H30 愛知県(東海・北陸地区共通)第3章 主な医薬品とその作用(問41-50)

問44 メチルエフェドリン(アレルギー薬)は注意

問 41 第1欄の記述は、泌尿器用薬として用いられる漢方処方製剤に関するものである。該当する漢方処方製剤は第2欄のどれか。

第1欄
体力中等度以下で、疲れやすくて尿量減少又は多尿で、ときに手足のほてり、口渇があるものの排尿困難、残尿感、頻尿、むくみ、痒み、夜尿症、しびれに適すとされるが、胃腸が弱く下痢しやすい人では、胃部不快感、腹痛、下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。

第2欄
1 猪苓湯
2 茵蔯蒿湯 
3 当帰飲子
4 麻子仁丸 
5 六味丸


泌尿器用薬に関する問題。

試験テクニックとしては「手足のほてり」「夜尿症」のキーワードから六味丸を選べるように。


正答・・・5


問 42 婦人薬の適用対象となる体質・症状と婦人薬及びその配合成分に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 血の道症とは、臓器・組織の形態的異常がなく、抑鬱や寝つきが悪くなる、神経質、集中力の低下等の精神神経症状が現れる病態であり、更年期(閉経周辺期)に限って現れる。

b 婦人薬は、月経及び月経周期に伴って起こる症状を中心として、女性に現れる特有な諸症状(血行不順、自律神経系の働きの乱れ、生理機能障害等の全身的な不快症状)の緩和と、保健を主たる目的とする医薬品である。

c 妊娠中の女性ホルモンの補充を目的として、女性ホルモン成分の使用が推奨されている。

d 女性ホルモン成分の長期連用により血栓症を生じるおそれがあり、また、乳癌や脳卒中などの発生確率が高まる可能性もあるため、継続して使用する場合には、医療機関を受診するよう促すべきである。

  a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 誤 正 正
3 誤 正 誤 正
4 正 誤 正 誤
5 正 正 誤 正


婦人薬に関する問題。
今回成分まで問われていないが、女性ホルモン成分であるエチニルエストラジオール、エストラジオ ールも合わせて学習しておきたい。

a 誤り。年齢的に必ずしも更年期に限らない。
b 正しい。
c 誤り。妊娠中の女性ホルモン成分の摂取によって胎児の先天性異常の発生が報告されており、使用を避ける。
d 正しい。

正答・・・3


問 43 構成生薬としてダイオウを含有する医薬品については、妊婦又は妊娠していると思われる女性、授乳婦における使用に関して留意する必要がある。 1~5で示される婦人薬のうち、構成生薬としてダイオウを含有する医薬品にあたるものは どれか。

1 温経湯
2 桂枝茯苓丸
3 柴胡桂枝乾姜湯
4 桃核承気湯 
5 加味逍遥散


構成生薬としてダイオウ(大黄)を含有する医薬品に関する問題。

まず、ダイオウ(大黄)を含むというところから、便秘向けであることを思いつきたい。
今回の選択肢は、すべて婦人用薬で登場する漢方だが、「便秘向け」というポイントから桃核承気湯を選べるように。

正答・・・4


問 44 アレルギー(過敏反応)及びアレルギー用薬に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a 皮膚症状が治まると喘息が現れるというように、種々のアレルギー症状が連鎖的に現れる場合は、一般用医薬品によって一時的な対処を図るよりも、医療機関で総合的な診療を受けた方がよい。

b メチルエフェドリン塩酸塩は、血管収縮作用により痒みを鎮める効果を期待して、アレルギー用薬に用いられることがある。

c ケイガイは、モクレン科のタムシバ等の蕾みを基原とする生薬で、鎮静、鎮痛の作用を期待してアレルギー用薬に用いられることがある。

d プソイドエフェドリン塩酸塩は依存性のない成分であり、長期連用が推奨される。

1(a、b) 2(b、c) 3(c、d) 4(a、d)


アレルギー(過敏反応)及びアレルギー用薬に関する問題。
bはあまり問われたことがなかったので、ある程度学習している人ほど迷ったかもしれない。

a 正しい。
b 正しい。手引きの記載どおり。ただし、メチルエフェドリン塩酸塩は総合感冒薬に用いられる気管支拡張成分としてのイメージが強く、迷ったかもしれない。
c 誤り。これはシンイ(辛夷)に関する内容
d 誤り。プソイドエフェドリン塩酸塩はアドレナリン作動性成分。内服鼻炎用薬に使用され、交感神経系を刺激して鼻粘膜の血管を収縮させることで鼻粘膜の充血や腫れを和らげる。試験では超頻出で4章、5章でも良く登場する。連用による依存性があり厚生労働大臣が指定する濫用等の恐れがある医薬品成分の一つである。

正答・・・1


問 45 鼻炎用点鼻薬及びその配合成分に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a スプレー式鼻炎用点鼻薬は、噴霧後に鼻汁とともに逆流する場合があるので、使用前に鼻をよくかんでおく必要がある。

b ベンゼトニウム塩化物は、鼻粘膜の過敏性や痛みや痒みを抑えることを目的として配合される局所麻酔成分である。

c クロモグリク酸ナトリウムは、アレルギー性ではない鼻炎や副鼻腔炎に対して有効である。

d ナファゾリン塩酸塩が配合された点鼻薬は、過度に使用されると鼻粘膜の血管が収縮しなくなり、逆に血管が拡張して二次充血を招き、鼻づまり(鼻閉)がひどくなりやすい。

  a b c d
1 誤 誤 正 正
2 正 誤 誤 正
3 正 正 誤 誤
4 正 正 正 誤
5 誤 正 正 正


鼻炎用点鼻薬及びその配合成分に関する問題。

a 正しい。
b 誤り。ベンゼトニウム塩化物は殺菌消毒成分。
c 誤り。クロモグリク酸ナトリウムは、肥満細胞からヒスタミンの遊離を抑える作用を示し、花粉、 ハウスダスト等による鼻アレルギー症状を抑える(抗アレルギー成分)。なお、「通常、抗ヒスタミン成分と組み合わせて配合される」のフレーズも良く問われている。
d 正しい。ナファゾリン塩酸塩はアドレナリン作動性成分。点鼻薬に用いられる代表的な成分である。


正答・・・2


問 46 点眼薬に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

1 点眼の際に容器の先端が眼瞼 (まぶた)や睫毛(まつげ)に触れると、雑菌が薬液に混入して汚染を生じる原因となるため、触れないように注意しながら1滴ずつ正確に点眼する。

2 点眼薬の1滴の薬液の量は、結膜嚢の容積よりも少ないため、副作用を抑えて、より高い効果を得るには、薬液が結膜嚢内に行き渡るよう一度に数滴点眼することが効果的とされる。

3 点眼後は、数秒間、眼瞼(まぶた)を閉じて、薬液を結膜嚢内に行き渡らせる。その際、目頭を押さえると、薬液が鼻腔内へ流れ込むのを防ぐことができ、効果的とされる。

4 1回使い切りタイプとして防腐剤を含まない点眼薬では、ソフトコンタクトレンズ装着時に使用できるものがある。


眼科用薬に関する問題は通常2問登場します。これはサービス問題でしょう。

1 正しい。
2 誤り。
3 正しい。
4 正しい。

正答・・・2


問 47 眼科用薬の配合成分に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 炎症を生じた眼粘膜の組織修復を促す作用を期待して、アズレンスルホン酸ナトリウム(水溶性アズレン)が配合されている場合がある。

b ヒスタミンの働きを抑えることにより、目の痒みを和らげることを目的として、クロルフェニラミンマレイン酸塩が配合されている場合がある。

c 結膜を通っている血管を収縮させて目の充血を除去することを目的として、テトラヒドロゾリン塩酸塩が配合されている場合がある。

d 眼粘膜のタンパク質と結合して皮膜を形成し、外部の刺激から保護する作用を期待して、硫酸亜鉛水和物が配合されている場合がある。

  a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 正
4 誤 正 正 正
5 正 正 正 正


次は眼科用薬の配合成分に関する問題。
a,b,cの成分は頻出だが、dがわからないと正答できず迷ったでしょう。

a 正しい。アズレンスルホン酸ナトリウム(水溶性アズレン)は抗炎症成分。
b 正しい。クロルフェニラミンマレイン酸塩は代表的な抗ヒスタミン成分。
c 正しい。テトラヒドロゾリン塩酸塩は目薬に用いられるアドレナリン作動性成分。充血の緩和が期待される。

d 正しい。硫酸亜鉛水和物はマイナーな成分で難易度は高い。

正答・・・5


問 48 きず口等の殺菌消毒薬の配合成分に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a アクリノールは、比較的刺激性が高く、創傷患部にしみやすい。

b オキシドール(過酸化水素水)は、組織への浸透性は高いが、刺激性がない。

c ヨードチンキは、化膿している部位に使用された場合、かえって症状を悪化させるおそれがある。

d エタノール(消毒用エタノール)は、皮膚刺激性が強いため、患部表面を軽く清拭するにとどめ、脱脂綿やガーゼに浸して患部に貼付することは避けるべきとされる。

1(a、b) 2(b、c) 3(c、d) 4(a、d) 


きず口等の殺菌消毒薬の配合成分に関する問題。

a 誤り。比較的刺激性が低く、創傷患部にしみにくいとされている。黄色の色素が特徴的で、以前は絆創膏の貼る部分にも使用されていた。

b 誤り。オキシドールの作用は過酸化水素の分解に伴って発生する活性酸素による酸化、及び発生する酸素による泡立ちによる物理的な洗浄効果であるため、作用の持続性は乏しく、組織への浸透性も低い。
c 正しい。
d 正しい。

正答・・・3


問 49 外皮用薬の配合成分に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a ヒドロコルチゾンは、末梢組織(患部局所)における炎症を抑える作用を示すが、副作用として、細菌、真菌、ウイルス等による皮膚感染(みずむし・たむし等の白癬症、にきび、 化膿症状)や持続的な刺激感が現れることがある。

b デキサメタゾンは、副腎皮質ホルモン(ステロイドホルモン)に共通する化学構造を持たない非ステロイド性抗炎症成分である。

c きり傷、擦り傷等の創傷面の痛みや、あせも、虫さされ等による皮膚の痒みを和らげることを目的として、ポリエチレンスルホン酸ナトリウム等の局所麻酔成分が配合されている場合がある。

d 損傷皮膚の組織の修復を促す作用を期待して、アラントインが配合されている場合がある。

  a b c d
1 誤 誤 正 正
2 正 誤 誤 正
3 正 正 誤 誤
4 正 正 正 誤
5 誤 正 正 正


外皮用薬の配合成分に関する問題。
ポリエチレンスルホン酸ナトリウムはマイナーな成分で迷う。

a 正しい。
b 誤り。デキサメタゾンはステロイド性抗炎症成分
c 誤り。手引きでは、ポリエチレンスルホン酸ナトリウムは血行促進成分として登場する。例えば、青あざ向けの外用薬アットノン「アオキュア」(小林製薬)に配合されているが、その他含有する製品は少ない。
d 正しい。
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正答・・・2


問 50 毛髪用薬の配合成分に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a ヒノキチオールは、抗菌、血行促進、抗炎症などの作用を期待して用いられる。

b カルプロニウム塩化物は、末梢組織(適用局所)において抗コリン作用を示し、頭皮の血管を拡張、毛根への血行を促すことによる発毛効果を期待して用いられる。

c チクセツニンジンは、ウコギ科のトチバニンジンの根茎を、通例、湯通ししたものを基原とする生薬で、血行促進、抗炎症などの作用を期待して用いられる。

d クロトリマゾールは、女性ホルモン成分の一種であり、脱毛抑制効果を期待して用いられ る。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、d) 4(c、d)


毛髪用薬の配合成分に関する問題。

a 正しい。ヒノキチオールに関する内容。
b 誤り。×抗コリン作用⇒コリン作用。カルプロニウム塩化物は、使用部位においてアセチルコリンに類似した作用(コリン作用)を示し、頭皮の血管を拡張、毛根への血行を促すとされる。カロヤン等の毛髪用薬にも配合されている。
c 正しい。
d 誤り。クロトリマゾールはイミダゾール系抗真菌成分。この試験では水虫の薬として頻出である。

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正答・・・2

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