台湾の薬膳料理② 【何首烏の鶏肉薬膳スープ・龍涎居 鶏膳食坊】

今回は、台湾の薬膳料理で、何首烏(カシュウ)をメインにした鶏肉薬膳スープ(帝王雞湯)を紹介します。

訪れたお店は、台北MRT台電大樓駅近くにある「龍涎居 鶏膳食坊(Lóng xián jū jī shànshí fāng ロンシェンジュー・ジーシャンシーファン)」師大店(本店)で、台湾全土で9店舗チェーン展開しています。(他に「龍涎居 好湯」という姉妹店を含めると約30店舗)

 

特に台湾では、鶏肉を使った薬膳スープと言うと麻油雞湯(マーヨージータン)が有名ですが、ここでは、麻油雞湯以外にも様々な薬膳スープ鍋を楽しむことができます。
メニューを見ると、人参雞湯や、四物雞湯(四物湯ベース?)、蛤蜊雞湯(ハマグリのスープ)など様々なスープがありますが、今回はその中でも、お店の人におススメを聞いて「帝王雞湯(Dìwáng jītāng)」を選びました。

メニュー写真を見ると、その真っ黒なスープから、どんな生薬が使われているか気になるところですが、なんとかgoogle翻訳を使いながら店員さんに聞いたところ、何首烏(カシュウ)がメインで使わていることがわかりました。(スマホで何首烏の台湾版wikipediaを見せられました!)

何首烏(カシュウ)というと、登録販売者試験では毛髪用薬で登場し、「タデ科のツルドクダミの塊根を基原とする生薬で、頭皮における脂質代謝を高めて、余分な皮脂を取り除く作用を期待して用いられる」とあり、外用育毛剤に配合されていることがあります。(昔、何さんという男性が、白髪が黒髪に変わり、それから名付けられたという逸話がありますが、その効果は不明)

また、漢方薬では、湿疹等の皮膚疾患に用いられる「当帰因子」にも含まれています。

他にも、カシュウ(何首烏)は、唐の時代から不老長寿薬として知られ、江戸時代には、その効果期待して日本にも移入されましたが、実際そのような効果はなく、国内で雑草化したようです。それでも、(これもエビデンスは不明ですが)何首烏には滋養強壮作用もあるとも言われており、ユンケルシリーズの一部など、高価格帯の栄養ドリンクにも配合されていることがあります。

その為、この薬膳スープに使用されている何首烏も、主に滋養強壮を期待したもので、「帝王」というのも、不老長寿への期待から、「帝王だけが飲むことが出来る」といった意味合いが込められているのかもしれません。

見た目は至って地味ですが、濃厚な黒い色のスープに、油が適度に浮いて黄金色に輝いています。スープは鍋ギリギリまで入っていて、中の具材が良くわかりませんが、中にはしっかり煮込まれた鶏肉が沢山入っていて、とても柔らかくて食べやすいです。スープの味も、薬膳スープ独特なクセもなく、非常に飲みやすい味になっています。


なお、鶏肉の種類も選べるようになっていますが、これもお店の人に聞いて、無難な山雞腿というのを選びました。
値段は肉の種類により決まり、これで229元(約1,050円)と結構いいお値段です。(2023.10当時 1NT$≒4.6円)

今回は、既にお腹に余裕がなかったので、他に何も頼みませんでしたが、肉以外の具材は基本的に入っていないので、乾麺線や鶏肉飯などのご飯ものと一緒に食べるのがお薦めです。

薬膳料理というと、割と年配の人が好みそうなものですが、店内にいるお客さんをみると、老若男女問わず幅広い客層で、これから塾に通う生徒なのか、一人で来ている女子中学生も数人いました。改めて、台湾人にとって、薬膳料理は身近なものであることがわかります。
また、お店の中はとても清潔感があり、席も広々としていますので、ゆっくりと食事を楽しむことができます。

なお、お店には持ち帰り用の冷凍食品も販売されていて、商品名が「帝王」に訂正されていますが、以前は「何首烏雞湯」とう名前だったようです。成分表を見ると、他にも枸杞、熟地黄、紅棗(ナツメ)、甘草、センキュウ、当帰、白芍、桂枝、黄耆なども含まれていていますね。四物湯の構成生薬が網羅されているのがわかります。


残念ながら、今回紹介したお店は台北中心部よりやや離れていますが、この師大店は、台北MRT台電大樓駅を降りてすぐ近くで便利な場所にありますし、夕食として食べたあとは、帰りに「師大夜市」にも立ち寄ることもできますので、興味のある方には是非お訪れてみてはいかがでしょうか。

【 龍涎居 雞膳食坊 】
営業時間:11:30~21:30 
最寄り駅:MRT台電大樓駅
台北市大安區羅斯福路三段135號
取材日:2023年10月15日

 

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