清上防風湯(にきび)
にきび向けの漢方薬として知られる
明代の医学書「万病回春」に記載された処方ですが、「面に瘡を生ずるは、上焦の火なり」「上焦の火を清し、頭面に瘡癤を生じる風熱の毒を治す」と書かれており、名称の由来や「にきび」向けの処方であることは想像に難くないでしょう。
なお、「上焦」とは中医学用語で、体を三焦(上・中・下)に分ける考え方からきていますが、上焦は胸辺りから頭部までとイメージしていれば十分です。(区分の仕方は諸説あります)
構成生薬は以下の12種類です。
防風(ボウフウ)、荊芥(ケイガイ)、黄連(オウレン)、黄ごん(オウゴン)、薄荷(ハッカ)、連翹(レンギョウ)、山梔子(サンシシ)、桔梗(キキョウ)、川きゅう(センキュウ)、白シ(ビャクシ)、枳実(キジツ)、甘草(カンゾウ)
処方名からもわかるとおり防風が主薬になります。
出題の手引きの記載は以下のとおり
「体力中等度以上で、赤ら顔でときにのぼせがあるもののにきび、顔面・頭部の湿疹・皮膚炎、赤鼻(酒さ)に適すとされるが、胃腸の弱い人では食欲不振、胃部不快感の副作用が現れやすい等、不向きとされる。構成生薬としてカンゾウを含む。」
対象となる症状範囲が、頭部に集中していることがわかります。「にきび」は荊芥連翹湯でも登場するキーワードなので、試験対策としては、赤ら顔、赤鼻(酒さ)も合わせて憶えておくと良いでしょう。
「まれに重篤な副作用として肝機能障害、偽アルドステロン症、腸間膜静脈硬化症が起こることが知られている。また、本剤の服用により、まれに症状が進行することもある。」
⇒令和4年改訂で「腸間膜静脈硬化症」が追加されました。山梔子(サンシシ)を含む漢方薬の長期連用したケースが多く報告されており、関連性が示唆されています。
⇒令和4年東京・南関東ブロック・問95で出題されました。
(参考資料)
・中医臨床のための方剤学(神戸中医学研究会 編著)・医歯薬出版株式会社
・ツムラ清上防風湯エキス顆粒 インタビューフォーム