H28 愛知県(東海・北陸地区共通)第2章 人体の働きと医薬品(PM 問1-10)

「出題の手引き」からの幅広い知識が求められている。
2017/8/9 問8(涙線)の解説を訂正しました。(「血漿」から涙液を産生する)

問1 消化器系に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a 化学的消化とは、消化液に含まれる消化酵素の作用によって飲食物を分解することをいう。

b 嚥下された飲食物は、食道の運動によって胃に送られるのではなく、重力によって胃に落ち込む。

c 食道には、消化液の分泌腺がある。

d 唾液には、デンプンを分解する消化酵素が含まれる。

1(a、b) 2(b、c) 3(c、d) 4(a、d)

消化器系に関する問題。

1 正しい。「機械的消化」と「化学的消化」の違いは頻出。違いはイメージしやすいので間違わないように。

化学的消化:消化液に含まれる消化酵素の作用によって飲食物を分解する。
機械的消化:口腔における咀嚼や、消化管の運動などによって消化管の内容物を細かくして消化液と混和し、化学的消化を容易にする。

2 誤り。重力で胃に落ち込むのでなく、食道の運動によって胃に送られる。
3 誤り。食道には消化液の分泌腺はない。
4 正しい。

正答・・・4

問2 呼吸器系に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a 鼻腔の内壁には粘液分泌腺が多く分布し、鼻汁を分泌する。

b 喉頭から肺へ向かう気道が左右の肺へ分岐するまでの部分を気管支という。

c 肺胞と毛細血管を取り囲んで支持している組織を間質という。

d 咽頭は、喉頭と気管の間にある軟骨に囲まれた円筒状の器官で、軟骨の突起した部分がいわゆる「のどぼとけ」である。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、d) 4(c、d)

呼吸器系に関する問題。
(17/8/15 一部訂正しました。)
 
1 正しい。
2 誤り。「気管」に関する内容である。
3 正しい。
4 誤り。「咽頭」と「喉頭」が逆になっている。
  
正答・・・2

問3 胃に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 胃は上腹部にある中空の臓器で、中身が空の状態では扁平に縮んでいる。

b 胃の内壁の粘膜の表面には無数の微細な孔があり、胃腺につながって塩酸(胃酸)のほか、 トリプシノーゲンを分泌している。

c 胃の粘膜表皮を覆う細胞から粘液が分泌され胃自体を保護しているが、胃液分泌と粘液分泌のバランスが崩れると、胃液により胃の内壁が損傷を受けることがある。

d 食道から送られてきた内容物は、胃の運動によって胃液と混和され、かゆ状となって小腸に送り出されるまで数時間、胃内に滞留する。

    a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 誤 正 正
3 誤 正 誤 正
4 正 誤 正 誤
5 正 正 誤 正

胃に関する問題。これは結構難しい。
過去問でもあまり問われてこなかった内容である。

a あまり問われたことがない内容だが正しい。
b 誤り。×トリプシノーゲン→〇ペプシノーゲン。
トリプシノーゲンは膵液に含まれ、十二指腸でトリプシンとなり胃で半消化されたタンパク質(ペプトン)をさらに細かく消化する。一方、ペプシノーゲンは胃酸によって、タンパク質を消化する酵素であるペプシンとなり、胃液として働く。
c 正しい。
d 正しい。「数時間、胃内に滞留する」は手引きどおり。
 
正答・・・2

問4 胆嚢、肝臓に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

1 胆嚢は、肝臓で産生された胆汁を濃縮して蓄える器官で、十二指腸に内容物が入ってくると収縮して腸管内に胆汁を送り込む。

2 肝臓に蓄えられたグリコーゲンは、血糖値が下がったときなど、必要に応じてブドウ糖に分解されて血液中に放出される。

3 肝臓では、必須アミノ酸以外のアミノ酸を生合成することができる。

4 肝臓は、脂溶性ビタミンを貯蔵することはできるが、水溶性ビタミンを貯蔵することはできない。

胆嚢、肝臓に関する問題。
ビタミンの貯蔵は、最初迷いやすい。

1 正しい。
2 正しい。
3 正しい。
4 誤り。良く問われている内容えある。手引きには「肝臓は、脂溶性ビタミンであるビタミンA、D等のほか、ビタミンB6やB12等の水溶性ビタミンの貯蔵臓器でもある。」と書かれており、水溶性ビタミンも貯蔵できる。

正答・・・4

問5 血管系及び血液に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

1 血液が血管中を流れる方向は一定しており、心臓から拍出された血液を送る血管を動脈、心臓へ戻る血液を送る血管を静脈という。

2 消化管壁を通っている毛細血管の大部分は、門脈と呼ばれる血管に集まって肝臓に入る。

3 単球は、白血球の約60%を占め、強い食作用を持ち、組織の中ではマクロファージ(貪食細胞)と呼ばれる。

4 血漿は、90%以上が水分からなり、アルブミン、グロブリン等のタンパク質のほか、微量 の脂質、糖質、電解質を含む。

血管系及び血液に関する問題。
白血球に関して、好中球(白血球の60%)、リンパ球(同1/3)、単球(同5%)の違いはしっかり理解しておこう。

1 正しい。
2 正しい。肝初回通過効果 (first-pass effect) についても合わせて理解しておきたい。
3 誤り。単球は白血球の約5%とされている。白血球の約60%を占めているのは「好中球」である。マクロファージ(貪食細胞)については単球に関する内容。
4 正しい。
 
正答・・・3

問6 腎臓及び尿路に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 尿は健康な状態であれば細菌等の微生物は存在しない。

b 腎臓には内分泌腺としての機能もあり、骨髄における赤血球の産生を促進するホルモンを分泌する。

c 副腎皮質では、自律神経系に作用するアドレナリンとノルアドレナリンが産生・分泌される。

d 女性は尿道が短いため、細菌などが侵入したとき膀胱まで感染を生じやすい。

    a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 誤 正 正
3 誤 正 誤 正
4 正 誤 正 誤
5 正 正 誤 正

腎臓及び尿路に関する問題。

a 正しい。
b 正しい。
c 誤り。アドレナリンとノルアドレナリンが産生・分泌されるのは「副腎髄質」。「副腎皮質」では、アルドステロン等の副腎皮質ホルモンが産生・分泌される。
d 正しい。

正答・・・5

問7 目に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a 目の充血は、血管が拡張して赤く見える状態であるが、強膜が充血したときは、白目の部分だけでなく眼瞼の裏側も赤くなる。

b 涙腺は上眼瞼の裏側にある分泌腺で、リンパ液から涙液を産生する。

c 角膜と水晶体の間は、組織液(房水)で満たされ、角膜に一定の圧(眼圧)を生じさせている。

d 眼精疲労とは、メガネやコンタクトレンズが合っていなかったり、神経性の疲労(ストレス)、 睡眠不足、栄養不良等が要因となって、慢性的な目の疲れに肩こり、頭痛等の全身症状を伴う場合をいう。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、d) 4(c、d)

目に関する問題。bの涙腺に関して知識不足だと迷ったでしょう。
結膜の充血と、強膜の充血の違いを理解しておく

a 誤り。この記述は結膜の充血に関するもの。強膜の充血に関しては、「眼瞼の裏側は赤くならず、強膜自体が乳白色であるため、白目の部分がピンク味を帯びる。」と書かれている。
b 誤り。×リンパ液→〇血漿。前半部分の涙腺の場所(上眼瞼の裏側)は正しい。
c 正しい。
d 正しい。

正答・・・4

問8 鼻又は耳に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a 鼻腔上部の粘膜にある特殊な神経細胞(嗅細胞)を、においの元となる物質の分子(におい分子)が刺激すると、その刺激が脳の嗅覚中枢へ伝えられる。

b 鼻中隔の前部は、毛細血管が豊富に分布していることに加えて粘膜が薄いため、傷つきやすく鼻出血を起こしやすい。

c 鼓室の内部では、互いに連結した微細な5つの耳小骨が鼓膜の振動を増幅して、内耳へ伝導する。

d 内耳は聴覚器官である前庭と、平衡器官である蝸牛の2つの部分からなる。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、d) 4(c、d)

鼻又は耳に関する問題。
特に耳の構造は文章だけ読んでも理解が難しいので、生理学等の参考書も利用してイメージで理解した方が知識が定着しやすい。

a 正しい。
b 正しい。
c 誤り。×5つ→〇3つ
d 誤り。内耳は聴覚器官である蝸牛と、平衡器官である前庭の2つの部分からなる。

正答・・・1

問9 外皮系に関する記述のうち、正しいものはどれか。

1 皮膚に物理的な刺激が繰り返されると皮下組織が肥厚して、たこやうおのめができる。

2 ヒトの皮膚の表面には常に一定の微生物が付着しており、それら微生物の存在によって、皮膚の表面での病原菌の繁殖が抑えられ、また、病原菌の体内への侵入が妨げられている。

3 真皮には、毛細血管や知覚神経は通っていない。

4 汗腺には、腋窩 (わきのした)などの毛根部に分布するエクリン腺と、手のひらなど毛根がないところも含め全身に分布するアポクリン腺の二種類がある。

外皮系に関する問題。
アポクリン腺(体臭腺)とエクリン線の違いは頻出である。

1 誤り。たこ・うおのめに関する内容。×皮下組織→〇角質層
2 正しい。
3 誤り。真皮には、毛細血管や知覚神経の末端が通っている。
4 誤り。アポクリン腺とエクリン線が逆になっている。

正答・・・2

問10 骨格系に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 骨には、頭部や内臓を支える身体の支柱としての機能や、骨格内に臓器を収め、保護する機能がある。

b 骨組織は、炭酸カルシウムやリン酸カルシウム等の無機質のみで構成される。

c 骨の基本構造は、主部となる骨質と骨の接合部にある関節軟骨の二組織からなる。

d 骨は、成長が停止した後も一生を通じて破壊(骨吸収)と修復(骨形成)が行われている。

    a b c d
1 正 誤 誤 正
2 誤 誤 正 誤
3 誤 正 誤 正
4 正 誤 正 誤
5 誤 正 誤 誤

骨格系に関する問題。cは注意

a 正しい。
b 誤り。骨には有機質(タンパク質及び多糖体)も含まれる。
c 誤り。骨組織の基本構造は、(1) 主部となる骨質、(2) 骨質表面を覆う骨膜、(3) 骨質内部の骨髄、(4) 骨の接合部にある関節軟骨、の四組織からなる。
d 正しい。

正答・・・1
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