H30 愛知県(東海・北陸地区共通)第3章 主な医薬品とその作用(問51-60)
問53(禁煙)問55(ビタミン)問58(殺虫剤)は注意
問 51 歯痛・歯槽膿漏薬及びその配合成分に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a フェノールは、歯痛薬(外用)に配合されている場合があるが、粘膜刺激を生じることがあるため、歯以外の口腔粘膜や唇に付着しないように注意が必要である。
b ジブカイン塩酸塩は、歯の齲蝕 (むし歯)により露出した歯髄を通っている知覚神経の伝達を遮断して痛みを鎮めることを目的として、歯痛薬(外用)に用いられる。
c セチルピリジニウム塩化物は、歯肉溝での細菌の繁殖を抑えることを目的として、歯槽膿漏薬に配合されている場合がある。
d 歯槽膿漏薬は、患部局所に適用する外用薬のほか、内服で用いる歯槽膿漏薬もあるが、内服薬と外用薬を併せて用いることは避けなければならない。
a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 正
4 誤 正 正 正
5 正 正 正 正
歯痛・歯槽膿漏薬及びその配合成分に関する問題。
a 正しい。フェノールは殺菌消毒成分。チョウジ油などと共に「歯痛剤新今治水」に配合されている。
b 正しい。ジブカイン塩酸塩は局所麻酔成分。知覚神経の伝達を遮断して痛みを鎮める。
c 正しい。セチルピリジニウム塩化物は殺菌消毒成分。「デントヘルス」等にも配合されている。その他、トローチの成分としても知られる。
d 誤り。
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正答・・・1
問 52 口内炎及び口内炎用薬に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
a 医薬品の副作用として口内炎を生じることはない。
b 口内炎の再発を繰り返す場合には、ベーチェット病などの可能性も考えられるので、医療機関を受診するなどの対応が必要である。
c 口内炎用薬は、口腔内に適用されるため、ステロイド性抗炎症成分が配合されている場合であっても、長期連用を避ける必要はない。
d 口内炎用薬には、患部からの細菌感染を防止することを目的として、クロルヘキシジン塩酸塩等の殺菌消毒成分が配合されている場合がある。
1(a、b) 2(a、c) 3(b、d) 4(c、d)
口内炎及び口内炎用薬に関する問題。
a 誤り。断定的な日本語表現で容易におかしいと判断できるでしょう。
b 正しい。
c 誤り。ステロイド性抗炎症成分は長期連用を避ける。
d 正しい。クロルヘキシジン塩酸塩、クロルヘキシジングルコン酸塩は消毒薬の分野でも登場します。(グルコン酸塩、塩酸塩の違いは気にしなくて良い)
正答・・・3
問 53 ニコチン及びニコチンを有効成分とする禁煙補助剤に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
a 咀嚼剤は、大量に使用しても禁煙達成が早まるものでなく、かえってニコチン過剰摂取による副作用のおそれがある。
b 妊婦又は妊娠していると思われる女性、母乳を与える女性では、禁煙することが推奨されるので、禁煙補助剤を積極的に使用することが望ましい。
c インスリン製剤を使用している人は、ニコチンがインスリンの血糖降下作用に拮抗して、効果を妨げるおそれがあるため、禁煙補助剤を使用する前に、治療を行っている医師又は処方薬を調剤した薬剤師に相談するなどの対応が必要である。
d 禁煙補助剤に配合されるニコチンは、アドレナリン作動成分が配合された医薬品(鎮咳去痰薬、鼻炎用薬、痔疾用薬等)との併用により、その作用を減弱させるおそれがある。
1(a、c) 2(b、c) 3(b、d) 4(a、d)
禁煙補助剤(ニコチン置換療法)に関する問題。
c、dについては過去問でそれ程問われいないので、迷うかも。
a 正しい。
b 誤り。摂取されたニコチンにより胎児又は乳児に影響が生じるおそれがある為、使用を避ける。
c 正しい。ニコチンがインスリンの血糖降下作用に拮抗し、効果を妨げるおそれがある。
d 誤り。ニコチンは交感神経系を興奮させる作用を示すことから、作用を(減弱ではなく)増強させる恐れがある。
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正答・・・1
問 54 滋養強壮保健薬の配合成分に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a アミノエチルスルホン酸(タウリン)は、肝臓機能を改善する働きがあるとされる。
b グルクロノラクトンは、軟骨組織の主成分で、軟骨成分を形成及び修復する働きがあるとされる。
c へスぺリジンは、ビタミン様物質のひとつで、ビタミンCの吸収を助ける等の作用があるとされる。
d ガンマ-オリザノールは、米油及び米胚芽油から見出された抗酸化作用を示す成分であるため、同様の作用を有するビタミンEと組み合わせて配合することは避けることとされる。
a b c d
1 正 誤 誤 正
2 誤 誤 正 誤
3 誤 正 誤 正
4 正 誤 正 誤
5 誤 正 誤 誤
滋養強壮保健薬の配合成分に関する問題。
a 正しい。アミノエチルスルホン酸(タウリン)に関する内容である。栄養ドリンクでお馴染みの成分。
b 誤り。これはコンドロイチン硫酸に関する内容。グルクロノラクトンは、栄養ドリンク・グロンサンの主成分として知られる。肝臓の働きを助け、肝血流を促進する働きがあるとされ、疲労時の栄養補給等を目的として配合される。
c 正しい。ヘスペリジン(ビタミンP)は、ビタミンCの吸収を助ける作用や抗酸化作用、血管強化作用等があるとされ、滋養強壮保健薬や、ベンザブロックシリーズ等のかぜ薬に配合されている。
d 誤り。後半部分が誤り。ガンマーオリザノールは、同様に抗酸化作用をもつビタミンE等と組み合わせて配合されている場合がある。
正答・・・4
問 55 滋養強壮保健薬のうち、ビタミン主薬製剤の配合成分とその配合目的との関係の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
(配合成分) (配合目的)
a エルゴカルシフェロール - くる病の予防
b リボフラビン酪酸エステル - 目の充血、目の痒みの症状の緩和
c ビスチアミン硝酸塩 - 月経不順の症状の緩和
d アスコルビン酸ナトリウム - 脚気の症状の緩和
a b c d
1 誤 誤 正 正
2 正 誤 誤 正
3 正 正 誤 誤
4 正 正 正 誤
5 誤 正 正 正
ビタミン主薬製剤の配合成分に関する問題。
用途が多岐にわたるビタミンB群の知識が問われると、どうしても難しくなる。
それでもa,dは容易に判断できるように。
a 正しい。「~カルシフェロール」ときたらビタミンD群。「骨のビタミン」として知られ、腸管でのカルシウム吸収及び尿細管でのカルシウム再吸収を促す。骨歯の発育不良、くる病の予防、ビタミンDの補給に用いられる。
b 正しい。リボフラビン酪酸エステルはビタミンB2群。口内炎向けやドリンク剤(尿が黄色くなる成分)等で良く配合されているが、ここまでの知識を問われると難しい。
c 誤り。ビスチアミン硝酸塩はビタミンB1群。「月経不順の症状の緩和」はビタミンEに関する記述。
d 誤り。アスコルビン酸ナトリウムはビタミンC群。「脚気の症状の緩和」ときたらビタミンB1である。
正答・・・3
問 56 一般用医薬品として使用される漢方処方製剤に関する記述のうち、正しいものはどれか。
1 漢方処方製剤を使用する場合、患者の「証」に合った漢方処方が選択されれば効果が期待でき、合わない漢方処方が選択されたとしても、副作用を招きにくいとされる。
2 漢方処方製剤の使用においても、間質性肺炎や肝機能障害のような重篤な副作用が起きることがある。
3 漢方処方を構成する生薬には、複数の処方で共通しているものがあり、同じ生薬を含む漢方処方製剤を併用した方が効果が高く、副作用の恐れもない。
4 漢方処方製剤には、医療用医薬品と相互作用を示すものはない。
漢方処方製剤に関する問題。
極端な日本語表現が多く冷静に読み取れば容易に判断できる。なお、今回は定番の肥満症に適応をもつ漢方薬(防風通聖散、防已黄耆湯など)に関する出題はなかった。
1 誤り。
2 正しい。
3 誤り。
4 誤り。
正答・・・2
問 57 感染症の防止及び消毒薬に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 滅菌は生存する微生物の数を減らすために行われる処置であり、また殺菌・消毒は物質中のすべての微生物を殺滅又は除去することである。
b クレゾール石鹸液は、結核菌を含む一般細菌類、真菌類、ウイルス全般に対する殺菌消毒作用を示す。
c トリクロルイソシアヌル酸等の有機塩素系殺菌消毒成分は、塩素臭や刺激性、金属腐食性が比較的抑えられており、プール等の大型設備の殺菌・消毒に用いられることが多い。
d 消毒薬が微生物を死滅させる仕組み及び効果は、殺菌消毒成分の種類、濃度、温度、時間、消毒対象物の汚染度、微生物の種類や状態などによって異なる。
a b c d
1 正 正 誤 誤
2 誤 正 正 誤
3 誤 誤 正 正
4 誤 誤 誤 正
5 正 誤 誤 誤
消毒薬に関する問題。
殺菌・消毒と滅菌の違いは、以前にも出題されたことがあるので、しっかり区別できるように。
1 誤り。殺菌・消毒は生存する微生物の数を減らすために行われる処置。滅菌は物質中のすべての微生物を殺滅又は除去することである。
2 誤り。。クレゾール石鹸液は大部分のウイルスに対する殺菌消毒作用はないとされている。手引きの記載は以下のとおり「結核菌を含む一般細菌類、真菌類に対して比較的広い殺菌消毒作用を示すが、大部分のウイルスに対する殺菌消毒作用はない。」(H30手引きの改訂で「大部分の」が追加された)
3 正しい。ジクロルイソシアヌル酸ナトリウム、トリクロルイソシアヌル酸等の有機塩素系殺菌消毒成分は、プール等の大型設備の殺菌・ 消毒に用いられている。
4 正しい。
正答・・・3
問 58 衛生害虫と殺虫剤・忌避剤及びその配合成分に関する記述のうち、正しいものはどれか。
1 シラミの防除には、医薬品による方法以外に、散髪や洗髪、入浴による除去、衣服の熱湯処理などの物理的方法もある。
2 忌避剤は人体に直接使用され、蚊、ツツガムシ、ノミ等が人体に取り付いて吸血したり、病原細菌等を媒介するのを防止することに加え、虫さされによる痒みや腫れなどの症状を和らげる効果もある。
3 ディートを含有する忌避剤(医薬品及び医薬部外品)は、生後6ヶ月未満の乳児については、顔面への使用を避け、1日の使用限度(1日2回)を守って使用する必要がある。
4 プロポクスルに代表されるカーバメイト系殺虫成分は、神経細胞に直接作用して神経伝達物質を阻害することにより殺虫作用を示す。
殺虫剤・忌避剤及びその配合成分に関する問題。
4のカーバメイト系の作用機序は判断が難しい。殺虫成分の出題ポイントも確認を。
1 正しい。なお、今回成分名は問われていないが、シラミ駆除に用いるフェノトリンは頻出。シラミ駆除剤(アタマジラミ・ケジラミ)として、殺虫成分で唯一人体に直接適応されるものである。
2 誤り。
3 誤り。忌避成分ディートは神経毒性の報告があり、生後6ヶ月未満の乳児への使用を避ける。生後6ヶ月~12歳未満までの小児は顔面への使用を避け、1日の使用限度(6ヶ月以上2歳未満:1日1回、2歳以上12歳未満:1日1~3回)を守って使用する。
4 誤り。まず、プロポクスルがカーバメイト系であることは正しい。そして作用機序として「アセチルコリンエステラーゼの阻害によって殺虫作用を示す(有機リン系とは異なり、その作用は可逆的)」と手引きに書かれている。「神経細胞に直接作用して神経伝達物質を阻害する」と書かれいるのはピレスロイド系。しかし、これを誤りと言い切るのは判断が難しい。
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正答・・・1
問 59 一般用検査薬に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
a 専ら疾病の診断に使用されることが目的とされる医薬品のうち、人体に直接使用されるものを体外診断用医薬品という。
b 尿タンパクを検査する場合、激しい運動の直後の採尿は避ける必要がある。
c 通常、尿は弱アルカリ性であるが、食事その他の影響で中性~弱酸性に傾くと、正確な検査結果が得られなくなることがある。
d 生体から採取された検体には予期しない妨害物質や化学構造がよく似た物質が混在することがあり、いかなる検査薬においても擬陰性・擬陽性を完全に排除することは困難である。
1(a、c) 2(b、c) 3(b、d) 4(a、d)
尿糖・尿タンパク検査薬に関する問題。
a 誤り。×人体に直接使用される⇒〇人体に直接使用されることのない
b 正しい。
c 誤り。通常、尿は弱酸性。食事その他の影響で中性~弱アルカリ性に傾くと、正確な検査結果が得られなくなる。
d 正しい。
正答・・・3
問 60 妊娠検査薬に関する記述について、( )の中に入れるべき字句の正しい組み合わせはどれか。
一般的な妊娠検査薬は、( a )が過ぎて概ね1週目以降の検査が推奨されている。検体としては、尿中( b )が検出されやすい( c )に採取した尿が向いている。
a b c
1 月経予定日 ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG) 早朝(起床直後)
2 排卵予定日 エストラジオール 就寝前
3 月経予定日 エストラジオール 就寝前
4 月経予定日 ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG) 就寝前
5 排卵予定日 ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG) 早朝(起床直後)
妊娠検査薬に関する問題。
基本知識なので、これぐらいは容易に判断できるように。
1 月経予定日
2 ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)
3 早朝(起床直後)
正答・・・1