H28 愛知県(東海・北陸地区共通)第3章 主な医薬品とその作用(問51-60)

 

問51 滋養強壮保健薬に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a カルシウムを含む成分は、胃腸薬等、カルシウムの補給を目的としない医薬品においても配合されており、カルシウム主薬製剤との併用によりカルシウムの過剰摂取を生じることがないように留意する必要がある。

b 補中益気湯は、体力虚弱で元気がなく、胃腸の働きが衰えて、疲れやすいものの虚弱体質、 疲労倦怠、病後・術後の衰弱、食欲不振、寝汗、感冒に適すとされる。

c アスパラギン酸ナトリウムは、米油及び米胚芽油から見出された抗酸化作用を示す成分で、ビタミンE等と組み合わせて配合されている場合がある。

d コンドロイチン硫酸ナトリウムは、肝臓の働きを助け、肝血流を促進する働きがあり、全身倦怠感や疲労時の栄養補給を目的として配合されている場合がある。

    a b c d
1 誤 誤 正 正
2 正 誤 誤 正
3 正 正 誤 誤
4 正 正 正 誤
5 誤 正 正 正

滋養強壮保健薬に関する問題。

a 正しい。
b 正しい。補中益気湯に関する内容である。
c 誤り。これはガンマ-オリザノールに関する内容。
d 誤り。これはグルクロノラクトンに関する内容。

正答・・・3

問52 生薬に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

1 漢方薬を使用する場合、漢方独自の病態認識である「証」に基づいて用いることが、有効性及び安全性を確保するために重要である。

2 小柴胡湯とインターフェロン製剤の相互作用のように、医療用医薬品との相互作用も知られている。

3 漢方処方製剤の多くは、処方に基づく生薬混合物の浸出液を濃縮して調製された乾燥エキス製剤を散剤等に加工して市販されている。

4 生薬成分を食品として流通させる場合でも、積極的な情報提供のため医薬品的な効能効果の標榜が必要である。

生薬に関する問題。

1 正しい。漢方薬のしばり表現についても押さえておこう。
2 正しい。第5章でも出題される内容である。
3 正しい。
4 誤り。「食品」としての流通なので、医薬品的な効能効果は標榜できない。
 
正答・・・4

問53 第1欄の記述は、生薬成分に関するものである。該当する生薬成分は第2欄のどれか。

第1欄 キンポウゲ科のハナトリカブト又はオクトリカブトの塊根を減毒加工して製したものを基原とする生薬であり、心筋の収縮力を高めて血液循環を改善する作用を持つ。血液循環が高まることによる利尿作用を示すほか、鎮痛作用を示すが、アスピリン等と異なり、プロスタグランジンを抑えないことから、胃腸障害等の副作用は示さない。

第2欄
1 ボウフウ
2 サイコ
3 カッコン
4 ブシ
5 サンザシ

生薬成分に関する問題。
これはブシ(附子)に関する内容。トリカブトがキーワード。
正答・・・4

問54 漢方処方製剤とその適用となる症状・体質との関係のうち、正しいものの組み合わせはどれか。 (漢方処方製剤) (適用となる症状・体質)

a 防已黄耆湯 - 体力中等度以下で、疲れやすく、汗のかきやすい傾向があるものの肥満に伴う関節痛、むくみ、多汗症、肥満(筋肉にしまりのない、いわゆる水ぶとり)

b 清上防風湯 - 体力中等度以上で、赤ら顔でときにのぼせがあるもののにきび、顔面・頭部の湿疹 ・皮膚炎、赤鼻(酒さ)

c 黄連解毒湯 - 体力充実して、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの高血圧や肥満に伴う動悸 ・肩こり・のぼせ・むくみ・便秘、蓄膿症、湿疹・皮膚炎、 ふきでもの、肥満症

d 防風通聖散 - 体力中等度以上で、のぼせぎみで顔色赤く、いらいらして落ち着かない傾向のあるものの鼻出血、不眠症、神経症、胃炎、二日酔い、血の道症、めまい、動悸 、更年期障害、湿疹 ・皮膚炎、皮膚のかゆみ、口内炎

1(a、b) 2(a、c) 3(b、d) 4(c、d)

漢方薬に関する問題。
この程度の問題は容易に判断できるように。

a 正しい。防已黄耆湯は、「関節痛」「多汗症」「肥満(水ぶとり)」がキーワード。
b 正しい。清上防風湯は「にきび」の漢方薬として知られる。
c 誤り。これは防風通聖散に関する内容。「腹部に皮下脂肪」「肥満症」が特徴的キーワード。
d 誤り。これは黄連解毒湯に関する内容。「鼻出血」「二日酔い」が特徴的なキーワード
 
正答・・・1

問55 感染症の防止と消毒薬に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 殺菌・消毒は物質中のすべての微生物を殺滅又は除去することである。

b 消毒薬を誤って飲み込んだ場合は、一般的な家庭における応急処置として、通常は多量の牛乳などを飲ませるが、手元に何もないときはまず水を飲ませる。

c クレゾール石鹸液は、強い酸化力により一般細菌類、真菌類、ウイルス全般に対する殺菌消毒作用を示す。

d ジクロルイソシアヌル酸ナトリウムは、塩素臭や刺激性、金属腐食性が比較的抑えられており、プール等の大型設備の殺菌・消毒に用いられることが多い。

    a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 誤 正 正
3 誤 正 誤 正
4 正 誤 正 誤
5 正 正 誤 正

感染症の防止と消毒薬に関する問題。
a 誤り。「すべて」ではない。
b 正しい。
c 誤り。クレゾール石鹸液は、結核菌を含む一般細菌類、真菌類に対して比較的広い殺菌消毒作用を示すが、ウイルスに対する殺菌消毒作用はない。
d 正しい。 。ジクロルイソシアヌル酸ナトリウム、トリクロルイソシアヌル酸などの有機塩素系殺菌消毒成分は、プール等の大型設備の殺菌・消毒に用いられる。
 
正答・・・3

問56 有機リン系殺虫成分に関する記述について、( )の中に入れるべき字句の正しい組み合わせはどれか。

殺虫作用は、アセチルコリンを分解する酵素(アセチルコリンエステラーゼ)と( a )に 結合してその働きを阻害することによる。これらの殺虫成分は、ほ乳類や鳥類では速やかに分解されて排泄されるため毒性は比較的( b )。ただし、高濃度又は多量に曝露した場合(特に、 誤って飲み込んでしまった場合)には、神経の異常な興奮が起こり、( c )、呼吸困難、筋肉麻痺等の症状が現れるおそれがある。

a b c
1 不可逆的 低い 縮瞳
2 不可逆的 高い 散瞳
3 可逆的 高い 散瞳
4 可逆的 低い 縮瞳
5 不可逆的 低い 散瞳

有機リン系殺虫成分に関する問題。
代表的な有機リン系の殺虫剤はジクロルボス。代表品に、ハエ・蚊・ゴキブリの駆除に用いられる「バポナ殺虫プレート」があります。

アセチルコリンを分解する酵素(アセチルコリンエステラーゼ)と不可逆的に結合してその働きを阻害することにより殺虫作用を示します

a 不可逆的
b 低い
c 縮瞳

正答・・・1

問57 衛生害虫に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 燻蒸処理は、ゴキブリの卵に対して殺虫効果を示さない。

b 医薬品によるシラミの防除の方法は、殺虫成分としてフェノトリンが配合されたシャンプーやてんか粉が用いられる。

c イエダニの防除には、殺虫剤による燻蒸処理等が重要であり、宿主動物であるネズミを駆除することは重要ではない。

d ハエの防除の基本は、ウジの防除であり、ウジの防除法としては、通常、有機リン系殺虫成分が配合された殺虫剤が用いられる。

    a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 正
4 誤 正 正 正
5 正 正 正 正

衛生害虫に関する問題。

a 正しい。
b 正しい。フェノトリンはピレスロイド系殺虫成分。神経細胞に直接作用して神経伝達を阻害する。シラミ駆除剤として、直接人体に適用される製品もある。(商品名:スミスリン)
(↓アマゾンサイト)
>
c 誤り。
d 正しい。

正答・・・2

問58 一般用検査薬の販売時の留意点に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

1 医療機関を受診中の場合は、通院治療を続けるよう説明する。

2 検査結果の判定についてわかり易く説明する。

3 専門的診断におきかわるものであることについてわかり易く説明する。

4 検体の採取時間とその意義をわかり易く説明する。

一般用検査薬の販売時の留意点に関する問題。
常識的に読み取れば容易に判断できる。

1 正しい。
2 正しい。
3 誤り。そんな訳がない。
4 正しい。
 
正答・・・3

問59 尿糖・尿タンパク検査薬に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a 尿糖検査薬を長い間尿に浸していると検出成分が溶け出してしまい、正確な検査結果が得られなくなることがある。

b 尿タンパクの検査結果に影響を与える要因として採尿に用いた容器の汚れがある。

c 尿タンパクの検査の場合、食後2~3時間を目安に採尿を行う。

d 中間尿では、尿道や外陰部等に付着した細菌や分泌物が混入することがあるため、出始めの尿を採取して検査することが望ましい。

1(a、b) 2(b、c) 3(c、d) 4(a、d)

尿糖・尿タンパク検査薬に関する問題。

a 正しい。
b 正しい。
c 誤り。尿タンパクの場合、原則として早朝尿(起床直後の尿)を検体とする。
d 誤り。「出始めの尿」と「中間尿」が入れ替わっている。


 
正答・・・1

問60 妊娠検査薬に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 実際に妊娠が成立してから1週目前後における尿中のヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)濃度を検出感度としている。

b 検体としては、尿中のhCGが検出されやすい早朝尿(起床直後の尿)が向いているが、尿が濃すぎると、かえって正確な結果が得られないこともある。

c 高濃度のタンパク尿や糖尿の場合でも、擬陽性を示すことはない。

d 検査薬は高温になる場所に放置されたり、冷蔵庫内に保管されていたりすると、設計どおりの検出感度を発揮できなくなるおそれがある。

    a b c d
1 正 誤 誤 正
2 誤 正 誤 誤
3 正 誤 正 誤
4 誤 正 誤 正
5 誤 誤 正 誤

妊娠検査薬に関する問題。

a 誤り。ひっかからないように。月経予定日が過ぎて概ね1週目以降の検査が推奨されている。
b 正しい。
c 誤り。
d 正しい。尿hCGの検出反応は酵素反応の為、温度の影響を受けることがある。
 
正答・・・4
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