配置箱(問93)の出題は珍しい。濫用等の恐れのある医薬品の出題も復活

問91
薬局に関する記述について、正しいものの組合せを選べ。なお、本問において「薬剤師不在時間」とは、法施行規則第1条第2項第2号で規定されるものとする。

a 薬局で医薬品の販売に従事する登録販売者は、薬剤師不在時間内に限り、第一類医薬品を販売することができる。

b 薬剤師不在時間内は、調剤に従事する薬剤師が不在のため調剤に応じることができない旨を当該薬局の外側の見やすい場所に掲示すれば、薬局内に掲示しなくてもよい。

c 薬剤師不在時間内には、当該薬局の管理を行う薬剤師が、その薬局において勤務している従事者と連絡ができる体制を備えていなければならない。

d 薬局開設者は、薬剤師不在時間内は、調剤室を閉鎖しなければならない。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)


薬局、薬剤師不在時間に関する問題
薬剤師不在時間は平成30年の手引き改訂で追加された内容。南関東ブロックではよく出題されているが、関西でも時折出題されている。

薬剤師不在時間」とは、例えば、緊急時の在宅対応や急遽日程の決まった退院時カンファレンスへの参加のため、一時的に(予定されたものではない)当該薬局において薬剤師が不在となる時間が該当する。
なお、単に薬剤師のシフト都合や、定期的な業務(定期在宅患者訪問、学校薬剤師業務)は、この定義には含まれません。

a 誤 薬剤師不在時間内においても、登録販売者が販売できる医薬品は、第二類医薬品又は第三類医薬品である。
b 誤 薬剤師不在時間に係る掲示事項は、当該薬局の見やすい場所及び当該薬局の外側の見やすい場所に掲示しなければならない。
c 正 
d 正 

↓掲示例


正解・・・5


問92
店舗販売業に関する記述の正誤について、正しい組合せを選べ。

a 薬剤師が従事していれば、医療用医薬品の販売又は授与が可能である。

b 店舗販売業の許可を受けた事業者は、第三類医薬品について、薬剤師又は登録販売者に販売又は授与させなければならない。

c 第一類医薬品を販売する店舗の店舗管理者は、必ず薬剤師でなければならない。

d 店舗管理者は、保健衛生上支障を生ずるおそれがないよう、店舗販売業者に対して必要な意見を口頭により述べなければならない。

  a b c d
1 正 正 誤 誤
2 正 誤 正 正
3 誤 正 誤 誤
4 正 誤 正 誤
5 誤 誤 正 正


店舗販売業に関する問題
第一類医薬品を販売している店舗で、常勤薬剤師がおらず「登録販売者」が管理者になるケースについて、直前期で余裕がなければ管理者になれる細かい条件までは覚えなくてもよいでしょう。

a 誤 これは頻出。 店舗販売業では、薬局と異なり、薬剤師が従事していても調剤を行うことはできず、要指導医薬品・一般用医薬品以外の医薬品の販売等は認められていない。(つまり、医療用医薬品の取扱いができない)
b 正
c 誤 「必ず」が誤り。 第一類医薬品を販売する店舗で薬剤師を店舗管理者とすることができない場合は、3年以上の従事経験等の一定条件(詳細はR5千葉県 問51-bの解説を参照)を満たした登録販売者を店舗管理者することもできる。但し、この場合には店舗管理者を補佐する薬剤師を置かなければならない
d 誤 後半が誤り。必要な意見を「口頭」ではなく「書面」により述べなければならない。

正解・・・3


問93
配置販売業に関する記述の正誤について、正しい組合せを選べ。

a 配置販売業者は、医薬品を開封して分割販売することができる。

b 配置販売業者は、一般用医薬品のうち経年変化が起こりにくいこと等の基準に適合するもの以外の医薬品を販売等してはならない。

c 配置販売業者が、購入者の居宅に常備薬として用いられる製品をひと揃そろい収めた「配置箱」をあらかじめ預けておくことは、法上、「陳列」に該当しない。

d 配置販売業者又はその配置員は、その住所地の都道府県知事が発行する身分証明書の交付を受け、かつ、これを携帯しなければ、医薬品の配置販売に従事してはならない。

  a b c d
1 正 正 誤 正
2 正 正 誤 誤
3 誤 正 正 誤
4 誤 正 誤 正
5 誤 誤 正 誤 


配置販売業(いわゆる置き薬)に関する問題。イメージが湧かない受験生はリンク記事で確認を。
配置箱は手引き脚注に記載されている内容で、出題されるのは珍しい。

a 誤 配置薬販売業では、分割販売できない点は頻出。分割販売がわかりづらい受験生はリンク記事で確認を
b 正
c 誤 配置販売業では、 通常、常備薬として用いられる製品をひと揃い収めた「配置箱」を預けるが、これは法上、陳列に該当する
d 正 なお、身分証明証はその住所地の都道府県知事が発行するものであることに注意。、「配置する区域」の都道府県知事ではない。

正解・・・4


問94
店舗販売業者が行う、一般用医薬品のリスク区分に応じた情報提供に関する記述の正誤について、正しい組合せを選べ。

a 第一類医薬品を購入しようとする者から説明を要しない旨の意思の表明がなくても、その店舗において医薬品の販売に従事する薬剤師が、当該第一類医薬品が適正に使用されると認められると判断した場合には、必要な情報提供をせずに販売することが認められている。

b 第二類医薬品を販売する場合には、その店舗において医薬品の販売に従事する薬剤師又は登録販売者に、必ず書面を用いて必要な情報を提供させなければならない。

c 指定第二類医薬品を販売する場合には、その医薬品を購入しようとする者が、禁忌事項を確認すること及び当該医薬品の使用について薬剤師又は登録販売者に相談することを勧める旨を、確実に認識できるようにするために必要な措置を講じなければならない。

d 第三類医薬品を販売する場合には、購入者から質問等がなくても、その店舗において医薬品の販売に従事する薬剤師又は登録販売者に必要な情報提供をさせることが望ましい。

  a b c d
1 正 正 正 正
2 誤 誤 正 正
3 誤 誤 誤 正
4 正 正 誤 誤
5 正 誤 正 誤 


一般用医薬品のリスク区分に応じた情報提供に関する問題

a 誤 まず前提として、要指導医薬品第一類医薬品は情報提供の内容を理解したことを確認した後でなければ、販売・授与してはならないとされている。
ただし、第一類医薬品については(購入希望者より)説明を要しない旨の意思の表明があり、薬剤師が適正に使用されると認められると判断した場合には、適用しない(つまり情報提供を簡素化・省略できる)こととされている。
例としては、第一類の発毛剤を販売する際、顔なじみの購入者でリピート購入しており、かつ注意事項もよく理解されているケース等を思い浮かべればよい。
b 誤 「必ず書面」が誤り。第二類・第三類医薬品については、必要な情報を提供させるよう努めなければならないと規定されており、(要指導医薬品・第一類医薬品のように)「書面」での情報提供は必須ではない。
c 正 指定第2類医薬品の「情報提供を行うための設備から7メートル以内の範囲に陳列」「(購入者による)禁忌事項の確認」については頻出なのでしっかり押さえておく。
d 正

正解・・・2


問95
薬局における医薬品の陳列方法に関する記述について、正しいものの組合せを選べ。

a 購入者の利便性を考慮し、薬効分類が同じである要指導医薬品と第一類医薬品を、区別することなく陳列することができる。

b 指定第二類医薬品は、「情報提供を行うための設備」から8メートル離れた場所であっても、鍵をかけた陳列設備であれば陳列することができる。

c 第二類医薬品と第三類医薬品は、混在させて陳列することができる。

d 一般用医薬品を販売し、又は授与しない時間は、一般用医薬品を通常陳列し、又は交付する場所を閉鎖しなければならない。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)


薬局における医薬品の陳列方法に関する問題

a 誤 (薬効区分が同じであっても)要指導医薬品と第一類医薬品は区別して陳列する必要がある。
b 正 まず、指定第2類医薬品の「情報提供を行うための設備から7メートル以内の範囲に陳列」「(購入者等による)禁忌事項の確認」については頻出なのでしっかり押さえておく。
c 誤 混在させて陳列することはできない。
d 正

正解・・・4



問96
特定販売に関する記述について、正しいものの組合せを選べ。

a 特定販売とは、その薬局又は店舗におけるその薬局又は店舗以外の場所にいる者に対する一般用医薬品又は薬局製造販売医薬品(毒薬及び劇薬であるものも含む。)の販売又は授与をいう。

b 特定販売を行うことについてインターネットを利用して広告するときは、ホームページに、薬局又は店舗の主要な外観の写真を表示しなければならない。

c 特定販売を行うことについてインターネットを利用して広告をするときは、ホームページに、現在勤務している薬剤師又は登録販売者の別、その氏名及び写真を表示しなければならない。

d 一般用医薬品を購入しようとする者から、対面又は電話により相談応需の希望があった場合には、薬局開設者又は店舗販売業者は、その薬局又は店舗において医薬品の販売又は授与に従事する薬剤師又は登録販売者に、対面又は電話により情報提供を行わせなければならない。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d) 


特定販売(いわゆるネット販売、通信販売)に関する問題。
特定販売の定義は「その薬局又は店舗におけるその薬局又は店舗以外の場所にいる者に対する一般用医薬品又は薬局製造販売医薬品毒薬及び劇薬であるものを除く。)の販売又は授与」となっている。

aは前年も出題されていたひっかけ問題なので、過去問対策していれば対応できたでしょう。

a 誤 薬局製造販売医薬品でも、劇物や毒物に該当するものは特定販売できない
b 正 写真で掲載が必要なのは「薬局又は店舗の主要な外観の写真」と「一般用医薬品の陳列の状況を示す写真」である。どちらも実店舗をもつことの証明の為だと思えばよい(貯蔵又は陳列していない医薬品は販売できないことになっている)。
c 誤 「薬剤師又は登録販売者の及びその氏名」は表示することと規定されているが、「写真」の表示は求められていない
d 正 

正解・・・4



問97
次の成分(その水和物及びそれらの塩類を含む。)のうち、「法施行規則第15条の2の規定に基づき濫用等のおそれのあるものとして厚生労働大臣が指定する医薬品」について、正しいものの組合せを選べ。

a デキストロメトルファン
b カフェイン
c ブロモバレリル尿素
d エフェドリン

1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)


令和4年までよく出題されていたタイプの問題だが、また復活した。
厚生労働大臣が指定する濫用等の恐れがある医薬品は以下の通り。
(なお、R5手引き改訂により、薬効・剤形による限定は削除され、指定範囲が広がった。R4以前の類似問題を解く際は注意を)

・エフェドリン
コデイン
ジヒドロコデイン
ブロモバレリル尿素
プソイドエフェドリン
メチルエフェドリン


a 誤 デキストロメトルファン(臭化水素酸塩水和物)は非麻薬性鎮咳成分。なお、一時未成年者がSNSをきっかけに過量服用するケースが問題視されたらしいが、指定はされていない。
b 誤 眠気防止薬のカフェインも、以前より濫用が問題視されてはいるが、指定はされていない。
c 正
d 正

参考資料:一般用医薬品の濫用に対する取組について(厚生労働省)

正解・・・5


問98
濫用等のおそれのあるものとして厚生労働大臣が指定する医薬品を販売する場合、法施行規則の規定に基づき、店舗販売業者が当該医薬品を購入しようとする者に対し、薬剤師又は登録販売者に必ず確認させなければならない事項の正誤について、正しい組合せを選べ。

a 購入しようとする者が若年者である場合は、その者の年齢及び保護者の同意

b 他の店舗販売業者等からの当該医薬品及び当該医薬品以外の濫用等のおそれのある医薬品の購入状況

c 適正な使用のために必要と認められる数量を超えて当該医薬品を購入しようとする場合は、その理由

d 購入しようとする者の住所

 a b c d
1 正 正 誤 正
2 正 正 誤 誤
3 誤 正 正 誤
4 誤 正 誤 正
5 誤 誤 正 誤 


厚生労働大臣が指定する濫用等の恐れがある医薬品に関する問題がさらに続く。

a 誤 購入しようとする者が若年者である場合にあつては、当該者の氏名及び年齢を確認しなければならない。
b 正
c 正
d 誤 住所は確認事項としては規定されていない。

正解・・・3



問99
医薬品の広告に関する記述の正誤について、正しい組合せを選べ。

a 誇大広告等を禁止する法の規定は、広告等の依頼主だけでなく、その広告等に関与するすべての人が対象となる。

b 承認前の医薬品については、効能効果を標榜しなければ、名称のみ広告することは認められている。

c 医薬関係者が推薦している旨の医薬品の広告は、事実であったとしても、原則として不適当とされている。

d 漢方処方製剤等について、使用する人の体質等を限定した上で特定の症状等に対する改善を目的として、効能効果に一定の前提条件を付した「しばり表現」を省いて広告することは、原則として認められていない。

  a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 誤 正 正
3 誤 正 誤 正
4 正 誤 正 誤
5 正 正 誤 正 


医薬品の広告に関する問題

a 正 (つまり、広告依頼主だけではなく、広告代理店も処罰される恐れがある)
b 誤 何人も、未承認の医薬品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告が禁止されている。
c 正 医薬関係者、医療機関、公的機関、団体等が、公認、推薦、選用等している旨の広告については、仮に事実であったとしても、原則として不適当とされている。なお、市町村が行う衛生害虫類駆除事業に際して特定の殺虫剤・殺そ剤の使用を住民に推薦するときのような、特別な場合は例外的に認められている。
d 正 関連記事:しばり表現

正解・・・2


問100
法に基づく行政庁による監視指導及び処分に関する記述の正誤について、正しい組合せを選べ。なお、本問において、「都道府県知事」とは、「都道府県知事(薬局又は店舗販売業にあっては、その薬局又は店舗の所在地が保健所を設置する市又は特別区の区域にある場合においては、市長又は区長。)」とする。

a 都道府県知事は、薬事監視員に医薬品の販売業者が医薬品を業務上取り扱う場所に立ち入らせ、帳簿書類を検査させることができる。

b 都道府県知事は、店舗管理者に薬事に関する法令又はこれに基づく処分に違反する行為があったとき、又はその者が管理者として不適当であると認めるときは、その店舗販売業者に対して、店舗管理者の変更を命ずることができる。

c 薬剤師及び登録販売者以外の従業員は、薬事監視員の質問に対して、正当な理由なく、答弁しなかったとしても、法に規定された罰則が適用されることはない。


d 都道府県知事は、店舗販売業者に対し、不正表示医薬品、不良医薬品等について、廃棄、回収その他公衆衛生上の危険の発生を防止するに足りる措置をとるべきことを命ずることができる。

  a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 正 誤 誤
4 誤 誤 正 誤
5 誤 正 誤 正


行政庁による監視指導及び処分に関する問題
この分野の問題は、命じるもの(厚生労働大臣or都道府県知事)、命じる相手をしっかり確認すること。
特に、指導等を命じられる側が「医薬品の販売業者(店舗販売業者・配置販売業者・薬局開設者)」ではなく「店舗管理者」にした、ひっかけ問題に注意。

a 正 なお、立ち入り検査では、無承認無許可医薬品不良医薬品又は不正表示医薬品等の疑いのある物品を、試験のため必要な最少分量に限り、収去させることができる点もよく出題されているので覚えておくこと。関連して「帳簿書類を収去させる(一部を持ち帰る)ことができる」ときたらひっかけ問題・誤りなので注意
b 正
c 誤 薬剤師及び登録販売者以外の従業員も、罰則が適用されることがある。
d 正

正解・・・2

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