H28 福岡県(九州・沖縄地区共通) 第3章 主な医薬品とその作用(問71-80)

標準的な内容ばかり。全問正解したい。

問71 駆虫薬に関する以下の記述について、( )の中に入れるべき字句の正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。なお、同じ記号の( )内には同じ字句が入ります。

駆虫薬は、腸管内の寄生虫に対して、これを駆除するために用いられる医薬品である。一般用医薬品の駆虫薬が対象とする寄生虫は、( ア )と( イ )である。

いずれも手指や食物に付着した虫卵が口から入ることで感染するが、( ア )では、孵化した幼虫が腸管壁から体組織に入り込んで体内を巡り、( ウ )に達した後に気道から再び消化管内に入って成虫となる。そのため腹痛や下痢、栄養障害等の消化器症状のほか、呼吸器等にも障害を引き起こすことがある。( イ )は、肛門から這い出してその周囲に産卵するため、肛門部の痒みやそれに伴う不眠、神経症を引き起こすことがある。

ア イ ウ
1 回虫 条虫 肺
2 回虫 蟯虫 肺
3 蟯虫 条虫 鼻腔
4 条虫 回虫 鼻腔
5 条虫 蟯虫 肺

現在殆ど販売機会はない駆虫薬に関する問題。
今まで見たことがない穴埋め問題だが、知識としてはそれほど難しくはない。

一般用医薬品の駆虫薬が対象とする寄生虫は、回虫と蟯虫(ぎょうちゅう)であり、条虫(いわゆるサナダ虫)は対象外である。
なお、現在も販売されている駆虫薬は殆どないが、パモ酸ピルビニウムは今でも販売されているので最低限押さえておきたい。
  
正答・・・2

問72 胃腸鎮痛鎮痙薬に配合される成分とその副作用の関係について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。

成分 副作用
ア ブチルスコポラミン臭化物 - 散瞳
イ パパベリン塩酸塩 - 胃酸分泌抑制
ウ アミノ安息香酸エチル - メトヘモグロビン血症
エ ロートエキス - 下痢

1(ア、ウ) 2(ア、エ) 3(イ、ウ) 4(イ、エ)

胃腸鎮痛鎮痙薬に関する問題。

ア 正しい。ブチルスコポラミン臭化物は胃腸鎮痛鎮痙薬に配合される抗コリン成分の代表格。「ブスコパン」の商品名で知られる。抗コリン成分であり、散瞳による目のかすみや異常な眩しさ、顔のほてり、頭痛、眠気、口渇、便秘、排尿困難等の副作用が現れることがある。
イ 誤り。パパベリン塩酸塩は消化管の平滑筋に直接働き胃腸の痙攣を鎮める作用があるが、抗コリン成分とは異なり胃酸分泌を抑える作用はない
ウ 正しい。局祖麻酔成分のアミノ安息香酸エチルの「メトヘモグロビン血症の恐れ」「6歳未満の小児への使用は避ける」は良く出題されている。
エ 誤り。
 
正答・・・1

問73 一般用医薬品の強心薬及びその配合成分に関する以下の記述のうち、正しいものを一つ選びなさい。

1 強心薬は、生活習慣病による重度の心臓の働きの乱れについて、心臓の働きを整えて、動悸や息切れ等の症状の改善を目的とする医薬品である。

2 強心薬は、骨格筋に作用して、その収縮力を高めるとされる成分(強心成分)を主体として配合される。

3 センソは、ヒキガエル科のシナヒキガエル等の毒腺の分泌物を集めたものを基原とする生薬で、微量で強い強心作用を示す。

4 ゴオウは、シカ科のマンシュウアカジカ又はマンシュウジカの雄のまだ角化していない、若しくは、わずかに角化した幼角を基原とする生薬で、強心作用の他、強壮、血行促進等の作用があるとされる。

強心薬に関する問題。生薬に関する知識があれば簡単。
 
1 誤り。手引きによると「強心薬は、疲労やストレス等による軽度の心臓の働きの乱れについて、心臓の働きを整えて、動悸や息切れ等の症状の改善を目的とする医薬品」と定義されている。
2 誤り。×骨格筋→〇心筋
3 正しい。センソ(蟾酥)はヒキガエル科のシナヒキガエル等の毒腺の分泌物を集めたものを基原とする生薬。微量で強い強心作用を示し、一般用医薬品での「1日用量5mg 以下」については数字も押さえておく。
4 誤り。これはロクジョウ(鹿茸)に関する内容。ゴオウ(牛黄)はウシ科のウシの胆嚢や胆管中に生じた結石を基原とする生薬で高貴薬として知られる。強心作用のほか、末梢血管の拡張による血圧降下作用、興奮を静める等の作用があるとされる。
 
正答・・・3

問74 コレステロール及び高コレステロール改善薬に関する以下の記述のうち、正しいものの組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア コレステロールは、細胞の構成成分で、胆汁酸や副腎皮質ホルモン等の生理活性物質の産生に重要な物質でもある等、生体に不可欠な物質である。

イ コレステロールの産生及び代謝は、主として腎臓で行われる。

ウ コレステロールは、水に溶けやすい物質であるため、血液中では血漿タンパク質と結合したリポタンパク質となって存在する。

エ 高コレステロール改善薬は、血中コレステロール異常の改善、血中コレステロール異常に伴う末梢血行障害(手足の冷え、痺れ)の緩和等を目的として使用される医薬品である。

1(ア、イ) 2(ア、エ) 3(イ、ウ) 4(ウ、エ)

コレステロール改善薬に関する問題。

ア 正しい。
イ 誤り。×腎臓→〇肝臓
ウ 誤り。コレステロールは、水に溶けにくい物質。後半の内容は正しい。
エ 正しい。

正答・・・2

問75 口腔咽喉薬及びうがい薬(含嗽薬)に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア トローチ剤やドロップ剤は、有効成分が胃から吸収されて効果を発揮するものであるため、噛み砕いて服用しても効果は得られる。

イ 含嗽薬は、口腔及び咽頭の殺菌・消毒・洗浄、口臭の除去等を目的として、用時水に希釈又は溶解してうがいに用いる、又は患部に塗布した後、水でうがいする外用液剤である。

ウ 含嗽薬の使用後すぐに食事を摂ると、殺菌消毒効果が薄れやすい。

エ 噴射式の液剤では、息を吸いながら噴射すると気管支や肺に入ってしまうおそれがあるため、軽く息を吐いたり、声を出しながら噴射することが望ましい。

    ア イ ウ エ
1 正 正 正 正
2 正 正 誤 誤
3 誤 正 正 正
4 誤 誤 正 誤
5 誤 誤 誤 正

うがい薬に関する問題。サービス問題。

ア 誤り。さすがにこれはおかしいと、すぐに気付くでしょう。
イ 正しい。
ウ 正しい。
エ 正しい。
 
正答・・・3

問76 腸及び腸に作用する薬に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア 水分の吸収は大半が大腸で行われ、腸内容物が糞便となる過程で適切な水分量に調整される。

イ 腸の働きは自律神経系により制御されており、異常を生じる要因は腸自体やその内容物によるも のだけでなく、腸以外の病気等が自律神経系を介して腸の働きに異常を生じさせる場合もある。

ウ 下痢が起こる主な要因としては、急性の下痢では、体の冷えや消化不良、細菌やウイルス等の消化器感染(食中毒など)、緊張等の精神的なストレスによるものがあり、慢性の下痢については、腸自体に病変を生じている可能性がある。

エ 瀉下薬(下剤)は、便秘症状及び便秘に伴う肌荒れ、頭重、のぼせ、吹き出物、食欲不振、腹部 膨満、腸内異常発酵、痔の症状の緩和、又は腸内容物の排除に用いられること(瀉下)を目的とする医薬品である。

    ア イ ウ エ
1 正 正 正 正
2 正 正 誤 誤
3 正 誤 誤 正
4 誤 正 正 正
5 誤 誤 正 誤

腸に作用する薬に関する問題。

ア 誤り。水分の吸収は大半が小腸で行われる。後半部分は大腸に関する内容で正しい。
イ 正しい。
ウ 正しい。
エ 正しい。

正答・・・4

問77 腸の不調を改善する目的で用いられる漢方処方製剤に関する以下の記述について、正しいものを下から一つ選びなさい。

体力中等度以下で、ときに便が硬く塊状なものの便秘、便秘に伴う頭重、のぼせ、湿疹・皮膚炎、ふきでもの(にきび)、食欲不振(食欲減退)、腹部膨満、腸内異常醗酵、痔の緩和に適すとされるが、 胃腸が弱く下痢しやすい人では、激しい腹痛を伴う下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。 また、本剤を使用している間は、他の瀉下薬の使用を避ける必要がある。

1 桂枝加芍薬湯 (けいしかしゃくやくとう)
2 大黄甘草湯 (だいおうかんぞうとう)
3 大黄牡丹皮湯 (だいおうぼたんぴとう )
4 麻子仁丸(ましにんがん)
5 牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)

腸の不調を改善する薬。この程度のレベルは解けるように。

まず、便秘症向けの漢方薬ではない桂枝加芍薬湯、牛車腎気丸はすぐに除外できるように。
大黄甘草湯大黄牡丹皮湯麻子仁丸はどれも便秘向けの漢方薬だが、「便が硬く塊状なものの便秘」のキーワードから麻子仁丸を選択する。ウサギのようなコロコロした便が出るタイプに適するとされています。
 
正答・・・4

問78 循環器用薬に配合される成分に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア コウカには、末梢の血行を促して鬱血を除く作用があるとされる。

イ ユビデカレノンは、エネルギー代謝に関与する酵素の働きを助ける成分で、摂取された栄養素からエネルギーが産生される際にビタミンB群とともに働く。

ウ ヘプロニカート、イノシトールヘキサニコチネートは、いずれの化合物もニコチン酸が遊離し、 そのニコチン酸の働きによって末梢の血液循環を改善する作用を示すとされる。

エ ルチンは、ビタミン様物質の一種で、高血圧における毛細血管の補強、強化の効果を期待して用いられる。

    ア イ ウ エ
1 正 正 正 正
2 正 正 誤 誤
3 正 誤 正 正
4 誤 正 正 誤
5 誤 誤 誤 正

循環器用薬に関する問題。一般用医薬品ではピンとこない分野だが、ユビデカレノン(コエンザイムQ10)は良く出題されている。
 
ア 正しい。コウカ(紅花)に関する内容である。
イ 正しい。ユビデカレノンは別名コエンザイムQ10で頻出。
ウ 正しい。
エ 正しい。ルチンはビタミン類似物質。OTCでは「ルチン養命丸」という製品がある。毛細血管の強化を期待して用いられる。
 
正答・・・1

問79 貧血及び貧血用薬に関する以下の記述のうち、誤っているものを一つ選びなさい。

1 貧血は、一般的な症状として、疲労、動悸 、息切れ、血色不良、頭痛、耳鳴り、めまい、微熱、 皮膚や粘膜の蒼白(青白くなること)、下半身のむくみ等が現れる。

2 貧血用薬の主な成分としては、フマル酸第一鉄、溶性ピロリン酸第二鉄、クエン酸鉄アンモニウムなどが用いられる。

3 貧血用薬には、ヘモグロビン産生に必要なビタミンAが配合されている場合がある。

4 貧血用薬の成分として用いられるビタミンC(アスコルビン酸)は、消化管内で鉄が吸収されやすい状態に保つことを目的として用いられる。

貧血用薬に関する問題。

1 正しい。
2 正しい。
3 誤り。×ビタミンA→〇ビタミンB6
4 正しい。
 
正答・・・3

問80 一般用医薬品の浣腸薬に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア 便秘の場合に排便を促すことを目的として、直腸内に適用される医薬品である。

イ 繰り返し使用することで、直腸の感受性が高まり、便秘の解消に有効である。

ウ 便秘以外のときに直腸内容物の排除を目的として用いることは適当でない。

エ 乳幼児では、手軽に使用できる浣腸薬の使用が推奨されている。

    ア イ ウ エ
1 正 正 正 正
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 誤
4 誤 正 誤 誤
5 誤 誤 誤 正

浣腸薬に関する問題。

ア 正しい。
イ 誤り。繰り返し使用すると直腸の感受性の低下(慣れ)が生じて効果が弱くなる。
ウ 正しい。
エ 誤り。乳幼児では、安易な使用を避ける。
  
正答・・・3
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