H28 福岡県(九州・沖縄) 第2章 人体の働きと医薬品(問21-30)

特別難しい問題はない。

問21 人体の構造に関する以下の記述のうち、誤っているものを一つ選びなさい。

1 消化器系とは、飲食物を消化して生命を維持していくため必要な栄養分として吸収し、その残滓を体外に排出する器官系である。

2 血管系は開放循環系であるのに対して、リンパ系は閉鎖循環系である。

3 中枢神経系は脳と脊髄から構成される。
4 骨は生きた組織であり、成長が停止した後も一生を通じて破壊(骨吸収)と修復(骨形成)が行われている。

人体の構造に関する問題。中学レベルの知識で十分対応できるでしょう。

1 正しい。
2 誤り。血管系はが心臓を中心とする閉じた管で成り立つ閉鎖循環系。リンパ系は末端がリンパ毛細管となって組織の中に開いている開放循環系。
3 正しい。
4 正しい。
 
正答・・・2

問22 消化器系に関する以下の記述のうち、正しいものの組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア 胃の粘膜の表面には無数の微細な孔があり、胃腺につながって塩酸(胃酸)のほか、ペプシノーゲンなどを分泌している。

イ 食物の胃内の滞留時間は、脂質分の多い食品の場合には比較的短く、炭水化物主体の食品の場合には比較的長い。

ウ 胆嚢は、膵臓で産生された胆汁を濃縮して蓄える器官で、十二指腸に内容物が入ってくると収縮して腸管内に胆汁を送り込む。

エ 脂質(トリグリセリド)は、消化酵素(リパーゼ)の作用によって分解を受けるが、小腸粘膜の上皮細胞で吸収されると脂質に再形成され、乳状脂粒(リポタンパク質の一種でカイロミクロンとも呼ばれる)となる。

1(ア、イ) 2(ア、エ) 3(イ、ウ) 4(ウ、エ)

消化器系に関する問題。
エの内容は難しいが、ア、イ、ウから判断可能。

ア 正しい。
イ 誤り。脂質分の多い食品の場合には比較的長い。炭水化物主体の食品の場合には比較的短い
ウ 誤り。×膵臓で産生された胆汁→〇肝臓で産生された胆汁
エ 正しい。
 
正答・・・2

問23 呼吸器系に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア 肺は、胸部の左右両側に1対あり、肺自体が自力で拡張・収縮して呼吸運動が行われている。

イ 肺では、肺胞の壁を介して、心臓から送られてくる血液から酸素が肺胞気中に拡散し、代わりに二酸化炭素が血液中の赤血球に取り込まれるガス交換が行われる。

ウ 咽頭は、鼻腔と口腔につながっており、消化管と気道の両方に属する。

エ 喉頭から肺へ向かう気道が左右の肺へ分岐するまでの部分を気管といい、そこから肺の中で複数に枝分かれする部分を気管支という。

    ア イ ウ エ
1 正 正 正 正
2 正 誤 誤 誤
3 誤 正 正 誤
4 誤 誤 正 正
5 誤 誤 誤 正

呼吸器系に関する問題。

ア 誤り。肺自体には肺を動かす筋組織はなく、自力で膨らんだり縮んだりはしない。横隔膜や肋間筋によって拡張・収縮して呼吸運動が行われる。良く問われているポイントです。
イ 誤り。小中学校の理科の知識。酸素と二酸化炭素が逆になっている。
ウ 正しい。咽頭に関するこの内容も良く出題されている。両方に属する点を押さえておく。
エ 正しい。

正答・・・4

問24 循環器系に関する以下の記述のうち、正しいものを一つ選びなさい。

1 心臓の内部は4つの空洞に分かれており、心室で血液を集めて心房に送り、心房から血液を拍出する。

2 血小板は、体内に侵入した細菌やウイルス等の異物に対する防御を受け持つ細胞である。

3 赤血球は、中央部がくぼんだ円盤状の細胞で、血液全体の約40%を占め、赤い血色素(ヘモグロビン)を含む。

4 脂質(中性脂肪、コレステロール等)は、血漿中のタンパク質と結合してリポタンパク質を形成して血漿中に分散しており、血液の粘稠性は、主として血中脂質量により決まる。

循環器系に関する問題。

1 誤り。「心室」と「心房」が逆になっている。
2 誤り。これは白血球に関する説明である。血小板は損傷した血管からの血液の流出を防ぐ。
3 正しい。
4 誤り。血液の粘稠性は、主として血漿の水分量や赤血球の量で決まり、血中脂質量はほとんど影響を与えない。 良く出題されている内容です。
 
正答・・・3

問25 泌尿器系に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア 腎小体は、糸球体とその外側を包み込む袋状のボウマン嚢から成る。

イ 腎臓には内分泌腺としての機能もあり、骨髄における赤血球の産生を促進するホルモンを分泌する。

ウ 膀胱の出口にある排尿筋が緩むと、同時に膀胱壁の膀胱括約筋が収縮し、尿が尿道へと押し出される。

エ 女性は尿道が短いため、細菌などが侵入したとき膀胱まで感染を生じやすい。

    ア イ ウ エ
1 正 正 誤 正
2 正 誤 正 誤
3 正 誤 誤 正
4 誤 正 誤 誤
5 誤 誤 正 正

泌尿器系に関する問題。

ア 正しい。
イ 正しい。
ウ 誤り。「膀胱括約筋」と「排尿筋」が逆。
エ 正しい。

正答・・・1

問26 目に関する以下の記述のうち、正しいものの組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア 透明な角膜や水晶体には血管が通っており、その血管から直接的に栄養分や酸素が供給される。

イ 眼球は、黒目の部分のみ透明な角膜が覆っており、その他の部分は強膜という乳白色の比較的丈夫な結合組織が覆っている。

ウ 結膜とは、眼瞼の裏側と眼球前方の強膜(白目の部分)とを結ぶように覆って組織を保護している薄い透明な膜である。

エ 視細胞には、わずかな光でも敏感に反応する細胞があるが、光を感じる反応にはビタミンKが不可欠であるため、ビタミンKが不足すると夜間視力の低下(夜盲症)を生じる。

1(ア、イ) 2(ア、エ) 3(イ、ウ) 4(ウ、エ)

目に関する問題。

ア 誤り。角膜や水晶体には血管が通っておらず、房水によって栄養分や酸素が供給されている。
イ 正しい。
ウ 正しい。
エ 誤り。×ビタミンK→〇ビタミンA

正答・・・3

問27 鼻及び耳に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア 鼻腔と副鼻腔を連絡する管は非常に狭いため、鼻腔粘膜が腫れると副鼻腔の開口部がふさがりやすくなり、副鼻腔に炎症を生じることがある。

イ 外耳は、側頭部から突出した耳介と、耳介で集められた音を鼓膜まで伝導する外耳道からなる。

ウ 中耳にある鼓室の内部では、互いに連結した微細な3つの耳小骨が鼓膜の振動を増幅して、音を内耳へ伝導する。

エ 内耳にある前庭は、水平・垂直方向の加速度を感知する半規管と、体の回転や傾きを感知する耳石器官に分けられる。

    ア イ ウ エ
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 正
4 誤 誤 正 正
5 誤 誤 誤 誤

 鼻及び耳に関する問題。特に耳の構造は憶えることが多いが、地道に憶えるしかない。

ア 正しい。
イ 正しい。
ウ 正しい。
エ 誤り。耳石器官と半規管が逆。水平・垂直方向の加速度を感知する耳石器官と、体の回転や傾きを感知する半規管
 
正答・・・1

問28 外皮系に関する以下の記述のうち、正しいものの組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア 表皮にある角質層は、細胞膜が丈夫な線維性のタンパク質(ケラチン)でできた板状の角質細胞と、セラミド(リン脂質の一種)を主成分とする細胞間脂質で構成されており、皮膚のバリア機能を担っている。

イ 汗腺には、腋窩(わきのした)などの毛根部に分布するエクリン腺と、手のひらなど毛根がないところも含め全身に分布するアポクリン腺の二種類がある。

ウ メラニン色素は、皮下組織の最下層にあるメラニン産生細胞(メラノサイト)で産生され、太陽光に含まれる紫外線から皮膚組織を防護する役割がある。

エ 真皮は、線維芽細胞とその細胞で産生された線維性のタンパク質(コラーゲン、フィブリリン、 エラスチン等)からなる結合組織の層で、皮膚の弾力と強さを与えている。

1(ア、イ) 2(ア、エ) 3(イ、ウ) 4(ウ、エ)

外皮系に関する問題。

ア 正しい。
イ 誤り。アポクリン腺(体臭腺)とエクリン線が逆。
ウ 誤り。×皮下組織→〇表皮。その他は正しい内容。
エ 正しい。

正答・・・2

問29 以下のうち、骨の機能として、誤っているものを一つ選びなさい。

1 臓器の保護機能
2 体躯の運動機能
3 グリコーゲンの貯蔵機能
4 造血機能
5 身体の支持機能

骨の機能に関する問題。

3 誤り。グリコーゲンの貯蔵機能は「肝臓」に関する内容。
 
正答・・・3

問30 筋組織に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア 筋組織は、筋細胞(筋線維)とそれらをつなぐ結合組織からなり、その機能や形態によって、骨格筋か平滑筋のいずれかに分類される。

イ 骨格筋は、筋線維を顕微鏡で観察すると横縞模様(横紋)が見えるので横紋筋とも呼ばれる。

ウ 意識的にコントロールできない筋組織を不随意筋といい、骨格筋がこれに該当する。

エ 筋組織は神経からの指令によって収縮するが、随意筋は体性神経系で支配されるのに対して、不随意筋は自律神経系に支配されている。

    ア イ ウ エ
1 正 正 正 誤
2 正 誤 誤 正
3 正 誤 誤 誤
4 誤 正 誤 正
5 誤 誤 正 誤

筋組織に関する問題。

ア 誤り。筋組織は、その機能や形態によって、骨格筋、平滑筋、心筋に分類される。
イ 正しい。
ウ 誤り。骨格筋は、自分の意識どおりに動かせる「随意筋」である。不随意筋としては心筋・平滑筋がある。
エ 正しい。

正答・・・4
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