H26 新潟県(北関東・甲信越) 第5章 医薬品の適正使用と安全対策(問111-120)

 

問119,120(添付文書の使用上の注意)は深い知識が求められる。


【問111】 副作用情報等の収集、評価及び措置に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a 既存の医薬品と明らかに異なる有効成分が配合された新一般用医薬品は、承認後の調査が製造販売業者等に求められている。

b 厚生労働大臣は、都道府県知事の意見を聴いて、安全対策上必要な行政措置を講じている。

c 収集された副作用等の情報は、都道府県において評価・検討され、必要な安全対策が図られる。

d (独)医薬品医療機器総合機構では、専門委員の意見を聴きながら副作用についての調査検討が行われる。

1(a、b) 2(a、d) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)

副作用情報等の収集、評価及び措置に関する問題。
あまり問われていない内容だが、「都道府県」で違和感を憶えてほしい。

a正しい。10年を超えない範囲で厚生労働大臣が承認時に定める一定期間(概ね8年)、承認後の使用成績等
を製造販売業者等が集積し、厚生労働省へ提出する制度(再審査制度)が適用される。
b誤り。都道府県→薬事・食品衛生審議会
c誤り。都道府県→その医薬品の製造販売業者等
d正しい。

正答・・・2

【問112】 薬事法第 77 条の4の2第2項の規定に基づく医薬品の副作用等報告として適当でないものはどれか。

1 報告者に対しては、安全性情報受領確認書が交付される。

2 安全対策上必要があると認められるときは、医薬品の過量使用や誤用等によるものと思われる健康被害について報告がなされる必要がある。

3 報告期限は特に定められていないが、報告の必要性を認めた場合においては、適宜速やかに報告書を厚生労働省に送付することとされている。

4 身体の変調・不調、日常生活に支障を来す程度の健康被害(死亡を含む。)であっても、医薬品との因果関係が必ずしも明確でない場合は、報告の対象とならない。

医薬品・医療機器等安全性情報報告制度に関する問題。
特別知識がなくても、常識的に判断できるが、このレベルは正誤組み合わせ問題でも解けるように。

1 正しい。
2 正しい。
3 正しい。(補足)平成26年当時は「厚生労働省」で正解だが、その後手引きの内容も改定され、平成28年以降は「総合機構」が送付先になっている)
4 誤り。因果関係が明確でない場合でも報告対象になる。

正答・・・4

【問113】 緊急安全性情報に関する次の記述について、( )の中に入れるべき字句の正しい組み合わせはどれか。

医薬品または( a )について緊急かつ重大な注意喚起や使用制限に係る対策が必要である場合に、( b )からの命令、指示、製造販売業者の自主決定等に基づいて作成され、( c )とも呼ばれる。

a b c
1 医薬部外品  厚生労働省          ブルーレター
2 医薬部外品 (独)医薬品医療機器総合機構  ブルーレター
3 医療機器   厚生労働省          ブルーレター
4 医療機器  (独)医薬品医療機器総合機構  イエローレター
5 医療機器   厚生労働省          イエローレター

緊急安全性情報(イエローレター)安全性速報(ブルーレター)はセットで憶えておくように。

a 医療機器
b 厚生労働省
c イエローレター

正答・・・5

【問114】 医薬品副作用被害救済制度に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 一般用検査薬は、救済制度の対象から除外されている。

b 医療機関での治療を要さずに寛解したような軽度の健康被害についても、救済給付の対象となっている。

c 用法・用量、使用上の注意に従わずに使用されたような不適正な使用による健康被害についても、救済給付の対象となっている。

    a b c
1 正 正 正
2 誤 正 誤
3 正 誤 誤
4 誤 誤 正

医薬品副作用被害救済制度に関する問題は2,3題は出題される事が多い。
この問題は知識がなくても、素直に考えれば正答可能。

a正しい。殺虫剤・殺鼠剤、殺菌消毒剤(人体に直接使用するものを除く)、一般用検査薬、一部の日局収載医薬品(精製水、ワセリン等)は対象にならない。
b誤り。入院を必要とする程度の医療を受ける場合や、重い後遺障害が残った場合が対象。
c誤り。救済給付の対象となるには、添付文書や外箱等に記載されている用法・用量、使用上の注意に従って使用されていることが基本となる。

正答・・・3

【問115】 一般用医薬品の安全対策に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 一般用かぜ薬の使用による重篤な副作用に間質性肺炎がある。

b 解熱鎮痛成分としてアミノピリン、スルピリンが配合されたアンプル入りかぜ薬の使用による重篤な副作用をふまえ、一般用かぜ薬についても承認基準が制定された。

c 米国において、塩酸フェニルプロパノールアミン(PPA)含有医薬品を女性が食欲抑制剤として使用した場合に、出血性脳卒中の発生リスクとの関連性が高いとの報告がなされ、米国食品医薬品庁(FDA)から、米国内におけるPPA含有医薬品の自主的な販売中止が要請された。

    a b c
1 正 誤 正
2 正 正 正
3 正 誤 誤
4 誤 正 正
5 誤 誤 誤

一般用医薬品の安全対策に関する問題。

a正しい。間質性肺炎については小柴胡湯での副作用としても押さえておきたい。
b正しい。
c正しい。塩酸フェニルプロパノールアミン(PPA)のプソイドエフェドリン塩酸塩(PSE)への切り替えに関しては頻出。米国では2000年に自主的な販売中止要請。日本でも2003年から速やかな切替えにつき指示がなされた。

正答・・・2

【問116】 薬物乱用防止に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a 小学生には、医薬品の適正使用の重要性等に関する啓発は実施していない。

b 一般用医薬品の乱用をきっかけとして、違法な薬物の乱用につながることはない。

c 薬物乱用防止を一層推進するため、「ダメ。ゼッタイ。」普及運動が実施されている。

d 医薬品の適正使用の推進のため、「薬と健康の週間」などの啓発活動に参加、協力することが登録販売者にも期待されている。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)

薬物乱用防止に関する問題。これも特別な知識がなくても、素直に読めば正答可能。各運動の期間も問われることがあるので、出来れば憶えておきたい。

c正しい。薬物乱用防止を一層推進するため、毎年6月20日~7月19日までの1ヶ月間、国、自治体、関係団体等により、「ダメ。ゼッタイ。」普及運動が実施されている。
d正しい。毎年10月17日~23日の1週間を「薬と健康の週間」として、国、自治体、関係団体等による広報活動やイベント等が実施されている。

正答・・・5

【問117】 添付文書の「次の人は使用(服用)しないこと」項目欄に、牛乳によるアレルギー症状を起こしたことがある人と記載されている一般用医薬品に含まれる成分はどれか。

1 メキタジン
2 タンニン酸アルブミン
3 イソプロピルアンチピリン
4 ブチルスコポラミン臭化物

タンニン酸アルブミンは頻出の止瀉薬。昔から使われている成分だが、医療用も含め現在でも下痢症状で用いられている。タンニン酸アルブミンは、牛乳タンパクの主成分である乳製カゼインを含むため、牛乳アレルギーの人は使用を避ける

正答・・・2

【問118】 医薬品PLセンターに関する次の記述について、( )の中に入れるべき字句の正しい組み合わせはどれか。

消費者が、医薬品または( a )に関する苦情について( b )と交渉するに当たって、公平・中立な立場で申立ての相談を受け付け、交渉の仲介や調整・あっせんを行い、裁判によらずに迅速な解決に導くことを目的としている。

    a b
1 医療機器 医療機関
2 医療機器 製造販売元の企業
3 医薬部外品 医療機関
4 医薬部外品 製造販売元の企業

医薬品PLセンターも毎年出題されると思ってよい。
平成7年7月のPL法の施行と同時に開設された。医薬部外品も対象になっている。

正答・・・4

【問119】 一般用医薬品の添付文書の使用上の注意において、医師、薬剤師または登録販売者に「相談すること」とされている診断名と成分の関係について、正しいものの組み合わせはどれか。

    診断名 成分
a 貧血 - マオウ
b 高血圧 - アスピリン
c 緑内障 - ロートエキス
d 心臓病 - メチルエフェドリン塩酸塩

1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)

ここでは、第3章で身につけた知識量がものをいう。過去問をある程度回転していないと難しいが、このレベルは解けるように。

a 誤り。
b 誤り。
c 正しい。ロートエキスは抗コリン成分なので、排尿困難や緑内障への注意が記載されている。
d 正しい。メチルエフェドリン塩酸塩は咳止めに用いられるアドレナリン作動性成分。
 
正答・・・5

【問120】 ステロイド性抗炎症成分を含有する、坐薬である化膿性皮膚疾患用薬の添付文書の使用上の注意において、「長期連用しないこと」が記載される理由として次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 アルミニウム脳症を生じるおそれがあるため。

2 副腎皮質の機能低下を生じるおそれがあるため。

3 鼻づまりを生じるおそれがあるため。

4 鬱血性心不全が現れることがあるため。

難問の部類でしょう。問題文も??と感じた人も多いはず。(このような市販坐薬の存在は不明)
ステロイド性抗炎症成分は、「副腎皮質ステロイド」とも呼ばれるこもとあり、bを素直に選べば正解となる。

ステロイド性抗炎症成分を含む外用薬のうち、坐薬、注入軟膏は、含有量にかかわらず、副腎皮質の機能低下を生じるおそれから、「長期連用しないこと」と記載されている。

1の「アルミニウム脳症」について。スクラルファート、水酸化アルミニウムゲル、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、アルジオキサ等のアルミニウムを含む成分が配合された胃腸薬、胃腸鎮痛鎮痙薬については「長期連用しないこと」と記載されている。
 
正答・・・2
(Visited 442 times, 1 visits today)

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。