H28 新潟県(北関東・甲信越)第3章 主な医薬品とその作用(問61-70)
問66(眠気を促す薬)、問68(乗り物酔い防止薬)、問70(咳)は難しい。
【問61】 次の表は、あるかぜ薬に含まれている成分の一覧である。
4カプセル中
イソプロピルアンチピリン 300 mg
アセトアミノフェン 450 mg
クロルフェニラミンマレイン酸塩 7.5 mg
ジヒドロコデインリン酸塩 12 mg
dl-メチルエフェドリン塩酸塩 60 mg
カンゾウエキス末 118 mg (原生薬として 983 mg)
無水カフェイン 75 mg
このかぜ薬に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a イソプロピルアンチピリンは、咳を抑えることを目的として配合されている。
b クロルフェニラミンマレイン酸塩は、抗ヒスタミン作用を有し、くしゃみや鼻汁を抑えることを目的として配合されている。
c ジヒドロコデインリン酸塩は、発熱を鎮めることを目的として配合されている。
a b c
1 正 正 正
2 誤 正 正
3 正 誤 正
4 正 誤 誤
5 誤 正 誤
総合感冒薬に使用される成分に関する問題。
問われていない成分も含め、どれも超頻出の成分である。
a 誤り。イソプロピルアンチピリンは解熱鎮痛成分。総合感冒薬では殆ど見かけないが、セデスに代表される頭痛薬の成分としての方が重要。一般用医薬品では唯一のピリン系であることも押さえておこう。
b 正しい。クロルフェニラミンマレイン酸塩は抗ヒスタミン成分であり、総合感冒薬に頻用されている。
c 誤り。ジヒドロコデインリン酸塩は麻薬性鎮咳成分であり、これも総合感冒薬に頻用されている。
他に、メチルエフェドリン塩酸塩はアドレナリン作動性成分の気管支拡張成分であり咳止めに分類される。
アセトアミノフェンは小児でも使用できる解熱鎮痛成分。カンゾウエキス(甘草)は抗炎症作用により喉の痛みの緩和が期待される成分。
正答・・・5
【問62】 かぜ及びかぜ薬に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 「かぜ」は単一の疾患ではなく、医学的にはかぜ症候群といい、主にウイルスが鼻や喉などに感染して起こる上気道の急性炎症の総称である。
b インフルエンザ(流行性感冒)は、かぜと同様、ウイルスの呼吸器感染によるものであるが、感染力が強く、また重症化しやすいため、かぜとは区別して扱われる。
c かぜ薬は、ウイルスの増殖を抑えたり、体内から取り除くものではなく、咳で眠れなかったり、発熱で体力を消耗しそうなときなどに、それら諸症状の緩和を図ることを主な目的としている。
d かぜであるからといって必ずしもかぜ薬(総合感冒薬)を選択するのが最適とは限らず、発熱、咳など症状がはっきりしている場合には、効果的に症状の緩和を図るため、解熱鎮痛薬、鎮咳去痰薬などを選択することが望ましい。
a b c d
1 正 正 正 正
2 誤 正 正 誤
3 正 誤 誤 正
4 正 正 誤 正
5 正 正 正 誤
かぜ及びかぜ薬に関する問題。これは冷静に読み取れば判断できるはず。
a 正しい。
b 正しい。
c 正しい。
d 正しい。
正答・・・1
【問63】 次の表は、ある解熱鎮痛薬に含まれている成分の一覧である。
2錠中
イブプロフェン 144 mg
エテンザミド 84 mg
ブロモバレリル尿素 200 mg
無水カフェイン 50 mg
乾燥水酸化アルミニウムゲル 66.7 mg
この解熱鎮痛薬を販売するにあたって確認すべき事項に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 イブプロフェンは、消化管粘膜の防御機能を低下させるため、使用者に胃・十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎又はクローン氏病の既往歴がないか確認する。
2 イブプロフェンは、出産予定日12週以内の妊婦については服用しないこととされているため、使用者が妊婦の場合、出産予定日について確認する。
3 エテンザミドは、水痘(水疱瘡)又はインフルエンザにかかっている15歳未満の小児に対しては使用を避ける必要があるため、使用者の症状及び年齢を確認する。
4 ブロモバレリル尿素は胎児に障害を引き起こす可能性があるため、使用者が妊娠していないか確認する。
5 乾燥水酸化アルミニウムゲルが配合されており、肝臓病の診断を受けた人ではアルミニ ウムの排泄が遅れたり、体内に貯留しやすくなるため、治療を行っている医師又は処方薬の調剤を行った薬剤師に相談がなされているかどうか確認する。
解熱鎮痛薬に関する問題。
今回登場している製品は、ナロンエース(大正製薬)と考えられる。
1 正しい。イブプロフェンは頻出の解熱鎮痛成分。
2 正しい。
3 正しい。エテンザミドは小児も使用できるファミリーユース向けの総合感冒薬にも使用される成分だが、15歳未満の小児に対しては「水痘(水疱瘡)・インフルエンザの場合」は使用を避ける点は良く出題されている。
また、一方でアスピリン、サザピリンは、15歳未満の小児に対しては、「いかなる場合も」(一般用医薬品として)使用できない点とも区別できるように。混同しやすい試験ポイントである。
4 正しい。ブロモバレリル尿素は鎮静成分。妊娠中は使用を避ける。
5 誤り。乾燥水酸化アルミニウムゲルは中和型の制酸成分であるが、アルミニウムを含んでおり透析患者は避けるのはもちろん、腎臓病の診断を受けた人も注意が必要である。
正答・・・5
【問64】 ヒスタミン及び抗ヒスタミン成分に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 生体内情報伝達物質であるヒスタミンは、脳の下部にある睡眠・覚醒に関与する部位で神経細胞の刺激を介して、覚醒の維持や調節を行う働きを担っている。
b 小児及び若年者では、抗ヒスタミン成分により眠気とは反対の神経過敏や中枢興奮などが現れることがある。
c 抗ヒスタミン成分を主薬とする一般用医薬品の催眠鎮静薬は、睡眠改善薬として慢性的に不眠症状がある人を対象としており、一時的な睡眠障害(寝つきが悪い、眠りが浅い)の緩和には用いられない。
a b c
1 誤 正 誤
2 誤 正 正
3 正 正 誤
4 誤 誤 正
5 正 正 正
ヒスタミンと抗ヒスタミン成分に関する問題。
a 正しい。
b 正しい。この内容については良く出題されている。
c 誤り。この問題に限らず、「慢性」とくれば一般用医薬品の対象外なので、直ぐに誤りと判断できるように。
正答・・・3
【問65】 アリルイソプロピルアセチル尿素に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 脳の興奮を促し、痛覚を鈍くする作用がある。
b 反復して摂取すると、依存を生じることが知られている。
c 少量でも眠気を催しやすい。
a b c
1 誤 正 誤
2 誤 正 正
3 正 正 誤
4 正 誤 正
5 正 正 正
鎮静成分であるアリルイソプロピルアセチル尿素に関する問題。
なお、もう一つの鎮静成分であるブロモバレリル尿素に関しても、特徴は同様である。
OTCでは、主に頭痛薬における鎮静補助で鎮痛薬と一緒に配合されている。
a 誤り。脳の興奮を抑え、痛覚を鈍くする作用がある。
b 正しい。
c 正しい。
正答・・・2
【問66】 眠気を促す薬に配合される生薬成分に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a カノコソウ、チョウトウコウ等の生薬成分が複数配合されている製品があるが、これら生薬成分のみからなる製品は、通常、長期連用する必要がある場合に用いられる。
b サンソウニンやチャボトケイソウが配合された医薬品は、それら成分又はセントジョーンズワートを含む食品を併せて摂取すると、医薬品の薬効に影響を及ぼしたり、副作用のリスクが高まったりすることがある。
c カノコソウを含む製品は、医薬品的な効能効果が標榜又は暗示されていなければ食品として流通可能である。
a b c
1 正 正 正
2 正 正 誤
3 正 誤 誤
4 誤 正 正
5 誤 誤 正
眠気を促す薬に関する問題。
眠気を促す薬の代表としては、ドリエルに代表される抗ヒスタミン成分(ジフェンヒドラミン塩酸塩)に関する出題が頻出だが、今回は生薬に関する問題で、難易度は高め。
直前期で余裕がなければ、頻出問題の学習を優先してください。
a 誤り。生薬であっても長期連用は避けるべき。これは特別知識がなくても判断できたでしょう。
b 正しい。
c 正しい。
正答・・・4
【問67】 眠気防止薬におけるカフェインの摂取量に関する次の記述について、( )の中に入れるべき数字の正しい組み合わせはどれか。
眠気防止薬におけるカフェインの1回摂取量はカフェインとして( a )mg、1日摂取量は( b )mg が上限とされている。
a b
1 20 50
2 30 100
3 60 200
4 100 250
5 200 500
眠気防止薬としてのカフェインに関する問題。
数値を憶えるポイントは少ない試験だが、このカフェインの摂取量については時折出題されており、憶えておくしかない。
眠気防止薬におけるカフェインの1回摂取量はカフェインとして200mg、1日摂取量は500mg が上限とされている。また、総合感冒薬にも、大抵カフェインが配合されているので重複への注意に関する注意も押さえておこう。
正答・・・5
【問68】 鎮暈薬(乗物酔い防止薬)に配合される成分に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
a ジフェンヒドラミンテオクル酸塩は、中耳にある前庭と脳を結ぶ神経(前庭神経)の調節作用のほか、中耳への血流を改善する作用を示す。
b ジメンヒドリナートは、ジフェニドール塩酸塩の一般名の抗ヒスタミン成分である。
c メクリジン塩酸塩は、他の抗ヒスタミン成分と比べて作用が現れるのが遅く持続時間が長い。
d 乗物酔いの発現には不安や緊張などの心理的な要因による影響も大きく、それらを和らげることを目的として、アリルイソプロピルアセチル尿素が配合されている場合がある。
1 (a、b) 2(a、d) 3(b、c) 4(c、d)
鎮暈薬(乗物酔い防止薬)に配合される成分に関する問題。
この分野での頻出成分はスコポラミン臭化水素酸塩だが、その他の成分が問われており、簡単ではない。
a 誤り。これはジフェニドール塩酸塩に関する内容である。ジメンヒドリナートの作用は、手引きには「専ら乗物酔い防止薬に配合される抗ヒスタミン成分である」としか書かれていない。
b 誤り。細かい知識だが、ジメンヒドリナートは、ジフェンヒドラミンテオクル酸塩の一般名である。
c 正しい。メクリジン塩酸塩に関する内容である。作用が遅く持続時間が長いポイントは押さえておく。
↓トラベルミンファミリー(エーザイ)の成分表
d 正しい。問65でも登場したアリルイソプロピルアセチル尿素だが、乗物酔い防止薬にも配合される場合がある。
正答・・・4
【問69】 咳や痰が生じる仕組み及び鎮咳去痰薬に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 咳は、気管や気管支に何らかの異変が起こったときに、その刺激が中枢神経系に伝わり、脊髄にある呼吸中枢の働きによって引き起こされる反応である。
b 気道粘膜に炎症を生じたときには咳が誘発され、また、炎症に伴って喘息を生じることもある。
c 鎮咳去痰薬は、咳を鎮める、痰の切れを良くすることを目的とするが、喘息症状を和らげる効果をもつものはない。
a b c
1 誤 正 正
2 正 誤 誤
3 正 誤 正
4 正 正 誤
5 誤 正 誤
鎮咳去痰薬に関する問題。(2017/6/28 正答が間違っていましたので訂正しました)
a 正しい。誤りでした。呼吸中枢があるのは「脊髄」ではなく「延髄」。
b 正しい。
c 誤り。「喘息もOTCの対象なの?」と迷った方も多いでしょう。手引きには「鎮咳去痰薬は、咳を鎮める、痰の切れを良くする、また、喘息症状を和らげることを目的とする医薬品の総称である」と書かれている。
正答・・・5
【問70】 鎮咳去痰薬に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 気管支拡張成分として配合されるジプロフィリンは、自律神経を介して気管支の平滑筋を弛緩させ、気管支を拡張させる。
b 生薬成分として配合されるナンテンジツは、知覚神経・末梢運動神経に作用して咳止めに効果があるとされる。
c 漢方処方製剤である五虎湯はマオウを含むため、心臓病の診断を受けた人では使用により症状を悪化させるおそれがある。
a b c
1 誤 正 正
2 誤 正 誤
3 誤 誤 正
4 正 誤 正
鎮咳去痰薬に関する問題。
マイナーな成分が登場しており、やや難しい。
a 誤り。ジプロフィリンはキサンチン系の気管支拡張成分。自律神経系を介さずに気管支の平滑筋に直接作用する。「コンタック®せき止めST」に配合されているが、含有する製品は多くない。
b 正しい。これは判断が難しかったでしょう。ナンテンジツ(南天実)は「南天のど飴」にも配合されている。
c 正しい。五虎湯は代表的な咳止め漢方薬である。
正答・・・1
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