芍薬甘草湯(こむら返り)
こむら返り(足の痙攣)で使われる漢方薬として有名。偽アルドステロン症に注意
数ある漢方薬の中では、葛根湯と並んで最も知られた漢方薬の一つです。
構成生薬は、その名前の通りカンゾウ(甘草)とシャクヤク(芍薬)の2種類のみでシンプルです。
鎮痛の漢方薬として登場しますが、こむら返り(急なふくらはぎの攣り)に対する特効薬として知られています。
こむら返りは、就寝時や登山・ゴルフ等の運動時に起こりやすいとされ、特に高齢者では、就寝中の足の攣りを訴える方が多いです。
効果のある方に聞くと、予兆時や発症時に飲むと、スッと症状が改善するそうです。(白湯で口の中で溶かしながら飲むと、口腔内・舌下からも吸収されて、より速効性が期待できるとも言われています。)
数ある漢方薬の中で、一番「よく効いた」と言われる事が多いかもしれません。
また、医療用でも大変良く用いられています。「68番の漢方薬」として、患者さんの間での認知度も大変高いです。それだけ効果感を感じる方が多いということでしょう。
(市販薬のコムロンのパッケージの人物の服には、なぜか「68」と書かれていますが、医療用の番号の暗示なのでしょう。また、2018年頃?から、ツムラのOTC漢方薬の新パッケージにも「医療用」と同じ番号が記載されています)
一方で、カンゾウ(甘草)を多く含んでいるため、安易に連用させないことが通例となっています。
現在は殆ど聞きませんが、以前は安易な長期連用で、偽アルドステロン症で浮腫んだり、血圧が上昇したという話は聞いたことがあります。
その為、頻繁に市販品を購入している高齢者がいれば注意が必要です。かかりつけ医がいる場合は、そちらで相談してもらうことも重要です。
なお、医療用では代表品であるツムラの芍薬甘草湯には、1日量(3包)あたり6gのカンゾウが含まれていますが、一般用医薬品では、各社とも約1/2量で、1日量あたり2.5g~3gとなっています。
また、他薬との比較では、医療用のツムラ葛根湯に含まれるカンゾウは1日量(3包)あたり2gなので、医療用・芍薬甘草湯の6gというのは際立って多いのがわかります。
第3章の出題の手引きの記載は以下のとおり
「体力に関わらず、筋肉の急激な痙攣を伴う痛みのあるもののこむらがえり、筋肉の痙攣、腹痛、腰痛に適すとされる。ただし、症状があるときのみの服用にとどめ、連用は避ける。まれに重篤な副作用として、肝機能障害のほか、間質性肺炎、鬱血性心不全や心室頻拍を生じることが知られており、心臓病の診断を受けた人では使用を避ける必要がある。」
頻出の為、もし出題された場合は、絶対に落とせない問題になります。
また、第5章では、偽アルドステロン症に関連して出題される場合があります。こちらも頻出ですので必ず正答できるようにして下さい。