H27 愛知県(東海・北陸地区共通) 第3章 主な医薬品とその作用(問51-60)
問58(殺菌消毒成分)問59(殺虫成分)は難しい。
問 51 皮膚に用いる薬に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 外皮用薬は、表皮の角質層が柔らかくなることで有効成分が浸透しやすくなることから、入浴後に用いるのが効果的とされる。
b 非ステロイド性抗炎症成分であるインドメタシンには、殺菌作用はないため、皮膚感染症に対しては効果がなく、痛みや腫れを鎮めることでかえって皮膚感染が自覚されにくくなる(不顕性化する)おそれがある。
c 湿疹とみずむし等の初期症状は類似していることが多く、湿疹に抗真菌作用を有する成分を使用すると、かえって湿疹の悪化を招くことがある。
d ぜにたむしやいんきんたむしで患部が広範囲に及ぶ場合でも外皮用薬の使用のみで十分であり、医療機関(皮膚科)における全身的な治療(内服抗真菌薬の処方)を必要とする場合はない。
a b c d
1 誤 誤 正 正
2 正 誤 誤 正
3 正 正 誤 誤
4 正 正 正 誤
5 誤 正 正 正
皮膚用の外用薬に関する問題。これは容易に正答できるように。
a 正しい。これは販売に従事する際にも基本的知識。
b 正しい。インドメタシンは非ステロイド性抗炎症成分。一般用医薬品では外用薬に使用されている。バンテリンのCM等で聞き覚えのある方も多いでしょう。
c 正しい。これも医薬品販売に従事する際には重要な知識。その逆(水虫にステロイドを塗る)も悪化を招くおそれがある。
d 誤り。これは容易に判断できるでしょう。
正答・・・4
問 52 歯槽膿漏薬に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
a 炎症を起こした歯周組織からの出血を抑える作用を期待して、ビタミンEが配合されている場合がある。
b 炎症を起こした歯周組織の修復を促す作用のほか、歯肉炎に伴う口臭を抑える効果も期待して、銅クロロフィリンナトリウムが配合されている場合がある。
c ステロイド性抗炎症成分の含有量が少ない場合には、長期連用を避ける必要はない。
d 殺菌消毒作用のほか、抗炎症作用なども期待して、ヒノキチオールやチョウジ油(フトモモ科のチョウジの蕾又は葉を水蒸気蒸留して得た精油)が配合されている場合もある。
1(a、c) 2(b、c) 3(b、d) 4(a、d)
歯槽膿漏薬に関する問題。問われている知識は難しいが、選択肢は甘い。
dが特にマイナーな成分で判断が難しいが、cの判断ができれば十分正答できる。
a 誤り。歯槽膿漏薬で止血成分としてはカルバゾクロム(医療用ではアドナとして知られる)が使用されることがある。
b 正しい。銅クロロフィリンナトリウムは葉緑素由来の成分で口臭予防に用いられる。体の中で臭いの原因物質に作用して臭いを抑える効果があるようです。代表品はサクロフィール錠(エーザイ)
c 誤り。これは容易におかしいと判断したい。
d 正しい。ヒノキチオールはヒノキ科のタイワンヒノキ、ヒバ等から得られた精油成分。抗菌、血行促進、抗炎症
などの作用を期待して歯槽膿漏薬に使用される。代表品に「新デスパコーワ」など。他に、毛髪用薬にも使用されており、「カロヤン」ブランドにも使用されている。
チョウジ油はフトモモ科のチョウジの蕾又は葉を水蒸気蒸留して得た精油成分。歯痛薬「新今治水」にも配合されているがマイナーな成分。
正答・・・3
問 53 禁煙補助剤に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 咀嚼剤は、大量に使用しても禁煙達成が早まるものでなく、かえってニコチン過剰摂取による副作用のおそれがある。
b 咀嚼剤は、菓子のガムのように噛み、唾液を多く分泌させながら使用することが望ましいとされている。
c うつ病と診断されたことのある人では、禁煙時の離脱症状により,うつ症状を悪化させることがあるため、使用を避ける必要がある。
d ニコチンは交感神経系を興奮させる作用を示し、アドレナリン作動成分が配合された医薬品 (鎮咳去痰薬、鼻炎用薬、痔疾用薬等)との併用により、その作用を増強させるおそれがある。
a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 誤
4 誤 正 誤 正
5 正 誤 正 正
禁煙補助剤(ニコチン置換療法)の問題。一般用医薬品の禁煙補助剤には咀嚼剤(ガム)タイプと、皮膚に貼るパッチ剤があるが、出題されるのは、主に指定第2類扱いのガムタイプ(ニコレット)に関する内容。
この分野の出題では
①ガムのように唾液を多く出しながら噛まない
②うつ病患者への使用回避
については頻出。
a 正しい。出題の手引きの記載は以下のとおり
「咀嚼剤は、菓子のガムのように噛むと唾液が多く分泌され、ニコチンが唾液とともに飲み込まれてしまい、口腔粘膜からの吸収が十分なされず、また、吐きけや腹痛等の副作用が現れやすくなるため、ゆっくりと断続的に噛むこととされている」
b 誤り。
c 正しい。禁煙補助剤に関する問題で、うつ病患者へ使用を避ける内容については良く問われる。
d 正しい。
https://www.youtube.com/watch?v=CiQdtNqh01Q
正答・・・5
問 54 第1欄の記述は、ビタミンに関するものである。該当するビタミンは第2欄のどれか。
第1欄
赤血球の形成を助け、また、神経機能を正常に保つために重要な栄養素である。シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン塩酸塩等として、ビタミン主薬製剤、貧血用薬等に配合されている。
第2欄
1 ビタミンB1
2 ビタミンB6
3 ビタミンB12
4 ビタミンD
5 ビタミンE
ビタミンに関する問題は、特徴が似ているものが多く知識が定着しづらい。
しかし、この問題は易しい部類である。
ここでは「シアノコバラミン」から、すぐにビタミンB12と判断できるように。
余裕のある方は各関連記事も確認を(ビタミンB1,ビタミンB6,ビタミンD,ビタミンE)
正答・・・3
問 55 滋養強壮保健薬に用いられる成分とその作用について、正しいものの組み合わせはどれか。
(成分) (作用)
a グルクロノラクトン ― 軟骨成分を形成及び修復する。
b アスパラギン酸ナトリウム ― 骨格筋の疲労の原因となる乳酸の分解を促 す。
c ヘスペリジン ― ビタミンCの吸収を助ける。
d アミノエチルスルホン酸(タウリン) ― 皮膚の新陳代謝を活発にしてメラニンの排出を促す。
1(a、b) 2(b、c) 3(c、d) 4(a、d)
滋養強壮保健薬(ドリンク剤等)に関する問題。一見難しいが、出題率の高いアスパラギン酸ナトリウムとアミノエチルスルホン酸(タウリン)の知識があれば正答可能。グルクロノラクトン 、ヘスペリジンは直前期なら対策不要。
a 誤り。
b 正しい。
c 正しい。
d 誤り。
正答・・・2
問 56 漢方処方製剤及び生薬に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
a 漢方処方製剤を使用する場合、漢方独自の病態認識である「証」に基づいて用いることが、 有効性を確保するために重要である。
b 「証」に適さない漢方処方製剤が使用された場合であっても、症状の悪化や副作用を引き起こすことはない。
c 生薬は、薬用部位とその他の部位、又は類似した基原植物を取り違えると、期待する効果が得られないことがある。
d 漢方処方製剤は、用法用量において適用年齢の下限が設けられていない場合、生後3ヶ月未満の乳児にも使用することができる。
1(a、b) 2(a、c) 3(b、d) 4(c、d)
漢方処方製剤、生薬に関する問題。
試験対策の範囲ではそれ程難しく捉える必要はないので、ぜひ正答したい。
「証」とは漢方独自の病態認識で「虚実、陰陽、気血水、五臓」等の理論をもとに、病気の症状・体質を表現するものである。
また「証」を、よりわかりやすく表現した「漢方のしばり表現」も余裕があれば確認を。たとえば「虚証」は、縛り表現では「体力虚弱」といった理解しやすい表現になる。
a 正しい。
b 誤り。
c 正しい。
d 誤り。この内容は頻出。小児鎮静薬の問題でも度々問われている。漢方処方製剤は、適用年齢の下限が設けられていない場合であっても、生後3ヶ月未満の乳児には使用しないこととされている。
正答・・・2
問 57 生薬成分に関する記述のうち、正しいものはどれか。
1 ボウフウは、キンポウゲ科のハナトリカブト又はオクトリカブトの塊根を減毒加工して製したものを基原とする生薬であり、心筋の収縮力を高めて血液循環を改善する作用を持つ。
2 サイコは、セリ科のミシマサイコの果実を基原とする生薬で、抗炎症、鎮痛等の作用を期待して用いられる。
3 カッコンは、マメ科のクズの周皮を除いた根を基原とする生薬で、解熱、鎮痙等の作用を期待して用いられる。
4 レンギョウは、サルノコシカケ科のマツホドの菌核で、通例、外層をほとんど除いたものを基原とする生薬で、利尿、健胃、鎮静等の作用を期待して用いられる。
生薬成分に関する問題。生薬の中でも比較的メジャーな成分に関して問われている。この程度なら、できれば正答しておきたい。
1 誤り。「ハナトリカブト又はオクトリカブトの塊根」「減毒加工」からブシ(附子)
2 誤り。ある程度学習していると迷う選択肢。サイコ(柴胡)はセリ科のミシマサイコの「根」。なお、「ミシマ」は静岡県三島地方が良産地であったことに由来する。
3 正しい。カッコン(葛根)を含む代表漢方薬の葛根湯は、初期の風邪以外にも、肩こり・頭痛の鎮痛にも用いられる。
4 誤り。これは「サルノコシカケ科のマツホドの菌核」からブクリョウ(茯苓)と判断できるように。
正答・・・3
問 58 殺菌消毒成分に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a イソプロパノールは、粘膜刺激性があり、粘膜面や目の周り、傷がある部分への使用は避けることとされている。
b クレゾール石鹸液は、結核菌を含む一般細菌類、真菌類、ウイルスに対して比較的広い殺菌消毒作用を示す。
c クロルヘキシジングルコン酸塩は、一般細菌類、真菌類、ウイルスに対して比較的広い殺菌消毒作用を示すが、結核菌に対する殺菌消毒作用はない。
d ポリアルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩は、クレゾール石鹸液と同様の殺菌消毒作用を示す。
a b c d
1 正 誤 誤 正
2 誤 正 誤 誤
3 正 誤 正 誤
4 誤 正 誤 正
5 誤 誤 正 誤
殺菌消毒成分に関する問題。幅広い知識が求められていて難問。
その中でも、クロルヘキシジングルコン酸塩は医療現場でも良く用いられている消毒成分で出題頻度も高い。
「ヒビスコール」ブランドが有名。
a 正しい。
b 誤り。クレゾール石鹸液は、結核菌を含む一般細菌類、真菌類に対して比較的広い殺菌消毒作用を示すが、ウイルスに対する殺菌消毒作用はない。
c 誤り。クロルヘキシジングルコン酸塩は、一般細菌類、真菌類に対して比較的広い殺菌消毒作用を示すが、結核菌やウイルスに対する殺菌消毒作用はない。
d 正しい。一応手引きの記載どおりだが、試験直前期なら復習不要。マイナーな成分。
ウイルスに対する殺菌消毒作用の有無が判断に必要となるが、数少ないウイルスに有効な殺菌消毒成分を憶える方が効率的。
例えばノロウイルス対策に使用される次亜塩素酸ナトリウムやサラシ粉などの塩素系殺菌消毒成分や、インフルエンザウイルスにも有効なエタノール等のアルコール類は、ウイルス類に対しても有効である。
正答・・・1
問 59 第1欄の記述は、殺虫成分に関するものである。該当する殺虫成分は第2欄のどれか。
第1欄
有機リン系殺虫成分と同様にアセチルコリンエステラーゼの阻害によって殺虫作用を示すが、 有機リン系殺虫成分と異なり、アセチルコリンエステラーゼとの結合は可逆的である。ピレスロイド系殺虫成分に抵抗性を示す害虫の駆除に用いられる。一般に有機リン系殺虫成分に比べて毒性は低いが、高濃度又は多量に曝 ばく 露して呼吸困難等の症状が出た場合には、医師の診療を受ける などの対応が必要である。
第2欄
1 メトキサジアゾン
2 ダイアジノン
3 メトプレン
4 ディート
5 フェノトリン
殺虫成分に関する問題。マイナーな成分を問われており難問。
メトキサジアゾンはオキサジアゾール系殺虫成分。例えばゴキブリ駆除で有名な「バルサン」商品に使用されている。憶えるには「ピレスロイド系殺虫成分に抵抗性を示す害虫の駆除」がキーワードになる。その為、ピレスロイド系のフェノトリンと一緒に配合されている製品が多い。
過去の出題頻度を考えると忌避成分のディート、フェノトリンは要復習。他は直前期で時間なければ深追いしない。
なお、ディートは対象年齢が問われる事が多い(生後6ヶ月未満の乳児への使用を避ける)
↓ライオンオフィシャルムービー
正答・・・1
問 60 一般用検査薬に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
a 尿糖・尿タンパク検査薬は、尿中の糖やタンパク質の有無を調べるものであり、その結果をもって直ちに疾患の有無や種類を判断することはできない。
b 尿タンパク検査の場合、原則として食後2~3時間を目安に採尿を行う。
c 妊娠検査薬は、尿中のヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)の有無を調べるものであり、 月経予定日の概ね1週間前の検査が推奨されている。
d 経口避妊薬や更年期障害治療薬などのホルモン剤を使用している人では、妊娠していなくても尿中hCGが検出されることがある。
1(a、c) 2(b、c) 3(b、d) 4(a、d)
一般用検査薬に関する問題。
尿糖・尿タンパク検査薬、妊娠検査薬ともに問われるポイントは限られているので正答できるように。
a 正しい。
b 誤り。尿タンパク単独検査の場合、原則として早朝尿(起床直後の尿)を使う。なお、尿糖検査の場合は原則として食後2~3時間を目安に採尿を行う。
c 誤り。一般的な妊娠検査薬では、月経予定日が過ぎて概ね1週目以降の検査が推奨されている。
d 正しい。
正答・・・4
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