H28 愛知県(東海・北陸地区共通)第5章 医薬品の適正使用・安全対策(PM 問51-60)
問51 医薬品の副作用及び安全対策に関する記述について、正しいものの組み合わせはどれか。
a 解熱鎮痛成分としてリゾチーム塩酸塩が配合されたアンプル入りかぜ薬の使用による重篤な副作用(ショック)で、1959年から1965年までの間に計38名の死亡例が発生した。
b 慢性肝炎患者が小柴胡湯を使用して出血性脳卒中が発症し、死亡を含む重篤な転帰に至った例があったことから、1996年3月、厚生省(当時)より関係製薬企業に対して緊急安全性情報の配布が指示された。
c 2003年5月までに、一般用かぜ薬の使用によると疑われる間質性肺炎の発生事例が、計26例報告され、厚生労働省では、同年6月、一般用かぜ薬全般につき使用上の注意の改訂を指示した。
d 2003年8月までに、塩酸フェニルプロパノールアミン(PPA)が配合された一般用医薬品による脳出血等の副作用症例が複数報告されたため、厚生労働省から関係製薬企業等に対して、使用上の注意の改訂、情報提供の徹底等の指示がなされた。
1(a、b) 2(b、c) 3(c、d) 4(a、d)
医薬品の副作用及び安全対策に関する問題。
a 誤り。×リゾチーム塩酸塩→○アミノピリン、スルピリン
b 誤り。×脳出血→○間質性肺炎。小柴胡湯の緊急安全性情報は頻出。
c 正しい。
d 正しい。塩酸フェニルプロパノールアミン(PPA)の代替成分として、プソイドエフェドリン塩酸塩(PSE)等への速やかな切替えが指示された点まで押さえておこう。
正答・・・3
問52 医薬品医療機器等法第68条の10第2項の規定に基づく、医薬品による副作用等が疑われる場合の報告の仕方に関する記述について、( )の中に入れるべき字句の正しい組み合わせはどれか。
医薬品等によるものと疑われる、身体の変調・不調、( a )の健康被害(死亡を含む。)について報告が求められている。 報告期限は特に定められていないが、保健衛生上の危害の発生又は拡大防止の観点から、報告の必要性を認めた場合においては、適宜速やかに、郵送、ファクシミリ又は電子メールにより、 医薬品医療機器等法第68条の13第3項の規定に基づき、報告書を( b )に送付することとされている。報告者に対しては、( c )が交付される。
a b c
1 全て / (独)医薬品医療機器総合機構 / 謝礼
2 全て / 厚生労働省 / 謝礼
3 全て /(独)医薬品医療機器総合機構 / 安全性情報受領確認書
4 日常生活に支障を来す程度 /(独)医薬品医療機器総合機構 / 安全性情報受領確認書
5 日常生活に支障を来す程度 / 厚生労働省 / 安全性情報受領確認書
医薬品による副作用等が疑われる場合の報告の仕方(医薬品・医療機器等安全性情報報告制度)に関する問題。
a 日常生活に支障を来す程度
b (独)医薬品医療機器総合機構
c 安全性情報受領確認書
正答・・・4
問53 企業からの副作用等の報告制度に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 医療用医薬品だけでなく、一般用医薬品に関しても、承認後の調査が製造販売業者等に求められている。
b 製造販売業者等は、承認を受けた医薬品によるものと疑われる副作用症例のうち、使用上の注意から予測できない重篤な症例の発生を知ったときは、その旨を30日以内に厚生労働大臣に報告することが義務づけられている。
c 医療用医薬品で使用されていた有効成分を一般用医薬品で初めて配合したものについては、 承認条件として承認後の一定期間(概ね3年)、安全性に関する調査及び調査結果の報告が求められている。
d 医薬品の販売業者は、製造販売業者が行う情報収集に協力するよう努めなければならない。
a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 正
4 誤 正 正 正
5 正 正 正 正
企業からの副作用等の報告制度に関する問題。
a 正しい。
b 誤り。×30日以内→〇15日以内。
c 正しい。例えば、平成24年に要指導医薬品としては販売された「アレグラFX」は、3年経過後の平成27年には調査報告が行われ、第1類に区分変更された。
d 正しい。
正答・・・3
問54 医薬品副作用被害救済制度における給付の種類と請求期限の関係のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
(給付の種類) (請求期限)
a 医療費 ― 医療費の支給の対象となる費用の支払いが行われたときから5年以内
b 葬祭料 ― 請求期限なし
c 遺族年金 ― 死亡のときから10年以内(遺族年金を受けることができる先順位者が死亡した場合には、その死亡のときから2年以内)
d 障害児養育年金 ― 請求期限なし
1(a、c) 2(b、c) 3(b、d) 4(a、d)
医薬品副作用被害救済制度における給付の種類と請求期限に関する問題。
給付の種類としては、医療費、医療手当、障害年金、障害児養育年金、遺族年金、遺族一時金及び葬祭料がある。
詳しく憶えようとするとかなり労力を要する分野(しかも面白味もない)だが、給付の種類と、最低限以下のポイントを単純暗記するだけで正答できることがある。(但し、近年は詳しい内容まで問われ、対応しきれない場合もある。)
請求の期限なし・・・障害年金、障害時養育年金
給付額が定額ではない・・・医療費
a 正しい。
b 誤り。死亡のときから5年以内
c 誤り。死亡のときから5年以内
d 正しい。
正答・・・4
問55 医薬品の副作用情報等の収集、評価及び措置に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 医薬品医療機器等法第68条の10第2項の規定による、厚生労働大臣への副作用の報告義務者には、薬局開設者は含まれるが、薬剤師、登録販売者は含まれない。
b 収集された副作用等の情報は、その医薬品の製造販売業者等において評価・検討され、必要な安全対策が図られる。
c 各制度により集められた副作用情報については、厚生労働省において専門委員の意見を聴きながら調査検討が行われる。
d (独)医薬品医療機器総合機構は、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、使用上の注意の改訂の指示等を通じた注意喚起のための情報提供や、効能・効果の一部変更、製造・販売の中止、製品の回収等の安全対策上必要な行政措置を講じている。
a b c d
1 正 誤 誤 正
2 誤 正 誤 誤
3 正 誤 正 誤
4 誤 正 誤 正
5 誤 誤 正 誤
医薬品の副作用情報等の収集、評価及び措置に関する問題。
これは迷う。
a 誤り。登録販売者も対象である。
この規定では「薬局開設者、病院、診療所若しくは飼育動物診療施設の開設者又は医師、歯科医師、薬剤師、登録販売者、獣医師その他の医薬関係者」が、厚生労働大臣への副作用報告義務者とされている。なお、同年の東京エリア(平成28年 問114)では、獣医師について問われていた。
b 正しい。
c 誤り。×厚生労働省→〇総合機構(2017/8/22訂正)
d 誤り。×(独)医薬品医療機器総合機構→〇厚生労働大臣
正答・・・2
問56 医薬品の安全対策に関する記述について、( )の中に入れるべき字句はどれか。
( )を契機として、医薬品の安全性に関する問題を世界共通のものとして取り上げる気運が高まり、世界保健機関(WHO)加盟各国を中心に、各国自らが医薬品の副作用情報を収集、評価する体制(WHO国際医薬品モニタリング制度)を確立することにつながった。
1 サリドマイド薬害事件
2 薬害エイズ事件
3 MMRワクチン(乾燥弱毒生麻しんおたふくかぜ風しん混合ワクチン)薬害事件
4 CJD(クロイツフェルト・ヤコブ病)訴訟
医薬品の安全対策に関する問題。
第1章にも関連した問題だが、サリドマイド薬害事件が該当する。
正答・・・1
問57 医薬品の適正使用のための啓発活動に関する記述について、( )の中に入れるべき字句はどれか。
医薬品の持つ特質及びその使用・取扱い等について正しい知識を広く生活者に浸透させることにより、保健衛生の維持向上に貢献することを目的とし、毎年10月17日~23日の1週間を( )として、国、自治体、関係団体等による広報活動やイベント等が実施されている。
1 健康増進普及週間
2 健康強調週間
3 薬局と医薬品の週間
4 医療安全推進週間
5 薬と健康の週間
医薬品の適正使用のための啓発活動に関する問題。期間とセットで憶える。
「薬と健康の週間」は毎年10月17日~23日の1週間。
「ダメ。ゼッタイ。」普及運動は、毎年6月20日~7月19日までの1ヶ月間。
正答・・・5
問58 次の成分のうち、その成分が含まれる一般用医薬品の添付文書の「してはいけないこと」の欄に、「次の人は使用(服用)しないこと」として「本剤又は本剤の成分、牛乳によるアレルギー症状を起こしたことがある人」と記載されているものはどれか。
1 アミノ安息香酸エチル
2 ジフェンヒドラミン塩酸塩
3 カゼイン
4 ケイ酸アルミン酸マグネシウム
5 ロートエキス
一般用医薬品の添付文書の「してはいけないこと」に関する問題。
この試験で「牛乳アレルギー」とくれば、タンニン酸アルブミンだが、昨年からガゼインも出題されてきている。
カゼインは牛乳タンパクの主成分であるが、薬効成分ではなく添加物の扱いで登場する。
正答・・・3
問59 次の記述のうち、ロペラミドを成分とする内服薬が、15歳未満の小児に使用しないこととされている理由として、正しいものはどれか。
1 外国において、ライ症候群の発症との関連性が示唆されているため。
2 長期連用により、アルミニウム脳症及びアルミニウム骨症を生じるおそれがあるため。
3 メトヘモグロビン血症を起こすおそれがあるため。
4 外国で乳幼児が過量摂取した場合に、中枢神経系障害、呼吸抑制、腸管壊死に至る麻痺性イレウスを起こしたとの報告があるため。
止瀉薬として知られるロペラミドの使用上の注意に関する問題。どれも出題頻度が高めの成分なので、しっかり学習を。特にアミノ安息香酸エチルは、第5章での出題率は高い。
1 ライ症候群の発症との関連性が示唆されているのはサリチル酸系解熱鎮痛成分。アスピリン、サザピリンは、15歳未満の小児に対して、一般用医薬品として使用できない。
2 アルミニウム脳症、アルミニウム骨症とくれば、胃粘膜保護成分のアルジオキサ、スクラルファート。
3 局所麻酔成分のアミノ安息香酸エチルは、メトヘモグロビン血症を起こすおそれがあるため6歳未満の小児では使用を避ける。
4 止瀉薬で知られるロペラミド塩酸塩に関する内容。
正答・・・4
問60 次の医薬品成分と、その成分が含まれる一般用医薬品の添付文書の「相談すること」の項に「次の診断を受けた人」として記載される事項の組み合わせのうち、誤っているものはどれか。
(医薬品成分) (記載事項)
1 アスピリン ― 甲状腺疾患
2 ジプロフィリン ― てんかん
3 サントニン ― 肝臓病
4 パパベリン塩酸塩 ― 緑内障
一般用医薬品の添付文書の「相談すること」に関する問題。
なかなか、自信をもって選ぶのは難しかったでしょう。絞れなくても、消去法でなんとか正答に導きたいが、キサンチン系のジプロフィリン、駆虫薬のサントニンはマイナーな成分。
緑内障に関して、パパベリン塩酸塩は判断できるように。胃腸鎮痛鎮痙薬に分類されるパパベリン塩酸塩は、抗コリン成分ではないが、眼圧を上昇させる作用を示すことが知られている。(2018/8/15訂正。パパベリン塩酸塩は抗コリン成分ではありませんでした)
正答・・・1
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