R3 関西広域連合 第2章 人体の働きと医薬品(問61-70)
細かい知識が問われ、全体的にやや難しい。
問61
消化器系に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。
a 消化管は、口腔から肛門まで続く管で、口腔、咽頭、食道、胃、小腸、大腸、肛門が含まれる。
b 歯冠は、歯頚を境に口腔に露出する部分であり、表面は、エナメル質で覆われている。
c 膵臓は、消化腺の一つであり、炭水化物、タンパク質、脂質のそれぞれを消化するすべての酵素の供給を担っている。
d 嚥下の際には、喉頭の入り口にある喉頭蓋が反射的に開くことにより飲食物が食道へと送られる。
a b c d
1 正 誤 正 正
2 正 正 正 誤
3 正 正 誤 誤
4 誤 正 誤 正
5 誤 誤 正 正
消化器系に関する問題。
a 正しい。
b 正しい。歯冠の表面はエナメル質で覆われ、体で最も硬い部分となっている。エナメル質の下には象牙質と呼ばれる硬い骨状の組織があり、神経や血管が通る歯髄を取り囲んでいる。
c 正しい。なお、膵液にはタンパク質を分解するトリプシンの前駆物質であるトリプシノーゲン、デンプンを分解するアミラーゼ(膵液アミラーゼ)、脂質を分解するリパーゼなどが含まれている。
d 誤り。喉頭の入り口にある弁(喉頭蓋)が反射的に閉じることにより、飲食物が喉頭や気管に流入せずに食道へと送られる。
正答・・・2
問62
呼吸器系に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。
a 喉頭から肺へ向かう気道が、左右の肺へ分岐するまでの部分を気管という。
b かぜやアレルギーのときに大量に分泌される鼻汁には、リゾチームが含まれ、気道の防御機構の一つとなっている。
c 肺自体には肺を動かす筋組織があり、それらが弛緩・収縮することによって呼吸運動が行われている。
d 肺では、肺胞の壁を介して、心臓から送られてくる血液から酸素が肺胞気中に拡散し、二酸化炭素が血液中の赤血球に回収される。
a b c d
1 正 正 誤 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 誤 誤
4 誤 誤 正 正
5 誤 誤 正 誤
呼吸器系に関する問題。
c,dは中学高校の理科レベルの知識で判断できるでしょう。
a 正しい。
b 正しい。なお、リゾチームは3章でも出題される抗炎症成分。
c 誤り。肺自体には、肺を動かす筋組織がないため、横隔膜や肋間筋によって拡張・収縮し呼吸運動が行われる。
d 誤り。肺胞の壁を介して、心臓から送られてくる血液から二酸化炭素が肺胞気中に拡散し、代わりに酸素が血液中の赤血球に取り込まれるガス交換が行われる。
正答・・・1
問63
循環器系に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。
a 心臓の内部は4つの空洞に分かれており、心室で血液を集めて心房に送り、心房から血液を拍出する。
b 肺でのガス交換が行われた血液は、心臓の右側部分(右心房、右心室)に入り、そこから全身に送り出される。
c 血液は、血漿と血球からなり、血漿は、血液全体の約90%を占める。
d 消化管壁を通っている毛細血管の大部分は、門脈と呼ばれる血管に集まって肝臓に入る。
a b c d
1 正 正 誤 誤
2 誤 正 正 誤
3 誤 誤 正 正
4 誤 誤 誤 正
5 正 誤 誤 誤
循環器系に関する問題。
a 誤り。心房と心室が逆。心房で血液を集めて心室に送り、心室から血液を拍出する。
b 誤り。✖心臓の右側部分(右心房、右心室)⇒〇心臓の左側部分(左心房、左心室)
c 誤り。血漿は90%以上が水分からなる。なお、血液は血漿と血球からなるが(手引きには)その比率は書かれていない。
d 正しい。
正答・・・4
問64
脾臓及び腎臓に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。
a 脾臓の主な働きは、脾臓内を流れる血液から古くなった赤血球を濾し取って処理をすることである。
b 脾臓にはリンパ球が増殖、密集する組織(リンパ組織)があり、血液中の細菌やウイルス等の異物に対する免疫応答に関与する。
c 腎小体では、肝臓でアミノ酸が分解されて生成する尿素など、血液中の老廃物が濾過される。
d ネフロンは、腎臓の基本的な機能単位であり、腎小体と糸球体とで構成される。
a b c d
1 正 誤 正 正
2 正 正 正 誤
3 正 正 誤 誤
4 誤 正 誤 正
5 誤 誤 正 正
脾臓及び腎臓に関する問題。
a 正しい。
b 正しい。
c 正しい。
d 誤り。腎臓の基本的な機能単位(ネフロン)は、腎小体と尿細管で構成される。
正答・・・2
問65
リンパ系に関する記述について、正しいものの組合せを一つ選べ。
a リンパ液は、血漿とほぼ同じ成分からなるが、リンパ球を含み、タンパク質が多い。
b リンパ管は、互いに合流して次第に太くなり、最終的に、鎖骨の下にある静脈につながる。
c リンパ節の内部にはリンパ球やマクロファージ(貪食細胞)が密集していて、組織中に侵入した細菌、ウイルス等の異物が、免疫反応によって排除される。
d リンパ液の流れは、リンパ系内に存在するポンプ器官の働きによるものであり、流速は血流に比べて緩やかである。
1(a、b) 2(a、d) 3(b、c) 4(c、d)
リンパ系に関する問題。
リンパでここまで深く問われる問題は少なかったので難しかったでしょう。
a 誤り。リンパ液は血漿とほとんど同じ成分からなるが、タンパク質が少なく、リンパ球を含む。
b 正しい。
c 正しい。
d 誤り。リンパ系には心臓のようにポンプの働きをする器官がなく、リンパ液の流れは主に骨格筋の収縮によるものであり、流速は血流に比べて緩やかである。
正答・・・3
問66
感覚器官に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。
a 雪眼炎は、眼球が紫外線を含む光に長時間曝されることにより、主に硝子体の上皮が損傷を起こした状態である。
b 視細胞が光を感じる反応にはビタミンCが不可欠であるため、ビタミンCが不足すると夜盲症を生じる。
c 耳は、外耳、中耳、内耳からなる。内耳にある鼓室の内部では、互いに連結した微細な3つの耳小骨が鼓膜の振動を増幅している。
d 副鼻腔に入った埃等の粒子は、粘液に捉えられて、線毛の働きによって鼻腔内へ排出される。
a b c d
1 正 誤 正 誤
2 正 誤 誤 正
3 誤 誤 正 誤
4 正 正 誤 誤
5 誤 誤 誤 正
感覚器官に関する問題。
雪眼炎(せつがんえん)・雪目とは、紫外線を含む光に長時間曝されることで、角膜の上皮に損傷を生じることを言います。
a 誤り。✖硝子体の上皮⇒〇角膜の上皮
b 誤り。✖ビタミンC⇒〇ビタミンA
c 誤り。鼓室は(内耳ではなく)中耳に位置する。
d 正しい。
正答・・・5
問67
皮膚に関する記述について、正しいものの組合せを一つ選べ。
a 外皮系は、皮膚、皮膚腺、角質の総称である。
b 皮膚は、表皮、真皮、皮下組織からなり、このうち皮下組織は、角質細胞と細胞間脂質で構成されている。
c メラニン色素は、表皮の最下層にあるメラニン産生細胞で産生され、太陽光に含まれる紫外線から皮膚組織を防護する役割がある。
d 汗腺には、エクリン腺とアポクリン腺があり、エクリン腺は体臭腺である。
1(a、b) 2(a、c) 3(b、d) 4(c、d)
皮膚に関する問題。
a 正しい。
b 誤り。まず、表皮は角質層と生きた表皮細胞の層に分けられる。さらに角質層は、角質細胞(ケラチン)と細胞間脂質(セラミド)で構成されている。
c 正しい。
d 誤り。アポクリン腺が体臭腺である。
正答・・・2
問68
骨組織に関する記述について、( )の中に入れるべき字句の正しい組合せを一つ選べ。
骨は生きた組織であり、骨吸収と骨( a )とが互いに密接な連絡を保ちながら進行し、繰り返されることで骨の新陳代謝が行われる。骨組織を構成する無機質は、主に炭酸カルシウムや( b )カルシウム等の石灰質からなる。
a b
1 代謝 乳酸
2 破壊 乳酸
3 形成 リン酸
4 形成 乳酸
5 破壊 リン酸
骨組織に関する問題。
a 形成
b リン酸
正答・・・3
問69
筋組織に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。
a 関節を動かす骨格筋は、関節を構成する骨に腱を介してつながっている。
b 心筋の筋線維には、骨格筋のような横縞模様がある。
c 平滑筋と心筋は、自分の意識どおりに動かすことができない筋組織である。
d 骨格筋は自律神経系、不随意筋は体性神経系に支配されている。
a b c d
1 正 正 誤 正
2 誤 誤 正 誤
3 正 正 正 誤
4 正 誤 正 誤
5 誤 正 誤 正
筋組織に関する問題。
a 正しい。
b 正しい。
c 正しい。平滑筋と心筋は不随意筋である。
d 誤り。骨格筋は体性神経系、不随意筋は自律神経系に支配されている。
正答・・・3
問70
脳や神経系の働きに関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。
a 中枢神経系は脳と脊髄から構成され、脳は脊髄と、前庭でつながっている。
b 脳において、血液の循環量は心拍出量の約15%と多いが、ブドウ糖の消費量は全身の約1%と少ない。
c 医薬品の成分は、体内で自律神経系に作用し、副作用をもたらすことがある。
d 自律神経系は、交感神経系と副交感神経系からなり、多くの効果器に対し、交感神経と副交感神経の二つの神経線維が支配している。
a b c d
1 正 正 誤 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 誤 誤
4 誤 誤 正 正
5 誤 誤 正 誤
脳や神経系の働きに関する問題。末梢神経系(自律神経、体性神経系)も確認を。
a 誤り。✖前庭⇒〇延髄
b 誤り。後半が誤り。脳において、血液の循環量は心拍出量の約15%、酸素の消費量は全身の約20%、ブドウ糖の消費量は全身の約25%と(他の臓器に比べ)多い。
c 正しい。
d 正しい。
正答・・・4