H26 山形県(北海道・東北共通) 第2章 人体の働きと医薬品 (PM 問1-10)

 手引をある程度読み込んでいないと、迷う問題がいくつかある。

問1 皮膚の機能に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 皮膚は表皮、真皮、皮下組織の3層からなり、表皮は最も外側にある角質層と生きた表皮細胞の層に分けられる。

b 汗腺から汗を分泌し、その蒸発時の気化熱を利用して体温を下げる。

c 体温が上がり始めると、皮膚を通っている毛細血管に血液がより多く流れるように血管が開き、体外へより多くの熱を排出する。

d 皮膚の色はメラニン色素によるものであり、皮膚組織が太陽光の紫外線によって損傷を受けるとメラニン色素の産生が阻害されて、皮膚組織は白色を呈する。

    a b c d
1 正 誤 正 誤
2 誤 正 誤 正
3 誤 誤 正 正
4 正 正 正 誤
5 正 誤 誤 正

dは明らかに誤りであり、それだけで1,4に絞れてしまう。

正答・・・4

問2 肝臓の機能に関する以下の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a コレステロールやアルブミンは、肝臓において産生される。

b 小腸で吸収されたブドウ糖は、血液によって肝臓に運ばれてグリコーゲンとして蓄えられる。

c 肝臓は脂溶性ビタミンであるビタミンA、D等を貯蔵することが出来るが、ビタミンB6やB12等の水溶性ビタミンは貯蔵することが出来ない。

d 肝臓は、必須アミノ酸を生合成することができる。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、d) 4(c、d)

ある程度、学習知識がないと難しい。

a 正しい。
b 正しい。「血液」が気になる人もいるかもしれないが、手引きどおり
c 誤り。肝臓は、脂溶性ビタミンであるビタミンA、D等のほか、ビタミンB6やB12等の水溶性ビタミンの貯蔵臓器でもある。
d 誤り。もともと「必須アミノ酸」とは、体内で作れず、食品などから摂取する必要があるアミノ酸のこと。当然肝臓でもつくれない。

正答・・・1

問3 泌尿器系に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 泌尿器系とは、血液中の老廃物を、尿として体外へ排泄するための器官系である。

b 腎小体で濾過されたブドウ糖やアミノ酸等は、尿細管で再吸収される。

c 健康な状態であっても、尿には、糞便と同様に、細菌等の微生物が含まれている。

d 膀胱の出口にある膀胱括約筋が緩むと、同時に膀胱壁の排尿筋が収縮し、尿が尿道へと押し出される。

  a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 誤 正
4 誤 誤 正 正
5 誤 正 正 誤

c 誤り。尿は血液が濾過されて作られるため、糞便とは異なり、健康な状態であれば尿中に細菌等の微生物は存在しない
d 正しい。頻出知識。この一文は、文章だけでは理解が難しいので、自身で図を書いてしっかり覚えておきたい。

正答・・・2

 問4 目に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 角膜と水晶体の間は、涙液で満たされ、角膜に一定の圧を生じさせている。

b わずかな光でも敏感に反応する視細胞が光を感じる反応には、ビタミンDが不可欠である。

c 抗コリン作用がある成分が配合された医薬品によって眼圧が上昇し(急性緑内障発作)、眼痛や眼の充血に加え、急激な視力低下を来すことがある。

d 散瞳を生じる可能性のある成分が配合された医薬品を使用した後は、乗物や機械類の運転操作は避けなければならない。

  a b c d
1 正 誤 誤 正
2 正 誤 正 誤
3 誤 誤 正 正
4 誤 正 正 誤
5 誤 正 誤 正 

b 誤り。頻出知識。視細胞が光を感じる反応にはビタミンAが不可欠。ビタミンAが不足すると夜間視力の低下(夜盲症)を生じる。

正答・・・3

問5 腎臓及び副腎の機能に関する以下の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 腎臓は、横隔膜の下、背骨の左右両側に位置する一対の空豆状の臓器で、腎小体と尿細管とで基本的な機能単位であるネフロンを構成している。

2 食品から摂取されたビタミンDは、腎臓で活性型ビタミンDに転換されて、骨の形成や維持の作用を発揮する。

3 腎臓は内分泌腺としての機能をもち、骨髄における赤血球の産生を促進させるホルモンを分泌する。

4 副腎皮質では 、 自律神経系に作用するアドレナリンとノルアドレナリンが産生・分泌される。 

腎臓及び副腎の機能に関する問題。

1 正しい。
2 正しい。
3 正しい。
4 誤り。アドレナリンとノルアドレナリンが産生・分泌されるのは副腎髄質

正答・・・4

問6 中枢神経系に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 中枢神経系は脳と延髄から構成されており、延髄には、呼吸中枢、心臓中枢等 がある。

b 脳の毛細血管が中枢神経の間質液環境を血液内の組成変動から保護するように働く機能を血液脳関門という。

c 医薬品の副作用による精神神経症状は、医薬品の大量服用や長期連用、乳幼児への適用外の使用等の不適正な使用がなされた場合に限られており 、 通常の用法・用量では発生しない。

d 医薬品の副作用によって、無菌性髄膜炎の症状を生じた場合には、早期に原因医薬品の使用を中止すれば、予後は比較的良好である場合が多いが、重篤な中枢神経系の後遺症が残った例も報告されている。

  a b c d
1 正 誤 誤 正
2 誤 正 正 誤
3 誤 正 誤 正
4 正 誤 誤 誤
5 誤 誤 正 誤

中枢神経系に関する問題。手引きを読み込んでいないと難しい。

a 誤り。中枢神経系は脳と脊髄から構成される。
b 正しい。読んでもイメージしづらい文章だが、手引きどおり。脳の血管は末梢に比べて物質の透過に関する選択性が高
く、脳組織を有害物質から守るバリアー機能をもっている。
c 誤り。
d 正しい。

正答・・・3

問7 胆嚢・胆汁酸塩の機能に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 胆嚢は胆汁酸の合成、貯蔵、濃縮、分泌のすべてを行うことが出来る。

b 胆汁酸は、コレステロールから生合成される。

c 胆嚢から分泌される胆汁酸塩は脂質の消化を容易にし、また、脂溶性ビタミンの吸収を助ける。

d 脂質(トリグリセリド)は、消化酵素(リパーゼ)の作用によって分解を受けるが、小腸から吸収されると再び脂質に再形成される。

    a b c d
1 正 正 正 誤
2 誤 正 誤 誤
3 正 誤 誤 誤
4 誤 正 正 正
5 誤 誤 正 正

胆嚢・胆汁酸塩の機能に関する問題。

a 誤り。胆汁の合成は肝臓で行われる。胆嚢は、肝臓で産生された胆汁を濃縮して蓄える。また、十二指腸に内容物が入ってくると収縮して腸管内に胆汁を送り込む。
b 正しい。
c 正しい。
d 正しい。

正答・・・4

問8 耳の機能に関する以下の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a 聴覚情報と平衡感覚を感知する器官で、外耳、中耳、内耳からなる。

b 小さな子供の耳管は太く短く、走行は水平に近いため、鼻腔からウイルスや細菌が入りやすく感染が起こりやすい。

c 蝸牛は、水平・垂直方向の加速度を感知する部分であり、前庭は、体の回転や傾きを感知する部分である。

d 鼓室の内部では、独立した2つの耳小骨が鼓膜の振動を増幅して、内耳へ伝導する。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、d) 4(c、d)

耳の問題は、手引きを読み込んでいないと、結構難しい。

a 正しい。
b 正しい。
c 誤り。どちらも平衡感覚を司る前庭に関する記述。前庭は、水平・垂直方向の加速度を感知する部分(耳石器官)と、体の回転や傾きを感知する部分(半規管)に分けられる。蝸牛は聴覚器官。
d 誤り。鼓室の内部では、互いに連結した微細な3つの耳小骨が鼓膜の振動を増幅して、内耳へ伝導する。


正答・・・1

問9 筋組織に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 筋組織は筋細胞と結合組織からできている。

b 骨格筋の筋線維を顕微鏡で観察すると横縞模様(横紋)が見える。

c 心筋は、不随意筋であり、筋線維には横縞模様がない。

d 骨格筋は体性神経系(運動神経)によって支配されるのに対して、心筋及び平滑筋は自律神経系によって支配されている。

    a b c d
1 正 正 誤 誤
2 正 誤 正 正
3 誤 正 正 誤
4 正 正 誤 正
5 誤 誤 誤 正

筋組織に関する問題。

c 誤り。心筋は不随意筋であるのは正しい。しかし、筋線維には、平滑筋とは異なり、骨格筋のような横縞模様があり、強い収縮力と持久力を兼ね備えている。

正答・・・4

問 10 薬の吸収・代謝・排泄に関する以下の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a 循環血液中に移行した医薬品成分は、体内を循環するうちに徐々に代謝を受けて、体外へ排泄されやすい脂溶性の物質に変化する。

b 鼻腔粘膜を介して吸収された薬物は、初めに肝臓で代謝を受けない。

c 含嗽薬(うがい薬)は、咽頭粘膜を通して全身に行きわたることは少ないが、 アレルギー反応は微量の抗原でも生じるため、アレルギー性副作用を生じることがある。

d 血液中の有効成分の多くは、未変化体又は代謝物の形で腎臓から尿中に排泄されるので、腎機能の低下した人では薬効が低下し、副作用が増強される。

1(a、b) 2(a、d) 3(b、c) 4(c、d)

薬の吸収・代謝・排泄に関する問題。

a 誤り。前半部分の記述は正しいので、ひっかからないように。代謝され水溶性に変化すると体外に排出されやすくなる。
b 正しい。また坐剤も同様である。
c 正しい。ヨウ素系殺菌消毒成分を考えれは良い。
d 誤り。腎機能が低下していると、正常人よりも有効成分の尿中排泄が遅れ、血中濃度が下がりにくい。そのため、医薬品の効き目が強くなったり、副作用を生じやすくなる可能性がある。

正答・・・3

 

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