H26 山形県(北海道・東北共通) 第2章 人体の働きと医薬品 (PM 問11-20)

 サービス問題は少ないが、手引からの標準的知識で十分対応できる。

問 11 効果器とその効果器に対する自律神経系の働きに関する以下の組み合わせのうち、正しいものはどれか。

    効果器      交感神経系              副交感神経系

1 唾液腺    唾液分泌亢進             唾液分泌抑制
2 心臓       心拍数減少                心拍数増加
3 気管支    拡張                         収縮
4 肝臓       グリコーゲンの合成    グリコーゲンの分解
5 腸          運動亢進                   運動低下

交感神経・副交感神経に関する問題。それ程難しくないはず。

正答・・・3

問 12 大腸の働きに関する以下の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a 大腸内には、多数の腸内細菌が存在し、腸管内の食物繊維を発酵分解する。

b 大腸粘膜から分泌されるラクターゼは、便塊を粘膜上皮と分離しやすく滑らかにする。

c 腸内細菌は、血液凝固に必要なビタミンKを産生している。

d 通常、糞便中の組成の大部分は食物の残滓であり、残りは水分、腸壁上皮細胞 の残骸、腸内細菌の死骸からなっている。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、d) 4(c、d)

大腸に関する問題。

a 正しい。
b 誤り。手引きには、ラクターゼではなく、「大腸の粘膜から分泌される粘液(大腸液)」と書かれている。
 ラクターゼは小腸で分泌される、炭水化物の消化酵素として登場する。
c 正しい。大腸の腸内細菌はビタミンK等を産生している。
d 誤り。手引きの知識がないと間違えやすい。通常、糞便の成分の大半は水分で、そのほか、はがれ落ちた腸壁上皮細胞の残骸(15~20%)や腸内細菌の死骸(10~15%)が含まれ、食物の残滓は約5%に過ぎない

正答・・・2

問 13 肝機能障害に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 黄疸とは、ビリルビンが胆汁中に排出されず血液中に滞留することによって、 皮膚は黄色く、白眼は充血する病態である。

b 主な症状は、全身の倦怠感、黄疸 、発熱、発疹などである。

c 軽度の場合、自覚症状がなく、健康診断等の血液検査で初めて判明することが多い。

d 医薬品により生じる肝機能障害は、有効成分又はその代謝物の直接的肝毒性が原因で起きる中毒性のものと、有効成分に対する抗原抗体反応が原因で起きるア レルギー性のものに大別される。

    a b c d
1 誤 正 正 正
2 誤 正 誤 正
3 誤 誤 正 正
4 正 正 正 正
5 正 誤 正 誤

肝機能障害に関する問題。

a 誤り。ヘモグロビンが分解して生じたビリルビンも肝臓で代謝されるが、肝機能障害や胆管閉塞などを起こすとビリルビンが循環血液中に滞留して、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる症状)を生じる。
b 正しい。
c 正しい。
d 正しい。

正答・・・1

問 14 医薬品の副作用として現れる間質性肺炎に関する以下の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 気管支又は肺胞が炎症を生じたものである。

2 肺胞と毛細血管との間のガス交換効率が低下し、血液に酸素を十分取り込むことができないために、体内は低酸素状態になる。

3 息切れなどの呼吸困難、空咳等が起こる。

4 悪化すると肺線維症となる場合がある。

間質性肺炎に関する問題。

1 誤り。言葉ではわかりずらいが、間質性肺炎とは、気管支・肺胞の炎症ではなく、肺の中で肺胞と毛細血管を取り囲んで支持している組織(間質)が炎症を起こしたもの。

正答・・・1

問 15 血液に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 白血球は、細菌、ウイルス等の異物に対する防御を受け持つ細胞で、形態や機能等の違いにより、数種類に細分類される。

b リンパ球は、細菌やウイルス等の異物を認識するB細胞リンパ球と、それらに対する抗体を産生するT細胞リンパ球からなる。

c 血小板は、損傷した血管からの血液の流出を抑える仕組みにおいて、重要な役割を担っている。

d リンパ液が循環するリンパ系は、血管系とは半ば独立した循環系として存在す る。

    a b c d
1 正 誤 正 誤
2 誤 正 誤 誤
3 正 誤 正 正
4 正 正 誤 誤
5 誤 正 正 正

血液に関する問題。

b 誤り。Tリンパ球とBリンパ球の説明が逆になっている。

正答・・・3

問 16 白血球の役割に関する以下の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a リンパ球は、白血球の約60%を占め、感染が起きた組織に遊走して集まり、 細菌やウイルス等を食作用によって取り込んで分解する。

b 好中球は、白血球の約1/3を占め、免疫反応を担う細胞である。

c ステロイド性抗炎症薬や抗癌薬の投与は好中球の減少をきたし、易感染性をも たらすことが知られている。

d 単球は、白血球の中で最も大きい細胞で、強い食作用を示す。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、d) 4(c、d)

白血球に関する問題。

a 誤り。好中球に関する記述
b 誤り。好中球は、白血球の中で一番数が多く、約60%を占める。
c 正しい。
d 正しい。単球はマクロファージとも呼ばれる。

正答・・・4

問 17 膵臓に関する以下の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a 膵液は、胃で酸性となった内容物を中和している。

b 膵液に含まれる酵素には、炭水化物及びタンパク質を分解する酵素はあるが、 脂質を分解する酵素は含まれていない。

c 膵臓は、消化酵素を分泌する消化腺であるとともに、ホルモンを分泌する内分泌腺でもある。

d 膵臓は、胃の後下部に位置する細長い臓器で、膵液を胃へ分泌する。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、d) 4(c、d)

膵臓に関する問題。

a 正しい。膵液は弱アルカリ性で、胃で酸性となった内容物を中和する。
b 誤り。膵臓は、炭水化物、タンパク質、脂質のそれぞれを消化するすべての酵素の供給を担っている。脂質を分解する酵素ではリパーゼが知られ、膵液中に含まれている。
c 正しい。膵臓は血糖調節に関わるホルモンで(インスリン、グルカゴン)の分泌に関わっている。
d 誤り。ひっかからないように注意。膵液は十二指腸に分泌される。

正答・・・2

問 18 呼吸器系に関する以下の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a 肺自体には、肺を動かす筋組織があり、自力で膨らんだり縮んだりして呼吸運動が行われている。

b 鼻腔の入り口にある鼻毛は、空気中の塵や埃を吸い込まないようにフィルターの役目を担っている。

c 咽頭は、喉頭と気管の間にある軟骨に囲まれた円筒状の器官で、発声器としての役割もある。

d 咽頭は鼻腔と口腔につながっており、消化管と気道の両方に属する。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、d) 4(c、d)

呼吸器系に関する問題。

a 誤り。頻出知識。肺自体には肺を動かす筋組織がなく、横隔膜や肋間筋によって拡張・収縮して呼吸運動が行われている。
b 正しい。
c 誤り。発声器の役割をもつのは喉頭(のどぼとけ)
d 正しい。

正答・・・3

問 19 皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 38℃以上の高熱を伴った発疹、発赤、火傷様の水疱等が比較的短時間のうち に全身の皮膚、口、眼等の粘膜に現れる病態である。

b 発生頻度は、人口100万人当たり年間1~6人と報告されている。

c 発症の可能性がある医薬品の種類が少なく、発症の予測は容易である。

d 原因医薬品の使用開始後2週間以内に発症することが多いが、1 ヶ月以上経ってから起こることもある。

a b c d
1 正 誤 誤 誤
2 誤 誤 正 正
3 正 誤 正 正
4 正 正 誤 正
5 誤 正 誤 正

皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)に関する基礎的な知識を押さえていれば正答できる。

c 誤り。発症の可能性がある医薬品の種類も多いため、発症の予測は極めて困難である。

正答・・・4

問 20 次の1~5で示される消化酵素のうち、胃においてタンパク質を消化する酵素 はどれか。

1 マルターゼ
2 ジアスターゼ
3 トリプシン
4 ペプシン
5 プチアリン

消化酵素に関する問題。

胃腺から分泌されたペプシノーゲンが、胃酸によりペプシンとなり、タンパク質の分解を行う。

正答・・・4

 

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