R6 千葉県(東京・神奈川・埼玉共通) 第2章 人体の働きと医薬品(問31-40)

手引の脚注部分からの出題が3か所ある

問31
医薬品の吸収に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 坐剤は、有効成分が容易に循環血液中に入るため、内服の場合よりも全身作用が速やかに現れる。

b 錠剤、カプセル剤等の固形剤は、消化管内で崩壊して、有効成分が溶け出さなければならず、小腸で有効成分が溶出するものが大部分である。

c 内服薬の有効成分の吸収量や吸収速度は、消化管内容物には影響されない。

d 一般に、消化管からの吸収は、濃度の高い方から低い方へ受動的に拡散していく現象である。

  a b c d
1 誤 正 誤 正
2 正 正 誤 誤
3 正 誤 誤 正
4 誤 正 正 正
5 誤 誤 正 誤 


医薬品の吸収に関する問題

a 正 坐剤は肛門から医薬品を挿入することにより、直腸内で溶解させ、薄い直腸内壁の粘膜から有効成分を吸収させるものである。直腸の粘膜下には静脈が豊富に分布して通っており、有効成分は容易に循環血液中に入るため、内服の場合よりも全身作用が速やかに現れる(なお、基剤の溶解度等の関係で、内服より全身作用が遅い薬剤もあるが、試験上は無視してよい)
b 誤 錠剤、カプセル剤等では、腸溶性製剤のような特殊なものを除き、(腸ではなく)胃で有効成分が溶出するものが大部分である。
c 誤 消化管内容物や、他の医薬品の作用によって影響を受ける。
d 正

正解・・・3


問32
医薬品の吸収及び代謝に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 加齢等により皮膚のみずみずしさが低下すると、塗り薬の有効成分が浸潤・拡散しやすくなる。

b 小腸などの消化管粘膜や腎臓には、医薬品の代謝活性がない。

c 口腔粘膜から吸収された医薬品の成分は、初めに肝臓で代謝を受けてから全身に分布する。

d 一般用医薬品の点鼻薬は、有効成分を鼻の粘膜から循環血液中に移行させ、全身作用を発揮させることを目的としている。

  a b c d
1 正 正 誤 正
2 正 誤 正 誤
3 正 誤 正 正
4 誤 正 正 誤
5 誤 誤 誤 誤


医薬品の吸収及び代謝に関する問題
a,bは手引脚注からの出題

a 誤 加齢等により皮膚のみずみずしさが低下すると、有効成分が浸潤・拡散しにくくなる。 
b 誤 小腸などの消化管粘膜や腎臓にも、代謝活性があることが明らかにされている。 
c 誤 口腔粘膜から吸収された医薬品の成分は、肝臓を経由せずに心臓に至るため、初めに肝臓で代謝(肝初回通過効果)を受けることなく全身に分布する。なお、口腔粘膜から吸収される医薬品の例として、抗狭心症薬のニトログリセリン(舌下錠、スプレー)や禁煙補助薬のニコチン(咀嚼剤)が、手引きに記載されている。
d 誤 一般用医薬品には全身作用を目的とした点鼻薬はなく鼻腔粘膜への局所作用を目的として用いられる。なお、点鼻薬の成分は循環血液中に移行しやすく、(坐剤等の場合と同様に)初めに肝臓で代謝を受けることなく全身に分布するため、全身性の副作用を生じることがある

正解・・・5


問33
医薬品の代謝及び排泄に関する次の記述について、( )の中に入れるべき字句の正しい組合せはどれか。なお、2箇所の( a )内にはどちらも同じ字句が入る。

循環血液中に移行した有効成分の多くは血液中で( a )と結合して複合体を形成するが、この結合は( b )である。有効成分と( a )との複合体は腎臓で( c )ため、この複合体形成は排泄の過程においても重要な意味を持つ。

    a  b  c
1 脂質 / 速やかかつ可逆的 / 濾過されやすい
2 血漿タンパク質 / 速やかかつ可逆的 / 濾過されない
3 血漿タンパク質 / 速やかかつ可逆的 / 濾過されやすい
4 脂質 / 緩やかかつ不可逆的 / 濾過されない
5 血漿タンパク質 / 緩やかかつ不可逆的 / 濾過されやすい 


医薬品の代謝及び排泄に関する問題

a 血漿タンパク質
b 速やかかつ可逆的
c 濾過されない

正解・・・2


問34
医薬品の体内での働きに関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a 医薬品の有効成分の血中濃度と薬効は比例関係にあり、薬効が頭打ちになることはない。

b 医薬品の有効成分の血中濃度はある時点でピークに達し、その後は低下していくが、これは代謝・排泄の速度が吸収・分布の速度と同じになるからである。

c 医薬品が効果を発揮するためには、有効成分がその作用の対象である器官や組織の細胞外液中あるいは細胞内液中に、一定以上の濃度で分布する必要がある。

d トランスポーターは細胞膜の脂質二重層を貫き、埋め込まれて存在する膜貫通タンパク質で、細胞膜の外側から内側へ極性物質、イオンを選択的に運ぶ。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)


医薬品の体内での働きに関する問題
手引脚注部分に記載されている細胞膜の脂質二重層に関する出題は珍しい。

a 誤 血中濃度を高くしても、ある濃度以上になるとより強い薬効は得られなくなり、薬効は頭打ちとなるが、一方で、有害な作用(副作用や毒性)は現れやすくなる
b 誤 後半が誤り。(血中濃度が低下していくのは)代謝・排泄の速度が吸収・分布の速度を上回るためである。
c 正
d 正

正解・・・5


問35
医薬品の剤形に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 軟膏剤とクリーム剤は、有効成分が適用部位に留まりやすいという特徴があり、一般的には、適用部位を水から遮断したい場合にはクリーム剤を用いることが多い。

b カプセルの原材料として広く用いられているゼラチンは、ブタなどのタンパク質を主成分としているため、ゼラチンに対してアレルギーを持つ人はカプセル剤の使用を避けるなどの注意が必要である。

c 経口液剤は、既に有効成分が液中に溶けたり分散したりしているため、服用後、比較的速やかに消化管から吸収されるという特徴がある。

d 顆粒剤は、粒の表面がコーティングされているものがあるので、口の中で噛かみ砕かずに水などで飲み込む。

  a b c d
1 正 正 正 正
2 正 正 誤 誤
3 正 誤 正 誤
4 誤 正 正 正
5 誤 誤 誤 正 


医薬品の剤形に関する問題
軟膏とクリーム剤の違いについては前年も出題されています。

a 誤 一般的に、適用部位を水から遮断したい場合には軟膏を用いる。軟膏とクリーム剤の違いを参照を
b 正
c 正
d 正

正解・・・4


問36
医薬品の副作用として現れるショック(アナフィラキシー)に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 生体の異物に対する遅延型アレルギー反応の一種である。

b 医薬品が原因物質である場合、以前にその医薬品によって蕁麻疹等のアレルギーを起こしたことがある人で起きる可能性が高い。

c 一旦発症すると病態は急速に悪化することが多く、適切な対応が遅れるとチアノーゼや呼吸困難等を生じ、死に至ることがある。

d 含嗽薬(うがい薬)は、その多くが唾液や粘液によって食道へ流れてしまうため、咽頭粘膜からの吸収が少なく、ショック(アナフィラキシー)等のアレルギー性副作用を生じることはない。

  a b c d
1 正 正 誤 正
2 正 誤 誤 誤
3 正 正 正 誤
4 誤 正 正 誤
5 誤 誤 正 正 


医薬品の副作用として現れるショック(アナフィラキシー)に関する問題。

a 誤 「遅延型」ではなく「即時型」のアレルギー反応の一種である。
b 正
c 正
d 誤 アレルギー反応は微量の抗原でも生じるため、点眼薬や含嗽薬(うがい薬)等でもショック(アナフィラキシー)等のアレルギー性副作用を生じることがある。

正解・・・4


問37
医薬品の副作用として現れる肝機能障害に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 肝機能障害の主な症状には、全身の倦怠感、黄疸のほか、発熱、発疹、皮膚の掻痒感、吐きけ等があるが、自覚症状がないこともある。

b 医薬品により生じる肝機能障害は、有効成分又はその代謝物の直接的肝毒性が原因で起きる中毒性のものであり、有効成分に対する抗原抗体反応が原因で起きるアレルギー性のものはない。

c 肝機能障害の主な症状である黄疸とは、皮膚や白眼が黄色くなる病態であるが、黄疸の発症により尿の色が濃くなることはない。

d 肝機能障害が疑われた場合、原因と考えられる医薬品を使用し続けても、不可逆的な病変(肝不全)を生じることはない。

  a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 誤 誤 誤
3 正 誤 正 正
4 誤 誤 正 誤
5 誤 正 誤 正


医薬品の副作用として現れる肝機能障害に関する問題

a 正
b 誤 医薬品により生じる肝機能障害は、有効成分又はその代謝物の直接的肝毒性が原因で起きる中毒性のものと、有効成分に対する抗原抗体反応が原因で起きるアレルギー性のものに大別される。 
c 誤 過剰となった血液中のビリルビンが尿中に排出されることにより、尿の色が濃くなることもある。
d 誤 漫然と原因と考えられる医薬品を使用し続けると、不可逆的な病変(肝不全)を生じ、死に至ることもある。(前年も出題された内容です)

正解・・・2


問38
医薬品の副作用として現れる消化器系の症状等に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a イレウス様症状は、医薬品の作用によって腸管運動が亢進した状態をいい、発症すると激しい腹痛、嘔吐、軟便や下痢が現れる。

b 消化性潰瘍は、胃や十二指腸の粘膜組織が傷害されるが、粘膜表面のみの欠損で、粘膜筋板までは欠損していない状態である。

c 消化性潰瘍では、胃のもたれ、食欲低下、胸やけ、吐きけ、胃痛、空腹時にみぞおちが痛くなる、消化管出血に伴って糞便が黒くなるなどの症状が現れる。

d 浣腸剤や坐剤の使用によって現れる一過性の症状に、肛門部の熱感等の刺激、排便直後の立ちくらみなどがある。

1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、c) 5(c、d) 


医薬品の副作用として現れる消化器系の症状等に関する問題

a 誤 (医薬品の副作用による)イレウスとは腸内容物の通過が阻害された状態をいい、腸管自体は閉塞していなくても、医薬品の作用によって腸管運動が麻痺して腸内容物の通過が妨げられると、激しい腹痛やガス排出(おなら)の停止、嘔吐、腹部膨満感を伴う著しい便秘が現れる。なお、副作用としてイレウスに関する注意がある薬剤としてロペラミド塩酸塩も覚えておきたい。
b 誤 消化性潰瘍は、胃や十二指腸の粘膜組織が傷害されて、粘膜組織の一部が粘膜筋板を超えて欠損する状態である。
c 正
d 正

正解・・・5


問39
医薬品の副作用として現れる呼吸器系の症状に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 喘息は、合併症を起こさない限り、原因となった医薬品の有効成分が体内から消失すれば症状は寛解する。

b 間質性肺炎は、一般的に、原因となる医薬品の使用開始から短時間(1時間以内)のうちに起きることが多い。

c 医薬品で喘息発作を起こしたことがある人は、同種の医薬品の使用を避ける必要がある。

d 間質性肺炎の症状は、かぜや気管支炎の症状と区別が難しいことがある。

  a b c d
1 誤 誤 誤 正
2 正 正 誤 誤
3 正 誤 正 誤
4 正 誤 正 正
5 誤 正 正 正


医薬品の副作用として現れる呼吸器系の症状に関する問題

a 正
b 誤 一般的に、医薬品の使用開始から1~2週間程度で起きることが多い。
c 正
d 正

正解・・・4


問40
医薬品の副作用として現れる皮膚の症状等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 薬疹は、医薬品によって引き起こされるアレルギー反応の一種で、発疹や発赤等の皮膚症状を呈する場合をいうが、皮膚以外に、眼の充血や口唇・口腔粘膜に異常が見られることもある。

2 薬疹は、アレルギー体質の人や以前に薬疹を起こしたことがある人で生じやすいが、それまで薬疹を経験したことがない人であっても、暴飲暴食や肉体疲労が誘因となって現れることがある。

3 接触皮膚炎は、原因となる医薬品が触れた皮膚の部分にのみ生じる。

4 光線過敏症は、貼付剤を剥がした後でも発症することがある。

5 外用薬による光線過敏症が現れた場合は、原因と考えられる医薬品の使用を中止し、患部は洗浄せずにそのままの状態で、白い生地や薄手の服で遮光し、速やかに医師の診療を受ける必要がある。


医薬品の副作用として現れる皮膚の症状等に関する問題
光線過敏症について、しっかりした知識がないと、なかなか誤り部分が見つけづらいかもしれない。 
なお、光線過敏症の恐れのある成分としてケトプロフェンも合わせて覚えておきたい。

1 正
2 正
3 正
4 正
5 誤 光線過敏症が現れた場合は、原因と考えられる医薬品の使用を中止して、皮膚に医薬品が残らないよう十分に患部を洗浄し、遮光白い生地や薄手の服は紫外線を透過するおそれがあるので不可)して速やかに医師の診療を受ける必要がある。

正解・・・5

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