H28 千葉県(東京・神奈川・埼玉共通) 第3章 主な医薬品とその作用 問91-100

問97(生薬)は難しい。

問91
みずむし・たむし用薬の配合成分に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a クロトリマゾールは、皮膚糸状菌の細胞膜を構成する成分の産生を妨げたり、細胞膜の透過性を変化させることにより、その増殖を抑える。

b ピロールニトリンは、菌の呼吸や代謝を妨げることにより、皮膚糸状菌の増殖を抑える。

c シクロピロクスオラミンは、患部を酸性にすることで皮膚糸状菌の発育を抑える。

d 生薬成分として、カシュウ(タデ科のツルドクダミの塊根を基原とする生薬)が皮膚糸状菌の増殖を抑える作用を期待して用いられる。

1(a、b) 2(a、d) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)

みずむし・たむし用薬に関する問題。幅広い知識が求められる。

a 正しい。クロトリマゾールは試験では頻出。イミダゾール系抗真菌成分に分類される。2つの作用機序(①皮膚糸状菌の細胞膜を構成する成分の産生阻害、②細胞膜の透過性の変化)による増殖抑制について、しっかり理解しておきたい。
b 正しい。他に、ピロールニトリンは単独での抗真菌作用は弱く、他の抗真菌成分と組み合わせて配合される点も合わせて押さえておきたい。例えば「ピロエースW」はクロトリマゾールと一緒に配合されている。
c 誤り。これはウンデシレン酸に関する内容。シクロピロクスオラミンは皮膚糸状菌の細胞膜に作用して、その増殖・生存に必要な物質の輸送機能を妨げ、その増殖を抑える。
d 誤り。みずむし・たむし用薬に登場する生薬といえばモクキンピである。漢方の水虫薬として知られる。カシュウ(何首烏)は毛髪用薬の分野で登場する。
 
正答・・・1

問92
歯痛・歯槽膿漏薬及びその配合成分に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 歯痛薬は、歯の齲蝕(むし歯)が修復されることにより歯痛を応急的に鎮めることを目的とする一般用医薬品である。

b セチルピリジニウム塩化物は、歯肉溝での細菌の繁殖を抑える殺菌消毒成分である。

c カミツレはキク科のカミツレの頭花を基原とする生薬で、抗炎症、抗菌などの作用を期待して用いられる。

d イソプロピルメチルフェノールは、炎症を起こした歯周組織からの出血を抑える作用を期待して配合されている。

    a b c d
1 正 正 誤 誤
2 誤 正 正 誤
3 正 誤 正 誤
4 誤 誤 誤 正
5 誤 正 誤 正

歯痛・歯槽膿漏薬に関する問題。

a 誤り。応急的な鎮痛目的である点は正しいが、齲蝕(むし歯)が修復されることはない。
b 正しい。セチルピリジニウム塩化物に関する内容。市販トローチに良く使用されている成分。

c 正しい。なお、抗炎症成分のアズレンスルホン酸ナトリウムはカミツレ由来成分である。
d 誤り。イソプロピルメチルフェノールは殺菌消毒成分で、歯肉溝での細菌の繁殖を抑える目的で配合される。
 
正答・・・2

問93
ニコチンを有効成分とする禁煙補助剤に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 副作用として、口内炎、喉の痛み、消化器症状(悪心・嘔吐、食欲不振、下痢)などがある。

b 有効成分であるニコチンは、アドレナリン作動成分が配合された医薬品との併用により、その作用を減弱させるおそれがある。

c 妊婦又は妊娠していると思われる女性、母乳を与える女性では、摂取されたニコチンにより胎児又は乳児に影響が生じるおそれがあるので、使用を避ける必要がある。

d 非喫煙者では、一般にニコチンに対する耐性がないため、吐きけ、めまい、腹痛などの症状が現れやすく、誤って使用されることがないよう注意する必要がある。

    a b c d
1 誤 正 正 正
2 正 誤 正 正
3 正 正 誤 正
4 正 正 正 誤
5 正 正 正 正

ニコチン置換療法に関する問題は今まで易しいものが多かったが、これはそれ程簡単ではない。

a 正しい。
b 誤り。×減弱→〇増強
c 正しい。
d 正しい。
 
正答・・・2

問94
次の滋養強壮保健薬の配合成分とその目的とする作用のうち、正しいものの組合せはどれか。

  配合成分                                           目的とする作用
a ヘスペリジン ―――――――――――― 骨格筋の疲労の原因となる乳酸の分解を促す
b アスパラギン酸ナトリウム ―――――― 軟骨成分を形成及び修復する
c グルクロノラクトン ――――――――― 肝臓の働きを助け、肝血流を促進する
d アミノエチルスルホン酸(タウリン) ― 肝臓機能を改善する

1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)

滋養強壮保健薬に関する問題。
ヘスピリジン以外は良く出題されている成分。

a 誤り。ヘスペリジンはビタミン様物質の一種(ビタミンP)で、ビタミンCの吸収を助ける作用や抗酸化作用、血管強化作用等があるとされている。滋養強壮保健薬や、ベンザブロックシリーズ等のかぜ薬に配合されている。

b 誤り。アスパラギン酸ナトリウムは骨格筋の疲労の原因となる乳酸の分解を促す働きが期待される。
c 正しい。グルクロノラクトンを配合する代表商品は「グロンサン」。
d 正しい。アミノエチルスルホン酸(タウリン)は栄養ドリンクではお馴染みの成分。

正答・・・5

問95
次の漢方処方製剤のしばり(使用制限)と適用となる症状に関する記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

h28%e5%8d%83%e8%91%89%e7%9c%8c-%e5%95%8f95
    a b c d
1 誤 正 誤 正
2 正 誤 誤 正
3 誤 正 正 誤
4 正 正 正 誤
5 誤 誤 正 正


漢方処方製剤のしばり(使用制限)と適用に関する問題。
全てある程度知名度のある漢方薬なので、この程度の問題は十分正答できるように。
まず、明らかにおかしい所を見つけて、a,cが判断できれば正答に導ける。

a 誤り。防風通聖散といえば、「皮下脂肪」「肥満症」に関するキーワードがすぐに思いつくでしょう。
b 正しい。防已黄耆湯といえば、「関節痛」「水ぶとり」「多汗症」あたりがキーワード。
c 誤り。しばり表現内の「体力充実して・・」よりすぐに誤りと気付きたい。十全大補湯は気血両虚向けの漢方薬であり、大病で衰弱している時などに用いられる。キーワードとしては「体力虚弱なものの病後・術後の体力低下」など。
d 正しい。清上防風湯は「にきび」の漢方薬して知られる。
 
正答・・・1

問96
漢方処方製剤及び生薬製剤に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a 患者の「証」に合わない漢方処方製剤が選択された場合には、効果が得られないばかりでなく、副作用を招きやすくなる。

b 漢方処方製剤は、用法用量において適用年齢の下限が設けられていない場合には、生後3ヶ月未満の乳児にも使用することができる。

c 生薬製剤は、生薬成分を組み合せて配合された医薬品で、漢方処方製剤と同様に、使用する人の体質や症状その他の状態に適した配合を選択するという考え方に基づくものである。

d 生薬製剤に配合される生薬成分は、医薬品的な効能効果が標榜又は暗示されていなければ、食品(ハーブ)として流通することが可能なものもある。

1(a、b) 2(a、d) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)

漢方処方製剤及び生薬製剤に関する総合的な知識を問う問題。
cの判断が迷う所だが、a,b,dは容易に判断できるように。

a 正しい。
b 誤り。漢方処方製剤は、用法用量において適用年齢の下限が設けられていない場合(実際殆どないが)であっても、生後3ヶ月未満の乳児には使用しないことになっている。
c 誤り。これは迷った方も多いでしょう。出題の手引きには以下のように書かれている。

「生薬製剤は、生薬成分を組み合わせて配合された医薬品で、成分・分量から一見、漢方薬的に見えるが、漢方処方製剤のように、使用する人の体質や症状その他の状態に適した配合を選択するという考え方に基づくものでなく、個々の有効成分(生薬成分)の薬理作用を主に考えて、それらが相加的に配合された、西洋医学的な基調の上に立つものであり、伝統的な呼称(「○○丸」等)が付されているものもあるが、定まった処方というものはない。」

d 正しい。
 
正答・・・2

問97
生薬成分に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a チクセツニンジンは、ウコギ科のトチバニンジンの根茎を、通例、湯通ししたものを基原とする生薬で、血行促進、抗炎症などの作用を期待して用いられる。

b サンシシは、ムラサキ科のムラサキの根を基原とする生薬で、組織修復促進、抗菌などの作用を期待して用いられる。

c サンザシは、マメ科のサンザシの偽果をそのまま又は縦切若しくは横切したものを基原とする生薬で、解熱、鎮痙けいの作用を期待して用いられる。

d ボウフウは、セリ科のボウフウの根及び根茎を基原とする生薬で、発汗、解熱、鎮痛、鎮痙等の作用を期待して用いられる。

1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、d) 5(c、d)

生薬成分に関する問題。生薬に関するこの手の問題は、知識不足だとどうしても難しくなるが、bの「ムラサキ科のムラサキの根を基原とする生薬」=シコン(紫根)は、すぐに気付きたい。

a 正しい。
b 誤り。ムラサキ科のムラサキの根を基原とする生薬はシコン(紫根)紫雲膏の主成分として知られる。シコンは新陳代謝促進、殺菌、抗炎症等の作用が期待される。

c 誤り。サンザシ(山査子)は、バラ科のサンザシ又はオオミサンザシの偽果を基原とする生薬。健胃、消化促進等の作用を期待して用いられる。
d 正しい。

正答・・・3

問98
消毒薬の殺菌消毒成分に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a 塩素系殺菌消毒成分は、専ら手指・皮膚の消毒に用いられる。

b クレゾール石鹸けん液は、結核菌を含む一般細菌類、真菌類に対して比較的広い殺菌消毒作用を示す。

c エタノールのウイルスに対する不活性効果は、イソプロパノールよりも低い。

d サラシ粉は、強い酸化力により一般細菌類、真菌類、ウイルス全般に対する殺菌消毒作用を示す。

1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、d) 5(c、d)

消毒薬に関する問題。この程度のレベルは正答できるように。
a 誤り。通常、器具や設備等の殺菌・消毒に用いるが、手指の消毒には皮膚刺激が強すぎて適さない。
b 正しい。クレゾール石鹸液は、結核菌を含む一般細菌類、真菌類に対して比較的広い殺菌消毒作用を示すが、ウイルスに対する殺菌消毒作用はないことも押さえておく。
c 誤り。イソプロパノールの方が弱いとされる。
d 正しい。サラシ粉は塩素系殺菌消毒成分であり、次亜塩素酸ナトリウムと同等なものと考えて良い。一般細菌類以外にも、真菌類、ウイルス全般にも殺菌消毒作用を示す次亜塩素酸ナトリウムはノロウイスル対策にも用いられ、家庭用漂白剤の「キッチンハイター」を希釈して代用する方法も行われている。
 
正答・・・4

問99
衛生害虫の防除及び殺虫剤の配合成分に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a ハエの幼虫(ウジ)の防除は、有機リン系殺虫成分が配合された殺虫剤は効果がないと言われている。

b 蚊の幼虫(ボウフラ)の防除は、水系に殺虫剤を投入するため、生態系に与える影響を考慮して適切な使用が必要である。

c シラミの防除は、殺虫成分としてフェノトリンが配合されたシャンプーやてんか粉が用いられ、物理的方法としては、散髪や洗髪、入浴による除去、衣服の熱湯処理などがある。

d プロポクスルは、有機塩素系殺虫成分で、アセチルコリンエステラーゼの阻害によって殺虫作用を示し、一般に有機リン系殺虫成分に比べて毒性が高い。

1(a、b) 2(a、d) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)

衛生害虫の防除及び殺虫剤に関する問題。
b,cはすぐに判断できるように。

a 誤り。ウジの防除には、通常、有機リン系殺虫成分が配合された殺虫剤を用いる。
b 正しい。
c 正しい。殺虫剤の中でもシラミ駆除に用いるフェノトリンは頻出。
d 誤り。プロポクスルはカーバメイト系殺虫成分。一般に有機リン系殺虫成分に比べて毒性は低い。アセチルコリンエステラーゼの阻害に関しては正しく、可逆的な結合阻害である。


正答・・・3

問100
一般用検査薬に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a 一般用検査薬については、薬局においてのみ取り扱うことが認められている。

b 生体から採取された検体には予期しない妨害物質や化学構造がよく似た物質が混在することがあり、いかなる検査薬においても擬陰性・擬陽性を完全に排除することは困難である。

c 尿糖検査の場合、原則として早朝尿(起床直後の尿)を検体とし、尿タンパク検査の場合、食後2~3時間を目安に採尿を行う。

d 通常、尿は弱酸性であるが、食事その他の影響で中性~弱アルカリ性に傾くと、正確な検査結果が得られなくなることがある。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)

一般用検査薬に関する問題だが、特に尿糖・尿タンパク検査薬に関する内容が問われている。

a 誤り。例えば尿糖・尿タンパク検査薬は第2類医薬品扱いなので、「薬局」ではなく、「店舗販売業」でも販売できる。

b 正しい。
c 誤り。採尿のタイミングは頻出。尿糖検査では食後2~3時間を目安に採尿。尿タンパク検査では、原則として早
朝尿を検体とし、激しい運動の直後は避ける。
d 正しい。通常、尿は弱酸性である。
 

正答・・・4
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