H26 新潟県(北関東・甲信越) 第3章 主な医薬品とその作用(問91-100)
問93(点眼薬)やや難問。問99(消毒液)は難問。他は頻出知識で対応可能
【問91】 泌尿器用薬に含まれる次の成分のうち、尿路の殺菌消毒効果を期待して用いられるものはどれか。
1 キササゲ
2 ソウハクヒ
3 カゴソウ
4 ウワウルシ
5 ブクリョウ
なぜか、この試験で「ウワウルシ」は頻出。尿中に排出される分解代謝物が抗菌作用を示すとされる。他にH26の手引改定で「利尿作用」も追加されている。煎薬として残尿感、排尿に際して不快感のあるものに用いる。本草製薬やウチダ和漢薬より煎じ用として販売されている。
正答・・・4
【問92】 眼科用薬に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 一度に何滴も点眼しても効果が増すわけではなく、むしろ鼻粘膜や喉から吸収されて、副作用を起こしやすくなる。
b コンタクトレンズをしたままでの点眼は、添付文書に使用可能と記載されてない限り行うべきでない。
c 点眼薬の使用によって、全身性の副作用が現れることはない。
d 一般用医薬品の点眼薬には、緑内障の症状を改善できるものはなく、配合されている成分によっては、緑内障の悪化につながるおそれがある。
a b c d
1 誤 正 誤 誤
2 正 誤 正 誤
3 正 正 誤 正
4 誤 正 正 正
眼科用薬に関する問題。これはサービス問題。
a 正しい。常識的に考えれば良い。
b 正しい。
c 誤り。こうゆう極端な表現は間違いであることが多い。
d 正しい。一般用医薬品で緑内障に使用される点眼薬はない。
正答・・・3
【問93】 眼科用薬に含まれる成分と、その主な配合目的に関する次の組み合わせのうち、正しいものはどれか。
成分 主な配合目的
1 ヒドロキシプロピルメチルセルロース - 結膜や角膜の乾燥を防ぐ
2 スルファメトキサゾール - 目の痒みを和らげる
3 パルミチン酸レチノール - 炎症を生じた眼粘膜の組織修復を促す
4 イプシロン-アミノカプロン酸 - 目の疲れを改善する
5 クロモグリク酸ナトリウム - 化膿性の症状を改善する
眼科用薬に関する問題。
1 正しい。乾燥を防ぐ点眼薬成分としてはコンドロイチン硫酸ナトリウムが有名だが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースも同様な効果を期待されている。増粘成分として結構市販の目薬に配合されている。
2 スルファメトキサゾールは、「抗菌目薬」に使用される抗菌成分(サルファ剤)。
3 パルミチン酸レチノールは点眼薬に使用されるビタミンA成分。視細胞が光を感受する反応に関与し、視力調整等の反応症状の改善を期待され使用されている。
4 イプシロン-アミノカプロン酸は抗炎症成分。
5 クロモグリク酸ナトリウム は頻出。抗アレルギー成分で、肥満細胞からのヒスタミン遊離を抑え、花粉、ハウスダスト等による目のアレルギー症状の緩和する。
正答・・・1
【問94】 歯槽膿漏薬に配合される成分に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a チモールは、歯肉溝での細菌の繁殖を抑えることを目的として配合される。
b カルバゾクロムは、歯周組織の血行を促す効果を期待して配合される。
c 銅クロロフィリンナトリウムは、炎症を起こした歯周組織の修復を促す作用のほか、歯肉炎に伴う口臭を抑える効果も期待して配合される。
d ビタミンEは、コラーゲン代謝を改善して炎症を起こした歯周組織の修復を助け、毛細血管を強化して炎症による腫れや出血を抑える効果を期待して配合される。
a b c d
1 正 誤 誤 正
2 正 誤 正 誤
3 誤 正 誤 誤
4 誤 誤 正 正
歯槽膿漏薬に関する問題。
a 正しい。細菌や真菌類のタンパク質を変性させることにより殺菌消毒作用を示し、患部の化膿を防ぐ。
b 誤り。炎症を起こした歯周組織からの出血を抑える。
c 正しい。なお、銅クロロフィリンナトリウムは葉緑素クロロフィル由来の色素である。
d 誤り。ビタミンCに関する説明である。ビタミン類は特徴を覚えにくいが、ビタミンEときたら「血行促進」はすぐに思いつきたい。
正答・・・2
【問95】 一般用医薬品の禁煙補助剤に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a ニコチンを有効成分とする医薬品であり、咀嚼剤とパッチ製剤がある。
b 咀嚼剤は、菓子のガムのように噛むと唾液が多く分泌され、ニコチンが唾液とともに飲み込まれてしまい、副作用が現れやすくなる。
c 長期間にわたって使用することが可能であり、少なくとも1年間継続することが重要である。
d インスリン製剤を使用している人では、ニコチンがインスリンの血糖降下作用を増強することにより、低血糖を引き起こすおそれがある。
a b c d
1 誤 正 誤 正
2 正 正 誤 誤
3 誤 正 正 誤
4 正 誤 正 正
ニコチン置換療法に関する問題。
a 正しい。H26年末現在、貼付タイプは第1類、咀嚼ガムタイプは第2類である。
b 正しい。副作用の問題だけでなく、口腔粘膜からの吸収が十分なされず、効果も減弱する可能性がある。現場で新規の購入者には必ず伝えたい注意事項なので覚えておく。
c 誤り。禁煙補助剤は長期間に亘わたって使用されるべきものでなく、添付文書で定められた期限を超える使用は避けるべきとされている。説明書には、貼付タイプの「ニコチネルパッチ」は最高8週間。噛むタイプの「ニコチネル」は「6ヵ月を超えて使用しないでください」との記載がある。
d 誤り。ニコチンがインスリンの血糖降下作用に拮抗して、効果を妨げる(血糖が上がる)おそれがある。
正答・・・2
【問96】 ビタミンに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 ビタミンAは、過剰症として、高カルシウム血症や異常石灰化が知られている。
2 ビタミンDは、タンパク質の代謝に関与し、皮膚や粘膜の健康維持、神経機能の維持に重要な栄養素である。
3 ビタミンB1は、炭水化物からのエネルギー産生に不可欠な栄養素で、神経の正常な働きを維持する作用がある。
4 ビタミンB12 は、脂質の代謝に関与し、皮膚や粘膜の機能を正常に保つために重要な栄養素である。
なかなか覚えずらいビタミンの問題である。脂溶性ビタミン(A,D,E)の方が特徴を憶えやすい。
1 誤り。ビタミンD過剰症に関する内容である。
2 誤り。「ビタミンDと骨」の関連は頻出で覚えやすいはず。ビタミンDは、腸管でのカルシウム吸収及び尿細管でのカルシウム再吸収を促して、骨の形成を助ける栄養素。医療用でも関連製剤が骨粗鬆症の治療に広く使用されている。
3 正しい。ビタミンBが4種類登場するので一番覚えにくい。
4 誤り。ビタミンB2に関する記述である。ビタミンB12は、赤血球の形成を助け、また、神経機能を正常に保つために重要な栄養素。
正答・・・3
【問97】 漢方の特徴・漢方薬使用における基本的な考え方に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
a 漢方薬は、現代中国で利用されている中医学に基づく薬剤と同じものである。
b 患者の「証」(体質及び症状)に合った漢方処方が選択されれば効果が期待できるが、合わないものが選択された場合には、効果が得られないばかりでなく、副作用を招きやすくなる。
c 漢方薬はすべからく作用が穏やかで、副作用が少なく、重篤な副作用は起きない。
d 漢方処方製剤は、用法用量において適用年齢の下限が設けられていない場合であっても、生後3ヶ月未満の乳児には使用しないこととされている。
1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、c) 5(b、d)
a 誤り。 古来に中国から伝わり、日本において発展してきた日本の伝統医学が漢方医学。現代中国で利用されている中医学に基づく薬剤は、中薬と呼ばれ、漢方薬とは明らかに別物とされる。(手引では大分強調された表現になっている)
b 正しい。
c 誤り。
d 正しい。
正答・・・5
【問98】 次の記述にあてはまる漢方処方製剤として、最も適切なものはどれか。
体力が充実して脇腹からみぞおちあたりにかけて苦しく、便秘の傾向があるものの胃炎、常習便秘、高血圧や肥満に伴う肩こり・頭痛・便秘、神経症、肥満症に適すとされるが、体の虚弱な人、胃腸が弱く下痢しやすい人では、激しい腹痛を伴う下痢等の副作用が現れやすいため、不向きとされる。
1 小青竜湯
2 十全大補湯
3 茵蔯蒿湯
4 大柴胡湯
それ程難易度は高くないはず。「常習便秘」「肥満症」のキーワードから大柴胡湯が容易に選択できる。
漢方薬は、証や適応の内容を暗記するのは無理があるので、キーワードをおさえていく。
他に「肥満」のキーワードが登場する漢方薬として、防風通聖散(皮下脂肪)、防已黄耆湯(水ぶとり)があり、あわせて押さえておきたい。
正答・・・4
【問99】 次の消毒薬のうち、手指・皮膚の消毒に用いられる成分として、正しいものの組み合わせはどれか。
a トリクロルイソシアヌル酸
b クロルヘキシジングルコン酸塩
c イソプロパノール
d ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル
e 次亜塩素酸ナトリウム
1(a、b、c) 2(a、c、e) 3(b、c、d)
4(b、d、e) 5(a、d、e)
消毒薬に関する問題。難易度は高い。
まず、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)は、塩素系殺菌消毒成分で通常人体には使用しない。近年ノロウイルス対策用商品で販売されているが、手消毒には使用しない。これで選択肢1,3まで絞りたい。
b クロルヘキシジングルコン酸塩は頻出であり、押さえておきたい。公共施設等に設置されているプッシュ式の消毒剤に良く用いられている。イソプロパノールもある程度出題されている。
a トリクロルイソシアヌル酸は有機塩素系殺菌消毒成分。プール等の消毒・殺菌に使われるが、通常手指等の殺菌には用いない。
d ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルは、クレゾール石鹸と同タイプの殺菌消毒成分。
正答・・・3
【問100】 次の殺虫成分のうち、神経細胞に直接作用して神経伝達を阻害することにより殺虫作用を示すものはどれか。
1 ジクロルボス
2 フェニトロチオン
3 プロポクスル
4 フェノトリン
殺虫成分に関する問題。このレベルは必ず解けるように。
神経細胞に直接作用して神経伝達を阻害するのはピレスロイド系殺虫成分で、除虫菊の成分から開発された成分である。フェノトリンはピレスロイド殺虫成分で唯一人体に直接適用され、アタマジラミ・毛ジラミの駆除に使用される「スミスリンパウダー」が有名。登録販売者なら使い方は知っておいた方が良い。他に殺虫スプレーにも良く使用されている。
他に、有機リン系のジクロルボス(バポナ殺虫プレート)、カーバメイト系のプロポクスル(家周りの害虫侵入対策)も憶えておくこと。
(余談だが、白元から発売されている衣類用防虫剤「ミセスロイド」の主成分もピレスロイド系で、プロフルトリンという成分である。この成分は手引に記載がないので出題されることはまずないが、名前の由来は知っておくと知識の幅が広がるでしょう。)
正答・・・4
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