にかかる圧力は比較的高いため、血管壁は動脈よりも厚い。
c リンパ管には逆流防止のための弁がなく、リンパ液は双方向に流れている。
d 心臓の内部は4つの空洞に分かれており、心室で血液を集めて心房に送り、心房から血液を拍出する。
a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 誤 誤 誤
3 正 誤 正 誤
4 正 正 誤 正
5 誤 誤 正 正
循環器系に関する問題。これは標準レベルなので正答できるように
a 正しい。
b 誤り。×静脈→〇動脈。血管にかかる圧力は動脈の方が高い。
c 誤り。リンパ管には逆流防止のための弁があって、リンパ液は一定の方向に流れている。
d 誤り。心房⇔心室
正答・・・2
問26
泌尿器系に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 糸球体から1本の尿細管が伸びて、ボウマン嚢と尿細管とで腎臓の基本的な機能単位(ネフロン)を構成している。
b 副腎は、腎臓の上部に附属し、副腎皮質からはアドレナリンとノルアドレナリンが、副腎髄質からはアルドステロンが産生・分泌される。
c 男性は、加齢とともに前立腺が肥大し、尿道を圧迫して排尿困難等を生じることがある。
d 腎小体では、肝臓でアミノ酸が分解されて生成する尿素など、血液中の老廃物が濾過される。
1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)
泌尿器系に関する問題。
副腎は左右の腎臓の上部にそれぞれ附属し、皮質と髄質の2層構造からなる。その違いはしっかり押さえておきたい。
a 誤り。これは自分で図を描いて憶えてしまうように。ボウマン嚢から1本の尿細管が伸びて、腎小体と尿細管とで腎臓の基本的な機能単位(ネフロン)を構成している。
b 誤り。「副腎皮質」では、アルドステロン等の副腎皮質ホルモンが産生・分泌される。「副腎髄質」ではアドレナリンとノルアドレナリンが産生・分泌される。
c 正しい。いわゆる「前立腺肥大」に関する内容。
d 正しい。
正答・・・5
問27
目に関する次の記述について、( )の中に入れるべき字句の正しい組合せはどれか。
眼球を上下左右斜めの各方向に向けるため、( a )の眼筋が眼球側面の( b )につながっている。
目を使う作業を続けると、眼筋の疲労のほか、遠近の焦点調節を行っている( c )の疲労や、周期的なまばたきが少なくなって涙液の供給不足等を生じ、目のかすみや充血、痛み等の症状が起こる。
a b c
1 8本 強膜 毛様体
2 6本 網膜 水晶体
3 6本 強膜 毛様体
4 8本 網膜 毛様体
5 8本 強膜 水晶体
目に関する問題。
眼筋の数を問われたのは初めてかもしれない。過去問対策だけでは難しかったでしょう。
眼球を上下左右斜めの各方向に向けるため、6本の眼筋が眼球側面の強膜につながっている
a 6本
b 強膜
c 毛様体
正答・・・3
問28
外皮系に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a メラニン色素は、皮下組織にあるメラニン産生細胞(メラノサイト)で産生され、太陽光に含まれる紫外線から皮膚組織を防護する役割がある。
b 皮脂は、皮膚を潤いのある柔軟な状態に保つとともに、外部からの異物に対する保護膜としての働きがある。
c 角質層は、細胞膜が丈夫な繊維性のセラミドでできた板状の角質細胞と、ケラチンを主成分とする細胞間脂質で構成されている。
d 汗腺には、アポクリン腺とエクリン腺の2種類があり、アポクリン腺は手のひらなど毛根がないところも含め全身に分布する。
a b c d
1 正 正 誤 誤
2 正 誤 誤 正
3 正 誤 正 誤
4 誤 正 正 正
5 誤 正 誤 誤
外皮系に関する問題。
a 誤り。メラニン色素は、表皮の最下層にあるメラニン産生細胞(メラノサイト)で産生される。
b 正しい。
c 誤り。セラミド⇔ケラチン。
d 誤り。手のひらなど毛根がないところも含め全身に分布するのはエクリン線。
正答・・・5
問29
骨格系及び筋組織に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 骨の基本構造は、主部となる骨質、骨質表面を覆う骨膜、骨質内部の骨髄、骨の接合部にある関節軟骨の四組織からなる。
2 関節周囲を包む膜(関節膜)の外側には靱帯があって骨を連結し、関節部を補強している。
3 筋組織は筋細胞と結合組織からできているのに対して、腱は結合組織のみでできているため、伸縮性が高い。
4 骨格筋は、横紋筋とも呼ばれ、収縮力が強く、自分の意識どおりに動かすことができる随意筋である。
5 平滑筋は、消化管壁、血管壁、膀胱等に分布し、比較的弱い力で持続的に収縮する特徴がある。
骨格系及び筋組織に関する問題。これは迷う。
1 正しい。
2 正しい。
3 誤り。腱は結合組織のみでできているため、伸縮性は低い。
4 正しい。
5 正しい。
正答・・・3
問30
脳や神経系の働きに関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 小児では、成人と比較して血液脳関門が未発達であるため、循環血液中に移行した医薬品の成分が脳の組織に到達しにくい。
b 延髄には、心拍数を調節する心臓中枢、呼吸を調節する呼吸中枢がある。
c 末梢神経系のうち体性神経系は、呼吸や血液の循環等のように生命や身体機能の維持のため無意識に働いている機能を担う。
d 脊髄は脊椎の中にあり、脳と末梢の間で刺激を伝えるほか、末梢からの刺激の一部に対して脳を介さずに刺激を返す場合がある。
1(a、c) 2(a、d) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)
脳や神経系の働きに関する問題。
a 誤り。小児では血液脳関門が未発達であるため、医薬品の成分が脳の組織に到達しやすくなる。
b 正しい。
c 誤り。末梢神経系(自律神経、体性神経系)に関する内容。末梢神経系は、随意運動、知覚等を担う体性神経系と、呼吸や血液循環等の生命や身体機能の維持のため無意識に働いている自律神経系に分類される。
d 正しい。いわゆる「脊髄反射」に関する内容
正答・・・4