H28 千葉県(東京・神奈川・埼玉共通) 第3章 主な医薬品とその作用 問81-90
問82(婦人用薬)問86(眼科用薬)問88(消毒薬)は特に難しい。
問81
次の泌尿器用薬の配合成分のうち、利尿作用のほかに、尿路の殺菌消毒効果を期待して用いられる生薬成分はどれか。
1 ウワウルシ
2 キササゲ
3 サンキライ
4 ソウハクヒ
5 ブクリョウ
泌尿器用薬として使用される漢方薬に関する問題。
これは以前より良く問われているウワウルシに関する内容である。
正答・・・1
問82 婦人薬及びその配合成分に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 人工的に合成された女性ホルモンの一種であるエチニルエストラジオール、エストラジオールを含有する婦人薬は、一般用医薬品では内服薬のみが認められている。
b 桂枝茯苓丸は、体力虚弱なものの月経不順や更年期障害に伴う諸症状の緩和に用いられる漢方処方製剤であり、特に重篤な副作用は知られていない。
c 妊娠中の女性ホルモン成分の摂取によって胎児の先天性異常の発生が報告されており、妊婦又は妊娠していると思われる女性では使用を避ける必要がある。
d 女性の月経や更年期障害に伴う諸症状の緩和に用いられる漢方処方製剤として、四物湯 、温清飲 、当帰芍薬散があり、これらは構成生薬としてカンゾウを含まない。
1(a、b) 2(a、d) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)
婦人用薬に関する問題。難易度は高い。
四物湯 、温清飲 、当帰芍薬散のカンゾウの有無は初めて問われた?
a 誤り。エチニルエストラジオール、エストラジオールを含有する軟膏剤「ヒメロス」の存在を知っていれば容易に判断できる。
「ヒメロス」は不感症や冷感症、婦人更年期障害(のぼせ、ほてり、冷え、イライラ等)に効能を持つ外用薬。ヒメロス」を、直接膣粘膜・外陰部に塗布することで、女性ホルモン(卵胞ホルモン)を補充し、諸症状の改善が期待でされもちられる。この場合、外陰部への局所的な働きのほか、粘膜から吸収されることで全身的な作用も期待されている。
b 誤り。桂枝茯苓丸は「比較的体力がある人」向けである点は憶えておいて損はない。まれに重篤な副作用として、肝機能障害を生じることが知られている。
c 正しい。
d 正しい。これは対応出来なくてもしょうがない。手引きには直接的に書かれていない内容(婦人用薬として用いられる漢方薬のうち、カンゾウを含むものが記載されており、間接的にその他はカンゾウを含まないことがわかるが、そこまで理解している受験生は殆どいなかったでしょう)
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正答・・・5
問83 内服アレルギー用薬の漢方処方製剤に関する次の記述について、( )の中に入れるべき字句の正しい組合せはどれか。
内服アレルギー用薬の漢方処方製剤のうち、( a )及び( b )は、皮膚の症状を主とする人に適するとされ、いずれも構成生薬として( c )を含む。
a b c
1 茵蔯蒿湯 葛根湯加川芎辛夷 マオウ
2 十味敗毒湯 葛根湯加川芎辛夷 マオウ
3 茵蔯蒿湯 当帰飲子 カンゾウ
4 消風散 当帰飲子 カンゾウ
5 消風散 辛夷清肺湯 カンゾウ
内服アレルギー用薬の漢方処方製剤に関する問題。
この位のレベルなら容易に判断できるようにしたい。
鼻づまりや蓄膿症向けの「葛根湯加川芎辛夷」「辛夷清肺湯」を除外できれば消去法的にも正答できる。
出題の手引きでは、皮膚疾患向けの漢方薬として、茵蔯蒿湯、十味敗毒湯、消風散、当帰飲子が記載されている。
この中で、カンゾウを含まないのは、茵蔯蒿湯のみである。
(他に荊芥連翹湯も皮膚疾患向けで良く知られているが、手引きでは”鼻の症状緩和”の漢方薬の分類に記載されている。)
正答・・・4
問84 鼻炎用点鼻薬及びその配合成分に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a クロモグリク酸ナトリウムは、肥満細胞からアドレナリンの遊離を抑えることによる鼻アレルギー症状の緩和を目的として配合される。
b スプレー式鼻炎用点鼻薬は、噴霧後に鼻汁とともに逆流する場合があるので、使用前に鼻をよくかんでおく必要がある。
c 鼻粘膜の過敏性や痛みや痒みを抑えることを目的として、リドカイン、リドカイン塩酸塩等の局所麻酔成分が配合されている場合がある。
d ベンザルコニウム塩化物は、陽性界面活性成分で、黄色ブドウ球菌、結核菌、溶血性連鎖球菌、ウイルス等に対する殺菌消毒作用を目的として用いられる。
1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、c) 5(c、d)
鼻炎用点鼻薬に関する問題。
a 誤り。クロモグリク酸ナトリウムは、肥満細胞からヒスタミンの遊離を抑える。抗ヒスタミン薬と同様にアレルギー症状の緩和に用いられるが、作用が異なるので区別しておきたい。
b 正しい。
c 正しい。リドカインは局所麻酔成分。痔の外用薬にも良く配合されている。
d 誤り。殺菌消毒成分のベンザルコニウム塩化物は、陽性界面活性成分である点は正しい。黄色ブドウ球菌、溶血性連鎖球菌又はカンジダ等の真菌類に対する殺菌消毒作用を示すが、結核菌やウイルスには効果がない。
なお、医療機関や公共施設で見かけるプッシュ式の手指消毒液には、ベンザルコニウム塩化物を主成分とする消毒液が良く用いられている。
正答・・・4
問85 眼科用薬に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 別の人が使用している点眼薬は、容器の先端が睫毛(まつげ)等に触れる等して中身が汚染されている可能性があり、共用することは避けることとされている。
b コンタクトレンズをしたままでの点眼は、ソフトコンタクトレンズ、ハードコンタクトレンズに関わらず、添付文書に使用可能と記載されてない限り行うべきでない。
c 局所性の副作用として、目の充血や痒み、腫れがあらわれることがあるが、全身性の副作用が現れることはない。
d 点眼薬の1滴の薬液の量は、結膜嚢内の容積よりも少ないため、一度に数滴点眼すると薬液が結膜嚢内に行き渡り、より高い効果が得られる。
1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、d) 5(c、d)
眼科用薬に関する問題。これはサービス問題。
a 正しい。常識的に判断できるでしょう。
b 正しい。常識的に判断できるでしょう。
c 誤り。基本的に副作用を完全否定するような表現がでてきたら誤りと思って良い。
d 誤り。1滴の薬液の量は約50μL だが、結膜嚢の容積は30μL 程度とされる。一度に複数回点眼しても効果が増すわけではない。
正答・・・1
問86 眼科用薬の配合成分に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a スルファメトキサゾールは、ウイルスや真菌の感染による症状の改善を目的として配合されている。
b テトラヒドロゾリン塩酸塩は、炎症を生じた眼粘膜の組織修復を促すことを目的として配合されている。
c 硫酸亜鉛水和物(硫酸亜鉛)は、結膜嚢の洗浄・消毒を目的として配合されている。
d ポリビニルアルコール(部分鹸化物)は、結膜や角膜の乾燥を防ぐことを目的として配合されている。
a b c d
1 正 正 正 正
2 誤 誤 誤 正
3 正 正 正 誤
4 正 誤 誤 誤
5 誤 正 誤 正
眼科用薬の配合成分に関する問題。かなりマイナーな成分(硫酸亜鉛、ポリビニルアルコール)が登場するが、頻出のスルファメトキサゾール、テトラヒドロゾリン塩酸塩の知識があれば正答に導ける。
a 誤り。スルファメトキサゾールはサルファ剤で抗菌作用を示す。抗菌タイプの市販目薬には大抵配合されている。すべての細菌に対して効果があるというわけではなく、また、ウイルスや真菌の感染に対する効果はない。
b 誤り。テトラヒドロゾリン塩酸塩はアドレナリン作動成分で、血管を収縮して目の充血を改善する目的で使用される。点眼薬に用いられる組織修復成分としては、アズレンスルホン酸ナトリウム(水溶性アズレン)やアラントインがある。
c 誤り。結膜嚢の洗浄・消毒を目的として配合されるのはホウ酸であり、防腐剤としても知られる。硫酸亜鉛は収斂成分として登場するが、直前期なら深追いしない。
d 正しい。ポリビニルアルコール(部分鹸化物)は目の乾きを改善する成分。手引きにはコンドロイチン硫酸塩と一緒に記載されている。直前期なら深追いしない。
正答・・・2
問87 外皮用薬の剤形による取扱い上の注意に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a スプレー剤は、強い刺激を生じるおそれがあるため、目の周囲や粘膜(口唇等)への使用は避けることとされている。
b 軟膏剤は、薬剤を容器から直接指に取り、患部に塗布したあと、また指に取ることを繰り返すと、容器内に雑菌が混入するおそれがあるため、いったん手の甲などに必要量を取ってから患部に塗布することが望ましい。
c 貼付剤(テープ剤、パップ剤)は、患部やその周囲に汗や汚れが付着した状態で貼付すると有効成分の浸透性が低下するほか、剥がれやすくもなるため十分な効果が得られない。
d エアゾール剤は、至近距離から同じ部位に5秒以上連続して噴霧することが望ましい。
a b c d
1 正 正 誤 正
2 誤 誤 正 正
3 正 正 正 誤
4 正 誤 誤 誤
5 誤 正 誤 正
外皮用薬の剤形に関する問題。これは易しい。bもしっかり読んで常識的に判断すれば良い。
a 正しい。
b 正しい。
c 正しい。
d 誤り。スプレー剤やエアゾール剤は、一般に連続して噴霧する時間は3秒以内とすることが望ましい。
正答・・・3
問88
きず口等の殺菌消毒成分に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a オキシドール(過酸化水素水)は、一般細菌類、真菌、ウイルスに対する殺菌消毒作用を示す。
b レゾルシンは、殺菌消毒作用に加えて角質層を軟化させる作用もあり、にきび用薬やみずむし・たむし用薬に配合されている場合がある。
c ヨードチンキは、ヨウ素をポリビニルピロリドン(PVP)と呼ばれる担体に結合させて水溶性とし、徐々にヨウ素が遊離して殺菌作用を示すように工夫されたものである。
d 消毒用エタノールは、皮膚刺激性が強いため、患部表面を軽く清拭するにとどめ、脱脂綿やガーゼに浸して患部に貼付することは避けるべきとされている。
1(a、b) 2(a、d) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)
きず口に使用される消毒薬に関する問題。
細かい知識やレゾルシンのようなマイナーな成分も登場し、難易度は高い。
a 誤り。オキシドール(過酸化水素水)は、一般細菌類の一部(連鎖球菌、黄色ブドウ球菌などの化膿菌)に殺菌消毒作用を示すが、真菌、結核菌、ウイルスに対しては効果がない。
b 正しい。レゾルシンはマイナーな成分。
c 誤り。これはポビドンヨード(イソジン等のうがい薬に使用されている成分)に関する内容。ヨードチンキはヨウ素及びヨウ化カリウムをエタノールに溶解させたものだが、日常生活で見かけることは殆どない消毒薬。
d 正しい。採血後やインスリン注射後に使用する酒精綿にはエタノールも使用されているので迷った方も多いはず。手引きの記載どおりで正しい内容である。
正答・・・4
問89
外皮用薬に配合される抗炎症成分に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a ステロイド性抗炎症成分は、体の一部分に生じた湿疹、皮膚炎、かぶれ、あせも、虫さされ等の一時的な皮膚症状(ほてり・腫れ・痒み等)の緩和を目的とする。
b ステロイド性抗炎症成分は、末梢組織(患部局所)における免疫機能を高める作用により、痒みや発赤などの皮膚症状を改善する。
c デキサメタゾンは、分子内に副腎皮質ホルモン(ステロイドホルモン)と共通する化学構造を持たない抗炎症作用を示す非ステロイド性抗炎症成分である。
a b c
1 正 正 誤
2 誤 正 誤
3 正 正 正
4 誤 誤 正
5 正 誤 誤
外皮用薬に用いられるステロイド性抗炎症成分に関する問題。
a 正しい。
b 誤り。患部局所の炎症反応を抑えることにより、痒みや発赤を抑える。
c 誤り。 デキサメタゾンはステロイド性抗炎症成分である。(非ステロイドではない)
正答・・・5
問90
外皮用薬の配合成分に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a イブプロフェンピコノールは、イブプロフェンの誘導体であり、筋肉痛、関節痛、肩こりに伴う肩の痛み、腰痛に用いられる。
b ウフェナマートは、炎症を生じた組織に働いて、細胞膜の安定化、活性酸素の生成抑制などの作用により、抗炎症作用を示すと考えられている。
c ジフェンヒドラミンは、湿疹、皮膚炎、かぶれ、あせも、虫さされ等による一時的かつ部分的な皮膚症状(ほてり・腫れ・痒かゆみ等)の緩和を目的として用いられる。
d ノニル酸ワニリルアミドは、皮膚表面に冷感刺激を与え、軽い炎症を起こして反射的な血管の拡張による患部の血行を促す効果を期待して用いられる。
1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)
外皮用薬に用いられる配合成分(ステロイド以外)に関する問題。
これぐらいは楽に正答できるように。
a 誤り。イブプロフェンピコノールはイブプロフェンの誘導体であることは正しいが、鎮痛効果は殆ど期待できないとされている。主にニキビ治療薬として用いられる。例えばペアアクネクリーム(ライオン)など。
b 正しい。 ウフェナマートは非ステロイド性抗炎症成分。
c 正しい。ジフェンヒドラミン塩酸塩は、頻出の第一世代抗ヒスタミン成分。外用薬としても用いられる。
d 誤り。×冷感刺激→〇温感刺激。ノニル酸ワニリルアミドは、いわゆる「温感タイプ」の湿布に配合される成分であり、後半部分の内容は正しい。同様な成分としてトウガラシ由来のカプサイシンがあり、血行促進効果を訴求し、パッケージに成分名が記載されていることが多い。
正答・・・3
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