R4 愛知県(東海・北陸地区共通)第1章 医薬品に共通する特性と基本的な知識(問1-10)

手引きの改訂点からの出題もあるが易しい問題ばかり

問1
医薬品の本質に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 医薬品が人体に及ぼす作用は、そのすべてが解明されているわけではない。

b 一般用医薬品は、医療用医薬品と比較すれば保健衛生上のリスクが相対的に高いと考えられている。

c 医薬品は、効能効果、用法用量、副作用等の必要な情報が適切に伝達されて、購入者等が適切に使用することにより、初めてその役割を十分に発揮するものである。

d 一般用医薬品として販売される製品は、製造物責任法(平成6年法律第85号)の対象である。

  a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 誤 正 正
3 誤 正 誤 正
4 正 誤 正 誤
5 正 正 誤 正


医薬品の本質に関する問題。

a 正しい。
b 誤り。一般用医薬品は、医療用医薬品と比較すればリスクは相対的に低いと考えられる。
c 正しい。
d 正しい。R4手引き改訂による追加内容です。一般用医薬品製造物責任法(PL法)の対象である。

正解・・・2


問2
健康食品に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a 機能性表示食品は、事業者の責任で科学的根拠をもとに、疾患に罹患した者の健康の回復に役立つ効能・効果を商品のパッケージに表示するものとして国に届出された商品である。

b 栄養機能食品は、国が定めた規格基準に適合したものであれば、身体の健全な成長や発達、健康維持に必要な栄養成分(ビタミン、ミネラルなど)の健康機能を表示することができる。

c 特定保健用食品は、身体の生理機能などに影響を与える保健機能成分を含むものであり、特定の保健機能を示す有効性や安全性などに関して、国への届出が必要である。

d いわゆる健康食品は、その多くが摂取しやすいように錠剤やカプセル等の医薬品に類似した形状で販売されており、こうした健康食品においても、誤った使用方法や個々の体質により健康被害を生じた例が報告されている。

1(a、c) 2(b、c) 3(b、d) 4(a、d)


健康食品に関する問題。
国が示す要件を満たす食品「保健機能食品」は、特定保健用食品栄養機能食品機能性表示食品の3種類があります。
令和4年改訂から、第1章でも出題されるようになり、さらに第4章でも問われます。

a 「疾病に罹患した者」が誤り。機能性表示食品は、事業者の責任で科学的根拠をもとに疾病に罹患していない者の健康維持及び増進に役立つ機能を商品のパッケージに表示するものとして国に届け出さられた商品であるが、国の個別の許可を受けたものではない
b 正しい。栄養機能食品は、身体の健全な成長や発達、健康維持に必要な栄養成分(ビタミン、ミネラルなど)の補給を目的としたもので、その栄養成分の健康機能を表示できる。
c 「国への届出」が誤り。特定保健用食品(いわゆるトクホ)は、身体の生理機能などに影響を与える保健機能成分を含むもので、個別に特定の保健機能を示す有効性や安全性などに関する国の審査を受け、(届出ではなく)許可されたものである。

正解・・・3


問3
医薬品のリスク評価に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 医薬品の効果とリスクは、用量と作用強度の関係(用量-反応関係)に基づいて評価される。

b 医薬品は、少量の投与であれば発がん作用、胎児毒性や組織・臓器の機能不全を生じることはない。

c 医薬品は、治療量上限を超えると、効果よりも有害反応が強く発現する「最小致死量」となり、「中毒量」を経て、「致死量」に至る。

d 製造販売後の調査及び試験の実施の基準としてGood Post-marketing Study Practice(GPSP)と製造販売後安全管理の基準として Good Vigilance Practice(GVP)が制定されている。

  a b c d
1 誤 誤 正 正
2 正 誤 誤 正
3 正 正 誤 誤
4 正 正 正 誤
5 誤 正 正 正


医薬品のリスク評価に関する問題。
医薬品のリスク評価のポイントも確認を。

a 正しい。
b 誤り。少量の医薬品の投与でも発がん作用、胎児毒性や組織・臓器の機能不全を生じる場合もある。
c 誤り。治療量上限を超えると、やがて効果よりも有害反応が強く発現する「中毒量」となり、「最小致死量」を経て、「致死量」に至る。
医薬品の投与量と効果の関係は、「無作用量」⇒「最小有効量」⇒「治療量」⇒「治療量上限⇒「中毒量」⇒「最小致死量」⇒「致死量の流れになっている。
d 正しい。Good Vigilance Practice (GVP)は医薬品の製造販売後の安全管理基準→ Vigilance(ビジランス)は監視・警戒という意味を持ちます。

正解・・・2


問4
セルフメディケーションに関する記述のうち、誤っているものはどれか。

1 急速に少子高齢化が進む中、持続可能な医療制度の構築に向け、医療費の増加やその国民の負担増大を解決し、健康寿命を延ばすことが日本の大きな課題であり、セルフメディケーションの推進は、その課題を解決する重要な活動のひとつである。

2 セルフメディケーションを的確に推進するうえで、一般用医薬品の販売等を行う登録販売者は、薬剤師や医師、看護師など地域医療を支える医療スタッフあるいは行政などとも連携をとって、地域住民の健康維持・増進、生活の質(QOL)の改善・向上などに携わることが望まれる。

3 少子高齢化の進む社会では、地域包括ケアシステムなどに代表されるように、自分、家族、近隣住民、専門家、行政など全ての人たちで協力して個々の住民の健康を維持・増進していくことが求められ、登録販売者は、その中でも重要な情報提供者である。

4 平成29年1月からは、適切な健康管理の下で医療用医薬品からの代替を進める観点から、全てのスイッチOTC医薬品の購入の対価について、一定の金額をその年分の総所得金額等から控除するセルフメディケーション税制が導入されている。


セルフメディケーションに関する問題。
セルフメディケーション税制は、R4手引き改訂で追加された内容です。

a 正しい。
b 正しい。
c 正しい。
d 「全て」が誤り。セルメディケーション税制では、全てのスイッチOTC医薬品ではなく、条件を満たした場合購入対価が控除される。なお、令和4年1月の見直しにより、スイッチOTC医薬品以外にも腰痛や肩こり、風邪やアレルギーの諸症状に対応する一般用医薬品が税制の対象となっている。

正解・・・4


問5
アレルギー(過敏反応)に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a アレルギーと遺伝的要素は関連がない。

b アレルギーは、一般的にあらゆる物質によって起こり得るものであり、医薬品の薬理作用等とは関係なく起こり得る。

c アレルギーを引き起こす原因物質(アレルゲン)となり得る添加物として、黄色4号(タートラジン)、亜硫酸塩(亜硫酸ナトリウム等)等が知られている。

d 過去に医薬品でアレルギーを起こしたことがない人であれば、病気等に対する抵抗力が低下している場合であっても、医薬品でアレルギーを生じることはない。

  a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 誤
4 誤 正 誤 正
5 正 誤 正 正


アレルギー(過敏反応)に関する問題。

a 誤り。アレルギーには体質的・遺伝的な要素もあり、近い親族にアレルギー体質の人がいる場合は注意が必要である。
b 正しい。
c 正しい。
d 誤り。普段は医薬品にアレルギーを起こしたことがない人でも、病気等に対する抵抗力が低下している状態などの場合には、思わぬアレルギーを生じることがある。

正解・・・1


問6
副作用に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 副作用とは、日常生活に支障を来す程度の重大でまれに見られる症状をいい、眠気や口渇等の比較的よく見られる症状は含まない。

b 医薬品を使用する人が副作用をその初期段階で認識することにより、副作用の種類に応じて速やかに適切に処置し、又は対応し、重篤化の回避が図られることが重要である。

c 副作用は、明確な自覚症状として現れ、容易に異変を自覚できるものばかりである。

d 登録販売者は、購入者等から副作用の発生の経過を十分に聴いて、その後の適切な医薬品の選択に資する情報提供を行うほか、副作用の状況次第では、購入者等に対して、速やかに適切な医療機関を受診するよう勧奨する必要がある。

  a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 誤
4 誤 正 誤 正
5 正 誤 正 正


副作用に関する問題。

a 誤り。副作用は、眠気や口渇等の比較的よく見られるものから、日常生活に支障を来す程度の健康被害を生じる重大なものまで様々である。
b 正しい。 
c 誤り。副作用は、血液や内臓機能への影響等のように、明確な自覚症状として現れないものもある。
d 正しい。 

正解・・・4


問7
医薬品の不適正な使用と副作用に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a 一般用医薬品は、その使用を判断する主体が一般の生活者であることから、その適正な使用を図っていく上で、販売時における専門家の関与が特に重要である。

b 人体に直接使用されない医薬品についても、使用する人の誤解や認識不足によって、副作用につながることがある。

c 症状の原因となっている疾病の根本的な治療や生活習慣の改善等がなされないまま、一般用医薬品を使用して症状を一時的に緩和するだけの対処を漫然と続けていても、副作用を招く危険性が増すことはない。

d 医薬品の情報提供は、使用する人に誤認が生じないよう専門用語を正確に用い、相手の理解力や医薬品を使用する状況によって表現を変えることのないよう注意して行う。

1(a、b) 2(b、c) 3(c、d) 4(a、d)


医薬品の不適正な使用と副作用に関する問題。

a 正しい。 
b 正しい。例えば殺虫剤を誤った使用法で用いるた等を考えてもらえばよいでしょう。
c 誤り。漫然な使用は、副作用の危険性が増すばかりでなく、適切な治療の機会を失うことにもつながりやすい。
d 誤り。専門用語を分かりやすい表現で伝えるなどの適切な情報提供を行う。

正解・・・1


問8
医薬品の使用に関する記述のうち、正しいものはどれか。

1 一般用医薬品には、習慣性・依存性がある成分が含まれているものはない。

2 登録販売者は、一般用医薬品を必要以上に大量購入しようとする者であっても、希望どおりに販売する必要がある。

3 医薬品をみだりに酒類(アルコール)と一緒に摂取するといった乱用がなされると、急性中毒等を生じる危険性が高くなる。

4 小児の用量が設定されていない医薬品であっても、小児に成人の用量の半分以下を服用させれば、副作用につながる危険性はない。


医薬品の使用に関する問題。

1 誤り。一般用医薬品にも習慣性・依存性がある成分を含んでいるものがある。(1章ではまず出題されないが)具体的には、プソイドエフェドリンブロモバレリル尿素などがある。第4章 濫用等の恐れのある医薬品も合わせて学習を。
2 誤り。必要以上の大量購入や頻回購入などを試みる不審な者には慎重に対処する必要がある。
3 正しい。
4 誤り。小児が使用を避けるべき医薬品を「大人用の半分にして飲ませればよい」として服用させるなど、安易に使用すると、特に副作用につながる危険性が高い。

正解・・・3


問9
医薬品と他の医薬品や食品との相互作用に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 医薬品の相互作用とは、複数の医薬品を併用した場合に、医薬品の作用が増強することをいい、作用が減弱する場合には、相互作用とはいわない。

b 食品中に医薬品の成分と同じ物質が存在する場合があり、それらを含む医薬品と食品を一緒に服用すると過剰摂取となるものがある。

c 外用薬は、食品によって医薬品の作用や代謝に影響を受ける可能性がある。
d 医薬品の相互作用は、医薬品が吸収される過程で起こることはあるが、排泄される過程で起こることはない。

  a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 誤 正 正
3 誤 正 誤 正
4 正 誤 正 誤
5 正 正 誤 正


医薬品と他の医薬品や食品との相互作用に関する問題。

a 誤り。(複数の医薬品を併用した場合に)医薬品の作用が増強したり、減弱したりすることを相互作用という。
b 正しい。
c 正しい。
d 誤り。医薬品が吸収される過程だけでなく、分布、代謝、又は排泄される過程でも起こる。

正解・・・1


問10
小児等と医薬品に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

1 小児は、大人に比べて身体の大きさに対して腸が長く、服用した医薬品の吸収率が相対的に高い。

2 小児は、一般的に腎臓の機能が未発達であるため、医薬品の成分の排泄が大人よりも速い。

3 小児は、一般的に血液脳関門が未発達であるため、循環血液中の医薬品の成分が脳に達しやすい。

4 乳幼児は、医薬品が喉につかえると、大事に至らなくても咳き込んで吐き出し苦しむことになり、その体験から医薬品の服用に対する拒否意識を生じることがある。


小児等と医薬品に関する問題。
医療用医薬品の添付文書等の記載要領の留意事項における年齢区分
新生児:生後4週未満、乳児:生後4週以上1歳未満、幼児:1歳以上7歳未満、小児:7歳以上15歳未満
小児の腸の長さや、肝臓・腎臓・血液脳関門の未発達についても頻出。

1 正しい。
2 誤り。小児腎臓の機能が未発達であるため、医薬品の成分の排泄に時間がかかり作用が強く出すぎたり、副作用がより強く出ることがある。
3 正しい。
4 正しい。

正解・・・2

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