香港では、古くから中国医学に対する考えが浸透しており、日常的に「涼茶(リョンチャー)」と呼ばれる漢方茶や、薬膳スープを飲む習慣がありますが、香港の主要駅で良く見かける健康工房(HealthWorks)は、それらを現代の忙しい人でも手軽に利用できるようにしたパイオニア的存在といわれています。
今回、2024.11に実際に訪れる機会がありましたので、それを記事にしたいと思います。
なお、記載されている価格も2024.11のもので、日本円には1香港ドル≒20円で換算しています。

↑MTR中環駅改札付近にあった健康工房
健康工房は、地下鉄(MTR)の駅構内を中心に、香港各地に多数の店舗を展開しており、通勤途中や休憩時間に立ち寄って購入することができます。また、店舗によっては、イートインスペースもあります。
日本では、このようなコンセプトのお店は、どうしても健康に強い関心のある一部の人向けのお店というイメージになってしまいますが、中国医学の考え方が根付いている香港では、お客さんが途切れることなく薬膳スープや漢方茶を買っていく光景が見られ、驚かせられます。
まず、代表商品としては、様々な効能を持つ伝統的な涼茶(漢方茶)がペットボトルで提供されいて、風邪の引き始め、消化不良や、高温多湿な香港で体の熱を取りたい時など、その時の体調にあったものを選ぶことができます。


例えば、「清肺止咳飲」は、咳がでたり、喉の不調といった風邪症状が気になる方向けの涼茶です。
なお、値段は1本350mlで42香港ドル(≒840円)なので、日本人には躊躇してしまう値段ですが、他の涼茶も大体同じような値段で販売されていて、現地の方は普通に買っていきます。

こちらは、「潤肺」大きくと書いていますが、老陳皮や川貝、桔梗等が使用されていて、肺や喉を潤すような働きが期待できる涼茶です。35香港ドル(≒700円)です。

↑こちらは「清肺利咽・潤腸通便」とありますが、羅漢果を使った甘いお茶です。
そして、もう一つの商品の柱は薬膳スープ(老火湯)で、滋養強壮、美肌、疲労回復など、様々な目的のスープが準備されています。こちらはレトルトパックで販売されている他、イートインスペースがある店舗では、湯煎したスープをカップに入れてくれるので、その場で飲むこともできます。

↑冬虫夏草や白キクラゲなどを使用した漢方スープ(補腎健肺‧蟲草菌絲黃精響螺湯)
薬膳スープも様々な種類がありますが、店員さんに相談すると、その時の体調に合ったスープを選んでくれます。この時は、旅の疲れを相談したところ、「補腎」作用のあるこちらのスープを選んでくれました。

↑イートインを希望すると、さきほどのレトルトスープをカップの中に入れてくれます。
味は、鶏肉っぽい味と、漢方っぽい味が混ざったような感じで、あくまで個人の感想ですが、正直美味しくはないです。なお、具材のようなものは入っていませんし、苦みもありませんでした。
また、量が380ccもあり、イートインで飲み切るのは正直結構つらかったです。これで62香港ドル(約1240円)なので、こちらも購入するにはかなり覚悟が必要です。

他にも、養生系薬膳点心として、生薬も使った豚まんやシューマイも販売されています。こちらは値段もリーズナブルで味も悪くなかったですね。他にも、紅棗桂圓雪蓮子燉桃膠や、杜仲首烏芝麻糊などの養生系のスィーツ(藥膳糖水)も販売されています。

このように、香港にある健康工房(HealthWorks)は、忙しい中でも自身の健康を気遣う香港の人々にとって、日常的に漢方を取り入れられる便利な存在として広く利用されています。
また、観光客にとっても、香港の食文化や健康習慣を体験できるお店ですので、興味のある方は是非立ち寄ってみると良いでしょう。