H27 東京都・千葉県・神奈川県・埼玉県 第3章 主な医薬品とその作用(問71-80)

マイナーな漢方・生薬に関する問題が多く全問正解は厳しい。
特に問71(トローチ)問77(強心薬)問80(循環器薬)は難しい。

問71 口腔咽喉薬・含嗽薬に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 含嗽薬は、使用後すぐに食事を摂ると、殺菌消毒効果が薄れやすい。

b 口腔咽喉薬、含嗽薬は、口腔内や咽頭における局所的な作用を目的とする医薬品であるが、成分の一部が口腔や咽頭の粘膜から吸収されて全身的な影響を生じることがある。

c 芳香による清涼感を目的として、セチルピリジニウム塩化物、デカリニウム塩化物が配合されている。

d 咽頭の粘膜に付着したアレルゲンによる喉の不快感等の症状を鎮めることを目的として、抗ヒスタミン成分が配合されている場合がある。

  a b c d
1 正 正 正 正
2 正 誤 正 誤
3 誤 正 誤 誤
4 正 正 誤 正
5 誤 誤 正 正

口腔咽喉薬・含嗽薬に関する問題。
あまり今まで問われていない内容。特にdの判断が難しかったでしょう。

a 正しい(訂正しました)。これは常識的に判断できるはず。
b 正しい。口腔粘膜から薬が吸収される可能性については、しっかり押さえておきましょう。
c 誤り。どちらも殺菌消毒成分として用いられている。セチルピリジニウム塩化物は多くの市販トローチに使用されています。
一方でデカリニウム塩化物は市販薬としてはマイナーですが、医療用での定番トローチである「SPトローチ明治」に使用されている成分です。
d 正しい。実務経験豊富な人でも判断に迷ったでしょう。手引きの記載によると「口腔咽喉薬にクロルフェニラミンマレイン酸塩のような抗ヒスタミン成分が配合されている場合がある」と書かれています。しかし、そのような製品が実際あるのかは、わかりませんでした(調査中)

正答・・・4

問72 胃の薬の配合成分とその目的とする作用に関する組合せの正誤について、正しい組合せはどれか。

        配合成分                                  目的とする作用
a 炭酸マグネシウム、ボレイ               制酸
b センブリ、ケイヒ                           健胃
c ジアスターゼ、リパーゼ                  胃液分泌抑制
d スクラルファート、ゲファルナート   胃粘膜保護・修復

    a b c d
1 正 誤 正 正
2 誤 正 正 誤
3 正 正 誤 正
4 誤 正 誤 正
5 誤 誤 正 誤

胃薬に関する問題。
ボレイ(牡蠣)に制酸作用があるかどうかが正誤の分かれ目になる。

a 正しい。炭酸マグネシウムは制酸成分。またボレイ(牡蠣)はカキの貝殻だが、貝殻に炭酸マグネシウムを含み制酸作用があるとされている。
b 正しい。センブリとケイヒ(桂皮)ともに健胃作用が期待される。
c 誤り。ジアスターゼ、リパーゼともに消化成分(食べ物の消化を助ける)である。
d 正しい。スクラルファート、ゲファルナート ともに胃粘膜保護・修復成分である。特にスクラルファートは頻出であり、OTCでは「スクラート胃腸薬」、医療用では「アルサルミン」の販売名で良く知られている
ライオンオフィシャルムービー↓

https://www.youtube.com/watch?v=7roI-whFaMI


正答・・・3

問73 腸の不調を改善する目的で用いられる漢方処方製剤に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a 桂枝加芍薬湯は、体力中等度以下で腹部膨満感のある人のしぶり腹、腹痛、下痢、便秘に適すとされる。

b 麻子仁丸は、体力中等度以下で、ときに便が硬く塊状なものの便秘、便秘に伴う頭重、 のぼせ、湿疹 ・皮膚炎、ふきでもの(にきび)、食欲不振等の症状の緩和に適すとされる。

c 大黄甘草湯は、体力中等度以上で、下腹部痛があって、便秘しがちなものの月経不順、 月経痛、便秘、痔疾に適すとされる。

d 大黄牡丹皮湯は、体力に関わらず広く応用され、便秘、便秘に伴う頭重、のぼせ、湿疹 ・ 皮膚炎、ふきでもの(にきび)、食欲不振等の症状の緩和に適すとされるが、体の虚弱な人、胃腸が弱く下痢しやすい人では不向きとされる。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)

漢方薬の問題としては難しめ。便秘関連の漢方薬は区別して憶えにくい。

a 正しい。この試験で「しぶり腹」のキーワードがでてきたら「桂枝加芍薬湯を選べばよい。しぶり腹とは残便感があり、繰り返し腹痛を伴い便意を催すものを言います。
b 正しい。麻子仁丸のキーワードは「便が硬く塊状なものの便秘」ウサギのようなコロコロした便が出るタイプに適するとされています。
c 誤り。これは大黄牡丹皮湯に関する内容。なお市販品では殆ど見かけない。
d 誤り。これは大黄甘草湯に関する内容。

正答・・・1

問74 腸の薬に配合される成分に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a 腸内細菌のバランスを整えることを目的として、ビフィズス菌、乳酸菌等の生菌成分が用いられる。

b 次硝酸ビスマスは、牛乳に含まれるタンパク質成分であるため、牛乳にアレルギーのある人では使用を避ける必要がある。

c ゲンノショウコは、マメ科のエビスグサの地上部を基原とする生薬で、収斂作用のほか、抗菌作用、抗炎症作用も期待して用いられる。

d 細菌感染による下痢の症状を鎮めることを目的として、木クレオソートが用いられる。

1(a、c) 2(a、d) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)

腸の薬に関する問題。これは易しい問題。

a 正しい。
b 誤り。次硝酸ビスマスは収斂作用により止瀉薬にもちられる。牛乳アレルギーはタンニン酸アルブミンに関する内容。
c 誤り。ゲンノショウコはフウロソウ科のゲンノショウコの地上部を基原とする生薬。煎じ薬は昔から下痢への民間薬として知られている。マメ科のエビスグサの地上部を基原とする生薬はケツメイシ。
d 正しい。木クレオソートは抗菌作用も期待される。正露丸の成分である。

正答・・・2

問75 胃腸鎮痛鎮痙薬の配合成分に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 抗コリン成分は、胃痛、腹痛、さしこみ(疝痛、癪 )を鎮めること(鎮痛鎮痙 )のほか、胃酸過多や胸やけに対する効果も期待して用いられる。

b ロートエキスは、吸収された成分の一部が母乳中に移行して乳児の脈が速くなる(頻脈)おそれがあるため、母乳を与える女性では使用を避けるか、又は使用期間中の授乳を避ける必要がある。

c パパベリン塩酸塩は、消化管の平滑筋に直接働いて胃腸の痙攣を鎮める作用を示すとともに、胃液分泌を抑える作用も示す。

d 鎮痛鎮痙の効果を期待して局所麻酔成分が配合されることがあるが、痛みが感じにくくなることで重大な消化器疾患等を見過ごすおそれがあり、長期間にわたって漫然と使用することは避けることとされている。

  a b c d
1 誤 誤 正 誤
2 誤 正 正 正
3 正 正 正 誤
4 正 正 誤 正
5 正 誤 誤 誤

胃腸鎮痛鎮痙薬に関する問題。どれも良く出題されている成分。なお、ロートエキスアミノ安息香酸エチルは第5章でも良く登場する。

a 正しい。
b 正しい。ロートエキスの母乳中への移行は良く問われる。
c 誤り。パパベリン塩酸塩は。抗コリン成分と異なり、胃液分泌を抑える作用はないとされる。
d 正しい。鎮痛鎮痙の効果を期待して局所麻酔成分としては、アミノ安息香酸エチルオキセサゼインがある。

正答・・・4

問76 駆虫薬に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a 駆除した虫体や腸管内に残留する駆虫成分の排出を促すために併用する瀉下薬として、 ヒマシ油を用いる。

b 一般用医薬品の駆虫薬は、腸管内に生息する虫体に作用するが、虫卵や腸管内以外に 潜伏した幼虫(回虫の場合)には駆虫作用が及ばない。

c 一般用医薬品の駆虫薬は、一度に多く服用しても駆虫効果が高まることはなく、かえ って副作用が現れやすくなるため、定められた1日の服用回数や服用期間を守って適正に使用されることが重要である。

d 食事を摂って消化管内に内容物があるときに駆虫薬を使用すると、消化管内容物の消化・吸収に伴って駆虫成分の吸収が高まることから、一般用医薬品の駆虫薬では食後に使用することとされているものが多い。

1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、c) 5(b、d)

駆虫薬に関する問題。ヒマシ油と駆虫薬の併用を避ける内容は度々出題されている。

a 誤り。なぜか頻出の駆虫薬・ヒマシ油に関する内容。

「駆除した虫体や腸管内に残留する駆虫成分の排出を促すため瀉下薬が併用されることがあるが、ヒマシ油を使用すると腸管内で駆虫成分が吸収されやすくなり、副作用を生じる危険性が高まるため、ヒマシ油との併用は避ける必要がある。」

b 正しい。
c 正しい。これは常識的に判断すればよい。
d 誤り。。食後に服用すると、消化管内容物の消化・吸収に伴って駆虫成分の吸収が高まることから、空腹時に使用することとされているものが多い

正答・・・4

問77 強心薬及びその配合成分に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a ゴオウは、ウシ科のウシの胆嚢中に生じた結石を基原とする生薬で、強心作用のほか、 末梢血管の収縮による血圧上昇作用があるとされる。

b ジャコウは、シカ科のジャコウジカの雄の麝香腺分泌物を基原とする生薬で、強心作用のほか、呼吸中枢を刺激して呼吸機能を高めたり、意識をはっきりさせる等の作用があるとされる。

c 苓桂朮甘湯は、強心作用が期待される生薬は含まれず、主に尿量増加(利尿)作用 により、水毒(漢方の考え方で、体の水分が停滞したり偏在して、その循環が悪いこと を意味する。)の排出を促すことを主眼とする。

d リュウノウは、ウグイスガイ科のアコヤガイ、シンジュガイ又はクロチョウガイ等の外套膜組成中に病的に形成された顆粒状物質を基原とする生薬で、鎮静作用等を期待して用いられる。

1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、c) 5(b、d)

強心薬に関する問題。具体的な製品として「救心」や「六神丸」に関するものである。
これはかなり難しい問題。直前期ではればジャコウ(麝香)、シンジュ(真珠)、リュウノウ(竜脳)あたりは深追いしない。

a 誤り。ゴオウ(牛黄)に関する内容。前半部分の「ウシ科のウシの胆嚢中に生じた結石を基原とする生薬」である点は正しい。しかし、後半部分に誤り。×末梢血管の収縮による血圧上昇作用→〇末梢血管の拡張による血圧降下。
b 正しい。ジャコウ(麝香)に関する内容。
c 正しい。
d 誤り。これはシンジュ(真珠)に関する内容。リュウノウ(竜脳)は気つけの生薬として知られ、六神丸・救心にも含まれる。

正答・・・4

問78 コレステロール及び高コレステロール改善薬の配合成分に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a コレステロールは、細胞の構成成分で、胆汁酸や副腎皮質ホルモン等の生理活性物質の産生に重要な物質でもある等、生体に不可欠な物質である。

b リノール酸は、末梢組織におけるコレステロールの吸収を抑えることを主な目的として配合される。

c リボフラビンは、コレステロールの生合成抑制と排泄・異化促進作用、過酸化脂質分解作用を有すると言われている。

d ビタミンEは、コレステロールから過酸化脂質の生成を抑えるほか、末梢血管における血行を促進する作用があるとされ、血中コレステロール異常に伴う末梢血行障害(手足の冷え、痺れ)の緩和等を目的として用いられる。

    a b c d
1 誤 誤 正 誤
2 誤 誤 誤 正
3 正 誤 正 正
4 正 正 正 誤
5 誤 正 誤 正

高コレステロール改善薬に関する問題。

a 正しい。
b 誤り。リノール酸は、コレステロールと結合して、代謝されやすいコレステロールエステルを形成するとされ、肝臓におけるコレステロールの代謝を促す効果を期待して用いられる。
c 正しい。これはちょっと判断に迷ったかもしれません。リボフラビン(ビタミンB2)の、高コレステロール改善薬として内容です。
d 正しい。色々難しいことが書かれているが、血流改善の働きがあるとされるビタミンEに関する記述

正答・・・3

問79 貧血用薬及びその配合成分に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a 銅は、ヘモグロビンの産生過程で、鉄の代謝や輸送に重要な役割を持ち、補充した鉄分を利用してヘモグロビンが産生されるのを助ける目的で、硫酸銅が配合されている場合がある。

b コバルトは、糖質・脂質・タンパク質を代謝する際に働く酵素の構成物質であり、エネルギー合成を促進する目的で、硫酸コバルトが配合されている場合がある。

c 貧血を改善するため、ヘモグロビン産生に必要なビタミンB6や、正常な赤血球の形成に働くビタミンB12や葉酸などが配合されている場合がある。

d 鉄製剤服用の前後30分にタンニン酸を含む飲食物(緑茶、紅茶、コーヒー、ワイン、柿等)を摂取すると、タンニン酸と反応して鉄の吸収が良くなる。

1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、c) 5(b、d)

貧血用薬に関する問題。

a 正しい。銅は、ヘモグロビンの産生過程で、鉄の代謝や輸送に重要な役割をもつ。
b 誤り。コバルトは赤血球ができる過程で必要不可欠なビタミンB12 の構成成分であり、骨髄での造血機能を高める目的で、硫酸コバルトが配合されている場合がある。
c 正しい。
d 誤り。鉄剤とタンニン酸を含む飲食物を時間をあけず摂取すると、タンニン酸を反応して鉄の吸収が悪くなるとされている。(但し、実際には影響は小さく、それ程気にしなくても良いとも言われている。)

正答・・・2

問80 循環器用薬及びその配合成分に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a ユビデカレノンは、心筋の酸素利用効率を高めて収縮力を高めることによって血液循環の改善効果を示すとされ、軽度な心疾患により日常生活の身体活動を少し越えたときに起こる動悸、息切れ、むくみの症状に用いられる。

b イノシトールヘキサニコチネートは、ニコチン酸を遊離し、そのニコチン酸の働きに よって末梢の血液循環を改善する作用を示すとされる。

c ルチンは、ビタミン様物質の一種で、高血圧等における毛細血管の補強、強化の効果を期待して用いられる。

d 七物降下湯は、体力中等度以上で、のぼせ気味で顔面紅潮し、精神不安、みぞおちのつかえ、便秘傾向などのあるものの高血圧の随伴症状(のぼせ、肩こり、耳なり、頭重、 不眠、不安)、鼻血、痔出血、便秘、更年期障害、血の道症に適すとされる。

    a b c d
1 正 誤 正 誤
2 正 正 正 誤
3 正 正 誤 正
4 誤 正 誤 正
5 誤 誤 正 正

循環器用薬に関する問題。一般用医薬品ではピンとこない分野だが、ユビデカレノン(コエンザイムQ10)は重要。また、三黄瀉心湯、七物降下湯はメジャーな漢方薬ではないので、直前期であれば深追いしない。

a 正しい。ユビデカレノンは別名コエンザイムQ10。超頻出です。
b 正しい。
c 正しい。ルチンはビタミン類似物質。OTCでは「ルチン養命丸」という製品がある。なお機能性表示食品で良く耳にするルテインとは別者なので注意。
d 誤り。これは三黄瀉心湯に関する記述。
なお、七物降下湯に関する手引きの内容は
「体力中等度以下で、顔色が悪くて疲れやすく、胃腸障害のないものの高血圧に伴う随伴症状(のぼせ、肩こり、耳鳴り、頭重)に適すとされるが、胃腸が弱く下痢しやすい人では、胃部不快感等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。また、小児向けの漢方処方ではなく、15歳未満の小児への使用は避ける必要がある。」

正答・・・2

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