H28 新潟県(北関東・甲信越)第3章 主な医薬品とその作用(問91-100)

問92(皮膚用薬)、問100(殺虫剤)は難しい。

【問91】 点眼薬に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 点眼後、目頭を押さえると、薬液が鼻腔内へ流れ込むのを防ぐことができる。

b ソフトコンタクトレンズを装着したままで防腐剤が配合された点眼薬を点眼すると、角膜に障害を引き起こすおそれがある。

c 点眼薬の全身性の副作用として、皮膚に発疹 、発赤、痒みが現れることがある。

d 緑内障の症状は、一般用医薬品の点眼薬により、改善を期待できる。

  a b c d
1 正 誤 誤 正
2 誤 正 誤 正
3 正 誤 正 正
4 誤 誤 正 誤
5 正 正 正 誤

点眼薬に関する問題。これは簡単。

a 正しい。
b 正しい。なお、防腐剤なしの人工点眼液「ソフトサンティア」はコンタクトレンズをつけたまま使用できる。

c 正しい。
d 誤り。「緑内障」は一般用医薬品の対象外。

正答・・・5

【問92】 皮膚に用いる薬に含まれる成分に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 ピロールニトリンは、患部を酸性にすることで、皮膚糸状菌の発育を抑える。

2 テルビナフィン塩酸塩は、皮膚糸状菌の細胞膜を構成する成分の産生を妨げることにより、その増殖を抑える。

3 スルファジアジンは、皮膚の角質層を構成するケラチンを変質させることにより、角質軟化作用を示す。

4 硫酸フラジオマイシンは、細菌のDNA合成を阻害することにより抗菌作用を示す。

皮膚にもちいる薬に関する問題。

1 誤り。ピロールニトリンは菌の呼吸や代謝を妨げて皮膚糸状菌の増殖を抑える。他の抗真菌成分と組み合わせて配合されることも押さえておこう。
2 正しい。テルビナフィン塩酸塩は抗真菌剤。
3 誤り。スルファジアジンはサルファ剤に分類される。細菌のDNA合成を阻害することにより抗菌作用を示す。
4 誤り。硫酸フラジオマイシンはOTC外用薬の抗菌成分として代表格。細菌のタンパク質合成を阻害することにより抗菌作用を示す。
 
正答・・・2

【問93】 頭皮・毛根に作用する配合成分に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a カルプロニウム塩化物は、頭皮の血管を拡張、毛根への血行を促すことによる発毛効果を期待して配合されている。

b エストラジオール安息香酸エステルは、女性ホルモンによる脱毛抑制効果を期待して配合されている。

c チクセツニンジンは、頭皮における脂質代謝を高めて、余分な皮脂を取り除く作用を期待して配合されている。

d カシュウは、血行促進、抗炎症作用を期待して配合されている。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)

頭皮・毛根に作用する配合成分に関する問題。

a 正しい。カルプロニウム塩化物は毛髪薬。使用部位においてアセチルコリンに類似した作用(コリン作用)を示し、頭皮の血管を拡張、毛根への血行を促す。抗コリン作用ではないので注意(良くひっかけ問題が登場する)。なお。市販薬では「カロヤン」ブランドに良く配合されている。
b 正しい。エストラジオール安息香酸エステルに関する内容である。
c 誤り。これはカシュウ(何首烏)に関する内容。
d 誤り。これはチクセツニンジンに関する内容。
 
正答・・・1

【問94】 次の表は、ある歯槽膿漏薬に含まれている成分の一覧である。

100g 中
トコフェロール酢酸エステル 2.0 g
ヒノキチオール 0.1 g
セチルピリジニウム塩化物水和物 0.05 g
グリチルリチン酸二カリウム 0.4 g
アラントイン 0.3 g

この歯槽膿漏薬に含まれる成分と、その主な配合目的に関する次の組み合わせのうち、正しいものはどれか。

成分 主な配合目的
1 ヒノキチオール ― 組織修復作用
2 セチルピリジニウム塩化物水和物 ― 止血作用
3 グリチルリチン酸二カリウム ― 抗炎症作用
4 アラントイン ― 殺菌消毒作用

歯槽膿漏薬に関する問題。
割と出題されている成分なので、全て作用は憶えておきたい。

1 誤り。ヒノキチオールは抗菌、血行促進、抗炎症作用が期待され用いられる。なお、毛髪用薬としての方が知られている。
2 誤り。セチルピリジニウム塩化物水和物は殺菌消毒成分。トローチの成分としても知られる。
3 正しい。グリチルリチン酸二カリウムは抗炎症成分。
4 誤り。アラントインは組織修復成分。炎症を起こした歯周組織の修復を促すとされる。

正答・・・3

【問95】 禁煙補助剤に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a ニコチンは交感神経系を抑制させる作用を示し、アドレナリン作動成分が配合された医薬品との併用により、その作用を減弱させるおそれがある。

b 咀嚼剤は、菓子のガムのように噛み、唾液を多く分泌させながら使用することで、吐きけや腹痛の副作用が現れにくくなる。

c うつ病と診断されたことのある人は、禁煙時の離脱症状により、うつ症状を悪化させることがあるため、使用を避ける必要がある。

d 咀嚼剤は、口腔内が酸性になるとニコチンの吸収が低下するため、炭酸飲料を摂取した後しばらくは使用を避けることとされている。

    a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 誤 誤 正 正
4 正 誤 誤 誤
5 正 誤 正 誤

禁煙補助剤(ニコチン置換療法)に関する問題。

a 誤り。ニコチンは交感神経を増強する作用があり、アドレナリン作動成分が配合された医薬品との併用により、作用が増強する恐れがある。
b 誤り。ニコレットのような咀嚼剤は口腔粘膜からニコチン成分が吸収されるが、ガムのように噛むと唾液が多く分泌され、ニコチンが唾液と一緒に飲み込まれ、吐きけや腹痛等の副作用が現れやすくなる。その為、ゆっくりと断続的に噛むこととされている。
なお、ニコレットの添付文書には「1回1個を約30~60分かけてゆっくり、断続的にかむようにしてください。」と書かれている。
c 正しい。心臓や脳疾患の治療をしている方も避ける必要があるが、「うつ病」に関しての使用回避が良く出題されている。
d 正しい。
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正答・・・3

【問96】 滋養強壮保健薬に含まれる成分に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a ビタミンDの過剰症として、高カルシウム血症、異常石灰化が知られている。

b 一般用医薬品におけるビタミンAの1日分量は 10000国際単位が上限となっている。

c ビタミンEは下垂体や副腎系に作用してホルモン分泌の調節に関与するとされており、ときに生理が早く来たり、経血量が多くなったりすることがある。

    a b c
1 正 正 誤
2 正 正 正
3 誤 誤 誤
4 正 誤 正
5 誤 正 誤

滋養強壮保健薬に含まれる成分に関する問題。
ビタミンは特徴が憶えづらく苦労する分野だが、今回出題されているビタミンは特徴が憶えやすいので、正答できるように。
 
a 正しい。ビタミンDは「骨のビタミン」。腸管でのカルシウム吸収及び尿細管でのカルシウム再吸収を促して、骨の形成を助ける栄養素。ビタミンの中では特徴は憶えやすい。
b 誤り。ビタミンAは、「夜間視力の維持」や、「皮膚や粘膜の機能を正常に保つ」為に必要なビタミン。一般用医薬品におけるビタミンAの1日分量は4000国際単位が上限となっている。
c 正しい。ビタミンEは「抗酸化作用・血流改善」のビタミンとして知られる。この内容は、あまり出題されておらず難易度が高い。
  
正答・・・4

【問97】 漢方処方製剤に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 防風通聖散は、体力中等度以上で、赤ら顔でときにのぼせがあるもののにきび、顔面・ 頭部の湿疹 ・皮膚炎、赤鼻(酒さ)に適すとされるが、胃腸の弱い人では食欲不振、胃部不快感の副作用が現れやすい等、不向きとされる。

b 防已黄耆湯は、体力中等度以下で、疲れやすく、汗のかきやすい傾向があるものの肥満に伴う関節痛、むくみ、多汗症、肥満(筋肉にしまりのない、いわゆる水ぶとり)に適すとされる。

c 黄連解毒湯は、体力中等度以上で、のぼせぎみで顔色赤く、いらいらして落ち着かない傾向のあるものの鼻出血、不眠症、神経症、胃炎、二日酔い、血の道症、めまい、動悸 、更年期障害、湿疹 ・皮膚炎、皮膚のかゆみ、口内炎に適すとされるが、体の虚弱な人(体力の衰 えている人、体の弱い人)では不向きとされる。

    a b c
1 誤 正 正
2 正 正 誤
3 誤 誤 誤
4 正 誤 正

漢方薬に関する問題。
防風通聖散防已黄耆湯は、出題の手引きでは肥満症向けの漢方薬として記載されている。
なお、防風通聖散は今までも頻繁に出題されてきたが、出題率は未だ衰えていない。

a 誤り。これは、「ニキビ」の漢方薬として知られる清上防風湯に関する内容。防風通聖散のキーワードは「腹部に皮下脂肪」「便秘」。
b 正しい。防已黄耆湯のキーワードは「肥満(水ぶとり)」「関節痛」「多汗症」。
c 正しい。黄連解毒湯は「二日酔い」「鼻出血」が特徴的キーワード。
  
正答・・・1

【問98】 生薬成分に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a カッコンは、キンポウゲ科のハナトリカブト又はオクトリカブトの塊根を減毒加工して製したものを基原とする生薬であり、心筋の収縮力を高めて血液循環を改善する作用を持つ。

b ショウマは、マメ科のクズの周皮を除いた根を基原とする生薬で、解熱、鎮痙等の作用を期待して用いられる。

c ブクリョウは、サルノコシカケ科のマツホドの菌核で、通例、外層をほとんど除いたものを基原とする生薬で、利尿、健胃、鎮静等の作用を期待して用いられる。

    a b c
1 正 正 正
2 誤 誤 正
3 正 誤 誤
4 正 正 誤
5 誤 誤 誤

生薬成分に関する問題。
生薬に関するこの手の問題は、知識不足だとどうしても難しくなるが、ブシ(附子)、カッコン(葛根)、ブクリョウ(茯苓)は押さえておきたい。

a 誤り。これはブシ(附子)に関する内容。トリカブトがキーワード。
b 誤り。これはカッコン(葛根)に関する内容。「マメ科のクズ」がキーワード。
c 正しい。「サルノコシカケ科」がキーワード。

正答・・・2

【問99】 消毒薬に含まれる成分に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a クレゾール石鹸液は、結核菌を含む一般細菌類、真菌類、ウイルスに対して広い殺菌消毒作用を示す。

b イソプロパノールは、脱脂による肌荒れを起こしやすく、皮膚へ繰り返して使用する場合には適さない。

c 次亜塩素酸ナトリウムは、プラスチックやゴム製品を劣化させないが、金属を腐食させる。

d ジクロルイソシアヌル酸ナトリウムは、プール等の大型設備の殺菌・消毒に用いられることが多い。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)

消毒薬に関する問題。
特に次亜塩素酸ナトリウムは頻出・重要である。
 
a 誤り。クレゾール石鹸液は、結核菌を含む一般細菌類、真菌類に対して比較的広い殺菌消毒作用を示すが、ウイルスに対する殺菌消毒作用はない。
b 正しい。
c 誤り。次亜塩素酸ナトリウムやサラシ粉などの塩素系殺菌消毒成分は、金属腐食性はもちろん、プラスチックやゴム製品を劣化させる。なお、次亜塩素酸ナトリウムは一般細菌類以外にも、真菌類、ウイルス全般にも殺菌消毒作用を示すことも良く出題される。その為ノロウイスル対策にも用いられる。
d 正しい。ジクロルイソシアヌル酸ナトリウム、トリクロルイソシアヌル酸などの有機塩素系殺菌消毒成分は、プール等の大型設備の殺菌・消毒に用いられることがある。
 
正答・・・4

【問100】 殺虫剤・忌避剤に含まれる成分に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a フェノトリンは、アセチルコリンを分解する酵素と不可逆的に結合してその働きを阻害する。

b ジクロルボスは、神経細胞に直接作用して神経伝達を阻害する。

c ジフルベンズロンは、アセチルコリンを分解する酵素と可逆的に結合してその働きを阻害する。

d プロポクスルは、脱皮時の新しい外殻の形成を阻害して、幼虫の正常な脱皮をできなくする。

    a b c d
1 誤 正 正 正
2 誤 誤 正 正
3 正 誤 正 誤
4 誤 誤 誤 誤
5 正 正 誤 正

殺虫剤・忌避剤に含まれる成分に関する問題。
これは知識不足だと難しい。aとb、cとd それぞれ説明の内容が入れ替わっている。
直前期で時間がなければ、フェノトリンジクロルボスを優先的に学習を。
 
a 誤り。フェノトリンはピレスロイド系殺虫成分。神経細胞に直接作用して神経伝達を阻害する。シラミ駆除剤として、直接人体に適用される製品もある。(商品名:スミスリン)
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b 誤り。ジクロルボスは有機リン系殺虫成分。アセチルコリンを分解する酵素(アセチルコリンエステラーゼ)と不可逆的に結合してその働きを阻害する。代表的な含有製品は、ハエ・蚊・ゴキブリの駆除に用いられる「バポナ殺虫プレート」。
c 誤り。ジフルベンズロンは昆虫成長阻害成分。脱皮時の新しい外殻の形成を阻害して、幼虫の正常な脱皮をできな くする。
d 誤り。プロポクスルはカーバメイト系殺虫成分。有機リン系殺虫成分と同様にアセチルコリンエステラ ーゼの阻害によって殺虫作用を示すが、アセチルコリンエステラーゼとの結合は可逆的
主にムカデ・アリの侵入対策に家の周りに撒く殺虫粉薬に使用されている。

  
正答・・・4
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