H29 愛知県(東海・北陸地区共通)第2章 人体の働きと医薬品 (PM問11-20)
例年に比べて副作用関連の問題が少ない。
問11
目に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
a 角膜と水晶体の間は、組織液(房水)で満たされ、角膜に一定の圧(眼圧)を生じさせている。角膜や水晶体には血管が通っていて、血液によって栄養分や酸素が供給される。
b 角膜に射し込んだ光は、角膜、房水、水晶体、硝子体を透過しながら屈折して網膜に焦点を結ぶ。
c 遠近の焦点調節は、主に水晶体の厚みを変化させることによって行われている。水晶体は、その周りを囲んでいる毛様体の収縮・弛緩によって、遠くの物を見るときには丸く厚みが増し、近くの物を見るときには扁平になる。
d 目の充血は血管が拡張して赤く見える状態であるが、結膜の充血では白目の部分だけでなく眼瞼の裏側も赤くなる。
1(a、c) 2(b、c) 3(b、d) 4(a、d)
目に関する問題。
a 誤り。角膜や水晶体には血管が通っておらず、房水によって栄養分や酸素が供給される
b 正しい。
c 誤り。水晶体の厚みの説明が逆になっている。近くの物を見るときには丸く厚みが増し、遠くの物を見るときは扁平になる。毛様体の収縮・弛緩によることは正しい。
d 正しい。
正答・・・3
問12
鼻と耳に関する記述のうち、誤っているものはどれか。
1 鼻は、空気中を漂う物質を鼻腔内に吸い込み、その化学的刺激を感じとる。
2 鼻腔の粘膜に炎症を起こして腫れた状態を鼻炎といい、鼻汁過多や鼻閉(鼻づまり)などの症状を生じる。
3 耳は、外耳、中耳、内耳からなり、聴覚情報と平衡感覚を感知する。
4 小さな子供では、耳管が細く短くて、走行が水平に近いため、鼻腔からウイルスや細菌が侵入し感染が起こりやすい。
鼻と耳に関する問題。
1 正しい。「化学的刺激」に戸惑うかもしれないが、手引きの記述通りである。
2 正しい。
3 正しい。
4 誤り。小さな子供では、 耳管が太く短くて、走行が水平に近いため、鼻腔からウイルスや細菌が侵入し感染が起こりやすい。
正答・・・4
問13
外皮系に関する記述のうち、正しいものはどれか。
1 外皮系には、身体を覆う皮膚と、汗腺、皮脂腺、乳腺等の皮膚腺が含まれるが、爪や毛等の角質は含まれない。
2 炎症が生じた皮膚に現れる発疹や発赤、痒み等の症状と免疫機能の活性化とは関連がない。
3 メラニン色素は、太陽光に含まれる紫外線の刺激により表皮の最下層にあるメラニン産生細胞(メラノサイト)で産生され、皮膚組織を破壊する。
4 皮脂は、皮膚を潤いのある柔軟な状態に保つとともに、外部からの異物に対する保護膜としての働きがある。
外皮系に関する問題。
1 誤り。身体を覆う皮膚と、汗腺、皮脂腺、乳腺等の皮膚腺、爪や毛等の角質を総称して外皮系という。
2 誤り。免疫機能との関連もある。
3 誤り。メラニン色素は、太陽光に含まれる紫外線から皮膚組織を防護する役割がある。
4 正しい。
正答・・・4
問14
骨格系と筋組織に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 成長が停止した後は、骨の破壊(骨吸収)と修復(骨形成)が行われなくなる。
b 骨の関節面は弾力性に富む柔らかな軟骨層(関節軟骨)に覆われ、これが衝撃を和らげ、関節の動きを滑らかにする。
c 骨格筋と平滑筋は、収縮力が強く、自分の意識どおりに動かすことができる随意筋である。
d 筋組織は神経からの指令によって収縮するが、体性神経系(運動神経)で支配されるものと自律神経系に支配されるものがある。
a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 誤
4 誤 正 誤 正
5 正 誤 正 正
骨格筋と筋組織に関する問題。
a 誤り。成長が停止した後も一生を通じて破壊(骨吸収)と修復(骨形成)が行われている。
b 正しい。
c 誤り。骨格筋とは異なり、平滑筋・心筋は不随意筋(意識的にコントロールできない筋組織)である
d 正しい。
正答・・・4
問15
脳や神経系に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 脳の下部には、自律神経系、ホルモン分泌等の様々な調節機能を担っている部位(視床下部など)がある。
b 血液脳関門は、脳の毛細血管が中枢神経の間質液環境を血液内の組成変動から保護するように働く機能のことをいい、脳の血管は末梢の血管に比べて物質の透過に関する選択性が高い。
c 自律神経系は、交感神経系と副交感神経系からなっていて、概ね、交感神経系は体が闘争や恐怖等の緊張状態に対応した態勢をとるように働き、副交感神経系は体が食事や休憩等の安息状態をとるように働く。
d 医薬品の成分が体内で薬効又は副作用をもたらす際は、自律神経系への作用や影響は重要でない。
a b c d
1 誤 誤 正 正
2 正 誤 誤 正
3 正 正 誤 誤
4 正 正 正 誤
5 誤 正 正 正
脳や神経系に関する問題。
a 正しい。
b 正しい。
c 正しい。
d 誤り。
正答・・・4
問16
粘膜から吸収される医薬品に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
a 一般用医薬品として使用されている点鼻薬については、全身作用を目的としたものはなく、鼻腔粘膜への局所作用を目的としているため、その成分が循環血液中に入ることはない。
b 坐剤には、肛門から医薬品を挿入することにより、直腸内で溶解させ、薄い直腸内壁の粘膜から有効成分を吸収させることを目的とするものがある。
c 医薬品によっては、適用部位の粘膜に刺激等の局所的な副作用を生じることがある。
d 眼の粘膜に適用する点眼薬は、鼻涙管を通って鼻粘膜から吸収されることはない。
1(a、c) 2(b、c) 3(b、d) 4(a、d)
粘膜から吸収される医薬品に関する問題。これは簡単だったでしょう。
a 誤り。市販の点鼻薬は局所作用を目的としたものだが、鼻腔粘膜の下には毛細血管が豊富なため、点鼻薬の成分は循環血液中に移行しやすく、全身性の副作用がでる恐れがある。
b 正しい。
c 正しい。
d 誤り。点眼薬は、鼻涙管を通って鼻粘膜から吸収されることがある。場合によっては、目頭の鼻涙管の部分を押さえ、有効成分が鼻に流れるのを防ぐとされている。
正答・・・2
問17
全身作用を目的とする内服薬の消化管吸収に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 内服薬のほとんどは、その有効成分が消化管から吸収されて循環血液中に移行し、全身作用を現す。
b 錠剤、カプセル剤等の固形剤の場合、消化管で吸収される前に、錠剤等が消化管内で崩壊して、有効成分が溶け出さなければならないが、腸溶性製剤のような特殊なものを除き、肝臓で有効成分が溶出するものが大部分である。
c 有効成分は、主に大腸で吸収される。
d 有効成分によっては消化管の粘膜に障害を起こすものもあるため、食事の時間と服用時期との関係が、各医薬品の用法に定められている。
a b c d
1 正 誤 誤 正
2 誤 正 誤 誤
3 正 誤 正 誤
4 誤 正 誤 正
5 誤 誤 正 誤
全身作用を目的とする内服薬の消化管吸収に関する問題。
a 正しい。
b 誤り。×肝臓→〇胃
c 誤り。有効成分は主に「小腸」で吸収される。
d 正しい。
正答・・・1
問18
第1欄の記述は、医薬品の剤形に関するものである。これに該当する剤形は第2欄のどれか。
第1欄
この剤形は、口の中の唾液で速やかに溶ける工夫がなされているため、水なしで服用することができる。固形物を飲み込むことが困難な高齢者や乳幼児、水分摂取が制限されている場合でも、口の中で溶かした後に、唾液と一緒に容易に飲み込むことができる。
第2欄
1 口腔内崩壊錠
2 トローチ
3 軟膏剤
4 カプセル剤
5 散剤
医薬品の剤形に関する問題。これは簡単。似たような剤形にチュアブル錠もあるので確認を。
正答・・・1
問19
副作用に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 医薬品は、十分注意して適正に使用された場合でも、副作用を生じることがある。
b 一般に、重篤な副作用は発生頻度が低く、多くの患者はもちろん、医薬品の販売等に従事する専門家にとっても遭遇する機会は極めてまれである。しかし、副作用の早期発見・早期対応のためには、医薬品の販売等に従事する専門家が副作用の症状に関する十分な知識を身に付けることが重要である。
c 厚生労働省が作成した「重篤副作用疾患別対応マニュアル」が対象とする重篤副作用疾患の中には、一般用医薬品によって発生する副作用も含まれており、医薬品の販売等に従事する専門家は、購入者等への積極的な情報提供や相談対応に、本マニュアルを積極的に活用することが望ましい。
d 一般用医薬品による副作用は、長期連用のほか、不適切な医薬品の併用や医薬品服用時のアルコール飲用等が原因で起きる場合がある。
a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 正
4 誤 正 正 正
5 正 正 正 正
副作用に関する問題。
a 正しい。
b 正しい。
c 正しい。
d 正しい。
正答・・・5
問20
薬疹に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
a 限られた少数の医薬品でのみ起きる可能性があり、同じ医薬品でも生じる発疹の型は人によって様々である。赤い大小の斑点(紅斑)、小さく盛り上がった湿疹(丘疹)のほか、水疱を生じることもある。
b 蕁麻疹は強い痒みを伴うが、それ以外の薬疹の場合は痒みがないか、たとえあったとしてもわずかなことが多い。皮膚以外に、眼の充血や口唇・口腔粘膜に異常が見られることもある。
c 薬疹はアレルギー体質の人や以前に薬疹を起こしたことがある人で生じやすいが、それまで薬疹を経験したことがない人であっても、暴飲暴食や肉体疲労が誘因となって現れることがある。
d 医薬品を使用した後に発疹・発赤等が現れた場合は、薬疹の可能性を考慮すべきである。重篤な病態への進行を防止するため、原因と考えられる医薬品の使用を直ちに中止し、痒み等の症状に対しては、まずは一般の生活者が自己判断で対症療法を行う。
1(a、b) 2(b、c) 3(c、d) 4(a、d)
薬疹に関する問題。この分野なら皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群) や中毒性表皮壊死融解症(TEN)に関する内容も絡めて出題される事も多いが、深掘りされた知識は問われていない。
a 誤り。薬疹は、あらゆる医薬品で起きる可能性がある。
b 正しい。
c 正しい。
d 誤り。常識的に後半部分がおかしいとわかるでしょう。自己判断で対症療法を行うのは避けるべきである。
正答・・・2
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