H29 福岡県(九州・沖縄地区共通) 第2章 人体の働きと医薬品 (31-40)

特別難しい問題はない。

問31 中枢神経系に関する以下の記述のうち、誤っているものを一つ選びなさい。

1 脊椎は、脊髄の中にある。

2 脊髄が末梢からの刺激の一部に対して脳を介さずに刺激を返す場合を脊髄反射と呼ぶ。

3 脳は、延髄を介して脊髄とつながっている。

4 脳内には多くの血管が通っており、脳の血管は末梢に比べて物質の透過に関する選択性が高い。

中枢神経系に関する問題。

1 誤り。脊髄は脊椎の中にある。
2 正しい。
3 正しい。
4 正しい。
 
正答・・・1

問32 交感神経系が副交感神経系より優位に働いたときの効果器とその反応の関係について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。

効果器 反応
ア 目 ― 瞳孔収縮
イ 気管支 ― 拡張
ウ 胃 ― 胃液分泌亢進
エ 腸 ― 運動低下

1(ア、ウ) 2(ア、エ) 3(イ、ウ) 4(イ、エ)

自律神経系に関する問題。イメージさえ掴めれば決して難しくはない分野です。

交感神経系=体が闘争や恐怖等の緊張状態に対応した態勢をとるように働く
副交感神経=体が食事や休憩等の安息状態となるように働く

ア 誤り。交感神経優位のときは、瞳孔は散大する。
イ 正しい。
ウ 誤り。消化に関わる胃酸分泌は副交感神経が優位の時に働く。
エ 正しい。
 
正答・・・4

問33 薬の吸収、代謝及び排泄に関する以下の記述のうち、誤っているものを一つ選びなさい。

1 代謝とは、物質が体内で化学的に変化することである。

2 経口投与後、消化管で吸収された医薬品の有効成分は、消化管の毛細血管から血液中へ移行する。

3 血漿タンパク質と医薬品の有効成分の複合体は、腎臓で濾過される。

4 最近の研究により、小腸などの消化管粘膜や腎臓には、医薬品に対するかなり強い代謝活性があることが明らかにされている。

薬の吸収、代謝、排泄に関する問題。
これは少し判断に迷ったかもしれない。

1 正しい。
2 正しい。
3 誤り。手引きの記述では「複合体は腎臓で濾過されないため、有効成分が長く循環血液中に留まることとなり、作用が持続する原因となる。」
4 正しい。

正答・・・3

問34 医薬品の剤形に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア 錠剤(内服)は、胃や腸で崩壊し、有効成分が溶出することが薬効発現の前提となる。

イ 顆粒剤は、粒の表面がコーティングされているものもあるので、服用するときは、噛み砕かずに水などで食道に流し込む。

ウ チュアブル錠とは、口の中で舐めたり噛み砕いたりして服用する剤形であり、水なしでも服用できる。

エ クリーム剤は、適用部位を水から遮断したい場合に用いることが多い。

  ア イ ウ エ
1 正 正 正 正
2 正 正 正 誤
3 正 誤 誤 正
4 誤 正 誤 誤
5 誤 誤 正 誤

医薬品の剤形に関する問題。

ア 正しい。
イ 正しい。
ウ 正しい。チュアブル錠に関する内容である。
エ 誤り。×クリーム剤→〇軟膏剤。軟膏とクリーム剤の違いも参照を。

正答・・・2

問35 皮膚粘膜眼症候群及び中毒性表皮壊死融解症に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを一つ選びなさい。

ア 皮膚粘膜眼症候群は、38℃以上の高熱を伴って、発疹 ・発赤、火傷様の水疱等の激しい症状が比較的短時間のうちに全身の皮膚、口、眼等の粘膜に現れる病態である。

イ 皮膚粘膜眼症候群の発症機序の詳細は既に解明されており、正確な発症の予測が可能である。

ウ 中毒性表皮壊死融解症は、全身の10%以上に火傷様の水疱、皮膚の剥離、びらん等が認められ、かつ、口唇の発赤・びらん、眼の充血等の症状を伴う病態である。

エ 皮膚粘膜眼症候群と中毒性表皮壊死融解症は、いずれも原因医薬品の使用開始後1ヶ月以上経ってから起こることがある。

  ア イ ウ エ
1 正 正 正 正
2 正 正 誤 誤
3 正 誤 正 正
4 誤 正 正 誤
5 誤 誤 誤 正

重篤な副作用である皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)及び中毒性表皮壊死融解症(TEN)に関する問題。

ア 正しい。
イ 誤り。どちらも発症機序の詳細は不明であり、発症の予測は困難である。 
ウ 正しい。
エ 正しい。
 
正答・・・3

問36 医薬品の副作用に関する以下の記述のうち、正しいものの組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア 医薬品により生じる肝機能障害は、有効成分又はその代謝物の直接的肝毒性が原因で起きる中毒性のものと、有効成分に対する抗原抗体反応が原因で起きるアレルギー性のものに大別される。

イ 肝機能障害の主な症状である黄疸は、ビリルビン(黄色色素)が胆汁中へ排泄されることにより生じる。

ウ 偽アルドステロン症とは、体内にカリウムが貯留し、体から塩分(ナトリウム)と水が失われることによって生じる病態であり、主な症状に、手足の脱力、血圧上昇、筋肉痛等を生じる。

エ 偽アルドステロン症は、小柄な人や高齢者で生じやすく、原因医薬品の長期服用後に初めて発症する場合がある。

1(ア、ウ) 2(ア、エ) 3(イ、ウ) 4(イ、エ)

医薬品の副作用に関する問題。
偽アルドステロン症カンゾウ(甘草)に関連した服用として頻出。他章でも良く登場する。

ア 正しい。
イ 誤り。黄疸は、ビリルビン(黄色色素)が胆汁中へ排出されず血液中に滞留することで生じ、皮膚や白眼が黄色くなる。
ウ 誤り。偽アルドステロン症では、体内に(塩分)ナトリウムと水が貯留し、体からカリウムが失われることで生じる病態。
エ 正しい。

正答・・・2

問37 精神神経系に現れる医薬品の副作用に関する以下の記述のうち、誤っているものを一つ選びなさい。

1 医薬品の副作用によって中枢神経系が影響を受け、物事に集中できない、落ち着きがなくなる、不眠、不安等の症状を生じることがある。

2 精神神経症状は、医薬品の大量服用や長期連用、乳幼児への適用外の使用等の不適正な使用がなされた場合に限られ、通常の用法・用量では発生しない。

3 無菌性髄膜炎は、多くの場合、発症は急性で、首筋のつっぱりを伴った激しい頭痛、発熱、吐き気、嘔吐、意識混濁等の症状が現れる。

4 心臓や血管に作用する医薬品により、頭痛やめまい、浮動感(体がふわふわと宙に浮いたような感じ)、不安定感(体がぐらぐらする感じ)等が生じることがある。

精神神経系に関する問題。

1 正しい。
2 誤り。通常の用法用量でも発生することがある。
3 正しい。
4 正しい。

正答・・・2

問38 消化器系に現れる医薬品の副作用に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア 消化性潰瘍は、胃や十二指腸の粘膜組織が傷害されて、その一部が粘膜筋板を超えて欠損する状態である。

イ 消化性潰瘍では、消化管出血に伴って糞便が黒くなるなどの症状が現れる。

ウ イレウス様症状は、医薬品の作用によって腸管運動が亢進した状態で、激しい腹痛、嘔吐、軟便や下痢が現れる。

エ 浣腸剤や坐剤の使用では、消化器系の副作用は現れない。

  ア イ ウ エ
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 誤
3 正 誤 誤 正
4 誤 正 誤 正
5 誤 誤 正 誤

消化器系に現れる医薬品の副作用に関する問題。

ア 正しい。
イ 正しい。
ウ 誤り。イレウス様症状(腸閉塞様症状)とは腸内容物の通過が阻害された状態。著しい便秘になる。
エ 誤り。浣腸剤や坐剤の使用による副作用として、肛門部の熱感等の刺激、異物の注入による不快感、排便直後の立ちくらみなどがある。
 
正答・・・2

問39 呼吸器系に現れる医薬品の副作用に関する以下の記述のうち、正しいものの組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア 間質性肺炎は、気管支又は肺胞が細菌に感染して炎症を生じたものであり、血液に酸素を十分取り込むことができず、体内は低酸素状態となる。

イ 間質性肺炎の症状は、一般的に、原因となる医薬品を使用して1~2時間程度の短時間で起きることが多い。

ウ 喘息は、合併症を起こさない限り、原因となった医薬品の有効成分が体内から消失すれば症状は寛解するが、重症例では窒息による意識消失から死に至る危険性もある。

エ 過去に医薬品で喘息発作を起こしたことがある人は、 副作用の喘息が重症化しやすいため、 同種の医薬品の使用を避ける必要がある。

1(ア、イ) 2(ア、エ) 3(イ、ウ) 4(ウ、エ)

呼吸器系に現れる医薬品の副作用に関する問題。

ア 誤り。間質性肺炎は、肺の中で肺胞と毛細血管を取り囲んで支持している組織(間質)が炎症を起こしたもの。
イ 誤り。×1~2時間程度→〇1~2週間程度
ウ 正しい。
エ 正しい。

正答・・・4

問40 皮膚に現れる医薬品の副作用に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア 接触性皮膚炎は、医薬品が触れた皮膚の部分にのみ生じる。

イ 光線過敏症は、医薬品が触れた部分だけでなく、全身へ広がって重篤化する場合がある。

ウ 薬疹はあらゆる医薬品で起きる可能性があり、特に、発熱を伴って眼や口腔粘膜に異常が現れた場合は、急速に重篤な病態へ進行することがある。

エ 薬疹は医薬品の使用後1~2週間で起きることが多いが、長期使用後に現れることもある。

  ア イ ウ エ
1 正 正 正 正
2 正 正 正 誤
3 正 誤 誤 正
4 誤 正 誤 誤
5 誤 誤 正 正

皮膚に現れる医薬品の副作用に関する問題。
光線過敏症は全身に広がる恐れもある点は理解しておきたい。

ア 正しい。
イ 正しい。なお、光線過敏症の恐れのある成分としてケトプロフェンも合わせて押さえておきたい。
ウ 正しい。
エ 正しい。
 
正答・・・1
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