R4 千葉県(東京・神奈川・埼玉共通) 第4章 薬事関連法規・制度 (問51-60)

お薬手帳の勧奨(問51)は注意。虚偽・誇大広告における課徴金制度も出題された。

問51
医薬品医療機器等法の規定に基づき、薬局開設者が、その薬局に従事する薬剤師等に行わせる医薬品のリスク区分に応じた情報提供等に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 要指導医薬品を販売する場合は、その薬局において医薬品の販売又は授与に従事する薬剤師に、書面を用いて、必要な情報を提供させなければならない。

b 第一類医薬品を販売する場合は、その薬局において医薬品の販売又は授与に従事する薬剤師又は登録販売者に、書面を用いて、必要な情報を提供させなければならない。

c 第一類医薬品を使用しようとする者が薬剤服用歴その他の情報を一元的かつ経時的に管理できる手帳を所持しない場合は、その所持を勧奨させなければならない。

d 第二類医薬品を販売する場合は、その薬局において医薬品の販売又は授与に従事する薬剤師又は登録販売者に、書面を用いて、必要な情報を提供させなければならない。

  a b c d
1 誤 正 誤 誤
2 誤 誤 正 正
3 正 誤 誤 誤
4 正 正 誤 正
5 正 誤 正 正


医薬品のリスク区分に応じた情報提供に関する問題。令和4年度改訂点(お薬手帳の勧奨)は判断が難しいかも。

第1類医薬品の販売・情報提供に関しては、「書面を用いた情報提供」が義務である。さらに、要指導医薬品の販売・情報提供については、(購入者から質問等がなくても)「対面による書面を用いた情報提供」が義務である点も押さえておこう。
なお、「対面」(つまり、リアルにface to face)による情報提供の義務の有無については、特定販売(≒ネット販売)できるかどうかと合わせて理解するとよい。
要指導医薬品は「対面」が義務のため、特定販売することができないが、必ずしも対面義務はない第1類医薬品は特定販売することができる。

a 正しい。
b 誤り。第一類医薬品の販売・情報提供は(薬剤師又は登録販売者ではなく)「薬剤師」が「書面」を用いて行う。
c 誤り。手引きには「特に要指導医薬品を使用する者が(中略)お薬手帳を所持しない場合はその所持を勧奨し、お薬手帳を所持する場合は(中略)お薬手帳を活用した情報の提供及び指導を行わせることとされており、お薬手帳には、要指導医薬品についても記録することが重要である」と書かれている。
これより、①×第一類医薬品⇒〇要指導医薬品、もしくは、②「勧奨させなければならない」の義務表現が不適切と考えられる。
過去問解説集によっては、①を理由に誤りにしているものもあるが、実際の販売現場では、第一類~三類の販売時に「お薬手帳」の勧奨を行うこと自体は問題ない。一方で、販売時の手帳の勧奨は(法で定められた)必須義務はなく、②の義務表現がより「不適切」と思われます。
d 誤り。第二類医薬品を販売する場合は、「書面」を用いて情報提供することは「義務」ではない。

正解・・・3


問52
次のうち、医薬品医療機器等法施行規則第146条第3項の規定に基づき、店舗販売業者が第一類医薬品を販売したときに、書面に記載しなければならない事項として、誤っているものはどれか。

1 品名
2 数量
3 販売した日時
4 医薬品の購入者の職業
5 医薬品の購入者が情報提供の内容を理解したことの確認の結果


店舗販売業における第一類医薬品の販売記録に関する問題。
とりあえず、このタイプの問題では「購入者の住所・氏名の確認は義務ではない」点を押さえておこう。また、この問題のように、購入者の職業も記載義務はない。
 

正解・・・4


問53
次のうち、医薬品医療機器等法第29条の4の規定に基づき、店舗販売業者が、当該店舗の見やすい場所に掲示しなければならない事項として、正しいものの組合せはどれか。

a 要指導医薬品、第一類医薬品、第二類医薬品及び第三類医薬品の定義並びにこれらに関する解説

b 個人情報の適正な取扱いを確保するための措置

c 勤務する薬剤師の免許番号又は登録販売者の販売従事登録番号

d 複数の店舗について店舗販売業の許可を受けている場合、許可を受けている全ての店舗の名称及び所在地

1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、c) 5(c、d)


店舗販売業における掲示事項に関する問題。

a 正しい。
b 正しい。
c 誤り。「勤務する薬剤師又は登録販売者の別、その氏名と担当業務」を掲示することになっているが、免許・登録番号は必要ない
d 誤り。


正解・・・1


問54
医薬品医療機器等法に基づく薬局における特定販売に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a 特定販売を行うことについてインターネットを利用して広告する場合は、ホームページに特定販売を行う医薬品の使用期限を表示しなければならない。

b 特定販売を行うことについてインターネットを利用して広告する場合は、ホームページに現在勤務している薬剤師又は登録販売者の別、その氏名及び写真を表示しなければならない。

c 特定販売を行う場合は、当該薬局以外の場所に貯蔵し、又は陳列している医薬品を販売又は授与することができる。

d 薬局製造販売医薬品(毒薬及び劇薬であるものを除く。)は、特定販売の方法により販売することができる。

1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、d) 5(c、d)


特定販売(いわゆるネット販売)に関する問題。
初めての受験生は、実際にネット販売を行っているサイトを確認してみると良い。

a 正しい。なお、実際には店舗概要のページ等に、「使用期限まで〇〇日以上ある医薬品をお届けします。」というような形で記載すれば良いことになっている。
b 誤り。勤務している薬剤師又は登録販売者の氏名は表示するが、写真を表示する必要はない
c 誤り。その薬局・店舗で貯蔵又は陳列していない医薬品は販売できない。
d 正しい。煎じ用漢方薬に代表される薬局製造販売医薬品は(例外的に)特定販売可能である。他に、要指導医薬品は特定販売できない点も合わせて押さえておこう。

正解・・・3


問55
次のうち、濫用等のおそれのあるものとして厚生労働大臣が指定する医薬品を販売する場合、医薬品医療機器等法施行規則第15条の2の規定に基づき、薬局開設者が薬剤師又は登録販売者に必ず確認させなければならない事項の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 当該医薬品を使用しようとする者の他の薬局開設者等からの当該医薬品及び当該医薬品以外の濫用等のおそれのある医薬品の購入等の状況

b 当該医薬品を購入しようとする者が若年者である場合にあっては、当該者の氏名及び年齢

c 当該医薬品を購入しようとする者が、適正な使用のために必要と認められる数量を超えて当該医薬品を購入しようとする場合は、その理由

d 当該医薬品を購入しようとする者の住所

  a b c d
1 誤 誤 誤 誤
2 誤 誤 正 正
3 正 正 誤 誤
4 正 誤 正 正
5 正 正 正 誤


厚生労働大臣が指定する濫用の恐れがある医薬品に関する問題。
aの判断は少し迷うかもしれないが、正しい記述である。

a 正しい。
b 正しい。
c 正しい。
d 誤り。住所は確認事項になっていない。

正解・・・5


問56
次の成分(その水和物及びそれらの塩類を含む。)を有効成分として含有する製剤のうち、濫用等のおそれのあるものとして厚生労働大臣が指定する医薬品(平成26年厚生労働省告示第252号)に該当するものの正誤について、正しい組合せはどれか。

a エフェドリン
b ケトプロフェン
c ノスカピン
d イブプロフェン

  a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 誤
4 正 誤 誤 誤
5 誤 誤 正 正


厚生労働大臣が指定する濫用の恐れがある医薬品に関する問題。

(令和4年まで)濫用のおそれのあるものとして厚生労働大臣が指定する医薬品は以下のとおり(その水和物及びそれらの塩類を有効成分として含有する製剤も含む)。

・エフェドリン
コデイン(鎮咳去痰薬に限る。)
ジヒドロコデイン(鎮咳去痰薬に限る。)
ブロモバレリル尿素
プソイドエフェドリン
メチルエフェドリン(鎮咳去痰薬のうち、内用液剤に限る。)

但し、この出題の翌年・令和5年手引き改訂により、濫用等の恐れのある医薬品の「薬効・剤形の限定」は削除されましたので、注意して下さい。詳細は記事のリンクで確認を。

a 正しい。
b 誤り。ケトプロフェンは主にシップで用いられる非ステロイド性抗炎症成分。
c 誤り。ノスカピンは非麻薬性鎮咳成分
d 誤り。イブプロフェンは解熱鎮痛成分

正解・・・4


問57
医薬品の広告に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 医薬品の製造販売業者に限っては、承認前の医薬品の名称に関する広告を行うことができる。

b 医薬品の効能、効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告してはならない。

c 厚生労働大臣が医薬品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する虚偽・誇大な広告を行った者に対して、課徴金を納付させる命令を行う課徴金制度がある。

d 漢方処方製剤の効能効果は、配合されている個々の生薬成分が相互に作用しているため、それらの構成生薬の作用を個別に挙げて説明することが望ましい。

  a b c d
1 正 誤 誤 誤
2 正 正 誤 誤
3 正 誤 正 正
4 誤 正 誤 正
5 誤 正 正 誤


医薬品の広告に関する問題
課徴金制度は令和4年度改訂で追加された内容です。

a 誤り。医薬品の製造販売業者においても、承認前の医薬品の広告を行うことはできない。
b 正しい。なお、医薬関係者、医療機関、公的機関、団体等が、公認、推薦、選用等している旨の広告については、一般の生活者の当該医薬品に対する認識に与える影響が大きいことにかんがみて、仮に事実であったとしても、原則として不適当とされている。
(例外)市町村が行う衛生害虫類駆除事業に際して特定の殺虫剤・殺そ剤の使用を住民に推薦するときのような、特別な場合を除く。
c 正しい。
d 誤り。漢方処方製剤の効能・効果は、個々の生薬成分が相互に作用しているため、構成生薬の作用を個別に挙げて説明することは不適当。(実際にはグレーで広告も見かける)

正解・・・5


問58
医薬品の販売方法等に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 医薬品を多量に購入する者に対しても、プライバシーに配慮し、積極的に事情を尋ねることは避けるべきである。

b 医薬品を懸賞や景品として授与することは、原則として認められていない。

c 配置販売業において、医薬品を先用後利によらず現金売りを行うことは、顧客の求めに応じたものであれば医薬品医療機器等法違反には当たらない。

d 組み合わせ販売においては、個々の医薬品等の外箱等に記載された医薬品医療機器等法に基づく記載事項が、組み合わせ販売のため使用される容器の外から見えない状態でも販売することが認められる。

  a b c d
1 正 正 正 誤
2 誤 正 誤 誤
3 正 誤 誤 正
4 誤 正 誤 正
5 誤 誤 正 正


医薬品の販売方法等に関する問題。

a 誤り。「医薬品を多量に購入する者」等に対しては、積極的に事情を尋ねるなど慎重に対処し、状況によっては販売を差し控えるべきである。
b 正しい。
c 誤り。配置販売業において、先用後利によらず現金売りを行うことは配置による販売行為に当たらず、医薬品医療機器等法の規定に違反するものとして取締りの対象となる。 
d 誤り。個々の医薬品等の外箱等に記載された法に基づく記載事項が、組み合わせ販売のため使用される容器の外から明瞭に見える必要がある。

正解・・・2


問59
医薬品医療機器等法に基づく行政庁による監視指導及び処分に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a 厚生労働大臣、都道府県知事、保健所を設置する市の市長及び特別区の区長は、その職員のうちから薬事監視員を命じ、監視指導を行わせている。

b 薬局開設者や医薬品の販売業者が、薬事監視員による立入検査や収去を拒んだり、妨げたり、忌避した場合については、罰則の規定が設けられている。

c 厚生労働大臣は、薬局開設者又は医薬品の販売業者に対して、一般用医薬品の販売等を行うための業務体制が基準(体制省令)に適合しなくなった場合において、その業務体制の整備を命ずることができる。

d 都道府県知事は、配置販売業者に対して、その構造設備が基準に適合せず、又はその構造設備によって不良医薬品を生じるおそれがある場合においては、その構造設備の改善を命ずることができる。

1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、c) 5(c、d)


行政庁による監視指導及び処分に関する問題。

a 正しい。
b 正しい。
c 誤り。×厚生労働大臣⇒〇都道府県知事
d 誤り。構造設備の改善命令の対象は、薬局開設者又は医薬品の販売業者であり、(店舗を持たない)配置販売業は対象外

正解・・・1


問60
一般の生活者からの医薬品の苦情及び相談に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 生活者からの苦情等は、消費者団体等の民間団体にも寄せられることがあるが、これらの団体では生活者へのアドバイスは行ってはならないとされている。

b 消費者団体等の民間団体では、必要に応じて行政庁への通報や問題提起を行っている。

c 独立行政法人国民生活センターは、寄せられた苦情等の内容から、薬事に関する法令への違反、不遵守につながる情報が見出された場合には、医薬品医療機器等法に基づき立入検査によって事実関係を確認のうえ、必要な指導、処分等を行っている。

d 医薬品の販売関係の業界団体・職能団体においては、一般用医薬品の販売等に関する相談を受けつける窓口を、行政庁の許可を受けることなく設置してはならないとされている。

  a b c d
1 正 誤 誤 正
2 正 正 正 誤
3 誤 正 誤 誤
4 正 誤 正 正
5 誤 誤 正 誤


一般の生活者からの医薬品の苦情及び相談に関する問題。

a 誤り。これらの民間団体等でも、生活者へのアドバイスを行っている。
b 正しい。
c 誤り。立入検査を行うのは、行政庁の薬務主管課、保健所等である。
d 誤り。行政庁の許可は必要ない。

正解・・・3

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