H27 福岡県(九州・沖縄地区共通) 第2章 人体の働きと医薬品(問31-40)

問35(代謝・薬効)はしっかり理解しておく。

問31 骨格系及び筋組織に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア 骨髄で産生された造血幹細胞から赤血球、白血球、血小板が分化し、体内に供給される。

イ 筋組織は、筋細胞と結合組織からできている。

ウ 骨組織を構成する無機質は、炭酸カルシウムやリン酸カルシウム等の石灰質からなる。

エ 随意筋は体性神経系で支配されているのに対して、不随意筋は自律神経系で支配されている。

    ア イ ウ エ
1 正 正 正 正
2 正 誤 誤 正
3 誤 正 正 正
4 誤 正 誤 誤
5 誤 誤 正 誤

骨格系及び筋組織に関する問題。

ア 正しい。
イ 正しい。
ウ 正しい。
エ 正しい。体性神経系という言葉は馴染みがないかもしれないが押さえておく。
随意筋(骨格筋)体性神経系(運動神経)で支配されている」
不随意筋(平滑筋及び心筋)自律神経系に支配されている」

正答・・・1

問32 効果器に対する交感神経系の作用に関する以下の組み合わせについて、誤っているものを一つ選びなさい。

効果器 作用
1 目 - 瞳孔散大
2 心臓 - 心拍数増加
3 腸 - 運動低下
4 気管、気管支 - 拡張
5 肝臓 - グリコーゲンの合成

交感神経系の作用に関する問題。

グリコーゲンの役割を知っていれば簡単だったでしょう。

正答・・・5

問33 医薬品の吸収に関する以下の記述のうち、誤っているものを一つ選びなさい。

1 内服薬のほとんどは、その有効成分が消化管から吸収されて循環血液中に移行し、全身作用を現す。

2 一般に、消化管からの吸収は、消化管が積極的に医薬品成分を取り込む現象である。

3 坐剤の有効成分は、直腸内壁の粘膜から吸収され、容易に循環血液中に入るため、内服の場合よりも全身作用が速やかに現れる。

4 禁煙補助薬の咀嚼剤は、有効成分が口腔粘膜から吸収されて全身作用を現す。

医薬品の吸収に関する問題。

1 正しい。
2 誤り。消化管が積極的に医薬品成分を取り込むのではなく、濃度の高い方から低い方へ受動的に拡散していく現象
3 正しい。
4 正しい。

正答・・・2

問34 医薬品の代謝及び排泄に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア 消化管で吸収された有効成分は、消化管の毛細血管から血液中へ移行し、門脈を経由して肝臓に入る。

イ 肝機能が低下した人では、正常な人に比べて全身循環に到達する有効成分の量が少なくなり、効き目が現れにくくなる。

ウ 血液中で血漿タンパク質と結合して複合体を形成した有効成分は、薬物代謝酵素の作用で代謝され、腎臓で濾過される。

エ 腎機能が低下した人では、正常な人よりも有効成分の尿中への排泄が遅れ、血中濃度が下がりにくい。

    ア イ ウ エ
1 正 正 正 正
2 正 誤 誤 正
3 誤 正 正 正
4 誤 正 誤 誤
5 誤 誤 正 誤

医薬品の代謝及び排泄に関する問題
肝代謝・腎代謝、血漿タンパク質との結合と医薬品の効き目の関係は、初めての方は結構理解が難しいかもしれません。将来医薬品販売に関わる上では重要な知識なので、理解しておきたい。

ア 正しい。門脈の役割については押さえておきましょう。
イ 誤り。重要知識である肝初回通過効果(first-pass effect)と合わせて理解しておきましょう。肝代謝機能が低下していると医薬品代謝が減り、全身循環に到達する有効成分の量がより多くなり、効き目が過剰に現れたり、副作用を生じやすくなったりする。
ウ 誤り。代謝されず腎臓でろ過されない。その為、代謝や分布が制限されるため、血中濃度の低下は徐々に起こる。
エ 正しい。

正答・・・2

問35 医薬品の剤型に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア 顆粒剤は粒の表面がコーティングされているものもあるので、噛み砕かずに水などで飲み込む。

イ 口腔内崩壊錠及びチュアブル錠は、水なしでも服用できる。

ウ カプセル剤は、カプセルの原材料としてゼラチンが広く用いられているため、ゼラチンに対してア レルギーを持つ人は使用を避けるなどの注意が必要である。

エ 経口液剤は、有効成分が液中に溶けたり分散したりしているため、服用後、比較的速やかに消化管から吸収される。

    ア イ ウ エ
1 正 正 正 正
2 正 誤 正 正
3 正 誤 誤 誤
4 誤 正 正 誤
5 誤 正 誤 正

薬品の剤型(剤形)に関する問題。

ア 正しい。
イ 正しい。どちらも水なしで飲めるが、チュアブル錠は噛み砕いて飲むこともできる。
ウ 正しい。
エ 正しい。

正答・・・1

問36 皮膚粘膜眼症候群に関する以下の記述のうち、正しいものの組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア 38℃以上の高熱を伴って、発疹・発赤、火傷様の水疱等の激しい症状が比較的短時間のうちに全身の皮膚、口、眼等の粘膜に現れる。

イ 発症原因となる可能性がある医薬品の種類は少ないため、発症の予測は極めて容易である。

ウ ライエル症候群とも呼ばれる。

エ 原因医薬品の使用開始後1ヶ月以上経ってから起こることがある。

1(ア、イ) 2(ア、エ) 3(イ、ウ) 4(ウ、エ)

頻出の皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)に関する問題。
スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)という別名も必ず憶えておきましょう。
今回は出題されていないが、中毒性表皮壊死融解症(TEN)と合わせて学習したい。

ア 正しい。
イ 誤り。発症の可能性がある医薬品の種類も多く、発症の予測は極めて困難。
ウ 誤り。最初に報告をした二人の医師の名前にちなんでスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)とも呼ばれる。ライエル症候群は、中毒性表皮壊死融解症(TEN)の別名。
エ 正しい。

正答・・・2

問37 偽アルドステロン症に関する以下の記述のうち、正しいものの組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア 体内にカリウムと水が貯留し、体からナトリウムが失われることによって生じる。

イ 副腎皮質からのアルドステロン分泌が増加することによって生じる。

ウ 主な症状としては、手足の脱力、血圧上昇、筋肉痛等がある。

エ 小柄な人や高齢者で生じやすい。

1(ア、イ) 2(ア、ウ) 3(イ、エ) 4(ウ、エ)

頻出の偽アルドステロン症に関する問題。

手引の定義には、以下のように書かれている。
「体内に塩分(ナトリウム)と水が貯留し、体からカリウムが失われることによって生じる病態である。副腎皮質からのアルドステロン分泌が増加していないにもかかわらずこのような状態となることから、偽アルドステロン症と呼ばれている。」

ア 誤り。カリウムとナトリウムが逆になっている。
イ 誤り。これは絶対間違わないように。
ウ 正しい。
エ 正しい。


正答・・・4

問38 医薬品により精神神経系に現れる副作用に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア 医薬品を長期連用したり、過量服用することで倦怠感や虚脱感を生じることがある。

イ 血管に作用する医薬品により、頭痛やめまいを生じることがある。

ウ 無菌性髄膜炎は、早期に原因となった医薬品の使用を中止すれば、速やかに回復し、予後は比較的良好であることがほとんどだが、重篤な中枢神経系の後遺症が残った例も報告されている。

エ 無菌性髄膜炎は、医薬品の副作用が原因の場合、全身性エリテマトーデス、混合性結合組織病、 関節リウマチの基礎疾患がある人で発症リスクが高い。

    ア イ ウ エ
1 正 正 正 正
2 正 誤 正 正
3 正 誤 誤 誤
4 誤 正 正 誤
5 誤 正 誤 正

 医薬品により精神神経系に現れる副作用に関する問題

ア 正しい。
イ 正しい。
ウ 正しい。
エ 正しい。

正答・・・1

問39 医薬品により皮膚に現れる副作用に関する以下の記述のうち、正しいものの組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア 接触皮膚炎の発症部位は、医薬品の接触部位に限定されない。

イ 光線過敏症は、医薬品が触れた部分にのみ生じる。

ウ 光線過敏症は、貼付剤を剥がした後でも発症することがある。

エ 薬疹は、医薬品の使用後1~2週間で起きることが多いが、長期使用後に現れることもある。

1(ア、イ) 2(ア、ウ) 3(イ、エ) 4(ウ、エ)


医薬品により皮膚に現れる副作用に関する問題。
「接触性皮膚炎」と「光線過敏症」の違いを抑えておく。

ア 誤り。
イ 誤り。
ウ 正しい。ケトプロフェン成分の湿布による光線過敏症が知られている。
エ 正しい。

正答・・・4

問40 体の局所に現れる医薬品の副作用に関する以下の記述のうち、正しいものの組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア 不整脈とは、全身が必要とする量の血液を心臓から送り出すことができなくなり、肺に血液が貯留して、種々の症状を示す疾患である。

イ 消化性潰瘍では、消化管出血に伴って糞便が黒くなることがある。

ウ 小児や高齢者、普段から便秘傾向のある人は、イレウス様症状(腸閉塞様症状)の発症リスクが高い。

エ 間質性肺炎とは、気管支又は肺胞が細菌に感染して炎症を生じる疾患である。

1(ア、イ) 2(ア、エ) 3(イ、ウ) 4(ウ、エ)

体の局所に現れる医薬品の副作用に関する問題。

ア 誤り。鬱血性心不全に関する内容
イ 正しい。
ウ 正しい。
エ 誤り。これは通常の肺炎に関する内容。間質性肺炎は「肺の中で肺胞と毛細血管を取り囲んで支持している組織(間質)が炎症を起こしたもの」

正答・・・3
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