H30 愛知県(東海・北陸地区共通)第2章 人体の働きと医薬品 (PM問1-10)

細かい人体構造が問われている(消化器、喉頭、大腸)

問1 消化器系に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a ペプシノーゲンは胃酸によって、タンパク質を消化する酵素であるペプシンとなり、胃酸とともに胃液として働く。

b 消化液に含まれる消化酵素の作用によって飲食物を分解することは機械的消化である。

c 小腸は栄養分の吸収に重要な器官であり、内壁の表面積を大きくする構造を持つ。

d 消化管は食道から始まり、肛門まで続く管である。

  a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 誤
4 誤 正 誤 正
5 正 誤 正 正


消化器系に関する問題。

a 正しい。「タンパク質」でOK。「炭水化物」でひっかけの場合があるので注意
b 誤り。「機械的消化」と「化学的消化」の違いは頻出。違いはイメージしやすい。当地区ではH28にも出題あり
化学的消化:消化液に含まれる消化酵素の作用によって飲食物を分解する。
機械的消化:口腔における咀嚼や、消化管の運動などによって消化管の内容物を細かくして消化液と混和し、化学的消化を容易にする。
c 正しい。小腸の内壁には輪状のひだがあり、その粘膜表面は絨毛に覆われてビロード状になっており、吸収効率を高めている。
d 誤り。これは試験対策として憶えるしかない。消化管は、口腔から肛門まで続く管で、平均的な成人で全長約9mある。

正答・・・3


問2 肝臓、胆嚢及び胆汁に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

1 肝臓は、ビタミンAやD等の脂溶性ビタミンの貯蔵臓器であり、ビタミンB6やB12等の水溶性ビタミンの貯蔵臓器でもある。

2 胆汁酸やホルモン等の生合成の出発物質となるコレステロール、フィブリノゲン等の血液凝固因子、アルブミン等、生命維持に必須な役割を果たす種々の生体物質は、胆嚢において産生される。

3 胆汁に含まれるビリルビン(胆汁色素)は、腸管内に排出されると、腸管内に生息する常在細菌(腸内細菌)によって代謝されて、糞便を茶褐色にする色素となる。

4 胆汁には、古くなった赤血球や過剰のコレステロール等を排出する役割がある。


肝臓、胆嚢及び胆汁に関する問題。知識が中途半端だと迷うかも

1 正しい。これは過去問頻出。ある程度知識がある受験生ほど、「水溶性ビタミンも貯蔵されるの?」と迷ったかもしれないが、手引きの記述通り。なお、ビタミンは第3章でも出題されるので、余裕があれば確認を(ビタミンAビタミンDビタミンB6ビタミンB12
2 誤り。胆嚢⇒肝臓
3 正しい。
4 正しい。

正答・・・2


問3 大腸に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 大腸は、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、肛門からなる管状の臓器である。

b 大腸では、水分とナトリウム、カリウム、リン酸等の電解質の吸収が行われる。

c 糞便は、通常、直腸に滞留している。

d 大腸の腸内細菌による発酵で、糞便の臭気の元となる物質やメタン、二酸化炭素等のガスが生成される。

  a b c d
1 正 誤 誤 正
2 誤 誤 正 誤
3 誤 正 誤 正
4 正 誤 正 誤
5 誤 正 誤 誤


大腸に関する問題。
これも知識が中途半端だとaの判断が誤り易い。

a 誤り。大腸は、盲腸、虫垂、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸からなる管状の臓器。内壁粘膜に 絨毛がない点で小腸と区別される。
b 正しい。
c 誤り。通常、糞便は下行結腸、S状結腸に 滞留し、直腸は空になっている。S状結腸に溜まった糞便が直腸へ送られると、その刺激に反応して便意が起こる。 
d 正しい。

正答・・・3


問4 呼吸器系に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a 喉頭は、鼻腔と口腔につながっており、消化管と気道の両方に属する。

b 扁桃はリンパ組織(白血球の一種であるリンパ球が密集する組織)が集まってできていて、 気道に侵入してくる細菌、ウイルス等に対する免疫反応が行われる。

c 鼻腔で分泌される鼻汁にはリゾチームが含まれ、気道の防御機構の一つとなっている。

d 肺では、肺胞の壁を介して、心臓から送られてくる血液から酸素が肺胞気中に拡散し、代わりに二酸化炭素が血液中の赤血球に取り込まれるガス交換が行われる。

1(a、b) 2(b、c) 3(c、d) 4(a、d)


呼吸器系に関する問題。

a 誤り。これは消化管と気道の両方に属する「咽頭」に関する説明。「喉頭」は咽頭と気管の間にある軟骨に囲まれた円筒状の器官で、軟骨の突起した部分が、通称「のどぼとけ」。
b 正しい。
c 正しい。リゾチームは3章でも出題される抗炎症成分。なお、昨年は「リゾチーム等の殺菌・抗菌物質を含んでおり、口腔粘膜の保護・洗浄、殺菌等の作用もある。」の正誤を問われていたが、「正」である。
d 誤り。酸素と二酸化炭素が逆になっている。中学レベルの知識だが、文章がややイメージしづらいので注意。

正答・・・2


問5 循環器系に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 消化管壁を通っている毛細血管の大部分は、門脈と呼ばれる血管に集まって腎臓に入る。

b 動脈にかかる圧力は比較的低いため、血管壁は静脈よりも薄い。

c 血液の粘稠性は、主として血中脂質量で決まり、血漿の水分量や赤血球の量はほとんど影響を与えない。

d 血管系は心臓を中心とする閉じた管(閉鎖循環系)であるのに対して、リンパ系は末端がリンパ毛細管となって組織の中に開いている開放循環系である。

  a b c d
1 正 正 誤 誤
2 誤 正 正 誤
3 誤 誤 正 正
4 誤 誤 誤 正
5 正 誤 誤 誤


循環器系に関する問題。

a 誤り。×腎臓→〇肝臓
b 誤り。×静脈→〇動脈。血管にかかる圧力は動脈の方が高い。
c 誤り。これは過去問頻出。血液の粘稠性は、主として血漿の水分量や赤血球の量で決まり、血中脂質量はほとんど影響を与えないとされている。
d 正しい。血管系はが心臓を中心とする閉じた管で成り立つ閉鎖循環系。リンパ系は末端がリンパ毛細管となって組織の中に開いている開放循環系。

正答・・・4


問6 血球に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 赤血球は、アメーバ状の細胞で、血液全体の約80%を占め、赤い血色素(ヘモグロビン) を含む。

b 好中球は、白血球の約5%と少ないが、強い食作用を持つ。

c 単球は、白血球の約60%を占め、血管壁を通り抜けて組織の中に入り込むことができない。

d リンパ球は、リンパ液中に分布しており、血液中には分布していない。

  a b c d
1 誤 誤 誤 正
2 誤 誤 正 誤
3 誤 正 誤 誤
4 正 誤 誤 誤
5 誤 誤 誤 誤


血球に関する問題。

a 誤り。赤血球は中央部がくぼんだ円盤状の細胞で、血液全体の約40%を占める。赤い血色素(ヘモグロビン)を含む点は正しい。
b 誤り。好中球は、最も数が多く、白血球の約60%を占める。血管壁を通り抜けて組織の中に入り込むことができ、感染が起きた組織に遊走して集まり、細菌やウイルス等を食作用によって取り込んで分解する。
c 誤り。単球は、白血球の約5%と少ないが最も大きく、強い食作用を持つ。血管壁を通り抜けて組織の中に入り込むことができ、ではマクロファージ(貪食細胞)と呼ばれる。
d 誤り。リンパ球は、血液のほかリンパ液にも分布して循環している。

正答・・・5


問7 泌尿器系に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

1 糸球体の外側を袋状のボウマン嚢が包み込んでおり、これを腎小体という。

2 尿細管では、原尿中のブドウ糖やアミノ酸等の栄養分及び血液の維持に必要な水分や電解質が再吸収される。

3 高齢者では、膀胱や尿道の括約筋の働きによって排尿を制御する機能が低下し、また、膀胱の容量が小さくなるため、尿失禁を起こしやすくなる。

4 腎臓には内分泌腺としての機能はない。


泌尿器系に関する問題。間違いは探しやすいはず。
今回は出題されていないが、副腎(副腎髄質、副腎皮質)も良く出題されるので学習を。

1 正しい。
2 正しい。
3 正しい。
4 誤り。腎臓には内分泌腺としての機能もあり、骨髄における赤血球の産生を促進するホルモンを分泌する。

正答・・・4


問8 目に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 雪眼炎(雪目ともいう)は、紫外線を含む光に長時間曝され、角膜の上皮に損傷を生じた状態である。

b 涙液分泌がほとんどない睡眠中や、涙液の働きが悪くなったときには、滞留した老廃物に粘液や脂分が混じって眼脂(目やに)となる。

c 涙液には角膜や結膜を感染から防御する働きがある。

d 水晶体は、その周りを囲んでいる毛様体の収縮・弛緩によって、近くの物を見るときには丸く厚みが増し、遠くの物を見るときには扁平になる。

  a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 正
4 誤 正 正 正
5 正 正 正 正


目に関する問題。
aの 雪眼炎はあまり出題されておらず、迷ったかもしれない。

a 正しい。
b 正しい。
c 正しい。
d 正しい。

正答・・・5


問9 耳に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

1 外耳は、側頭部から突出した耳介と、耳介で集められた音を鼓膜まで伝導する外耳道からなる。

2 中耳は、鼓膜、鼓室、耳小骨、耳管からなる。

3 外耳道にある耳垢腺(汗腺の一種)や皮脂腺からの分泌物に、埃や外耳道上皮の老廃物などが混じって耳垢(耳あか)となる。

4 内耳は、蝸牛と前庭の2つの部分からなり、蝸牛は、水平・垂直方向の加速度を感知する部分(耳石器官)と体の回転や傾きを感知する部分(半規管)に分けられる。


耳に関する問題。

1 正しい。
2 正しい。
3 正しい。
4 誤り。内耳が蝸牛と前庭の2つの部分からなるのは正しい。耳石器官・半規管に分けられるのは前庭である。
耳の構造は憶えるポイントが多いので、図でイメージできるように。


正答・・・4


問 10 外皮系に関する記述のうち、正しいものはどれか。

1 皮膚の色は、表皮や真皮に沈着したメラニン色素によるものであるが、毛の色は、メラニン色素と関係がない。

2 メラニン色素は、皮下組織にあるメラニン産生細胞(メラノサイト)で産生され、太陽光に含まれる紫外線から皮膚組織を防護する役割がある。

3 真皮には、毛細血管が通っているが、知覚神経は通っていない。

4 角質層は、細胞膜が丈夫な線維性のタンパク質(ケラチン)でできた板状の角質細胞と、セラミド(リン脂質の一種)を主成分とする細胞間脂質で構成されており、皮膚のバリア機能を担っている。


外皮系に関する問題。
皮膚は、表面から順に表皮、真皮、皮下組織の3層構造からなる。

1 誤り。メラニン色素の量によって毛の色が決まる。
2 誤り。メラニン色素は、表皮の最下層にあるメラニン産生細胞(メラノサイト)で産生される。
3 誤り。真皮には、毛細血管や知覚神経の末端が通っている。
4 正しい。

正答・・・4

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